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(架空の事例で検討)静岡県県御前崎市にて公務執行妨害の疑いで少年らが逮捕された事件について

2025-07-31

(事例で解説)公務執行妨害の疑いで静岡県御前崎市の少年らが逮捕

公務執行妨害の疑いで少年らが逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

静岡県御前崎市の少年2人が公務執行妨害の容疑で逮捕されました。
捜査関係者によると、2人は菊川警察署浜岡交番の前方窓ガラスに向かって汚泥入りポリ袋を投げつけるなどしたうえ、その様子をスマートフォンで撮影していた疑いが持たれています。
当時交番の中では、警察官が業務に従事しており、被害を受けた職員は一時作業を中断せざるを得なくなったとのことです。
調べに対し2人は「SNSでふざけて目立ちたかった」などと容疑を認めているということです。
(本件はフィクションです)

~交番に対する迷惑行為〜

(公務執行妨害及び職務強要)
第95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。

警察官が常駐し24時間体制で地域警戒に当たる交番に向けて汚泥入りポリ袋を投げ付けた本件行為は、一見いたずらでも、刑法95条1項の「暴行」に該当し得る行為と考えられます。
通説的見解は、刑法95条1項にいう「暴行」を公務員に向けられた有形力の行使であれば足りると解しており、公務員の身体に対して直接加えられる必要はありません。
本件における汚泥入りポリ袋を投げつける行為は、公務員たる警察官に直接加えられたものではありませんが、交番という建造物に対するものであって建造物内にいる警察官に向けられたものである以上、「暴行」要件を満たします。
交番には勤務中の警察官がいた事実、庁舎管理等も含め職務執行の最中であった事実が確認されれば「公務員が職務を執行するに当たり」の要件も満たすと考えられます。
少年らは交番を狙ってポリ袋を投げつけており、公務執行妨害の故意に欠けるところもないことから、結論としては公務員の職務を妨害したとして本罪の成立が認められる可能性が高いでしょう。
なお、2人は示し合わせて行為に及んでいると考えられ、共同正犯(刑法60条)として問議される可能性が高いことにも注意を要します。 

〜少年事件における弁護活動〜

本件は少年2人が起こした事件であり、少年法の適用対象となる少年事件ということになります。
少年事件は通常の刑事事件とは異なり家庭裁判所に送致されることになるため、特にそれ以後の手続において通常の事件とは様相を異にします。
もっとも捜査段階においても、逮捕後において勾留に代わる観護措置を採ることができたり(少年法43条参照)、勾留の要件が加重されたり(同法48条1項)するなど留意すべき点は少なくありません。
したがって、逮捕後の早い段階から少年事件に明るい専門性の高い弁護士による弁護を受けることが少年に対する不利益を最小化することになるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
お子様等が公務執行妨害で逮捕されてしまった方は、通話料無料のフリーダイヤル(0120-631-881)に今すぐお問い合わせ下さい。

(架空の事例で検討)静岡市葵区のバスターミナルにて運行会社の職員に対し恐喝未遂の容疑で逮捕された事件について

2025-07-24

(事例で解説)恐喝の疑いで静岡市葵区の男性が逮捕

静岡県内の刑事・少年事件

恐喝の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

静岡市葵区のバスターミナルで、運行会社の職員に対し「返金しろ」「金を返さなければ殺す」などと申し向け、運賃の返金を要求したとして男性が恐喝未遂の疑いで逮捕された。
静岡中央警察によると、男性は市内にある高速バスのターミナルで、乗車予定だった便に遅れたことを理由に、職員の顔に唾を吐くなどして運賃の返金を求めた疑いが持たれている
(本件はフィクションです。)。

~恐喝罪の成立について〜

(恐喝)
第249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の拘禁刑に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

本件では、逮捕された男性はバスに乗車できなかったことは自己の過失にもかかわらず、バス会社のスタッフに対し正当な返金義務のない運賃を返還させようとしています。
乗車券の購入により運賃は既にバス会社の財産となっており、利用客に返金請求権が残存しない運賃規定が一般的である以上、男性が返金を求める行為は被害者側の「財物」の取得を狙いとした行為であると捉えることが可能です。
したがって、本件の対象は249条1項の「財物」に当たり、2項の「財産上の……利益」(典型的には債権)には該当しないものと考えられます。
次に、被疑者は「金を返さなければ殺す」などと生命に対する害悪を示し、さらに唾を吐きつけるという身体に対する軽い暴行まで加えています。
これらの行為は被害者に相当程度の畏怖を生じさせるに足り、「恐喝」の手段である脅迫・暴行要件を充足します。
もっとも、暴行の程度は相手から財物を強取する強盗(刑法236条)と評価するほど強烈ではなく、実際にたとえばカウンター越しに金員を奪い取ろうとしたわけでもないため、あくまで「恐喝」に該当するにとどまると考えるのが相当でしょう。
実際には返金に応じてもらえず、現実に財物の移転も生じていないから犯罪は未遂にとどまり、本件行為には恐喝未遂(刑法249条1項・250条)が成立し得るということになります。
 

〜刑事事件における逮捕後の弁護士の役割〜

本件のように逮捕されれば、当然ですが帰宅することができなくなります。
逮捕が想定されているようなケースであれば、一定の事前準備(弁護士の準備なども含まれるでしょう)が可能ですが、そのようなケースばかりではありません。
予期せぬ形で家族等が逮捕されてしまった場合、まず何にも増して重要となるのが弁護士による接見(弁護士を派遣して被疑者と面会すること)です。
逮捕されしまった方は、弁護士の到着によってようやく自らの権利・利益を擁護する立場の人間と話すことができます。
弁護士による接見を端緒として、家族とのコンタクト等を含め被疑者の事実上・法律上の不利益を最小限にするための活動が可能となるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件などの財産犯を含めた刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
恐喝の疑いで逮捕されてしまった方のご家族やご知人は、365日/24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

(架空の事例で検討)静岡県伊豆市にて住居に火を付け全焼させたとして現住建造物等放火の容疑で逮捕された事件について

2025-07-08

現住建造物等放火の疑いで静岡県伊豆市の男性が逮捕

現住建造物等放火の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

静岡県伊豆市に住む男性が、自らの住居に火を付け全焼させたとして現住建造物等放火の容疑で逮捕されました。
逮捕された男性は警察の取り調べに対し、動機については同居者との口論の末に感情的になったためと話しており、事実関係を認める供述をしています。
(本件はフィクションです。)。

~自宅への放火行為と現住建造物等放火罪〜

(現住建造物等放火)
第108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の拘禁刑に処する。

刑法108条が掲げる(放火の対象たる)客体は、「現に人が住居に使用」している「建造物」か、そうではないが「現に人がいる建造物」のいずれかです。
自己所有の家屋に放火した場合でも、通常日常生活の場として使われているか(=現住性)、あるいは放火時に人が建造物内に存在しているか(=現在性)で判断されるにすぎず、放火の対象が自宅であるという所有関係そのものは要件充足性の判断に一切影響を与えません(この点が109条や110条と異なります)。
したがって、仮に放火時に同居者が外出中で無人であっても、住宅が生活の本拠として継続的に使用されている限り現住建造物性が肯定され、犯人が居住権者であること等も問題となりません。
ただし、(例えば転居が完了するなどして)生活の拠点でなくなった空き家を焼けば、現住性は失われているため108条は適用されず、109条の非現住建造物等放火罪が成立するにとどまることになります。
次に、放火の結果として「焼損」の成否は、火が媒介物を離れて目的物が独立に燃焼を継続しうる状態になったか否かで判断されるところ、本件では自宅が全焼している以上、この要件を満たすことは明白です。
そして犯意についても、逮捕された男性は犯行を自認しており故意に欠けるところはないと考えられることから、本件行為について刑法108条の罪(現住建造物放火)が成立することに大きな争いはないでしょう。
 

〜起訴の可能性が高い事案における弁護活動〜

被疑者(起訴後は被告人)が犯罪自体を自認している本件のようなケースでも、被疑者(被告人)の利益を最大化するための弁護活動の重要性は変わりません。
特に犯行を認めているケースでは、更生環境の調整や真摯な反省、被害者対応などの情状弁護と呼ばれる活動が弁護活動の柱となるでしょう。
環境調整にあたっては他分野の専門家(医者や社会福祉士等)との連携が必要不可欠であり、これらの専門家とのネットワークを有している経験豊富な弁護士を選ぶメリットは大きいものと考えられます。
また本件のように被害者と既に関係性がある場合、その対応は被害者が他人である場合とは自ずと変わらざるを得ないことから、個々の事案の特性に応じた弁護活動を行うことのできる弁護士に依頼する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、放火事件を含めた刑事事件を専門的に取り扱っている弁護士のみが所属する法律事務所です。
現住建造物等放火の疑いで逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

(架空の事例で検討)静岡県三島市にて商品を盗み、呼び止めた警備員を転倒させたことで強盗致傷の疑いで逮捕された事件について

2025-06-28

(事例で解説)強盗致傷の疑いで静岡県三島市の男性が逮捕

強盗致傷の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

静岡県三島警察署は、強盗致傷の容疑で静岡県三島市に住む男性を逮捕した。
逮捕された男性は、三島市のスーパーマーケットで商品を盗み、その後店外へ出てその場を去ろうとしたところを呼び止めた警備員を振り払い転倒させたことで軽傷を負わせた疑いがもたれている
(本件はフィクションです)。

~強盗致傷の成立について〜

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(事後強盗)
第238条 窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
(強盗致死傷)
第240条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処……する。

まず、被疑者の男性がレジを経ずに店外へ持ち出した商品は店舗の占有下にある「他人の財物」であり、これを自己の支配下に移した時点で窃盗罪(刑法235条)が成立することになります。
次に窃盗直後に追跡してきた警備員が声を掛け制止しようとした際、被疑者は逃走を容易にする目的で警備員を押し転倒させており、この点についてどのような犯罪が成立し得るかを検討する必要があります。
この点、警備員に対する「暴行」の時点は「窃盗」と時間的・場所的に連続し、逃走という形で「財物を得てこれを取り返されることを防ぎ」又は「逮捕を免れ」ることを目的とする点で、刑法238条の事後強盗罪に該当することになります。
さらに、上記暴行により被疑者を呼び止めた警備員が傷害を負っており、成立する犯罪は事後強盗に留まりません。
強盗行為と傷害結果との間に因果関係があり、強盗の故意さえあれば傷害についての故意は不要とする実務・通説に照らせば、本件は刑法240条前段の強盗致傷罪が成立し得るのです。
したがって、被疑者の行為は最終的には強盗致傷罪によって評価され、窃盗罪および事後強盗罪は致傷罪に吸収されることになります。
 

〜強盗致傷事件の刑事弁護活動〜

本件で何よりも重要なことは、窃盗罪や(事後)強盗罪とは異なり、強盗致傷事件は裁判員裁判対象事件となってしまうことです。
裁判員法によると、無期刑を科すことができる犯罪が対象となる事件は(原則として)裁判員裁判によって裁かれることになります(同法2条1項1号)。
裁判員裁判では、プロの法律家である裁判官以外にも裁判員として選ばれた一市民が(法解釈は行わないものの)事実認定に関わることになり、その他の手続でも通常の刑事裁判とは異なる点が少なくありません。
したがって、実際に当該罪名で起訴される前の段階から、刑事事件の手続に明るい専門性を有した弁護士のサポートを受けることが通常の事件以上に重要性を帯びることになるのです。
 
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗致傷事件等を含む刑事事件を専門として取り扱っている法律事務所です。
強盗致傷事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。

(架空の事例で検討)静岡県掛川市にて反則切符に自身の氏名ではなく、友人の名前を記載した文書偽造の事件について

2025-06-21

文書偽造の疑いで静岡県掛川市の男性が刑事事件の被疑者(容疑者)に

静岡・浜松 刑事事件・少年事件に特化した弁護士が一から対応

文書偽造の疑いで男性が刑事事件の被疑者(容疑者)になってしまった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

静岡県掛川市で自動車を運転していた男性が、交通トラブルを起こしたとして、警察に停止を求められました。
その際、男性は別件で道路交通法に違反した事実を隠すため、「免許は家に置いてきた」と虚偽の説明を行い、さらに反則切符には自身の氏名ではなく、友人の名前等を記載し提出したことで、文書を偽造した疑いがかけられています。
(本件はフィクションです。)。

【公文書偽造か私文書偽造か】

(私文書偽造等)
第159条 行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、3月以上5年以下の懲役に処する。
2(以下略)

本件で問題となる「交通反則切符」(反則告知書)のうち、違反者が自ら氏名等を記入し、指印を押して警察官に提出する部分は、公務員作成の公文書ではなく、違反者自身が作成名義人となる私文書であると解されています。
そして、その内容は交通違反という法令違反事実を証明するとともに、反則金納付義務の発生を前提づける点で「権利、義務若しくは事実証明に関する文書」に当たると言えることから、この部分については(公文書偽造を規律する刑法155条ではなく)刑法159条1項の保護対象文書ということになります。
被疑者は自分の違反事実を隠蔽する目的で、名義欄に友人の氏名を記入し(すなわち「他人の署名を使用」し)、しかもその文書を即時に警察官へ提出しているから、「行使の目的」の要件を満たします。
「偽造」とは、作成名義人と実際の作成者との人格の同一性を偽ることを言います(最高裁昭和59年2月17日判決参照)。
本件では、作成名義人が被疑者の友人であるのに対して、実際の作成者(作成人)は被疑者であるので、作成名義人と実際の作成者との人格の同一性にそごが生じているため「偽造」に当たります。
以上より、本件被疑者の行為には刑法159条1項の有印私文書偽造罪(および作成直後の提出行為により161条1項の同行使罪)が成立するものと考えられます。 

【在宅事件における弁護活動】

典型的な刑事事件として想起されるのは、報道等により毎日のように見聞きする逮捕を伴う事件(いわゆる身柄事件)です。
しかし、実際には刑事事件の多くは逮捕等の身体拘束を伴わない在宅事件として処理されています。
在宅事件では、警察等の捜査機関の呼び出しを受け適宜取調べに対応していくという形で事件が進展していくため、弁護士のアドバイスを仰ぎつつ適切な取調べ対応をすることが不可欠です。
また、現状身柄が拘束されていないからといって、今後一切逮捕等の身体拘束処分がなされないとも限らないことから、こういったリスクについても最小化していく措置が必要となるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、文書偽造事件も含む刑事事件全般を専門に取り扱っている法律事務所です。
刑事事件の被疑者(容疑者)になってしまった方は、通話料無料のフリーダイヤル(0120-631-881 24時間いつでも対応可)までお問い合わせ下さい。

(架空の事例で検討)静岡県藤枝市のガソリンスタンドにおいて前の客が取り忘れた現金を横領した男性を逮捕した事件について

2025-06-11

(事例で解説)横領の疑いで静岡県藤枝市の男性が逮捕

静岡県内の刑事・少年事件

横領の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

静岡県藤枝市のガソリンスタンドにおいて前の客が取り忘れた現金を横領したとして男性が静岡県藤枝警察に逮捕されました
(本件はフィクションです。)。

【(遺失物)横領の成立について】

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(遺失物等横領)
第254条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

まず、上記の刑法235条の窃盗罪が成立するためには、「他人の財物」が他人の占有下にあることが必要となります。
本件では前客はガソリンスタンド店をすでに離れているため、被疑者の男性がガソリンスタンドから現金を取り去った時点では現金は前の利用客の所有物ではあるものの、誰の事実上の支配(占有)にも服していないという状態にあると考えられます。
つまり、店側も置き忘れられた現金を現実に把握・管理するには至っておらず、店側への占有の移転も認められないものと考えられるのです(仮に店側の占有が認められれば店を被害者とする窃盗罪が成立)。
したがって、被疑者が持ち去ったのは「他人の(占有する)財物を窃取した」という窃盗罪の構成要件には当たらず、235条の成立要件を満たしません。
一方で刑法254条は、遺失物・漂流物その他「占有を離れた他人の物」を横領した場合を処罰する旨規定しています。
占有を離脱した物には、落とし物だけでなく誤って置き忘れられた釣り銭等も含まれると解されており、本件現金が「占有を離れた他人の物」に当たることは明らかでしょう。
254条の「横領」も(252条1項の場合と同じく)不法領得の意思を実現する行為を指し、今回のように現金を持ってガソリンスタンドから立ち去れば(原則として)これに該当します。
以上より、本件被疑者の行為には刑法235条は(他人)占有の要件を欠いて成立せず、刑法254条(遺失物等横領罪)が成立するという結論になります。
 

【逮捕後の刑事弁護士による弁護活動】

(逮捕後勾留という身体拘束処分に切り替わるまでの間)逮捕されてしまった人は、基本的に取り調べを行う警察官等の捜査側の人間以外とはコンタクトを採ることができなくなります。
その唯一の例外となるのが、法曹資格を有する弁護士です(刑事訴訟法39条1項参照)。
逮捕等の身体拘束処分がされている場合、刑事弁護活動は必ず上記法律に基づく弁護士による面会によって始まると言っても過言ではありません。
しかし、弁護士であれば誰でも良いというわけではなく、迅速かつ適切な弁護活動を可能とするためには、できるだけ早い段階で刑事専門の弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領事件も含む刑事事件全般を専門に取り扱っている法律事務所です。
刑事事件を専門とする弁護士による逮捕後の迅速な面会が365日可能な体制を整えています。
横領事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、通話料無料のフリーダイヤル(0120-631-881 24時間いつでも対応可)まで、今すぐお電話ください。

(架空の事例で検討)静岡県袋井市にて役所に電話をかけ職員を脅迫した男性を逮捕された事件について

2025-05-28

(事例紹介)脅迫の疑いで静岡県袋井市の男性が逮捕

静岡県内の刑事・少年事件

脅迫の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

警察によると、袋井市の役所に電話をかけ「お前の仕事場に爆弾をしかける」などと対応した職員を脅迫した男性を逮捕した。
現在のところ、役所から爆弾等は発見されていない。
警察の取調べに対し、男性は「脅迫するつもりはなかった」と容疑を否認している
(本件はフィクションです。)。

【脅迫罪の成否について】

(脅迫)
第222条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
2(略)

まず、刑法222条1項が要求する「生命・身体等に対する害悪の告知」に当たるかを検討すると、爆弾は爆発すれば人の生命・身体に重大な危険を及ぼすものであることは明らかであることから、この発言は同項にいう「害悪の告知」といえます。
次に、「脅迫」といえるかどうか即ち一般人を畏怖させるに足りる程度かという点につき、爆発物を用いた加害予告は、その危険性の性質上、場所や時間の限定がなくても通常人であれば容易に恐怖心を抱くものであり、「脅迫」の要件を満たすことも明らかでしょう。
さらに、故意(刑法38条1項本文)の有無を検討すると、逮捕された被疑者は少なくとも電話で上記発言をする意思を有し、その結果として相手方が害悪を示唆された状態に置かれることを認識していたものと認められます。
したがって、被疑者が取調べにおいて「脅迫するつもりはなかった」と供述しているとしても、発言内容・態様からみて客観的に畏怖を惹起する危険を自覚し得たことは明らかであり、このような弁解によって故意が否定される余地は乏しく、脅迫罪の成立が認められるものと考えられます。

【業務妨害罪の成立の余地】

(偽計業務妨害)
第233条 ……偽計を用いて、人の……業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(威力業務妨害)
第234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

本件のような犯行予告型の事案で注意を要するのが、別途業務妨害罪が成立する可能性が高いということです。
本件の爆破予告は、害悪の内容は爆弾による爆発という強度の「威力」であるから、欺罔手段を要件とする偽計業務妨害(刑法233条)ではなく、威力業務妨害(234条)が問題となると思われます。
「人の業務を妨害した」とは、判例上現実の妨害結果の発生は不要であり、本件のような爆破予告であれば十分業務を妨害するに足りる行為があることになり得るのです。
そして、刑法54条1項前段は「1個の行為が2個以上の罪名に触れるとき」は観念的競合として扱い、「最も重い刑により処断する」と定めています。
この場合、法定刑が「2年以下の懲役または30万円以下の罰金」である脅迫罪ではなく、より重い法定刑である「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」を定める威力業務妨害罪の刑を基準として処罰がなされる可能性があることに注意を要します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、脅迫事件等を含む刑事事件を専門的に取り扱う法律事務所です。
逮捕されてしまった場合、弁護士にのみ認められた特権である接見(交通権)による早期の面会が何よりも重要となります。
脅迫・業務妨害事件でご家族等が逮捕されてしまった方は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで、今すぐお電話下さい。

(架空の事例で検討)静岡県浜松市にて会社内で、経営者の財布から現金を盗んだ女性が逮捕された事件について

2025-05-22

(事例紹介)窃盗の疑いで静岡県浜松市の女性が逮捕

静岡県内の刑事・少年事件

窃盗の疑いで女性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

窃盗の疑いで静岡県浜松市の女性が逮捕された。
容疑は、同市内の女性が勤務する会社内で、経営者の財布から現金を盗んだ疑い。
警察の調べに対し逮捕された女性は「金がほしかったわけではない。上司に嫌がらせをしたかった。」と供述しているという
(本件はフィクションです。)。

【窃盗罪と不法領得の意思】

刑法235条は「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」とし、最も典型的な財産犯である窃盗罪を規定しています。
本件で主として問題となるのは、被疑者が「金がほしかったわけではない。上司に嫌がらせをしたかった」と供述している点から、窃盗罪の書かれざる構成要件である「不法領得の意思」、特にその中でも「利用処分意思」が認められるかどうかという点です。
不法領得の意思とは、権利者を排除し他人の物を自己の物として経済的用法に従い利用・処分する意思を指します。
本件において、被疑者の女性は「金がほしかったわけではない」と供述していることから、財物の経済的価値を享受する意思(目的)がなかったという可能性もあります。
その場合には、不法領得の意思という犯罪成立要件を欠くことになるため、少なくとも窃盗罪の成立は否定されることになります。
しかしながら、被疑者は奪取した現金を廃棄等はしていない(現在も利用可能な形で保管している)と考えられることから、利用処分意思は併存あるいは潜在的に存在していたと評価する余地も十分にあります。
したがって、被害者の物を「嫌がらせ」という目的のもとに奪取したとしても実際には廃棄を行なっていない場合などには、(占有取得時において)権利者を排除し他人の物を自己の物のように利用・処分する意思があったとみることができ、不法領得の意思が認定される可能性があります。
そのような場合には、なお刑法235条が規定する窃盗罪の成立が認められることになります。

【逮捕後における弁護活動の重要性】

本件では窃盗罪の成立を争う余地がありますが、いずれにせよ逮捕という身体拘束処分がされてしまっている以上、この事態に対処する必要があります。
特に注意するべきことは逮捕後には、勾留という比較的長期間(原則10日、最大20日)の身体拘束がなされるおそれがあることです。
したがって、そもそも勾留のような身体拘束処分がされないようにするためにも、逮捕段階という早期から弁護活動を行うことに大きなメリットがあると言えます。
勾留阻止のための弁護活動は、逮捕期間(最大72時間であるが実際にはこれより短いことがほとんど)という短期間に迅速に対応することが不可欠であり、迅速であるばかりではなく専門性と経験に基づく必要十分なものであることが肝要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件を専門としている弁護士が多数所属する法律事務所です。
刑事事件を専門とする弁護士による弁護活動をお客様のニーズに合わせてご提供いたします。
窃盗事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、365日/24時間対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。

(架空の事例で検討)静岡県牧之原市にて恐喝の疑いで男性が逮捕された事件について

2025-05-14

恐喝の疑いで静岡県牧之原市の男性らが逮捕

恐喝の疑いで男性らが逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

インターネットで知り合った被害者を脅し、現金を交付させたとして、未成年者を含む男性らが静岡県牧之原警察の警察官に逮捕されました。
逮捕された男性らは、SNS上で知り合った被害者に対し「未成年に何をしようとしているのか。捕まってもいいのか。」などと脅し、現金を交付させた疑いがもたれています。
(本事例はフィクションです。)。

~本事例と恐喝罪(刑法249条1項)の成立〜

【恐喝】

第249条 人を恐喝して財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

本条にいう「恐喝」とは、暴行または脅迫によって相手方を反抗を抑圧するに至らない程度に畏怖させ、それによって財物を交付させる行為を指します。
本事例では、加害者らは被害者に対して「未成年に対して何をしようとしているのか。捕まってもいいのか。」といった言葉で脅し、現金を交付させたとされています。
この加害者らの発言は、被害者に対して社会的・法律的な不利益を与えることを示唆するものであり、例えば「違法なことがわかっているのか」との発言は、被害者が法的責任(特に刑事責任)を問われることを恐れる状況を作り出しており、「恐喝」に該当すると考えられます。
さらに、恐喝罪の成立には恐喝行為と財物交付の間に因果関係が認められる必要がありますが、本事例では、被害者は加害者らの恐喝を受けて現金を交付しており、因果関係が認められるものといえます。
以上から本事例では、被害者がSNS上で知り合った加害者らに脅迫され現金を交付したという事実が認められるため、恐喝罪(249条1項)が成立する可能性が高いといえるでしょう。

〜恐喝事件における弁護活動の必要性〜

恐喝罪などにより逮捕された場合、まず警察署などに留置され、原則として48時間以内に検察官に送致されます。
そして身柄を受け取った検察官は24時間以内に勾留請求するか否かを判断し、最終的に裁判官が勾留の要否を決定します。
勾留が認められた場合、20日間(10日+延長10日)の身柄拘束が可能となり、上記の勾留前の身柄拘束期間と合わせると最大23日もの間(起訴前の)身体拘束が続く可能性があります。
また勘違いされることが少なくないですが、逮捕段階では保釈制度は適用はなく、保釈が可能となるのはあくまで起訴後であることに注意が必要です。
したがって、逮捕後の初期段階において迅速な釈放が可能かどうかなど専門性の高い弁護士に相談することによって、適切な弁護活動を早期に開始することが重要となります。
なお、本事例のように被疑者に未成年者が含まれる場合、少年法の適用対象として20歳以上の者とは異なる刑事手続に服することにも留意する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件を含む刑事事件を専門としている弁護士が所属する法律事務所です。
恐喝事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。

(架空の事例で検討)クレジットカードを私的な活動に流用した男性が背任の疑いで逮捕された事件について

2025-05-08

(事例紹介)背任の疑いで静岡県富士市の男性が逮捕

静岡・浜松 刑事事件・少年事件に特化した弁護士が一から対応

背任の疑いで男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

【事例】

警察によると、勤務していた会社から仕事用に貸与されていたクレジットカードを私的な活動に流用したとして、静岡県富士市の男性が背任の容疑で逮捕された。
男性の行為により会社には数百万円の損害が生じた疑いがある
(本事例はフィクションです。)。

~背任と横領との区別〜

(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

本事例では、被疑者の男性は背任の容疑で逮捕されています。
もっとも、本件は一見すると横領事件のようにも思えるため、刑法253条の業務上横領罪が適用されない理由についても検討する必要があります(業務上横領罪の方が背任より重い罪であるため)。
同条にいう「物」とは、現金や物品など具体的な有体物を指し、本件で問題になっているクレジットカードそのものは有体物ではなく決済手段にすぎません。
つまり本件では「物」自体が客体とはいえない以上、業務上横領罪を適用する余地はないことになります。
そして、本件の被疑者はあくまで業務としてクレジットカードを貸与されている立場にありながら私的な支出にカードを利用し数百万円の損害を会社に与えていることから、任務に背いて会社に損害を与えたとして背任罪(刑法247条)が成立するものと考えられます。

〜弁護士による弁護はなぜ必要か〜

刑事事件において弁護士による弁護活動は、なぜ必要なのでしょうか。
逮捕された者(起訴された者)は悪い人間なのだから、そんな者を擁護・庇護する必要はないという素朴な感情を抱く人も少なくないかもしれません。
しかし、昨今では多くの冤罪事件が世間の耳目を集めていることから分かるとおり、逮捕された(起訴された)からといって必ずしも罪を犯したとは限らないことは明らかです。
また、仮に無実ではないとしても(そして本人が罪を認めている場合であっても)、弁護活動が不要になるわけではありません。
憲法は31条以下において刑事手続に関する規定を置いており、このような諸権利は歴史的にもしばしば軽視されてきたことから我が国の憲法において厚く保障されるに至りました。
弁護士による弁護活動とは、このような被疑者(被告人)に保障された権利を十全化するために、必要不可欠なものに他ならないのです。
専門的なトレーニングを受けた弁護士による援助がなければ、これらの権利は絵に描いた餅となる可能性が常に付きまとうことに注意が必要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、背任事件を含む刑事事件を専門としている弁護士が所属する法律事務所です。
背任事件を含む財産事件・経済事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応している弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで、まずはお問い合わせください。

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