・犯罪の概要
危険ドラッグについては,医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下,「医薬品医療機器等法」といいます。)によって規制されています。
例えば,医薬品医療機器等法第76条の4は,「指定薬物は,疾病の診断,治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として厚生労働省令で定めるもの(以下この条及び次条において「医療等の用途」という。)以外の用途に供するために製造し,輸入し,販売し,授与し,所持し,購入し,若しくは譲り受け,又は医療等の用途以外の用途に使用してはならない。」と規定しています。
そして,この違反に対する罰則として,医薬品医療機器等法第84条26号は,「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。」と規定しています。
・違法薬物であることの認識がなかったことを主張する場合
危険ドラッグ・脱法ドラッグに関する罪を犯した疑いをかけられた場合,犯行当時に違法な薬物であることの認識があったかどうかが重要なポイントになります。
無罪判決・不起訴処分を獲得するためには,薬事法上の指定薬物であるとは知らなかった,違法薬物の存在自体に気づいていなかった,などと違法薬物であることの認識に欠けていたことを客観的な証拠に基づいて具体的に主張していきます。
・違法な捜査があった場合
たとえ危険ドラッグ・脱法ドラッグに関する罪に当たる行為があっても,それを証明するに足りる証拠がなければ有罪にはなりません。
また,その証拠は適法な捜査によって獲得されたものでなければなりません。
ですから,職務質問・所持品検査・採尿・採血・捜索・差押え・逮捕・勾留・取調べなどの刑事捜査の過程で看過しがたい重大な違法行為があればその旨を主張して,収集された証拠を排除します。
こうして主張が認められれば,犯罪を立証する証拠が不十分であるとして,不起訴処分・無罪判決を受けられる可能性が高まります。
・情状弁護について
危険ドラッグ・脱法ドラッグを使用したことなどにつき争いがない場合,できる限り量刑を軽くしてもらえるように,酌むべき事情を精査して主張していきます。
具体的には,薬物への依存や常習性がないこと,再犯を防ぐ対策をとっていること,共犯者間で従属的な立場にあったことなどを客観的な証拠に基づいて説得的に主張します。
減刑・執行猶予付き判決の獲得には,ご家族や周囲の方の理解と協力のもと,二度と薬物犯罪に手を染めない環境作りと具体的な対応策を裁判所に示すことが重要です。