静岡県静岡市でパワハラから刑事事件に発展
パワーハラスメント(パワハラ)の被害者が捜査機関に対して被害届や刑事告訴を行った場合に生じうる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
<事件例>
静岡県静岡市清水区在住の会社員Aさんは、営業部長という立場から、部下に対して暴力行為や部下の人格を否定するような言葉を投げる等の指導を行っており、特に厳しく指導されたVさんは、まもなく会社を辞職すると同時に、Aさんに対して民事上の損害賠償請求と暴行罪および名誉棄損罪の被害届を出しました。
その後、Aさんは静岡県警清水警察署から連絡を受け、Vさんの被害届に関して取調べを要請されました。
Aさんはまさか部下への指導が刑事事件へ発展するとは思っておらず、弁護士に相談することにしました。
(※フィクションです)
【どんなときパワハラが犯罪になる?】
都道府県労働局に設置された総合労働相談センターに寄せられる相談件数は年々増加しており、この10年間で約3.2倍に増加しています。
また、民事上の個別労働紛争相談件数に占めるハラスメントの割合も、10年前の10.3%から22.8%へ増加しています。
このように、労働環境におけるハラスメントは非常に多くなっていますが、では具体的にどのようなパワハラが犯罪になる可能性があるのかまとめてみましょう。
まず、身体への犯罪として、殴る蹴る等の傷害罪(刑204条)、胸倉を掴む等の暴行罪(刑208条)が挙げられます。
また、パワハラに特有の行為として、上記のような直接的で肉体的な侵害行為でなくても、脅迫的な言動によって相手を追い詰め、精神的な失調を引き起こした場合も傷害罪が成立する可能性があることに注意をしなければなりません。
最高裁判例においても、医学的な診断基準において求められている特徴的な精神症状が継続的に発言した場合、傷害に該当すると判断しています。
また、職場で被害者の社会的評価が下がるような事実を広められること等により名誉棄損罪が成立可能性があります。
さらに、上司からの命令を聞かなければ〇〇するぞ、のように自由や名誉、財産等に対する害悪が告知された場合、脅迫罪(刑222条)が成立する可能性があり、また、自分の社会的立場や財産、権利等を盾に取られて不当な要求をされた場合など、強要罪(刑223条)が成立する可能性があります。
昨今では会社内にもハラスメント相談窓口を設置する会社が増えており、今後もパワハラ等による刑事事件は増加するものと思われます。
静岡県静岡市のパワハラによる刑事事件でお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談または初回接見サービスをご利用ください。