検察官送致

・検察官送致とは

罪を犯した14歳以上の少年については,検察官は全て家庭裁判所に送致し(全件送致主義),審判不開始とならなければ,少年は家庭裁判所の審判を受けることとなります。

家庭裁判所の審判の際,通常は保護処分に付す決定がされたり,保護処分を行うことなく手続きを終了する不処分の決定がされます。しかし,調査の段階で,少年を刑罰に科すことが相当であると判断されると,事件を検察官に送致するという決定がされる場合があります。

検察庁から事件が家庭裁判所に送られたあと,決定を経て再び検察官に送り返すという流れをたどりますので,「逆送」と呼ばれます。

 

・検察官送致された場合

家庭裁判所から検察庁に事件が送致されると,事件が成人と同様に処理されることになりますが,成人の事件との違いは,検察官に起訴猶予という選択がないことです。逆送事件の場合は,検察官は必ず起訴しなければならないことになっています(少年法45条5号)。

 

・少年の刑事裁判

少年の刑事裁判の場合も,成人の刑事裁判と異なるところはありません。成人と同様の刑事裁判を受けることとなります。

 

・少年の刑の特則

少年に刑を科する場合には,一定の特則があります。具体的には以下のようなものです。

 

① 行為時18歳未満の者に対する死刑の禁止

犯行時に18歳未満であった者に対しては,死刑を科することができません。死刑を相当とする事案であっても,無期刑を科すことになります(少年法51条1項)。

 

② 行為時18歳未満の者に対する無期刑の緩和

犯行時に18歳未満であった者に対して,無期刑を相当と考える場合でも,その刑を緩和して有期の懲役または禁錮を科することができます。具体的には,10年以上20年以下の刑を定めることができます(少年法51条2項)。

こちらの緩和は,①と異なり,絶対的なものではないので,裁判所は無期刑の宣告をすることはできます。

 

③ 不定期刑

成人の場合,判決では「被告人を懲役〇年に処する」となり,刑務所に行く期間が判決で決められます。18歳以上の少年(特定少年)の場合も同様です(少年法67条4項)。

これに対し,18歳未満の少年の場合には「被告人を懲役〇年以上△年以下に処する」との判決がなされます(少年法52条1項・2項)。この場合には,懲役何年になるかは裁判の段階では決まっていません。実際に刑を受けて,少年の更生の程度などを見ながら,何年にするかを決定します。

 

・55条移送

一度逆送されてしまった事件でも,刑事裁判の中で,裁判所がもう一度家庭裁判所に事件を戻し,少年としての保護処分に付するのが相当と認めた場合、事件は家庭裁判所に移送されます。これは少年法55条に定めがあるので,55条移送と呼ばれています。

この決定を求める場合,通常の刑事裁判の流れの通り,証拠調べなどを行った後,いわゆる最終弁論を述べる際に,弁護人が事件を家庭裁判所に戻すよう主張することとなります。

弁護人の主張が認められなかった場合には,上記の通り刑の言い渡しがされることとなります。

 

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