静岡県静岡市葵区で歩行者が交通事故で立件?
静岡県静岡市葵区在住の会社員Aさんは、夜遅くにビールで晩酌をしていましたが、飲み足りないと思い、自宅近くのコンビニにビールを買いに行こうとしたところ、夜なので信号無視しても問題ないだろうと考え、歩行者用信号が赤であるにも関わらず漫然と歩道を横断していたところ、通りかかったバイクと衝突してしまいました。
事故の大きな音に気付いた近隣住人が警察に通報しましたが、Aさんは体を複雑骨折する重傷を負い、バイクに乗っていたVさんは体を激しく打って即死していました。
交通事故現場を検証した静岡県警静岡中央警察署によれば、事故の原因はAさんが歩行者信号を無視して横断歩道を渡ろうとしたことにあると見て、Aさんを過失傷害罪または重過失致傷罪の疑いで捜査を進めています。
(※令和元年6月3日の共同通信社の記事を元に、事実の一部を変更したフィクションです。弊所で受任した事案ではありません。)
上記刑事事件例は、交差点で信号を無視して横断していたところ、青信号で進入してきたバイクと衝突してバイク運転手を転倒させて死亡させたとして、今年6月3日、静岡中央警察署が信号無視して歩道を横断した男性を重過失致死罪の疑いで書類送検した事案をモデルにしています。
刑事事件の分野では、通常は交通弱者である歩行者が、交通事故に関する過失致死罪、重過失致死罪で立件されるのは非常に珍しいケースと言えるでしょう。
具体的な被疑事実は、平成31年1月16日午後11時45分ごろ、静岡市葵区昭和町の交差点において、被疑者は歩行者用信号が赤であるにも関わらず横断し、青信号で走行してきた同市葵区の男性会社員のバイクと衝突し、バイクの男性を転倒させ、死亡させたとの疑いです。
この事故で、被疑者も首の骨を折る重傷を負ったようです。
なお、バイクの男性も、過失傷害罪の疑いで被疑者死亡のまま書類送検されています。
一般に、人が日常生活を送る上で、故意ではないにせよ過失により人を負傷させてしまうことはしばしば起こり得ることであり、刑法で処罰規定が定められています。
まず、過失により人を傷害した場合、30万円以下の罰金または科料が科せられます(刑法第209条、過失傷害罪)。
また、過失により人を死亡させた場合、50万円以下の罰金が科せられます(刑法第210条、過失致死罪)。
さらに、業務上必要な注意を怠り、あるいは、重大な過失により人を死傷させた場合、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科されます(刑法第211条、業務上過失致死傷罪、重過失致死傷罪)。
例えば、人が自転車に乗っていて、自転車の操作を過って他人にぶつけてしまい負傷させてしまった場合では、多くの場合は、真摯に謝罪したり、若干の謝罪金等を支払うことによって、当事者間の話し合い(示談)で刑事事件化せずに済むことが多いでしょう。
しかし、被害者が死亡した場合や、傷害の程度があまりに甚大な場合は、被害者が被害届を出したり、警察の介入により捜査が開始することになる可能性が高まります。
上記事案では、バイクを運転していた被害者が死亡したという事案の重大性に加え、被疑者が歩行者として遵守すべき信号を無視したという点の過失の重大さも考慮されて立件に至ったと考えられ、被疑事実を認めるのであれば、被害者遺族に対する謝罪や見舞金等の対応で反省の意を示し、効果的な情状主張を行う刑事弁護活動を行うことが有効だと考えられます。
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