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70代夫が60代妻にコップを投げ、傷害した疑いで逮捕

2022-09-16

70代夫が60代妻にコップを投げ、傷害した疑いで逮捕

今回は、70代男性が、妻の家事のやり方に腹を立ててコップを投げつけ、怪我を負わせた疑いで逮捕された報道をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

~ケース~

静岡県御殿場市の70代男性は、8月8日午後9時半ごろ、自宅で60代妻にコップを投げつけ、頭に軽いけがを負わせたとして、傷害の疑いで逮捕されました。
男性は被疑事実を認めており、「妻の家事のやり方に腹が立った」などと供述しています。
(8月9日 静岡朝日テレビ 「妻の家事のやり方に腹立ちコップを投げつけたか 77歳の夫を傷害の疑いで逮捕 静岡・御殿場市」より引用)

~家庭内暴力の弁護活動~

家庭内暴力事件では加害者が逮捕されてしまうケースが多いです。
法律上、犯罪捜査では任意捜査が原則とされており、被疑者を逮捕して捜査を行うのはあくまでも例外的な措置と位置付けられています。
実際、傷害事件であっても、加害者と被害者との間に面識がない場合(街頭でケンカになった場合など)には、在宅捜査とされるケースも少なくありません。

しかし、家庭内暴力の場合は、加害者と被害者が親密かつ生活圏が極めて近いため、逮捕に至るケースが多いようです。
一旦、加害者と被害者が離れられる状態で過ごせる環境が用意できなければ、釈放を実現することは難しいかもしれません。
このような場合は、信頼できる身元引受人を用意し、少なくとも事件が解決するまで、被害者と別居しての生活の監督をお願いし、捜査機関や裁判所と交渉することが考えられます。

また、家族関係のありかたについても見直さなければ、再び家庭内暴力事件が発生するのではないか、と厳しい目を向けられる可能性が高いです。
家族関係の見直し大変に難しい課題ですが、弁護士のアドバイスを聞きながら、根気よく取り組むことが重要と思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
家庭内暴力が刑事事件に発展しお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

自首と出頭の違い

2022-09-08

自首と出頭の違い

【具体例】

Xは街の駐輪場から、一台数十万円相当のロード自転車を盗んで、小遣い稼ぎをしようと考えた。
Xは東京都大田区蒲田の蒲田駅前の駐輪場を物色していると、狙いの高級ロード自転車を発見した。
Xは、ホームセンターで事前に購入しておいた工具を使って、ロード自転車に取り付けられている鍵を破壊して、ロード自転車を駐輪場から持ち去り帰宅した。
Xは、数時間後、駅前の駐輪場の脇を通った際に、駐輪場で自転車を探している様子の大学生を見かけた。
Xは、大学生は自身が盗んだロード自転車の持ち主だと察した。
Xは被害者の大学生が警察に被害届を出し、警察が盗難犯を探したら、近所に住んでいる自分はすぐに見つかってしまうと考えて、大ごとになる前に自ら蒲田警察署にロード自転車を盗んだ旨を話に行った。

罪を犯した犯人が自らの意思で警察に行くことを一般的に「自首」と理解している人は多いのではないでしょうか?
しかし、この様な理解は正確ではなく、「自首」と「出頭」の意味を混同している場合が少なくありません。
法律的に「自首」と「出頭」は似て非なるものです。
今回は、「自首」と「出頭」の違いについて解説していきます。

【自首とは?】

「自首」とは、罪を犯したものが捜査機関に発覚する前に、自発的に捜査機関に自己の犯罪事実を申告して処分を求める意思表示のことを意味します。
捜査機関の取り調べに応じて犯罪事実を述べることは、自白であって、自首ではありません。
刑法 第42条 自首等
1.罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2.告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

【自首の要件】

刑法42条1項の条文から以下のような自首の要件が導き出せます。
① 「罪を犯したものが」
② 「捜査機関に発覚する前に」
③ 「自首」すること
②の「発覚する前に」とは、犯罪事実が全く発覚していない場合の他、犯罪事実は発覚しているが犯人が誰であるかが発覚していない場合も含みますが、単に所在が不明である場合には含まれません。
③の「自首」とは、犯人が自発的に自己の犯罪事実を捜査機関に申告することを要しますが、申告の方法は他人を介してする方法でも可能です。
また、申告するに際し、虚偽の事実を述べたときでも、「自首」として成立します。

【自首の効果】

「自首」することにより、刑が任意的に減刑されます。
「自首」が任意的刑の減刑事由とされている趣旨は、犯罪の捜査を容易にするという政策的意図と、犯人の改悛による非難の減少に基づくと理解されています。

【出頭とは?】

「出頭」とは、単純に警察署や裁判所などに行くことを意味します。

【出頭の効果】

「出頭」をしたとしても、法的な効果は発生しません。
よって、たとえ指名手配されている犯人が自発的に犯罪事実を申告して、処罰を求めたとしても、減刑は認められません。
しかし、反省や捜査協力の意図から自発的に捜査機関に、処罰を求める行為は酌量減軽の事由となり、処罰が軽減される可能性があります。

【結論】

結論、本件事例では「自首」、認められる可能性が高いと考えられます。
Xは自己の自転車窃盗の犯罪事実を、自ら捜査機関に申告しに行っているため、「自首」の要件である①「罪を犯したものが」、③「自首」の要件は充足しています。
しかし、「自首」か「出頭」かの分岐点は要件②「捜査機関に発覚する前に」の要件が充足しているの点になります。
本件事例の段階では、捜査機関はおそらくXの自転車窃盗の事実を認知していないため、「捜査機関に発覚する前に」の要件を充足しそうです。
他方で、警察が直接Xに連絡を取ってきたような段階では、警察はXの自転車窃盗の事実を把握しており、「捜査機関に発覚する前に」ではなくなっている可能性が高いです。

【まとめ】

どのような事件・事故においても「自首」又は「出頭」はいずれにしても早期に行うことが望ましいです。「自首」,「出頭」をしたいけれど対応が不安という方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士まで一度ご相談ください。

79歳内縁の夫の遺体を放置した疑いで、56歳女性が逮捕

2022-09-02

79歳内縁の夫の遺体を放置した疑いで、56歳女性が逮捕

今回は、静岡市の住宅に内縁の夫の遺体を放置したとして56歳女性が逮捕されたケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

~ケース~

今年4月頃、静岡市で同居していた内縁の78歳男性が死亡したのに遺体を放置したとして、56歳女性が死体遺棄の疑いで逮捕されました。
今月3日に自宅を訪問した市の職員が遺体を見つけて警察に通報し、警察は8日、前記女性を発見して逮捕しました。
警察は詳しい経緯を調べています。(8月9日 テレビ静岡 「内縁の79歳夫の遺体を放置か 56歳女を逮捕 静岡市職員が自宅訪問し発見」より引用)

~死体遺棄の罪について~

近親者の遺体を放置し、死体遺棄の疑いで検挙されるケースがときおりニュースとなります。
近親者の死を受け入れられなかった、何らかの理由で近親者の死亡を関係者に明かせない、など、動機は様々と思われますが、遺体を適切に埋葬等しなければ、死体遺棄の罪に問われることになってしまいます。

~死体遺棄の罪に問われた場合~

死体遺棄罪の法定刑は「三年以下の懲役」(刑法第190条)であり、軽いわけではありませんが、それほど重い罪でもありません(ただし、有罪判決を受け、執行猶予がつかなければ即、実刑判決となります)。
しかし、遺棄された遺体がどうして死亡するに至ったのかについて、詳細な取調べが行われることが予想されます。
状況によっては、死体遺棄で逮捕された方が、遺体を死に至らしめたのではないか、という疑いをかけられる可能性もあります。

もちろん、身に覚えの無いことであれば、きっぱりと否認するべきですが、捜査機関の態度は非常に厳しいものになるかもしれません。

また、死体遺棄罪は葬祭の義務を有する者が死体を放置したのでなければ成立しません。
そのため、死亡の経緯だけでなく死亡した人との関係も厳しく追及される可能性があります。

したがって、無実の罪を負わないためにも、早期に弁護士の接見を受け、今後のアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が死体遺棄の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所本部にご相談ください。

(解決事例)菊川市の傷害事件で不起訴処分を獲得

2022-08-26

(解決事例)菊川市の傷害事件で不起訴処分を獲得

【事案の概要】

菊川市在住のAさんは、学生時代の友人の主宰する懇親会に招待され、そこで知り合ったVさんと意気投合しました。
お互い大量に飲酒していたこともあり、二人とも泥酔状態だったところ、突然VさんがAさんの容姿などを馬鹿にするような発言をしました。
最初は受け流していましたが、あまりにもしつこかったため立腹し、Vさんの顔面を手拳で殴打し、軽いけがを負わせてしまいました。
その後、Aさんは駆けつけた静岡県警察菊川警察署の警察官に傷害の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんのお父様は「今後息子はどうなってしまうのでしょうか。とても不安です。」と相談時お話されました。
(守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【具体的な弁護活動】

Aさんは接見時に、「Vさんに大変申し訳ないことをした。治療費の賠償と謝罪をしたい。」と話していました。
そこで、弁護士がAさんに代わって、Vさんに謝罪しました。
その際に、Vさんは、治療費の支払いは勿論のこと、Aさんからの誠意ある謝罪と、AさんがVさんに二度と接触しないこと及び再犯を決してしないことを約束する書面を交付してほしいと申し出たため、後日治療費の支払いを行い、AさんがVさん宛てに作成した謝罪文と共にVさんに書面を交付しました。
その後、Vさんとの交渉の結果、示談が成立し、Vさんは被害届を取り下げてくれました。
Aさんが検察庁へ送致された後は、検察庁に対し、①事案が比較的軽微であること、②Vさんとの示談が成立し、被害届が取り下げられたこと、③Aさんの両親が身元引受人となってAさんを監督すること、④再犯可能性がないことを主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

被疑者を起訴するか否かの判断は検察官が行います。
その際の判断においては、被害者の方への謝罪や賠償、示談が成立しているか、被疑者を監督する身元引受人がいるか、再犯の可能性がないか、といったことが重要な要素となります。
今回の事案では、AさんがVさんに対して謝罪文を交付し、治療費を支払うことで示談が成立したこと、Aさんのご両親が身元引受人としてAさんの監督をすることを約束したことが不起訴処分に繋がったと考えられます。
また、今回の事案のように、被害者の方から被害届の取下げを頂くことができれば、より不起訴処分となる可能性が高くなります。

被害者の方との示談交渉は、刑事事件に強い弁護士に是非お任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回の事案のような傷害事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

交通違反と名義を偽ること

2022-08-19

交通違反と名義を偽ること

交通違反と名義を偽ることについて、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事案の概要(*フィクションです)】

藤枝市に住むAさんは数年前に免許取り消し処分となりましたが、以降免許を再取得することなく、無免許のまま自家用車を運転していました。
ある日、Aさんは速度超過をしたとして、パトロール中の静岡県警察藤枝警察署の警察官に呼び止められ、供述調書に記載を求められました。
無免許運転が発覚することを恐れたAさんは、供述調書に知人のBさんの名前を記載しました。
数日後、藤枝警察署が供述調書を確認したところ、Aさんと供述調書の名義人が違うことが判明したため、Aさんは道路交通法違反(無免許)と有印私文書偽造罪の疑いで逮捕されました。

【有印私文書偽造罪とは?】

有印私文書偽造罪とは、刑法第159条1項に規定される犯罪です。
行使の目的で他人の印章・署名を使用して権利義務若しくは事実証明に関する文章等を偽造する、又は偽造した他人の印章・署名を使用して文章を偽造することにより成立する犯罪で、「三月以上五年以下の懲役」が罰則規定として定められています。

第百五十九条 
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

同罪の「偽造」とは、文章の作成権限のない者が名義を偽って他人名義の文章を作成し、名義人と作成者の人格の同一性に齟齬(不一致)を生じさせることをいうとされます。

今回のケースでは、Aさんは当然Bさん名義の文章を作成する権限を有していません。
にもかかわらず、Bさん名義で供述調書を作成し、これによって名義人(Bさん)と作成者(Aさん)の人格の同一性に齟齬を生じさせているため、Aさんには有印私文書偽造罪が成立すると考えられます。

【事案の特殊性から示談は難しい】

有印私文書偽造罪は「三月以上五年以下の懲役」と規定され、罰金刑がないため、起訴された場合は必ず正式な裁判となります。
刑事処分の軽減のためには弁護士による示談交渉が一般的ですが、今回のケースでは示談の締結は難しいといえます。

これは、今回の被害者が警察(公的機関)であるためです。
被害者が警察等の公的機関の場合、「国」が被害者であると考えられるため、基本的には示談に応じてくれません。
したがって、示談による不起訴処分の獲得はほとんど見込めません。

【少しでも刑事処分を軽くするためには…】

示談が出来ない場合でも、執行猶予付き判決を求めるなど、実刑を回避するための弁護活動は可能です。
例えば、示談の申入れをしていた書面を残すことにより、誠意ある対応に努めたことや、贖罪寄附をすることが考えられます。
特に今回のケースであれば、無免許運転の発覚を恐れたことを理由に名義人を偽っていますから、自家用車を処分するなど、再び無免許運転をしないことを約束することも重要になるでしょう。
また、情状証人による嘆願などの情状弁護により減刑を求めたり、きちんと反省をしていることを示すことも重要です。

このように、刑事事件に強い弁護士が適切な弁護活動を行うことで、不起訴処分や執行猶予を獲得できる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件が不起訴処分に

2022-08-10

児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件が不起訴処分に

今回は、不起訴処分がなされた淫行事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

今年3月、富士宮市内のホテルで、未成年と知りながら16歳の女子高校生に現金を支払う約束をしてみだらな行為をし、女子高校生の裸をスマートフォンで撮影したとして逮捕、検察に送致された男性が、7月25日付で不起訴処分となりました。
不起訴処分を行った静岡地検浜松支部は、処分の理由を明らかにしていません。(7月26日 静岡朝日テレビ 「16歳女子高生にみだらな行為をした疑いで逮捕の男性教師を不起訴に 理由明らかにせず 静岡地検浜松支部」より引用)

~不起訴処分とは~

事件を起こして警察に検挙されると、原則として検察に送致され、最終的に検察官が起訴・不起訴処分を行います(ごく軽微な事件であるなど、警察において「微罪処分」が行われた場合には検察に送致されることはありません)。
検察官は起訴・不起訴処分のいずれを選択するかにつき、裁量を有しています。

不起訴処分とする理由は20あります(法務省事件事務規程第75条2項各号)。
主なものとしては、
・「起訴猶予処分」(被疑事実が明白であるが訴追を必要としない場合)、
・「嫌疑不十分」(被疑事実につき、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分である場合)、
・「嫌疑なし」(被疑事実につき、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白な場合)
・「心神喪失」(被疑者が犯罪時心神喪失であった場合)
などが挙げられます。

ケースの事件では不起訴処分の理由が明らかではありませんが、不起訴処分がなされた場合には裁判にかけられることがないので、前科がつく、刑罰に処せられるといった事態がなくなります。

児童買春事件についてお困りの方は、まずは刑事事件に詳しい弁護士に相談してみましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
児童買春事件、児童ポルノ禁止法違反事件についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(解決事例)沼津市の軽犯罪法違反事件で不起訴処分を獲得

2022-08-03

(解決事例)沼津市の軽犯罪法違反事件で不起訴処分を獲得

【事案の概要】

沼津市に住むAさん(60代・男性)は、釣りに出かけることが趣味でした。
ある日、Aさんはいつものように沼津市へ釣りに出かけましたが、全く釣れなかったため、以前からよく釣れると噂があった、狩野川河口の鉄柵で囲まれた立ち入り禁止区域に入り、釣りをすることにしました。
しかし、付近をパトロールしていた静岡県警沼津察警察署の警察官に軽犯罪法違反の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんは取調べの後即日釈放され、在宅事件として捜査が続けられることになりました。
Aさんは、「家族に申し訳ないことをした。沼津警察署の警察官からは今回の件は書類送検すると聞かされたが、息子の将来に影響が出るようなことだけは避けたい。」と相談時にお話されました。
(*守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【軽犯罪法とは】

軽犯罪法とは、様々な軽微な秩序違反に対して、拘留や科料の刑を定めた法律です。
今回の事案では、Aさんが鉄柵で囲まれた立入禁止区域に正当な理由がないのに侵入してしまったことから、軽犯罪法1条32号に該当するとして、現行犯逮捕されたものと考えられます。

軽犯罪法
第一条
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
一~三十一(略)
三十二 入ることを禁じた場所又は他人の田畑に正当な理由がなくて入つた者

【弁護活動】

Aさんは今回の件を深く反省しておりました。
そこで、弁護士が検察庁に対して、Aさんの奥様の上申書を提出し、①Aさんについては今後Aさんの奥様が監督していくこと、②今後Aさんが釣りに出かける際には、必ず夫婦一緒に出かけ、釣り場も管理釣場に限定すること、③社会貢献ができる仕事に再就職をすること、などを適切に主張し、寛大な処分を求めました。
その結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

軽犯罪法違反事件で、今回の事案のような違反態様が比較的軽微なものについては、弁護士が本人の反省と今後の指導をしっかりと行うことで、再犯の可能性が無いことや、事案の軽微性・非悪質性を訴えて、検察官に不起訴処分とすることを求めます。
今回の事案でも、弁護士が上申書によって、Aさんの再犯可能性がないこと、奥様が今後しっかりとAさんを監督することなどを適切に主張したことが、不起訴処分に繋がりました。

軽犯罪法違反で逮捕されてしまった、又は今後取調べを受ける予定がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部へご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回の事案のような軽犯罪法違反事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

一時使用と窃盗罪

2022-07-27

一時使用と窃盗罪

一時使用と窃盗について、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の概要(*フィクションです)】

静岡県牧之原市在住のAさんは、知人宅に徒歩で向かう道中、忘れ物に気付きました。
「このまま歩いて取りに戻れば待ち合わせの時間に遅れてしまう。」と困っていたところ、近くの駐輪場で鍵のかかっていない自転車を発見しました。
Aさんは、後で元の場所に返すつもりで、その自転車を使って急いで家に戻って忘れ物を回収し、そのまま知人宅へ向かいました。
2時間後、自転車を返すために駐輪場に向かったところ、自転車の持ち主であるBさんに鉢合わせました。
Aさんが自分の自転車に乗っていることを不審に思ったBさんが警察に通報し、Aさんは窃盗の疑いで牧之原警察署での取調べを受けることになりました。
Aさんは、警察官に対して、「最初からBさんの自転車を盗むつもりはなかったし、駐輪場に戻ってきたのはBさんの自転車を返すためだった。」と主張しています。

【窃盗罪とは】

窃盗罪は、他人の財物を窃取した場合に成立する犯罪です。

刑法
第二百三十五条 
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

「窃取」とは、他人が占有する財物を、占有者の意思に反して自己または第三者の占有に移転させることをいいます。
今回のケースでは、返却はしたものの、AさんがBさんに無断で自転車を使用したため、「窃取」があったといえます。
そして、窃盗罪の成立には、同罪の故意(人の財物を窃取することの認識)に加えて、「不法領得の意思」が必要になります。
「不法領得の意思」とは、権利者を排除して、他人の物を自己の所有物として扱う意思(排除意思)と、他人の物をその経済的用法に従い利用・処分する意思(利用意思)の2つから構成されています。
今回のケースのような、最初から返却する予定で自転車を使用した場合には、排除意思の有無が問題となります。

【一時使用でも窃盗罪が成立しうる】

先に述べたように、一時使用の場合には、排除意思があったか否かが問題となります。
排除意思の有無の判断は、利用により価値の減少や消耗が生じ、または、その危険性が大きいかどうかにより行います。
例えば、自転車の一時使用といっても数十時間や数日といった比較的長時間にわたる利用の場合には、利用によるタイヤやブレーキの摩耗による価値の減少が生じ、利用中に事故を起こして自転車を損傷させる危険性も大きいといえることから、排除意思が認められます。他方で、数分間の利用にとどまる場合には、価値の減少もほとんどなく、事故による損傷の危険も低いことから、排除意思がないと判断されることがあります。
今回のケースは、利用時間が2時間であるため、利用によるタイヤやブレーキの摩耗による価値の減少や利用中の事故による損傷の危険性は大小どちらともいえず、排除意思が認められるかどうかは微妙なところです。

【困ったら弁護士に相談を】

今回のケースのように、少しの間だけ借りるつもりでも、安易に他人の者を勝手に使用してしまうと、窃盗の罪責を負うことになりかねません。
もし、窃盗の被疑事実で取調べを受けている、またはその予定がある方は、今すぐ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
窃盗事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

報道をもとに刑事事件の略式手続を解説

2022-07-20

報道をもとに刑事事件の略式手続を解説

今回は、報道をもとに、刑事事件の略式手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

去年11月、市内のパチンコ店駐車場におよそ13リットル分の自分の尿が入ったペットボトルなどを捨てたとして、静岡県富士宮市に住む40代の男性が、7月5日、廃棄物処理法違反の公訴事実により略式起訴されました。
富士簡易裁判所はこれに対し、罰金20万円の略式命令を出しました。(7月5日 静岡朝日テレビ 「自分の尿をペットボトルに入れパチンコ店駐車場に捨てる 46歳の無職の男に罰金20万円の略式命令 静岡・富士簡易裁判所」より引用)

~略式手続とは?~

略式手続とは、書面のみにより審理を行い、略式命令によって100万円以下の罰金又は科料を科す制度です。
略式命令が勾留されている被疑者に告知されれば、勾留状の効力が失われますので(刑事訴訟法第345条)、釈放されることになります。
略式命令を言い渡されたあとは、罰金を納付して事件が終了します。

前述の通り、略式手続では書面のみにより簡易に審理が行われます。
反面、捜査の手続の適法性や、証拠の証明力、被疑者の弁解など、裁判官に伝えたいこと、伝えるべきことがある場合であっても、通常、自身の言い分を裁判官に伝えることができません。
言い分を伝えたい場合、告知を受けた日から14日内に正式裁判の請求をすることが必要です(刑事訴訟法415条1項)。

略式手続が実施された場合には、ほぼ100%、有罪判決がなされ、前科がついてしまうことになります。
犯罪の成立を妨げる言い分がある場合に、略式手続に応じるのは得策ではありません。
略式手続に同意する前に、一度、弁護士と相談することを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
略式手続についてお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(解決事例)浜松市中区の盗撮事件で不起訴処分を獲得

2022-07-13

(解決事例)浜松市中区の盗撮事件で不起訴処分を獲得

【事件の概要】

磐田市に住むAさんは、所用で浜松駅に行きました。
その際、浜松駅構内にて、女性のVさんがエスカレーターに向かって歩いていくのを見かけました。
そこで、Aさんは、Vさんのあとを追い、エスカレーターに乗って、Vさんの背後から、Vさんのスカート内をスマートフォンで盗撮しました。
ところが、周囲を警戒していた静岡県警浜松中央警察署の私服警察官に目撃され、Aさんはその場で現行犯逮捕されました。
Aさんは、取調べで盗撮に用いたスマートフォンを調べられ、過去にも同様のことを行ったがバレなかったため、今回の犯行に至ったことを自供しましたが、その日限りで釈放され、在宅事件となりました。
Aさんは、「取調べの後に、浜松中央警察署 の警察官から、後日また呼び出して取調べを行うと言われ、今回の件は立件されて前科が付くことになると思うとも言われたため、とても不安です。どうにかして前科を回避することは出来ないでしょうか。」と相談時にお話しされました。
(*守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【盗撮行為は迷惑防止条例違反にあたる】

静岡県では、盗撮行為について、静岡県迷惑行為等防止条例第3条第2項の「卑わいな行為の禁止」にあたるとして、禁止しています。

(卑わいな行為の禁止)
第三条 第二項
何人も、正当な理由がなく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法により、住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服の全部若しくは一部を着けない状態でいるような場所に当該状態でいる人の姿態を見る目的又はその映像を記録する目的で、写真機等を設置し、又は人の身体に向けてはならない。

罰則としては第12条第1号により、「6 月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金」が規定されます。

(罰則)
第十二条
次の各号のいずれかに該当する者は、6 月以下の懲役又は 50 万円以下の罰金に処する。
(1) 第三条の規定に違反した者

【弁護活動】

検察官対し、AさんがVさんに直接謝罪したいと考えており、示談交渉を行いたいので、連絡先を教えてほしいと伝えたところ、Vさんから、「Aさんには会いたくない。弁護士であれば直接会ってもよい。」と検察官を通じて連絡がありました。
そこで、弁護士がVさんとの示談交渉を速やかに行い、Aさんが深く反省していることを伝え、①AさんがVさんへの接触を今後一切しないこと、②Aさんが撮影したデータの一切を破棄すること、③示談金の支払いなどを約束し、Vさんとの間で宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結しました。
そして、弁護士が検察官に対し、上記宥恕条項付きの示談が成立している旨を主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

今回の事案のような盗撮事件では、加害者が被害者様に直接謝罪したいと考えていても、被害者様に 拒絶される場合が多いです。
さらに、被害者様と示談をするには被害者様の連絡先等を知ることが不可欠ですが、加害者に連絡先を伝えることに抵抗がある被害者様も多いこと、捜査機関としても加害者が被害者様と接触することで口裏合わせなどの恐れがあり、当事者間での示談交渉は現実的ではないことから、警察や検察庁から被害者様の連絡先等を聞くことができるのは、基本的には弁護士となっています。
不起訴処分を獲得するためには、被害者様との示談締結は極めて重要な弁護活動ですから、今回のAさんのように、「どうにかして前科を回避したい」と考えている場合は、刑事事件に強い弁護士による、被害者様に配慮した適切な示談交渉を行う必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 名古屋本部にご相談ください。

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