今回は、同僚の机から5000円を盗み、市役所職員が失職したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
静岡市役所で同僚の机から現金を盗んだとして有罪判決を受けた市の職員が25日、失職しました。
失職したのは静岡市保健福祉長寿局の40代の男性職員です。静岡市によりますと、男性職員は2021年12月、静岡市役所の同僚の机の引き出しに保管されていた現金5000円を盗んだ窃盗の罪で起訴され、10日、静岡地裁で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けました。判決が25日に確定したため、地方公務員法の規定に基づき、男性は失職としました。
静岡市総務局の高田和昌次長は「再発防止策を徹底し、市民のみなさまからの信頼を早期に回復できるように努めてまいります」とコメントしています。
(https://look.satv.co.jp/_ct/17625033 4月26日 「同僚の机から5000円盗み有罪判決が確定…市役所の40代男性職員が失職 静岡市」より引用)
~地方公務員が刑事事件を起こした場合に注意すべきポイント~
地方公務員法第28条4項によると、「職員は、第十六条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、条例に特別の定めがある場合を除くほか、その職を失う」とされています。
同法第16条1号には、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」があげられています。
そのため、執行が猶予された場合であっても、上記に該当します。
なお、刑事事件に関し起訴された場合、その意に反して休職させられることがあります(地方公務員法第28条2項2号)。
ケースの男性職員は懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定したため、地方公務員の規定により失職することになりました。
~失職を防ぐためにはどうすればよいか~
被害者と示談をし、①不起訴処分の獲得、②略式手続により罰金刑を受けて事件を解決できるよう活動することが考えられます。
不起訴処分となった場合には、そもそも裁判にかけられないので、有罪判決を言い渡されることはありませんし、罰金刑であれば、地方公務員法第28条4項に該当しませんし、略式手続であれば書面によりすぐに手続が終了するため休職も回避できます(事件が発覚したことにより職場などから不利益な処分を受ける可能性は依然として存在します)。
地方公務員法による失職を防ぐために弁護活動を希望している方は、すぐに刑事事件に詳しい弁護士の法律相談を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
地方公務員の失職に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。