静岡県焼津市で未成年者を連れまわして誘拐罪で逮捕
SNSで未成年者と知り合い、未成年者を連れまわすことによって生じる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
<刑事事件例1>
静岡県在住の会社員Aさん(46歳)は、SNSを通じて静岡県で家出先を探している静岡県焼津市在住の未成年女子Vと知り合い、Vを車で連れまわしたり、自宅に2日間宿泊させるなどしました。
Vの母親が静岡県警焼津警察署に娘が家出して戻ってこないと相談し、警察がVの行方を捜していたところ、Vを車で連れまわしているAを発見し、任意の事情聴取を求めたところAはVを連れまわす事実を認めたため、警察はAを未成年者誘拐罪の疑いで逮捕しました。
その後、Aは10日間の勾留が決定し、さらに10日間の勾留延長が決定しました。
<刑事事件例2>
静岡県焼津市で一人暮らしの大学生Aさん(20歳)は、SNSを通じて静岡県で家出先を探している未成年女子Vと知り合い、Vを車で連れまわしたり、自宅に2日間宿泊させるなどしました。
Vの母親が静岡県警焼津警察署に娘が家出して戻ってこないと相談し、警察がVの行方を捜していたところ、Vを車で連れまわしているAを発見し、任意の事情聴取を求めたところAはVを連れまわす事実を認めたため、警察はAを未成年者誘拐罪の疑いで逮捕しました。
その後、Aは親もとでの監督などを理由に勾留請求が却下され、警察署から釈放された後、在宅の捜査が続けられています。
(※上記いずれもフィクションです)
上記刑事事件例は、今年12月2日、SNSを通じて知り合った北海道胆振地方の女子高校生(17歳)を誘拐したとして愛知県名古屋市の男性(20歳)が未成年者誘拐罪の疑いで現行犯逮捕された事件をモデルにしています。
この未成年者誘拐罪の刑事事件について、今年12月23日、札幌地方検察庁は、被疑者男性を不起訴処分としました。
その理由として、札幌地検は、被疑者および被害者ともに若年で歳が近く、2人の関係を考慮し、起訴猶予(不起訴)としたとみられています。
【SNSでつながる家出未成年者の誘拐】
刑法224条は、未成年者を略取または誘拐した者に対して、3月以上7年以下の懲役を科しています。
後者の誘拐を行う罪を、一般に「未成年者誘拐罪」と言います。
未成年者は一般的に思慮が浅慮であるため、成人に対する他の誘拐罪は営利等目的が必要であるところ、未成年者誘拐罪においては営利等要件を必要としておらず、未成年者に対する法的保護を厚くしています。
「誘拐」とは、虚偽の事実をもって相手方を錯誤に陥れる場合のほか、その程度に至らない甘言をもって相手方の判断を誤らせることも含みます(判例)。
上記のように、未成年者の家出を助けるためにドライブに連れまわしたり、住居を提供する場合、一見して、被害者である未成年者の同意があるのだから「誘拐」には該当しないのではないかと思われます。
しかし、判例によれば、未成年者誘拐罪の保護法益は、被害者である未成年者の自由のみならず、両親や後見人等の監護者・監督者の権利も含むとしているため、たとえ未成年者の合意の上での家出を手助けした場合でも、監護権者等に対する権利侵害として未成年者誘拐罪が成立する可能性があります。
昨今、SNSで知り合った未成年者に対する未成年者誘拐罪が目立っておりますが、未成年者誘拐罪の刑事事件では、被疑者による身勝手な未成年者の連れまわし等のケースであれば、被害者の保護者の処罰感情が極めて大きくなることが多いですが、未成年者の家庭でのトラブルや家出に至った経緯等によっては、刑事処罰までを求めることはしないとの示談が成立する可能性も残されています。
このような未成年者誘拐罪の刑事事件では、刑事事件の示談交渉に長けた刑事事件弁護士に弁護を依頼することを強くお勧め致します。
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