Author Archive

79歳内縁の夫の遺体を放置した疑いで、56歳女性が逮捕

2022-09-02

79歳内縁の夫の遺体を放置した疑いで、56歳女性が逮捕

今回は、静岡市の住宅に内縁の夫の遺体を放置したとして56歳女性が逮捕されたケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

~ケース~

今年4月頃、静岡市で同居していた内縁の78歳男性が死亡したのに遺体を放置したとして、56歳女性が死体遺棄の疑いで逮捕されました。
今月3日に自宅を訪問した市の職員が遺体を見つけて警察に通報し、警察は8日、前記女性を発見して逮捕しました。
警察は詳しい経緯を調べています。(8月9日 テレビ静岡 「内縁の79歳夫の遺体を放置か 56歳女を逮捕 静岡市職員が自宅訪問し発見」より引用)

~死体遺棄の罪について~

近親者の遺体を放置し、死体遺棄の疑いで検挙されるケースがときおりニュースとなります。
近親者の死を受け入れられなかった、何らかの理由で近親者の死亡を関係者に明かせない、など、動機は様々と思われますが、遺体を適切に埋葬等しなければ、死体遺棄の罪に問われることになってしまいます。

~死体遺棄の罪に問われた場合~

死体遺棄罪の法定刑は「三年以下の懲役」(刑法第190条)であり、軽いわけではありませんが、それほど重い罪でもありません(ただし、有罪判決を受け、執行猶予がつかなければ即、実刑判決となります)。
しかし、遺棄された遺体がどうして死亡するに至ったのかについて、詳細な取調べが行われることが予想されます。
状況によっては、死体遺棄で逮捕された方が、遺体を死に至らしめたのではないか、という疑いをかけられる可能性もあります。

もちろん、身に覚えの無いことであれば、きっぱりと否認するべきですが、捜査機関の態度は非常に厳しいものになるかもしれません。

また、死体遺棄罪は葬祭の義務を有する者が死体を放置したのでなければ成立しません。
そのため、死亡の経緯だけでなく死亡した人との関係も厳しく追及される可能性があります。

したがって、無実の罪を負わないためにも、早期に弁護士の接見を受け、今後のアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が死体遺棄の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所本部にご相談ください。

(解決事例)菊川市の傷害事件で不起訴処分を獲得

2022-08-26

(解決事例)菊川市の傷害事件で不起訴処分を獲得

【事案の概要】

菊川市在住のAさんは、学生時代の友人の主宰する懇親会に招待され、そこで知り合ったVさんと意気投合しました。
お互い大量に飲酒していたこともあり、二人とも泥酔状態だったところ、突然VさんがAさんの容姿などを馬鹿にするような発言をしました。
最初は受け流していましたが、あまりにもしつこかったため立腹し、Vさんの顔面を手拳で殴打し、軽いけがを負わせてしまいました。
その後、Aさんは駆けつけた静岡県警察菊川警察署の警察官に傷害の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんのお父様は「今後息子はどうなってしまうのでしょうか。とても不安です。」と相談時お話されました。
(守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【具体的な弁護活動】

Aさんは接見時に、「Vさんに大変申し訳ないことをした。治療費の賠償と謝罪をしたい。」と話していました。
そこで、弁護士がAさんに代わって、Vさんに謝罪しました。
その際に、Vさんは、治療費の支払いは勿論のこと、Aさんからの誠意ある謝罪と、AさんがVさんに二度と接触しないこと及び再犯を決してしないことを約束する書面を交付してほしいと申し出たため、後日治療費の支払いを行い、AさんがVさん宛てに作成した謝罪文と共にVさんに書面を交付しました。
その後、Vさんとの交渉の結果、示談が成立し、Vさんは被害届を取り下げてくれました。
Aさんが検察庁へ送致された後は、検察庁に対し、①事案が比較的軽微であること、②Vさんとの示談が成立し、被害届が取り下げられたこと、③Aさんの両親が身元引受人となってAさんを監督すること、④再犯可能性がないことを主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

被疑者を起訴するか否かの判断は検察官が行います。
その際の判断においては、被害者の方への謝罪や賠償、示談が成立しているか、被疑者を監督する身元引受人がいるか、再犯の可能性がないか、といったことが重要な要素となります。
今回の事案では、AさんがVさんに対して謝罪文を交付し、治療費を支払うことで示談が成立したこと、Aさんのご両親が身元引受人としてAさんの監督をすることを約束したことが不起訴処分に繋がったと考えられます。
また、今回の事案のように、被害者の方から被害届の取下げを頂くことができれば、より不起訴処分となる可能性が高くなります。

被害者の方との示談交渉は、刑事事件に強い弁護士に是非お任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回の事案のような傷害事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

交通違反と名義を偽ること

2022-08-19

交通違反と名義を偽ること

交通違反と名義を偽ることについて、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事案の概要(*フィクションです)】

藤枝市に住むAさんは数年前に免許取り消し処分となりましたが、以降免許を再取得することなく、無免許のまま自家用車を運転していました。
ある日、Aさんは速度超過をしたとして、パトロール中の静岡県警察藤枝警察署の警察官に呼び止められ、供述調書に記載を求められました。
無免許運転が発覚することを恐れたAさんは、供述調書に知人のBさんの名前を記載しました。
数日後、藤枝警察署が供述調書を確認したところ、Aさんと供述調書の名義人が違うことが判明したため、Aさんは道路交通法違反(無免許)と有印私文書偽造罪の疑いで逮捕されました。

【有印私文書偽造罪とは?】

有印私文書偽造罪とは、刑法第159条1項に規定される犯罪です。
行使の目的で他人の印章・署名を使用して権利義務若しくは事実証明に関する文章等を偽造する、又は偽造した他人の印章・署名を使用して文章を偽造することにより成立する犯罪で、「三月以上五年以下の懲役」が罰則規定として定められています。

第百五十九条 
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

同罪の「偽造」とは、文章の作成権限のない者が名義を偽って他人名義の文章を作成し、名義人と作成者の人格の同一性に齟齬(不一致)を生じさせることをいうとされます。

今回のケースでは、Aさんは当然Bさん名義の文章を作成する権限を有していません。
にもかかわらず、Bさん名義で供述調書を作成し、これによって名義人(Bさん)と作成者(Aさん)の人格の同一性に齟齬を生じさせているため、Aさんには有印私文書偽造罪が成立すると考えられます。

【事案の特殊性から示談は難しい】

有印私文書偽造罪は「三月以上五年以下の懲役」と規定され、罰金刑がないため、起訴された場合は必ず正式な裁判となります。
刑事処分の軽減のためには弁護士による示談交渉が一般的ですが、今回のケースでは示談の締結は難しいといえます。

これは、今回の被害者が警察(公的機関)であるためです。
被害者が警察等の公的機関の場合、「国」が被害者であると考えられるため、基本的には示談に応じてくれません。
したがって、示談による不起訴処分の獲得はほとんど見込めません。

【少しでも刑事処分を軽くするためには…】

示談が出来ない場合でも、執行猶予付き判決を求めるなど、実刑を回避するための弁護活動は可能です。
例えば、示談の申入れをしていた書面を残すことにより、誠意ある対応に努めたことや、贖罪寄附をすることが考えられます。
特に今回のケースであれば、無免許運転の発覚を恐れたことを理由に名義人を偽っていますから、自家用車を処分するなど、再び無免許運転をしないことを約束することも重要になるでしょう。
また、情状証人による嘆願などの情状弁護により減刑を求めたり、きちんと反省をしていることを示すことも重要です。

このように、刑事事件に強い弁護士が適切な弁護活動を行うことで、不起訴処分や執行猶予を獲得できる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件が不起訴処分に

2022-08-10

児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件が不起訴処分に

今回は、不起訴処分がなされた淫行事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

今年3月、富士宮市内のホテルで、未成年と知りながら16歳の女子高校生に現金を支払う約束をしてみだらな行為をし、女子高校生の裸をスマートフォンで撮影したとして逮捕、検察に送致された男性が、7月25日付で不起訴処分となりました。
不起訴処分を行った静岡地検浜松支部は、処分の理由を明らかにしていません。(7月26日 静岡朝日テレビ 「16歳女子高生にみだらな行為をした疑いで逮捕の男性教師を不起訴に 理由明らかにせず 静岡地検浜松支部」より引用)

~不起訴処分とは~

事件を起こして警察に検挙されると、原則として検察に送致され、最終的に検察官が起訴・不起訴処分を行います(ごく軽微な事件であるなど、警察において「微罪処分」が行われた場合には検察に送致されることはありません)。
検察官は起訴・不起訴処分のいずれを選択するかにつき、裁量を有しています。

不起訴処分とする理由は20あります(法務省事件事務規程第75条2項各号)。
主なものとしては、
・「起訴猶予処分」(被疑事実が明白であるが訴追を必要としない場合)、
・「嫌疑不十分」(被疑事実につき、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分である場合)、
・「嫌疑なし」(被疑事実につき、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白な場合)
・「心神喪失」(被疑者が犯罪時心神喪失であった場合)
などが挙げられます。

ケースの事件では不起訴処分の理由が明らかではありませんが、不起訴処分がなされた場合には裁判にかけられることがないので、前科がつく、刑罰に処せられるといった事態がなくなります。

児童買春事件についてお困りの方は、まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童買春事件、児童ポルノ禁止法違反事件についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(解決事例)沼津市の軽犯罪法違反事件で不起訴処分を獲得

2022-08-03

(解決事例)沼津市の軽犯罪法違反事件で不起訴処分を獲得

【事案の概要】

沼津市に住むAさん(60代・男性)は、釣りに出かけることが趣味でした。
ある日、Aさんはいつものように沼津市へ釣りに出かけましたが、全く釣れなかったため、以前からよく釣れると噂があった、狩野川河口の鉄柵で囲まれた立ち入り禁止区域に入り、釣りをすることにしました。
しかし、付近をパトロールしていた静岡県警沼津察警察署の警察官に軽犯罪法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは取調べの後即日釈放され、在宅事件として捜査が続けられることになりました。
Aさんは、「家族に申し訳ないことをした。沼津警察署の警察官からは今回の件は書類送検すると聞かされたが、息子の将来に影響が出るようなことだけは避けたい。」と相談時にお話されました。
(*守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【軽犯罪法とは】

軽犯罪法とは、様々な軽微な秩序違反に対して、拘留や科料の刑を定めた法律です。
今回の事案では、Aさんが鉄柵で囲まれた立入禁止区域に正当な理由がないのに侵入してしまったことから、軽犯罪法1条32号に該当するとして、現行犯逮捕されたものと考えられます。

軽犯罪法
第一条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
一~三十一(略)
三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

【弁護活動】

Aさんは今回の件を深く反省しておりました。
そこで、弁護士が検察庁に対して、Aさんの奥様の上申書を提出し、①Aさんについては今後Aさんの奥様が監督していくこと、②今後Aさんが釣りに出かける際には、必ず夫婦一緒に出かけ、釣り場も管理釣場に限定すること、③社会貢献ができる仕事に再就職をすること、などを適切に主張し、寛大な処分を求めました。
その結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

軽犯罪法違反事件で、今回の事案のような違反態様が比較的軽微なものについては、弁護士が本人の反省と今後の指導をしっかりと行うことで、再犯の可能性が無いことや、事案の軽微性・非悪質性を訴えて、検察官に不起訴処分とすることを求めます。
今回の事案でも、弁護士が上申書によって、Aさんの再犯可能性がないこと、奥様が今後しっかりとAさんを監督することなどを適切に主張したことが、不起訴処分に繋がりました。

軽犯罪法違反で逮捕されてしまった、又は今後取調べを受ける予定がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部へご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回の事案のような軽犯罪法違反事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

一時使用と窃盗罪

2022-07-27

一時使用と窃盗罪

一時使用と窃盗について、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要(*フィクションです)】

静岡県牧之原市在住のAさんは、知人宅に徒歩で向かう道中、忘れ物に気付きました。
「このまま歩いて取りに戻れば待ち合わせの時間に遅れてしまう。」と困っていたところ、近くの駐輪場で鍵のかかっていない自転車を発見しました。
Aさんは、後で元の場所に返すつもりで、その自転車を使って急いで家に戻って忘れ物を回収し、そのまま知人宅へ向かいました。
2時間後、自転車を返すために駐輪場に向かったところ、自転車の持ち主であるBさんに鉢合わせました。
Aさんが自分の自転車に乗っていることを不審に思ったBさんが警察に通報し、Aさんは窃盗の疑いで牧之原警察署での取調べを受けることになりました。
Aさんは、警察官に対して、「最初からBさんの自転車を盗むつもりはなかったし、駐輪場に戻ってきたのはBさんの自転車を返すためだった。」と主張しています。

【窃盗罪とは】

窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立する犯罪です。

刑法
第二百三十五条 
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「窃取」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転させることをいいます。
今回のケースでは、返却はしたものの、AさんがBさんに無断で自転車を使用したため、「窃取」があったといえます。
そして、窃盗罪の成立には、同罪の故意(人の財物を窃取することの認識)に加えて、「不法領得の意思」が必要になります。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い利用・処分する意思(利用意思)の2つから構成されています。
今回のケースのような、最初から返却する予定で自転車を使用した場合には、排除意思の有無が問題となります。

【一時使用でも窃盗罪が成立しうる】

先に述べたように、一時使用の場合には、排除意思があったか否かが問題となります。
排除意思の有無の判断は、利用により価値の減少や消耗が生じ、または、その危険性が大きいかどうかにより行います。
例えば、自転車の一時使用といっても数十時間や数日といった比較的長時間にわたる利用の場合には、利用によるタイヤやブレーキの摩耗による価値の減少が生じ、利用中に事故を起こして自転車を損傷させる危険性も大きいといえることから、排除意思が認められます。他方で、数分間の利用にとどまる場合には、価値の減少もほとんどなく、事故による損傷の危険も低いことから、排除意思がないと判断されることがあります。
今回のケースは、利用時間が2時間であるため、利用によるタイヤやブレーキの摩耗による価値の減少や利用中の事故による損傷の危険性は大小どちらともいえず、排除意思が認められるかどうかは微妙なところです。

【困ったら弁護士に相談を】

今回のケースのように、少しの間だけ借りるつもりでも、安易に他人の者を勝手に使用してしまうと、窃盗の罪責を負うことになりかねません。
もし、窃盗の被疑事実で取調べを受けている、またはその予定がある方は、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

報道をもとに刑事事件の略式手続を解説

2022-07-20

報道をもとに刑事事件の略式手続を解説

今回は、報道をもとに、刑事事件の略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

去年11月、市内のパチンコ店駐車場におよそ13リットル分の自分の尿が入ったペットボトルなどを捨てたとして、静岡県富士宮市に住む40代の男性が、7月5日、廃棄物処理法違反の公訴事実により略式起訴されました。
富士簡易裁判所はこれに対し、罰金20万円の略式命令を出しました。(7月5日 静岡朝日テレビ 「自分の尿をペットボトルに入れパチンコ店駐車場に捨てる 46歳の無職の男に罰金20万円の略式命令 静岡・富士簡易裁判所」より引用)

~略式手続とは?~

略式手続とは、書面のみにより審理を行い、略式命令によって100万円以下の罰金又は科料を科す制度です。
略式命令が勾留されている被疑者に告知されれば、勾留状の効力が失われますので(刑事訴訟法第345条)、釈放されることになります。
略式命令を言い渡されたあとは、罰金を納付して事件が終了します。

前述の通り、略式手続では書面のみにより簡易に審理が行われます。
反面、捜査の手続の適法性や、証拠の証明力、被疑者の弁解など、裁判官に伝えたいこと、伝えるべきことがある場合であっても、通常、自身の言い分を裁判官に伝えることができません。
言い分を伝えたい場合、告知を受けた日から14日内に正式裁判の請求をすることが必要です(刑事訴訟法415条1項)。

略式手続が実施された場合には、ほぼ100%、有罪判決がなされ、前科がついてしまうことになります。
犯罪の成立を妨げる言い分がある場合に、略式手続に応じるのは得策ではありません。
略式手続に同意する前に、一度、弁護士と相談することを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
略式手続についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(解決事例)浜松市中区の盗撮事件で不起訴処分を獲得

2022-07-13

(解決事例)浜松市中区の盗撮事件で不起訴処分を獲得

【事件の概要】

磐田市に住むAさんは、所用で浜松駅に行きました。
その際、浜松駅構内にて、女性のVさんがエスカレーターに向かって歩いていくのを見かけました。
そこで、Aさんは、Vさんのあとを追い、エスカレーターに乗って、Vさんの背後から、Vさんのスカート内をスマートフォンで盗撮しました。
ところが、周囲を警戒していた静岡県警浜松中央警察署の私服警察官に目撃され、Aさんはその場で現行犯逮捕されました。
Aさんは、取調べで盗撮に用いたスマートフォンを調べられ、過去にも同様のことを行ったがバレなかったため、今回の犯行に至ったことを自供しましたが、その日限りで釈放され、在宅事件となりました。
Aさんは、「取調べの後に、浜松中央警察署 の警察官から、後日また呼び出して取調べを行うと言われ、今回の件は立件されて前科が付くことになると思うとも言われたため、とても不安です。どうにかして前科を回避することは出来ないでしょうか。」と相談時にお話しされました。
(*守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【盗撮行為は迷惑防止条例違反にあたる】

静岡県では、盗撮行為について、静岡県迷惑行為等防止条例第3条第2項の「卑わいな行為の禁止」にあたるとして、禁止しています。

(卑わいな行為の禁止)
第三条 第二項
何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法により、住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、又は人の身体に向けてはならない。

罰則としては第12条第1号により、「6 月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金」が規定されます。

(罰則)
第十二条
次の各号のいずれかに該当する者は、6 月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処する。
(1) 第三条の規定に違反した者

【弁護活動】

検察官対し、AさんがVさんに直接謝罪したいと考えており、示談交渉を行いたいので、連絡先を教えてほしいと伝えたところ、Vさんから、「Aさんには会いたくない。弁護士であれば直接会ってもよい。」と検察官を通じて連絡がありました。
そこで、弁護士がVさんとの示談交渉を速やかに行い、Aさんが深く反省していることを伝え、①AさんがVさんへの接触を今後一切しないこと、②Aさんが撮影したデータの一切を破棄すること、③示談金の支払いなどを約束し、Vさんとの間で宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結しました。
そして、弁護士が検察官に対し、上記宥恕条項付きの示談が成立している旨を主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

今回の事案のような盗撮事件では、加害者が被害者様に直接謝罪したいと考えていても、被害者様に 拒絶される場合が多いです。
さらに、被害者様と示談をするには被害者様の連絡先等を知ることが不可欠ですが、加害者に連絡先を伝えることに抵抗がある被害者様も多いこと、捜査機関としても加害者が被害者様と接触することで口裏合わせなどの恐れがあり、当事者間での示談交渉は現実的ではないことから、警察や検察庁から被害者様の連絡先等を聞くことができるのは、基本的には弁護士となっています。
不起訴処分を獲得するためには、被害者様との示談締結は極めて重要な弁護活動ですから、今回のAさんのように、「どうにかして前科を回避したい」と考えている場合は、刑事事件に強い弁護士による、被害者様に配慮した適切な示談交渉を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 名古屋本部にご相談ください。

事後強盗致傷罪と万引き

2022-07-06

事後強盗致傷罪と万引き

【事件の概要(6月18日中日新聞掲載の記事を参考にしたフィクションです)】

Aさん(35歳・男性)は、たびたび静岡県菊川市の家電量販店で商品を万引しており、某日、これまでと同様に、同店内の電気ケトルを万引し、店外に出ようとしました。
しかし、連日の万引被害のため警戒にあたっていた警備員(60歳・女性)が、不審な様子のAさんを見つけ、声をかけて制止を求めました。
Aさんは警備員の制止を振り切ろうともみ合いになり、そのまま逃走しましたが、その際に警備員の左膝に軽い怪我を負わせてしまいました。

【万引きは窃盗罪にあたるが…】

万引きは刑法第235条の窃盗罪に該当し、罰則として「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が規定されます。

刑法第235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

しかし、今回のケースのように、万引きが見つかったために逃走しようと暴行などを加えてしまうと、刑法第238条の事後強盗罪となり、強盗罪と同じものとして扱われます。

刑法第238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

さらに、逃走の際に相手に怪我を負わせてしまうと、強盗致傷罪となり、罰則として「無期又は六年以上の懲役」という極めて重いものが規定されています。

刑法第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

【強盗致傷罪は裁判員裁判の対象】

強盗致傷罪は極めて重大な犯罪であり、法定刑に無期懲役が定められています。
そのため、裁判員裁判の対象となる事件となり、厳しい刑事処分が科されるおそれがあります。
今回のケースのように、Aさんが常習的に万引き行為に及んでいたような場合は、その悪質性から実刑判決が下されるおそれもあるでしょう。

【迅速かつ適切な弁護活動が不可欠】

今回のようなケースで、少しでも刑事罰を軽くしたいと希望する場合は、被害者との示談交渉が不可欠です。
示談の内容に、厳しい刑事処罰を求めないという内容の約定を盛り込むことができれば、不起訴処分を獲得できる可能性があります。
また、起訴されたとしても、裁判において、示談の成立や本人の反省、家族等の監視による更生が期待できることなどを適切に主張することで、執行猶予を獲得することも可能です。

類似する裁判例でも、示談の成立や社会内での立ち直りへの期待ができることを適切に主張することで、執行猶予を獲得した例があります(松山地裁平成22年4月28日判決 平成21年(わ)第540号)。
上記裁判例は、万引きをした被告人が、逮捕を免れるため、万引きを発見・追跡してきた女性を含む2人の警備員に対して暴行を加え、両名に傷害を負わせたというものでした。
裁判所は、女性警備員1人に鼻骨骨折の重傷を負わせたことは決して軽くみることはできないとする一方で、示談が成立しており、慰謝料の支払いや被害者に対し謝罪の手紙を何通も送るなど誠実に対応していること、被害者も厳しい刑事処分を望んでいないこと、若年で初犯であるため社会内での立ち直りが期待できることなどから、酌量減軽の上、執行猶予付きの判決を言い渡しました。

このように、事後強盗致傷罪のような、実刑の可能性がある重い犯罪であっても、刑事事件に強い弁護士が適切な弁護活動を行うことで、不起訴や執行猶予を獲得できる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。強盗致傷事件に詳しい弁護士も在籍しております。是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

事後強盗容疑で逮捕された場合の身柄解放

2022-06-29

事後強盗容疑で逮捕された場合の身柄解放

事後強盗容疑で逮捕された場合の身柄解放について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【刑事事件例】

静岡県下田市に住むAさん(男性)は、同市内にあるコンビニで、持参していたバッグに1000円相当の商品を万引きしました。
ところが、店を出る前に、近くにいた女性の客(Vさん)に「万引きしたでしょ」と声を掛けられ、肩に手を掛けられました。
Aさんは、万引きしたことがばれるのを隠そうと、Vさんの髪の毛を引っ張り、Vさんを地面に倒しました。
その後、Aさんはその場面を目撃していた店員に取り押さえられ、静岡県下田警察署に通報をされてしまいました。
結局、Aさんは静岡県下田警察署の警察官により事後強盗罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは何とか速やかに身体拘束を解いてほしいと考えています。
(2021年2月1日に東海テレビに掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【事後強盗罪とは】

刑法238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を逃れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪は、窃盗犯人が、窃盗の機会に、逮捕を逃れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときに成立します。

刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪として、5年以上の有期懲役に処する。

事後強盗罪は「強盗として論じる」とされていますので、事後強盗罪を犯した者には、5年以上の有期懲役が科せられます。

【事後強盗罪の成立要件】

事後強盗罪が成立するための「暴行又は脅迫」とは、相手の反抗を抑圧するに足りる程度のものをいいます。

刑事事件例では、AさんはVさんの髪の毛を引っ張り、地面に倒しています。
静岡県下田警察署の警察官は、Aさんの行為はVさんの反抗を抑圧するに足りる程度の暴行である、すなわち事後強盗罪の「暴行」に当たると考えたのだと思われます。

また、事後強盗罪が成立するためには、上記暴行又は脅迫が、窃盗の機会になされる必要があります。
この事後強盗罪における窃盗の機会とは、窃盗の現場又は窃盗の現場の延長であると考えられています。

刑事事件例において、AさんがVさんに行った暴行は、万引きをした直後になされており、場所もコンビニ内で行われています。
よって、静岡県下田警察署の警察官は、Aさんの暴行は事後強盗罪のいう窃盗の機会になされたといえると考えたのだと思われます。

さらに、事後強盗罪が成立するためには、上述した暴行又は脅迫が、逮捕を逃れ、又は罪跡を隠滅するためになされる必要があります。

刑事事件例では、Aさんは、万引きがばれるのを隠そうと上記のような暴行に及んでいます。
そして、静岡県下田警察署の警察官も、通報した店員や被害者の方の話、駆け付けたときの現場の状況などから、Aさんには事後強盗罪の「逮捕を逃れ、又は罪跡を隠滅する」目的があったと考えたのだと思われます。

以上から、静岡県下田警察署の警察官は、Aさんに事後強盗罪が成立すると考えたのだと思われます。

【事後強盗事件の身柄解放活動】

事後強盗事件は、その事件の重大性から逮捕に引き続く身体拘束である勾留がなされる可能性が高いといえます。
ただし、事後強盗事件といっても、その「暴行又は脅迫」の程度が大きいものから小さいものまで存在するなど、事後強盗事件を取り巻く事情は様々です。
例えば、窃盗犯人が刃物を使って捕まえに来た被害者の方を脅迫したという事案や、捕まえに来た被害者の方を押してしまった事案など、一口に事後強盗事件といっても様々な犯罪行為態様が存在するのです。

そこで、刑事弁護士は、被疑者の方から事後強盗事件の具体的な話を伺い、その事件の内容を踏まえて身柄解放活動の方針を決定します。
被疑者の方から伺った事後強盗事件の具体的な事情によっては、刑事弁護士により、被疑者の勾留がされないよう検察官や裁判官に訴えていくことができる可能性があります。

もし起訴前の身柄解放が難しくても、起訴後の段階では、保釈の請求をすることができると考えられます。
起訴後の保釈を目指す場合であっても、身元引受人となる方や事後強盗事件の被告人の方から話を伺うために、早い段階から保釈に向けた準備をすることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
事後強盗罪を犯した方の刑事弁護活動を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
事後強盗事件で逮捕された場合の身柄解放でお困りの場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部までご相談ください。

« Older Entries Newer Entries »

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー