略式手続の概要・要件

・略式手続とは

略式手続とは,簡易裁判所が,その管轄に属する軽微な事件について,略式命令によって100万円以下の罰金又は科料を科す手続きのことをいいます。

略式命令の請求は検察官によって起訴と同時になされます。略式命令は,その請求の日から4カ月以内に,簡易裁判所によって発せられます。

なお,略式手続は罰金という刑罰を科すものですから,正式裁判を受けていないとしても,前科がつくことになります。

 

・略式手続の特徴

略式手続のメリットは,刑罰が罰金で済むこと,起訴当日には釈放されることから,通常裁判に比べて身体拘束期間が短くなることです。

ただし,公判を開くことなく,検察官が提出した書面による非公開の審理によって刑罰を科すことを可能にすることは,憲法が被告人に対して保障している「公開裁判を受ける権利」が放棄されることになります。そのため検察官は,予め被疑者に対し,このような略式手続の特徴と,略式手続によることなく,公判手続による審判を受けられることを説明します。その上で,検察官は,被疑者が略式手続によることについて異議がない旨の書面を作成する必要があります。

 

・通常手続への移行について

①検察官が被疑者に対する説明の手続をせず,または被疑者の異議がない旨の書面を添付せずに略式命令の請求をしたとき,あるいは
②請求を受けた裁判所が,略式命令をすることが不可能または不相当であると思料するとき(例えば,法定刑に罰金・科料がない罪名について請求があったとき,無罪,免訴,公訴棄却,管轄違い等を言い渡すべき場合,事案が複雑であるため通常手続により審判すべき場合等)

には,通常の公判手続による審判がなされることになります。この場合には,裁判所は,直ちにその旨を検察官又は略式命令を受けた者に通知するとともに,検察官から提出された書面を検察官に返還します。

略式命令を受けた被告人の側から,正式裁判の請求をすることもできます。被告人が略式命令を受けたことに対して不服がある場合には,その日から14日以内に正式裁判の請求をすることができます。この場合において,正式裁判の請求により判決が確定したときは,略式命令はその効力を失います。

法律上検察官による正式裁判の請求も認められています。また,検察官による科刑意見どおりに略式命令が発付された場合であっても,その後累犯前科を含む多数の同種前科の存在が判明するに至ったという事情の下では,検察官による正式裁判の請求は適法であるとした判例もあります。

 

・待命式略式命令手続について

道路交通法違反に対しては,特別に「待命式略式命令手続」という方式があります。これは,違反者を検察庁などに出頭させ,待機させている間に略式命令手続を一気に行ってしまうというものです。この手続きによれば,大体出頭から1~2時間の間に罰金納付まで完了します。

 

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