Archive for the ‘刑事事件’ Category

(架空の事例で検討)静岡県富士宮市にて強盗未遂の疑いで未成年の少年が逮捕された事件について

2025-01-14

強盗未遂の疑いで未成年の少年が逮捕

強盗未遂の疑いで少年が逮捕されてしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

静岡県富士宮市内のショッピングモールで発生した強盗未遂事件で、富士宮警察署は近隣に住む未成年の少年を逮捕しました。
警察によると、少年はモール内の店舗で働く従業員に対し、刃物のようなものを見せながら現金を要求。
しかし、従業員が冷静に対応し応じなかったため、何も奪わずにその場から逃走したとされています。
防犯カメラの映像をもとに捜査を進めた警察は、市内で映像に特徴が一致する少年を発見したことから逮捕に至った模様です
(本事例はフィクションです。)。

〜強盗未遂事件と刑法236条・243条〜

刑法236条1項は、「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取した者」を強盗罪として処罰の対象とし、同条2項では「財産上の利益を得」る行為についても同様に強盗罪を適用すると定めています。
本件では、被疑者が刃物らしきものを提示しつつ金銭を要求した行為が、(財産を奪う意図を伴った)「暴行または脅迫」に該当します。
もっとも本件では、「財物」の「強取」には至らなかったことから、未遂犯に関する刑法243条が適用されることになります。
同条は「第236条⋯⋯の罪の未遂は、罰する。」と規定しているため、被疑者の行為は強盗未遂罪として処理されることになると考えられます。
強盗罪は非常に重大な犯罪と位置付けられており、既遂であれば上述の刑法236条に基づき、原則として「5年以上の有期懲役」となります。
一方、未遂罪の場合には、その刑罰が一定程度減軽される可能性がある(刑法43条参照)ものの、重大性に鑑みて厳重な処分が下されることが通例であるため、安易な見通しを持つことは危険であり、一刻も早い弁護士への相談が重要であると言えます。

〜強盗事件における弁護活動〜 

まず、刑事事件を起こしたとして逮捕されてしまった場合、最大72時間(3日間)の身体拘束がされることになります。
特に強盗事件では、勾留というより長期の身体拘束処分がなされることが通常であり、上記最大3日間の逮捕による身体拘束と勾留による最大20日間の身体拘束を合わせて(原則として)最長23日間もの期間にわたって身体拘束が続く可能性があります。
このような長期間を社会から隔絶されるリスクは、精神的な負担だけでなく、仕事等といった社会生活がままならなくなるという社会生活上のリスクが極めて大きいことは言うまでもありません。
したがって、身体拘束期間の短縮などを含め、逮捕後の早期段階から刑事事件に長けた弁護士による弁護活動を受けることがこれらのリスクを最小化するためにも重要となってくるのです。
また、本件のように被疑者が未成年であった場合、少年法の適用により少年の更生を重視した通常の刑事事件とは異なる手続きに服すことになることから、専門性の高い弁護士に依頼する重要性はより高まることになるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件をはじめとする刑事事件や少年事件に特化した専門的な法律事務所です。
強盗事件でご家族等(未成年者含む)が逮捕されてしまった方は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)まで直ちにお問い合わせください。

(架空の事例で検討)静岡県磐田市にて借金の担保としてパソコンを窃取した事件について

2024-11-26

静岡県磐田市の借金の弁済の担保と窃盗罪

静岡県磐田市の借金の弁済の担保と窃盗罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。 

 

【刑事事件例】

AさんはVさんに30万円を貸しており、返済を迫っていました。
しかしVさんがなかなか返済をしないため、Aさんは業を煮やし静岡県磐田市にあるVさんのマンションに忍び込み「金を返すまでパソコンは預かる」と机の上に書置きし、Vさんのパソコンを持ち帰って自宅の物置にしまっておきました。
その後Vさんは静岡県磐田警察署に被害届を出したため、Aさんは静岡県磐田警察署で窃盗罪と住居侵入罪で話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

【借金の弁済の担保としてパソコンを盗む行為について】

AさんはVさんのパソコンを売り払おうとか自分で使おうと思っていたわけではありません。
借金の弁済の担保として自宅で保管していたのですが、窃盗罪にあたるのでしょうか。

【売り払ったり自分で使おうとしなくても窃盗罪になるのか】

窃盗罪の条文は

他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。(刑法第235条)
となっております。

・窃盗罪の意味
他人が占有する財物を窃取する行為は、窃盗罪となります。
・窃盗罪の保護法益
事実上の占有権が窃盗罪の保護法益とされています。
・窃盗罪の故意について
窃盗罪が成立するためには、

①他人の占有を排除し、財物を自己または第三者の占有に移す意思

②不法領得の意思が必要です。
「不法領得の意思」とは、他人の物を経済的用法に従い自分の物のように利用または処分する意思のことで、その物を利用する意思は一時的なものでも構いません。
※「経済的用法」とは、その物の本来の用法に従って利用することです。(例:自転車ならば、乗って利用する)

「他人の占有を排除する(侵害する)」行為は、それをどのような目的によって行っているかによって成立する罪名が違います。
・不法領得の意思をもって他人の占有を侵害する→窃盗罪
・隠匿・廃棄の意思のみで他人の占有を侵害する→器物損壊罪
となります。

【住居侵入罪について】

住居侵入罪の条文は

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。(刑法第130条)

つまり、他人の家(住居)又はマンションやアパートなどの共同住宅に無断で侵入した場合は住居侵入罪に問われますということです。
※借金の弁済の担保を手に入れるため、というのは正当な理由にはなりません。

【刑事事件例について】

Aさんは自己の直接的な利益(借金の弁済の担保とすること)のために、Vさん(所有者)の意思に反して占有を侵害する意思があり、それは不法領得の意思と同一とされますので、Aさんには窃盗罪と、Vさん宅に正当な理由もなく侵入したので住居侵入罪が成立する可能性が高いと思われます。

【Aさんに対する弁護活動について】

いくら借金を返してもらえないからといって、人の家に忍び込んで勝手に担保として金品を持っていくのは窃盗罪と住居侵入罪にあたります。
Aさんはまず、弁護士を通じて被害者Vさんへの被害弁償及び示談交渉を行うことが大切になるでしょう。

窃盗罪、住居侵入罪の被害届が提出される前に、被害者に対して被害を弁償して示談を成立させることができれば、警察未介入のまま事件を解決できる可能性があります。
窃盗罪、住居侵入罪としてすでに警察が介入している場合であっても、被害者との間で被害弁償及び示談を成立させることで、逮捕や勾留を回避して早期に職場復帰や社会復帰の可能性を高めることができます。

窃盗罪は被害金額が大きくなく同じような前科がなければ、被害者との示談成立により起訴猶予による不起訴処分を目指すことも可能です。
起訴猶予による不起訴処分は前科とはなりません。

ぜひ早期に、刑事事件に強い弁護士に相談をしてください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗罪や住居侵入罪に詳しい弁護士も在籍しております。
ご家族やご自身が窃盗罪や住居侵入罪で話を聞かれることになった、逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(架空の事例で検討)静岡県静岡市にて電車内で痴漢行為が見つかった場合の対応について

2024-11-09

静岡市駿河区の痴漢事件  

静岡市駿河区の痴漢事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が架空の事例をもとに解説します。

【事例】

AさんはJR東海道本線で毎朝JR藤枝駅からJR静岡駅まで通勤しています。
ある朝、AさんはJR焼津駅を発車したあたりで満員電車の中で前に立つVさんのお尻を触りたくなり、Vさんが満員電車内で抵抗できないことをいいことに、スカートの上からお尻をなでました。
するとAさんは、Vさんの隣にいたBさんに手をつかまれ次のJR安部川駅で降ろされ、その後Aさんはかけつけた静岡県静岡南警察署の警察官に引き渡されました。
(フィクションです)

【痴漢は何罪になりますか?】

静岡県迷惑行為防止条例違反、もしくは不同意わいせつ罪となります。

【痴漢における静岡県迷惑行為防止条例違反と不同意わいせつ罪の境目】

静岡県迷惑行為防止条例になるのか、不同意わいせつ罪になるのかの区別は、触った場所や触り方の執拗さや程度によって判断されることになります。
つまり、被害者の陰部に触れる行為は、一般的に不同意わいせつ罪に当てはまることになりますが、(ただし、厚手の着衣の上から触るにとどまる場合は静岡県迷惑行為防止条例違反を適用することが多いです。)被害者の臀部(お尻)に触れる行為は、その触り方や執拗さや程度によることとなります。
着衣の上や下着の上から臀部をなでる行為は、一般的に、その接触の程度からわいせつ行為には至っておらず、静岡県迷惑行為防止条例違反となる傾向がありますが、下着の中に手を入れ直接臀部をなでる行為は一般的に、その接触の程度などからわいせつ行為となる傾向があります。
ただし、服の上から触る行為であっても、無理矢理抱きついたり胸部(胸)や臀部を無理矢理揉む行為は不同意わいせつ罪に問われることが多くなります。
 

【事例について】 

AさんはVさんのスカートの上からそのお尻をなでており、わいせつの程度には至っていません。
よってAさんは静岡県迷惑行為防止条例違反の罪責を問われる可能性が高いと思われます。

【Aさんの弁護活動について】

痴漢行為をしていない時は、すぐ弁護士を呼んでください
痴漢行為をしていないにもかかわらず、痴漢事件の容疑をかけられて逮捕されたり、警察署に呼ばれて捜査されてしまった場合は、すぐに弁護士を呼んで下さい。
冤罪を防ぐために、あいち刑事事件総合法律事務所では、逮捕後すぐに逮捕された本人のもとへ接見に向かい、嘘の自白をしないよう取調べについての対応をアドバイスします。
また目撃者や客観的な証拠を探し出すことで、被害者や目撃者の供述が信用できないことを主張していきます。

起訴前でも起訴後でも被害者と示談をします
実際に痴漢行為をしていた場合でも、起訴前に示談をすることにより、不起訴処分になり前科がつかなくなる場合があります。
さらに、示談をすることで釈放の可能性も高まりますので、示談によって早期の職場や学校への復帰・社会復帰を図ることもできます。
起訴前でも起訴後でも、被害者の処罰感情や被害弁償と示談の有無などが処分に大きく影響することになるので、弁護士を介して納得のいく示談をすることが重要となります。

逮捕された時は、できるだけ早急に弁護士と面会しましょう
痴漢事件で逮捕されたとしても、適切な取調べ対応と弁護活動によって早く留置場から出る可能性が高まります。
痴漢事件で逮捕された方が早く留置場から出るためには、逮捕された後に勾留されないことが大切です。
勾留されないようにするためには、逮捕後の早い段階で弁護士と面会して取り調べへの対応を話し合い、身元引受人(ご家族など)の協力を得ることが大切です。
さらに弁護士から検察官や裁判官に対して、本人の反省と二度と痴漢をしない旨を主張し、釈放してもらうよう働きかけます。

 

まずは弁護士に相談を

このように、刑事事件に強い弁護士、示談交渉に強い弁護士に早期に相談をすることがとても大切です。 
ご自身やご家族が痴漢事件で話を聞かれることになったり逮捕されてしまった方は、ぜひ刑事事件や示談交渉に強い弁護士に早急にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
示談交渉や適切な主張や立証を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
痴漢事件でご自身やご家族が話を聞かれることになった、逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

(架空の事例で検討)静岡県富士市にて酒気帯び運転で検挙された、その後の行動について

2024-10-26

酒気帯び運転で贖罪寄付


酒気帯び運転で贖罪寄付をする場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事案例】

Aさんは静岡県富士市で飲酒後運転をしていましたが、運転する前にAさんは「少しお酒を飲んだけど、自分はお酒に強いから運転しても大丈夫だ。普通に歩けるし、話せるから何も問題はないだろう。」と思っていました。
しかしコンビニ前で静岡県富士警察署の警察官が飲酒運転の検問を行っており、酒の匂いがしたAさんを不審に思った警察官がAさんに飲酒検知を行ったところ、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.20mg検出されました。
Aさんは酒気帯び運転、道路交通法違反の疑いで警察署で話をきかれることになりました。
(フィクションです)

【飲酒運転はどのような犯罪になりますか】

「飲んだら乗らない」という言葉の通り、飲酒後に車両を運転することは犯罪となります。
道路交通法では、飲酒運転を大きく分けて「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」としています。
それぞれについて見ていきましょう。

【酒気帯び運転】

何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。(道路交通法第65条第1項)

次の各号のいずれかに該当する者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
第65条第1項(酒気帯び運転等の禁止)の規定に違反して車両等(軽車両を除く。次号において同じ。)を運転した者で、その運転をした場合において身体に政令で定める程度以上にアルコールを保有する状態にあったもの(道路交通法第117条の2の2)

とあります。
酒気帯び運転は、一定濃度のアルコールを帯びた状態で自動車等を運転する犯罪です。
一定濃度とは、体内のアルコール濃度が
①血中1ml中0.3mg以上
②呼気1L中0.15mg以上
の状態で運転することをいいます(道路交通法第117条の2の2第3号)。

これはアルコールに強い体質、弱い体質ということは関係なく、この濃度のアルコールを体内に保有している状態で運転すれば酒気帯び運転が成立します。

【酒酔い運転】

何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。(道路交通法第65条第1項)

次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第65条第1項(酒気帯び運転等の禁止)の規定に違反して車両等を運転した者で、その運転をした場合において酒に酔った状態(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態をいう。以下同じ。)にあったもの(道路交通法第117条の2)

とあります。
酒酔い運転は、酒に酔った状態、すなわち、アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で運転する犯罪です。
酒酔い運転は体内アルコール濃度の数値は関係ありません。
酒気帯び運転の基準の体内アルコール濃度に達していなくても、正常な運転ができないおそれがある状態で運転すれば酒酔い運転が成立します。

【事案例について】

Aさんは酒に強いことを自負しており、実際に歩行や話すことには問題がありませんでした。
しかし酒気帯び運転は、正常に運転できないか否かにかかわらず、体内に一定濃度以上のアルコールを保有していれば成立します。
よって、Aさんは道路交通法違反(酒気帯び運転)で検挙されることになりました。

【弁護活動について】

酒気帯び運転、酒酔い運転にかかわらず、身柄を拘束された場合(逮捕された・勾留されたなど)は、身柄の早期解放に向けた弁護活動を行っていきます。
人身事故を伴う場合は、被害者との示談を行っていきますが、今回のように人身事故を伴わない場合は被害者がいないため示談ができません。
その場合は、改悛の真情を表すための「贖罪寄付」を行うこともあります。
贖罪寄付とは、事件を起こした方が反省の思いを形にするために、弁護士会や慈善団体などに寄付をして公益活動に役立ててもらうことです。
事件への反省を込めてなされる贖罪寄付は、裁判所により情状の資料として評価されています。
贖罪寄付の手続きにつきましては、刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の道路交通法違反や酒気帯び運転、酒酔い運転、道路交通法違反への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族やご自身が道路交通法違反や酒気帯び運転、酒酔い運転、道路交通法違反で話を聞かれることになった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

 

(架空の事例で検討)静岡県熱海市のホテルで浴衣を不法領得してしまった。その後どうなる?

2024-10-14

(架空の事例で検討)静岡県熱海市のホテルで浴衣を不法領得してしまった。その後どうなる?

静岡で刑事事件・加害者弁護

窃盗罪と詐欺罪の境界について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは静岡県熱海市のホテルに宿泊した際、ホテルに備え付けてある浴衣が欲しくなり、従業員のVさんに「部屋に浴衣が無いので一つください。」と声を掛けました。
Vさんはホテルで働き始めてまだ3日目の、接客等の機械的な仕事に従事しているアルバイト従業員で、Aさんの言葉を信じて手に持っていた浴衣を渡しました。
AさんはVさんから受け取った浴衣をカバンに入れ持ち帰りました。
後日Aさんは静岡県熱海警察署の警察官に、窃盗罪の疑いで話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

【窃盗罪か詐欺罪か】

AさんはVさんを欺いて(だまして)浴衣を領得しました。
欺く行為があるから詐欺罪では?と思われるかもしれませんので、窃盗罪と詐欺罪を比較してみましょう。
 
窃盗罪
他人が占有する財物を窃取する行為は、窃盗罪を構成します。
事実上の占有権が窃盗罪の保護法益です。
窃盗の手段として暴行・脅迫によることなく、占有者の意思に反してその占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことです。

詐欺罪
詐欺罪の要件として、①欺く行為がある②錯誤に陥る③財産的処分行為がある④財物の交付があることが必要で、これには一連の因果関係が必要です。
財産的処分行為とは、財物を処分できる権限を有する者が、財物を交付することです。
 
窃盗の手段に欺く行為がある場合は、詐欺罪の要件を充足する場合には詐欺罪が成立し、詐欺罪が成立しない場合は窃盗罪が成立します。

【関係判例】

旅館の宿泊客に浴衣等を提供する行為は、その物を交付した従業員に処分意思がないことから、交付を受けた浴衣等を領得した場合は、窃盗罪が成立する(最高裁判所昭和31年1月19日判決)。
という判例があります。

【窃盗罪における弁護活動】

窃盗罪においては弁護士を通じて、被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことがとても大切です。
被害届が提出される前に被害者に対して被害弁償をして示談を成立させることができれば、警察が入ることなく前科をつけずに事件を解決できる可能性があります。
窃盗事件としてすでに警察が取り扱っている場合であっても、被害者との間で被害弁償及び示談を成立させることで、逮捕や勾留により留置場へ入る可能性を下げることができます。
被害金額が大きくなく窃盗など同じような事件の前科がなければ、示談の成立により起訴猶予による不起訴処分になり、前科がつかないように目指すことも可能です。
起訴され裁判になった場合でも、被害弁償及び示談を成立させていれば執行猶予付き判決の可能性を高めることが出来ます。
窃盗罪に限らず、刑事事件において加害者本人が示談交渉を行うことはほぼ不可能ですが、弁護士が加害者に代わって示談交渉を行えば示談が円滑にまとめられる可能性が高くなります。
ぜひ早急に、刑事事件に強い弁護士への相談をおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の窃盗事件の弁護を行ってきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご自身やご家族が窃盗の罪に問われてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(架空の事例で検討)静岡県袋井市にてインターネット上での誹謗中傷をして侮辱事件に発展

2024-09-25

インターネットで誹謗中傷をして侮辱事件に  

インターネットで誹謗中傷をして侮辱事件に発展したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】
Aさんは、誰でも見ることができるインターネットの掲示板に「Vはクズな男だ、あんな奴なんで生きてるんだろう。」などとVさんの実名を挙げて書き込みをしました。
数週間後、Vさんが居住する静岡県袋井市を管轄する袋井警察署の警察官がAさんの自宅を訪ね、Aさんは侮辱罪で袋井警察署で話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

【インターネットで他人を誹謗中傷することについて】
インターネット社会が発展するに伴い、他人を誹謗中傷する内容がインターネットの掲示板やSNSに書き込まれることが増加しています。
インターネットで不特定または多数人が閲覧できる場合、名誉棄損罪か侮辱罪が成立する可能性があります。
名誉棄損罪と侮辱罪では次に述べますとおり、法定刑に大きな違いがあります。
 
【名誉棄損罪】
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金に処する。(刑法第230条第1項)
死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。(刑法第230条第2項)

【侮辱罪】
事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。(刑法第231条)

【名誉棄損罪と侮辱罪の共通事項】
1 人の名誉
 「人」とは、行為者以外の自然人、法人、その他の団体をいい、「名誉」とは、外部的名誉、すなわち、人の価値に対する社会的評価をいいます。
 人の倫理的価値(品性)、政治的・学問的・芸術的能力、容貌、健康、身分、家柄など社会において価値があるとされるものが含まれますが、人の経済的な支払い能力に対する評価(信用)は、信用棄損罪の対象となります。
2 公然
 不特定または多数人の認識しうる状態をいい、「不特定」とは相手方が特殊な関係によって限定されたものでないことをいい、摘示の相手方は特定かつ少数であっても、伝播して間接的に不特定多数人が認識できるようになる場合も含まれます。
3 名誉棄損罪、侮辱罪とも親告罪です。

【名誉棄損罪と侮辱罪の違い】
1 事実の摘示について
 名誉棄損罪は、「事実を摘示して、人の名誉を毀損する」ことで、人の社会的評価を低下させる恐れのある具体的事実を指摘、表示することをいい、単なる価値判断や評価は含まれません。
 また、摘示される事実は、その真否を問わないし、公知の事実でもよく、また事実を摘示する方法に制限はなく、口頭、文書、写真(わいせつな写真と顔写真の合成)などがあります。
 「名誉を毀損する」とは、人の社会的評価を低下させる恐れのある状態を作ることをいい、現実に社会的地位が傷つけられたことは必要ではありません。
 侮辱罪は、「事実を摘示しなくても、人を侮辱する」ことで、具体的事実を摘示することなく、人の社会的評価を低下させるような抽象的判断、批判を表現することをいいます。
 表現補法に制限はなく、口頭、文書、動作などによってもかまいません。
2 故意
 名誉棄損罪は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損することの認識・認容が必要です。
 侮辱罪は、事実を摘示することなく、公然と人を侮辱することの認識・認容が必要です。
3 違法性の阻却
 名誉棄損罪にのみ規定があり、

 ①摘示事実が公共の利害に関する事実であること(事実の公共性)

 ②その目的がもっぱら公益を図るためであること(目的の公益性)

 ③摘示事実が真実であることの証明があったこと(事実の真実性)の場合に違法性は阻却されます。

【刑事事件例について】
Aさんは誰でも見ることができるインターネットの掲示板に(=公然)、「Vはクズな男だ」と具体的な事実ではなく、抽象的な評価を示して、Vさんの社会的評価を低下させ得る内容の書き込みをしています(=事実を摘示することなく侮辱)。
よって、Aさんには侮辱罪が成立すると思われます。

【Aさんに対する弁護活動】
インターネットにおける誹謗中傷に関する犯罪は、名誉棄損罪であれ侮辱罪であれ、被害者が存在します。
よって、被害者との示談交渉が大変重要になってきます。
示談交渉とは、当事者同士で話し合って解決を模索することですが、加害者本人が示談交渉をすることはほぼ不可能ですし、ほぼ弁護士にしかできません。
被害者が刑事告訴を考えていた時、示談交渉をして刑事告訴をしないように働きかけることもできます。
名誉毀損罪や侮辱罪は上記のとおり親告罪ですので、示談交渉の前に被害者が刑事告訴をしていた場合でも告訴を取り下げてもらうことができれば不起訴になります。
 
ご自身やご家族がインターネットで誹謗中傷の書き込みをしてしまい心配だという方は、ぜひ刑事事件に強い弁護士にお早めにご相談ください。
 
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
示談交渉を行った経験のある刑事弁護士も多数在籍しております。
インターネットで誹謗中傷の書き込みをしてしまい不安だという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

(架空の事例で検討)静岡県浜松市にて事後強盗で逮捕されてしまったらその罰則は?

2024-09-18

(架空の事例で検討)静岡県浜松市にて事後強盗で逮捕されてしまったらその罰則は?

静岡県浜松市の事後強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】
静岡県浜松市に住むAさんは、アパートで独り暮らしをしています。
Aさんは生活が困窮しており、毎日の食事にも困っています。
ある日の深夜、Aさんは近所のコンビニエンスストアに入りおにぎり2個を持って来た手提げかばんの中に入れ、盗むつもりでそのままコンビニエンスストアを出ました。
Aさんの様子を見ていたコンビニエンスストア店員のVさんは、慌ててAさんを追いかけてAさんの肩に手をかけて「おにぎりをかばんの中にいれて、お金は払っていませんよね?事務所に一緒に来てお話しを聞かせてください。」と言いました。
Aさんは「事務所に一緒に行けば逮捕されてしまう。」と考え、Vさんに対し護身用で普段から携帯していた果物ナイフを突きつけ、Vさんが震えて座り込んだ隙をついて走って逃げました。
Aさんがコンビニエンスストアから逃走して数十秒後、パトロール中の浜松中央警察署の警察官が息をきらせて走るAさんを発見し不審に思ったためAさんに職務質問をしました。
Aさんは「ごめんなさい、つい先ほどすぐそこのコンビニエンスストアでおにぎりを万引きしました。」と警察官に話しました。
そこにVさんも走ってきて、「お巡りさん、私はその人が万引きをしたコンビニエンスストアの店員です。その人が万引きをした後逃げるときに私はナイフを突きつけられました。怪我はしていませんが、とても怖かったです。」と警察官に話しました。
Aさんは浜松中央警察署の警察官により事後強盗の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

【事後強盗罪とは】
事後強盗といった犯罪は、どのような犯罪でしょうか。

事後強盗罪については、刑法238条が以下のように規定しています。

刑法238条

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪の「窃盗」とは
窃盗行為(ものを盗む行為)を行った者

を指します。

事後強盗罪は窃盗犯人しか犯すことができません。

つまり窃盗の犯人が盗んだ物を取り返されないようにするためや、逮捕されないため、犯罪の証拠となる痕跡を隠すために、暴行や脅迫をすることで成立します。

事後強盗罪も強盗として処罰される以上、要求される暴行・脅迫の程度は、強盗罪と同様で、相手の反抗を抑圧する程度のものである必要があります。

ここで刑事事件例をみてみましょう。
Aさんはおにぎり2個を盗みました(万引きをしました)。窃盗行為を行った者ですので「窃盗」にあたります。
Aさんは逮捕されたくないと思い、Vさんに対しナイフを突きつけ恐怖で追いかけられないようにしたので「逮捕を免れ」るために「暴行をした」ことにあたります。

以上により、Aさんには事後強盗罪が成立すると思われますが、窃盗行為と暴行・脅迫の関係や程度により別の罪に抵触することもあります。
事件の詳細な事情を専門的に細かく検討することも必要になることがありますので、まずは刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めいたします。

刑事事件に特化した弁護士

ご家族が事後強盗罪で逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や、初回接見サービスのご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

(架空の事例で検討)静岡県藤枝市にて酒酔い運転で逮捕されてしまったらその罰則は?

2024-09-09

(架空の事例で検討)静岡県藤枝市にて酒酔い運転で逮捕されてしまったらその罰則は?

静岡県藤枝市の酒酔い運転事件について、架空の事例に基づいて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

会社員のAさんはある夜、缶ビール数本と日本酒コップ数杯飲んだ後、自分の車を運転して近くのスーパーに向かいました。
数分後、蛇行運転をしているAさんの車両を発見した藤枝警察署の警察官がAさんの車を停止させました。
Aさんは呂律が全く回らず、まっすぐに歩くこともできませんでした。
警察官がAさんに呼気検査をしたところ、呼気1リットル当たり0.37mgのアルコールが検出されました。
Aさんは酒酔い運転の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

【飲酒運転について】

飲酒運転については2007年の道路交通法改正により、酒気帯び運転、酒酔い運転共に罰則が強化されて厳罰化されるとともに、飲酒運転を容認・助長することになる車両提供者・酒類提供者・同乗者についても罰則が定められて処罰範囲が拡大されました。
飲酒運転は2種類あります。

①酒気帯び運転
呼気中アルコール濃度が1リットルあたり0.15mg以上含まれる状態で運転することです。

②酒酔い運転
アルコール濃度の検知値には関係なく、酒に酔った状態で運転が困難だと思われる状態で運転をすることを指します。
直線上を歩いてふらつかないか、視覚が健全に働いているか、など運動や平衡感覚機能が麻痺していないか、また、言動などから認知能力の低下がないかなどが判断されます。
アルコール濃度が0.15mg未満でも体質によっては酒酔い運転に該当することもあり得ます。

【罰則について】

①酒気帯び運転
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金

②酒酔い運転
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金

上記の罰則については検問や職務質問で検挙された場合であり、飲酒運転で死傷事故を起こした場合は更に厳しい刑罰が科されます。

【酒酔い運転で逮捕されてしまった時は】

Aさんは逮捕され、さらに勾留が決定されると長期間警察署の留置場にいることになります。
留置場にいる間は会社に行くことができませんので、会社に酒酔い運転をして逮捕されたことがわかってしまう可能性があります。
逮捕されてしまった場合、まず弁護士は身体解放に向けて活動していきます。
しかし身体解放されてもそれで事件が終わるわけではありません。
先に述べた罰則のうち、懲役刑になるのか、罰金刑になるのか、さらに執行猶予が付くのか罰金はいくらくらいになるのか、それとも起訴猶予になるのかとても不安だと思います。
事件の流れや、処分の見通しについては弁護士に相談するようにするのがよいでしょう。

 

刑事事件に特化した弁護士

ご家族が酒酔い運転で逮捕されてお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や、初回接見サービスのご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

(事例紹介)窃盗被害を受けたとうその通報をして警察の業務を妨害したとして静岡県内の男性を逮捕

2024-02-21

(事例紹介)窃盗被害を受けたとうその通報をして警察の業務を妨害したとして静岡県内の男性を逮捕

静岡で窃盗・強盗・詐欺で逮捕されたら

窃盗被害を受けたとうその通報をして警察の業務を妨害したとして静岡県内の男性が逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

「荷物をひったくられた」などとうその通報をし、警察の業務を妨害したとして、静岡県磐田市の自称会社役員の男が逮捕されました。
男は、警察に対し「荷物をひったくられた」という趣旨のうその通報をし、警察官の業務を妨害した疑いが持たれています。
男から通報を受けた後、警察は窃盗事件として30~40人ほどの警察官を動員しました。
しかし、被害状況や犯人の特徴などの質問に対する男の回答が二転三転してたことから問い詰めると、虚偽通報を認めたということです。
(静岡朝日テレビ「「荷物をひったくられた」とうその通報をして警察の業務を妨害したとして自称会社役員の男を逮捕」(2024/1/22)を引用・参照。

~虚偽通報による業務妨害〜

(信用毀損及び業務妨害)
第233条 (虚偽の風説を流布し、又は)偽計を用いて、人の(信用を毀損し、又はその)業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

本件では、厳密な罪名は報道されていないものの、被疑者(逮捕された男性)が「荷物をひったくられた」などと虚偽の通報をした疑いを持たれていることから、偽計業務妨害罪(上記刑法233条)での逮捕に至ったものと考えられます。
偽計業務妨害罪を含む業務妨害罪は、刑法の「第2編」「第35章 信用及び業務に対する罪」に定めが置かれており、基本的には人の社会的自由等の個人的法益の保護を目的とする規定と考えられています。
そこで、上記の233条にいう「業務」に、本件のように警察という公的機関の職員が行う職務行為(公務)も含まれるか解釈上争いがあります。
この点に関し、判例・実務は、強制力を行使する権力的公務の除いて公務もまた「業務」に含まれると解しています。
本件では、被疑者の虚偽通報により30~40人ほどの警察官が動員されており、これによって警察官が本来行うはずだった公務(これには実力行使等を伴うわない権力的公務や非権力的公務が含まれると考えるのが通常でしょう)が妨害されているといえ、「偽計」による業務妨害が成立するものと考えられます。

〜業務妨害事件における刑事弁護活動〜

逮捕後には原則として被疑者は検察に送致され(検察官送致・刑事訴訟法203条1項)、検察官がより長期間の身体拘束である勾留請求をするかどうかを決めます(204条1項)。
早期に依頼を受けた弁護士であれば、(この勾留請求をしないように働きかけることも重要ですが)勾留決定をする裁判官に対し、勾留の要件を満たさないとして勾留却下を求める活動を行うことが可能です。
すなわち、刑訴法が定める住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、勾留の必要性のそれぞれの要件(207条1項、60条・87条1項参照)を満たさないことを具体的に主張していくことになります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務妨害事件も含めた刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
上記のように逮捕後の早い段階での弁護活動が身体拘束の有無に与える影響は小さくありません。
業務妨害事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間/365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

キャッシュカードを他人に渡す・売る行為で問題となる罪-静岡県御殿場市での架空の事例を想定、口座が作れなくない

2024-02-07

キャッシュカードを他人に渡す・売る行為で問題となる罪-静岡県御殿場市での架空の事例を想定、口座が作れなくない

着手金0円から 明確な報酬体系

キャッシュカードを他人に渡す行為は、それ自体が犯罪となり、刑事罰が科される可能性があることはもとより銀行口座が凍結され新規で開設できなくなるというデメリットが生じます。
また、その先には新たな特殊詐欺の被害者を生んでしまうという現実も待ち受けています。
キャッシュカードを他人に渡す行為の問題点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討します。

【ケース】

静岡県御殿場市在住のAさんは、御殿場市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは生活苦に陥り、SNS上で金を稼ぐ方法を探していたところ、キャッシュカードを1万円/枚で売るという投稿を見つけました。
Aさんは投稿主とやりとりをして、使っていないキャッシュカード2枚を指定された先に郵送し、対価として2万円を受け取りました。

後日、Aさんのもとに銀行から郵便物が届き、すぐに連絡するよう指示がありました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【キャッシュカードを売る・渡す行為】

銀行口座を他人に譲り渡す行為は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称、犯収法)に違反します。
条文は以下のとおりです。

犯収法28条1項 他人になりすまして…預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報…を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
同2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。(略)

キャッシュカードは、たとえ使用していない口座であっても、他人に渡したり売ったりといった行為は禁止されています。

【不正に入手されたキャッシュカードは何に使われている?】

Aさんのように、キャッシュカードを他人に渡してしまった場合、不正に取得したキャッシュカードは特殊詐欺に使用されている可能性があります。
特殊詐欺は、その手口によって異なりますが、AさんのキャッシュカードをX口座とすると

・アダルトサイトの利用料などと称してX口座に送金をさせる
・指示役が受け子と呼ばれる犯人に現金を受け取りに行かせ、それをX口座に振り込ませ、指示役が引き出す
・捜査をかく乱させるべく、複数の口座で入出金を繰り返し、その過程でX口座が使われる

など、様々なかたちで不正に利用されていることが考えられます。
仮に特殊詐欺に使用された場合、その先には被害者がいて、多額の被害を被っているおそれがあります。

【キャッシュカードを売る・渡す行為のあとに生じる問題】

キャッシュカードを不正に売る・渡す行為(実際にはそれを疑われる行為)に銀行が気付いた場合、その銀行口座は凍結されます。
のみならず、同じ人が作成した別の銀行口座も凍結されることになります。
その後、当分の間は銀行口座を新規に開設することができません。

恐らく多くの方は、日々給与の受け渡しやクレジットカードの引き落とし、取引などに銀行口座を使っておられると思います。
銀行口座が凍結され、新規の口座開設ができなくなってしまうと、仕事ができなくなる等の不利益が生じる可能性が極めて高くなります。

安易にキャッシュカードを売る・渡すといった行為は絶対にやめましょう。

【弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の紹介】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、これまでに数多くの犯罪収益移転防止法違反でのご相談が寄せられています。
捜査機関は、特殊詐欺グループとの関係性などを疑うこともあり、厳しい取調べが行われることも考えられます。
弁護士としては、違法・不適切な取調べが行われていないか、取調べ前後の打合せで確認し、必要に応じて捜査機関に対して意見・抗議する必要があります。
また、他人にキャッシュカードを売る・渡すことを目的として銀行口座を開設していた場合、詐欺罪に問われますので、余罪捜査の可能性などについても検討する必要があります。

静岡県御殿場市にて、キャッシュカードを売る・譲り渡すなどの行為で捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合、初回接見サービス(有料)をご利用ください。

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