(事例紹介)背任の疑いで静岡県富士市の男性が逮捕
背任の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
【事例】
警察によると、勤務していた会社から仕事用に貸与されていたクレジットカードを私的な活動に流用したとして、静岡県富士市の男性が背任の容疑で逮捕された。
男性の行為により会社には数百万円の損害が生じた疑いがある
(本事例はフィクションです。)。
~背任と横領との区別〜
(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
本事例では、被疑者の男性は背任の容疑で逮捕されています。
もっとも、本件は一見すると横領事件のようにも思えるため、刑法253条の業務上横領罪が適用されない理由についても検討する必要があります(業務上横領罪の方が背任より重い罪であるため)。
同条にいう「物」とは、現金や物品など具体的な有体物を指し、本件で問題になっているクレジットカードそのものは有体物ではなく決済手段にすぎません。
つまり本件では「物」自体が客体とはいえない以上、業務上横領罪を適用する余地はないことになります。
そして、本件の被疑者はあくまで業務としてクレジットカードを貸与されている立場にありながら私的な支出にカードを利用し数百万円の損害を会社に与えていることから、任務に背いて会社に損害を与えたとして背任罪(刑法247条)が成立するものと考えられます。
〜弁護士による弁護はなぜ必要か〜
刑事事件において弁護士による弁護活動は、なぜ必要なのでしょうか。
逮捕された者(起訴された者)は悪い人間なのだから、そんな者を擁護・庇護する必要はないという素朴な感情を抱く人も少なくないかもしれません。
しかし、昨今では多くの冤罪事件が世間の耳目を集めていることから分かるとおり、逮捕された(起訴された)からといって必ずしも罪を犯したとは限らないことは明らかです。
また、仮に無実ではないとしても(そして本人が罪を認めている場合であっても)、弁護活動が不要になるわけではありません。
憲法は31条以下において刑事手続に関する規定を置いており、このような諸権利は歴史的にもしばしば軽視されてきたことから我が国の憲法において厚く保障されるに至りました。
弁護士による弁護活動とは、このような被疑者(被告人)に保障された権利を十全化するために、必要不可欠なものに他ならないのです。
専門的なトレーニングを受けた弁護士による援助がなければ、これらの権利は絵に描いた餅となる可能性が常に付きまとうことに注意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、背任事件を含む刑事事件を専門としている弁護士が所属する法律事務所です。
背任事件を含む財産事件・経済事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。

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