即決裁判手続の概要・要件

・即決裁判手続とは

即決裁判手続とは,争いのない明白かつ軽微な事件について,迅速かつ簡易に審理及び判決を行うことを目的とした簡略化・迅速化された公判手続のことをいいます。

 

・即決裁判手続の要件

即決裁判手続の申立ては検察官が被疑者の同意を得た上,公訴提起と同時に,書面によって行う必要があります。

検察官は,被疑者が同意するかどうかを確認するに当たって,即決裁判手続を理解させるために必要な事項を説明し,通常の審判を受けることができる旨を告げなければなりません。また,被疑者に弁護人があるときは,その同意か少なくとも意見の留保が必要です。被疑者または弁護人が同意ないし意見の留保を行うときは,書面でその旨を明らかにする必要があります。

死刑または無期もしくは短期1年以上の懲役もしくは禁錮にあたる事件は,申立ての対象になりません。

検察官は,事案が明白かつ軽微であること,証拠調べが速やかに終わると見込まれること等の事情を考慮して,相当と認めるときに限り申立てをすることができる。

 

・即決裁判手続のメリット

即決裁判手続のメリットとしては,①迅速性,②簡易性,③予見可能性が挙げられます。

  1. について,即決裁判手続では,勾留延長なしでの起訴が目安で,起訴から判決までが14日程度となっています。また,公判は20~30分で,即日判決がなされます。このように,従来の裁判では,公訴提起から1か月ほどかかることも珍しくないのに 比べ,迅速であるといえます。
  2. について,従来の裁判よりも手続が簡略化されています(伝聞法則等の適用がない)。
  3. について,懲役・禁錮が言い渡される場合には必ず執行猶予が付くことになっており,判決の見通しについて予測可能性があります。

 

・デメリットについて

即決裁判手続のデメリットは,上訴制限です。

即決裁判手続では,事実誤認を理由とした控訴,重大な事実誤認を理由とした上告ができないことになっています。つまり,控訴・上告では,事実関係を争うことができません。

 

・即決裁判と保釈 

即決裁判の場合,通常裁判に比べて,保釈が認められる可能性が高くなります。

保釈が認められるためには,証拠隠滅(罪証隠滅)のおそれがないこと,逃亡のおそれがないことが必要になります。

即決裁判手続の対象の事件は軽微で,本人も事実関係について争っていないことになりますから,証拠隠滅のおそれは低いといえます。

また,即決裁判では,原則として2週間以内に判決が下され,懲役・禁錮の場合は必ず執行猶予がつきますから,被告人があえて逃亡する可能性は低いといえます。

したがって,即決裁判手続に付された事件の場合,通常裁判に比べて,保釈が認められる可能性が高くなります。

 

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