逮捕・監禁事件についての裁判例を紹介

監禁事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

被告人は他の被告人らと共謀し、某年某日夕方、被害者の車に乗り込んで暴行して車を発進させ、翌日午前4時20分ごろまでの間、被害者を車内で監禁した。
判決では被告人について、「『人さらい』と告げられたうえで報酬目的で運転手役を引き受けたもので、犯意は強固」とし、「犯行に不可欠な役割を担った」と指摘した。
(朝日新聞「監禁罪の28歳被告に懲役4年判決」(2018/12/20)を引用・参照)。

~逮捕・監禁罪について~

第31章 逮捕及び監禁の罪
(逮捕及び監禁)
第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

逮捕・監禁罪については必ずしもその区別は明確でない上、両者を厳密に区別する必要はないと解されていることから、本稿では監禁罪に対象を絞って解説いたします(なお、本事案では監禁罪の他に営利目的略取罪(刑法225条)でも起訴されていますが、この点ついては補足的に説明するにとどめています)。

本事案では、上記引用記事から必ずしも監禁の態様は詳らかではありませんが、仮に被害者が走行中の車に乗せられ続けていた場合にも監禁罪は成立するものと考えられます。
なぜなら、刑法が監禁罪を規定することによって保護しようとしているのは、人の身体活動の自由すなわち行動したいときに行動できる自由であると解されており、走行中の車から脱出することが困難であることからすれば、上記自由の侵害が認められ「監禁」状態にあったということができるからです。
なお判例上、監禁の手段として暴行が行われたとしても、別途暴行罪は成立しないと解されており、本事案でも暴行罪それ自体は問題とされていないことに留意する必要があります。

~逮捕・監禁罪の裁判例等~

本事案では、被告人には懲役4年の実刑判決が下されています。
ここで他のケースをみてみると、本事案と同じく他の被告人と共謀した上で、少年を施設内に強制的に連行したとして逮捕・監禁罪に問われた裁判例においては、懲役2年・執行猶予5年の執行猶予付判決が下されています。
このケースでは、本事案とは異なり、被告人の役割や立場が従属的であったことが指摘されています。
上述のように本事案は営利目的略取罪でも起訴されており、この点や犯行における役割の重要性を考慮して実刑判決に至っていると思われます。
もっとも、仮に監禁罪のみ刑事責任に限ったとしても、犯行における被告人の役割が重要・主導的なものであったかあるいは従属的なものであったか等は犯情あるいは(一般)情状として量刑上重要な意味を有することには違いはありません。
したがって、刑事事件に関する高い専門性を有する弁護士が、細部に渡って事件を検討することが最終的な刑事処分についての見通しを持つためにも非常に重要となってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、逮捕・監禁事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
逮捕・監禁事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

 

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