静岡県富士市で転売目的で電車備品を窃盗して逮捕
電車備品等、付加価値のある公共物を転売するために窃盗する刑事事件例を紹介し、その刑事責任について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件例】
静岡県富士市の自称自営業Aさん(25歳)は、ネットオークション等を利用した転売により収入を得ているところ、電車マニアに対して電車の備品が売れるに違いないと思い、JR東海道線の電車内の車内にある路線図などを盗んでいました。
数回目の窃盗の際、他の乗客がその様子をスマホの動画で撮影し警察に通報したため、Aさんは静岡県警富士警察署によって、窃盗罪の疑いで家宅捜索を受け、その後逮捕されました。
(※フィクションです)
上記刑事事件例は、JR総武快速線の路線図を盗んだ疑いで、63歳の男性が窃盗罪でが逮捕された事案をモデルにしています。
逮捕された被疑者は、2019年12月、JR総武快速線の車内で、鉄道マニアに売る目的で、ドアの上部に設置されている路線図1枚(時価243円相当)を盗んだ疑いが持たれています。
車内の防犯カメラには、被疑者が路線図を盗む様子が映っていて、被疑者の自宅からはJR総武線快速・横須賀線のほかに、外房線や内房線の路線図十数枚が見つかりました。
警察の調べに対し、被疑者は、「取ったことに間違いありません」と容疑を認め、転売目的だったと供述しており、警察は、余罪があるとみて調べています。
【公共の場所での窃盗罪】
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と幅広く設定されており(刑法235条)、被害金額や犯行態様の悪質さ、組織的犯行の是非や反復性によって、軽く処分されることもあれば非常に重く処分されることもあります。
これは窃盗罪の刑事弁護を進める上での難易度にも通ずる問題であり、例えば被害金額が大きければ大きいほど被害弁償や示談が困難になる傾向があり、また、犯行態様が悪質であったり、組織的な窃盗であったり、反復的な犯行である場合には、刑事責任が重大であるため、身体拘束の期間が長期化したり、法定刑が重くなる傾向にあると言えます。
上記刑事事件例の場合、例えば電車マニアが備品欲しさのあまり電車備品を盗んでしまったというのであればまだしも、転売による営利目的で電車備品を窃盗しているため、被害者の処罰感情はより高いと予想され、ただでさえ難しい示談交渉を拒否されるだけのみならず、窃盗に対する謝罪や損害賠償を拒否され、捜査機関に厳罰を求めることにもなりかねません。
しかし、上記事案のように、公共交通機関に対する窃盗という責任の重さ、そして転売目的という悪質な目的の犯行であることを鑑みるに、鉄道会社が示談に応じてくれることは極めて困難です。
このような窃盗罪の刑事事件では、刑事事件発覚時から、事実を認めて謝罪し、示談の可能性を上げるために注力するべきか、あるいは事実の否認ないし黙秘により被疑者としての防御権を行使していくのか、刑事弁護の専門家である弁護士の助言を仰ぎ、自分にとっての最善の方法を決めていくことが重要となります。
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