不起訴にしてほしい

・不起訴とは

不起訴とは,検察官が被疑者の処分を決めるに当たって,公訴提起(起訴)をしない処分をすることです。刑事事件では,警察・検察による捜査を経て,最終的に検察官が起訴,不起訴の処分を決定することになります。不起訴になれば,その事件について刑事手続は終了し,裁判は行われず,処罰されることもありません。

 

・不起訴の種類

不起訴は,狭義の不起訴処分と,起訴猶予処分に分類することができます。

狭義の不起訴処分は,①訴訟条件が欠ける,②被疑事実が罪とならない,③犯罪の嫌疑がない,または不十分である,④刑の(必要的)免除事由に当たるという4つのいずれかを理由に不起訴とする場合のことをいいます。

まず、①の訴訟条件とは,裁判所が裁判を行うために必要な手続的要件のことで,例えば,公訴時効が完成しているとか,告訴が必要な親告罪なのに告訴が得られなかった場合などが①を理由とした不起訴に当たります。②は,被疑者が刑事未成年だったり,心神喪失に当たったり,構成要件に該当しなかったり,違法性・責任がないといえるような場合です。③は,例えば被疑者が犯人ではないとか,犯人でない疑いがあるような場合です。④は,親子間で窃盗をしたような場合です。

これら4つに当たらない場合であっても,訴追を必要としないときに不起訴とするものが起訴猶予です。検察官には,起訴するための要件が満たされた場合であっても不起訴にする権限が与えられています。このように,検察官に起訴猶予の裁量を認める制度を起訴便宜主義といいます。

 

・不起訴になりやすい場合

狭義の不起訴となりうる場合には,起訴の要件を欠いていることを証明できれば,不起訴処分を獲得できます。そのための証拠がある場合には,不起訴になりやすいといえます。

起訴猶予になりやすい場合としては,事案が軽微であるとか,被害者との示談が成立している場合が挙げられます。

 

・処分保留により釈放された場合について

処分保留とは,起訴,不起訴を判断するための十分な証拠が揃わなかったことを意味し,不起訴処分が確定したわけではありません。将来十分な証拠が揃えば,起訴されることもありえるので,注意が必要です。

 

・不起訴を獲得するためにできること

もしも身に覚えのないことで逮捕されてしまったような場合には,取り調べでは,やってもいないことはしっかりと否認することが重要です。弁護人としては,直ちに犯罪の嫌疑がないことを裏付ける証拠を確保し,検察官に対し不起訴にすべきであると働きかけます。

事件を起こして逮捕されてしまったような場合には,情状の面から起訴する必要はないと検察官に判断してもらうための活動を行います。具体的には,弁護人は直ちに犯罪の被害を把握し,被害者がいる場合は被害者に対し謝罪と損害賠償をすべく示談交渉を行います。示談成立が起訴猶予を獲得するために非常に重要になってきます。また,再犯を防止するための具体的な対策を行って、それを検察官に主張するなどの活動を行います。

いずれにしても,早期に弁護士に依頼して不起訴を獲得するための活動をしてもらうことが重要です。動きが遅れてしまうと,こちらの主張・証拠の提出が検察官の起訴・不起訴の判断までに間に合わない可能性が出てきてしまいます。

 

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