・風営法の概要について
風営法とは,風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律の略称です。
風営法は,善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するために風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について,営業時間・営業区域等を制限し及び年少者をこれらの営業所へ立ちいらせることを規制するとともに,風俗営業の健全化に資するためその業務の適正化を促進する等の処置を講ずることを目的としています。
・風営法の罰則について
風営法(風適法)の違反で,最も多いのが無許可営業(風営法3条1項)です。また,風俗営業の許可を取得する際に,虚偽の事実で申請をしたり(風営法49条2号),実際の営業者とは別の者が許可を受け,営業者に名義を貸したりする行為も風営法による規制の対象です(風営法11条)。
これらの他にも,風俗店に,18歳未満の者を働かせたり(風営法22条3号・4号),客として入店させたりした場合など(風適法22条5号),風俗営業に関する様々な行為が規制対象とされています。
主な風営法違反の罰則は,下記のとおりです。
①風俗営業の無許可営業
虚偽・不正手段による許可の取得
名義貸し禁止違反
営業の停止等処分の違反
店舗型性風俗特殊営業の禁止区域等営業など
⇒2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金,またはこれらの併科(風営法49条)
②構造設備の無承認変更
構造設備の無承認変更
不正手段による承認の取得
18歳未満の者に接待行為をさせること
18歳未満の者を客とすることなど
⇒1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金,またはこれらの併科(風営法50条)
③客引き(つきまとい,立ちふさがり行為を含む)
⇒6か月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金,またはこれらの併科(風営法52条)
④広告制限地域への広告物の設置
従業者名簿の備付け義務違反等
従業者の身分確認規定の違反
公安委員会への報告義務違反や警察官の立ち入り妨害など
⇒100万円以下の罰金(風営法53条)
⑤許可申請書等の虚偽記載
深夜酒類提供飲酒店営業の無届営業など
⇒50万円以下の罰金(風営法54条)
⑥営業許可証の掲示義務違反
風俗営業に係る変更届出書提出義務違反など
⇒30万円以下の罰金(風営法55条)
・性風俗関連特殊営業に関する規制
風営法では,特定の種別の営業について,これを「性風俗関連特殊営業」と定義し,風俗営業とは異なり届出制としています。性風俗を公安委員会が「許可」するのは適当でないという理由からです。
①無届営業
⇒6ヶ月・以下の懲役または100万円以下の罰金,または併科(風営法27条・52条4号)
②店舗型に係る営業所の禁止区域等営業
⇒2年以下の懲役または200万円以下の罰金,または併科(風営法28条・49条5号)
③18歳未満の者を風俗営業等において従事させること・客とすること
⇒1年以下の懲役または100万円以下の罰金,または併科(風営法22条1項3号・4号・風営法50条2項)
④広告制限区域等における看板の設置
⇒100万円以下の罰金(風営法28条5項・53条2号)
⑤客引き(「立ちふさがり,つきまとい行為」も含む)
⇒6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金または併科(風営法22条1項1号・2号・52条1号)
⑥店舗型・無店舗型性風俗特殊営業の無届業者による広告宣伝
⇒100万円以下の罰金(風営法27条の2・53条1号)
⑦外国人ホステスの就労資格の確認義務懈怠
⇒100万円以下の罰金(風営法36条の2・53条4号)
・行政処分について
風営法に違反した場合,刑事罰以外にも行政処分が下される可能性があります。
具体的には,違反の態様により「許可取消し」「営業停止」「指示」という3つの処分を行うことができます。
・静岡県風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例
各都道府県で風営法の委任事項を細かく決めたり、風営法よりもさらに制限を設けたりする例があります。
静岡県の風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例では、例えば、法13条1項但書の風俗営業の営業を営むことができる時間について、午前1時と定めています(同条例4条2項)。