被害者対応

・事件化活動(被害届の提出,告訴,告発)

被害者の方は,捜査機関に「被害届」を提出して被害申告を行うことができます。

また,捜査機関に犯罪事実を申告して犯人の処罰を求めて「告訴」することができます(刑事訴訟法230条)。そのほか,被害者以外の方は,捜査機関に犯罪事実を申告して犯人の処罰を求めて「告発」(刑事訴訟法239条)することができます。

なお,器物損壊罪(刑法261条)などの一定の犯罪は,裁判により犯人を処罰するためには「告訴」が必要となります(※1)(刑法264条)。

また,告訴期間は犯人を知った時から6か月ですので(刑事訴訟法235条本文),注意が必要です。

事件から期間が経過するほど,証拠を集めるのが難しくなりますので,早めに行動を開始する必要があります。

          

(※1) このような犯罪を親告罪といいます。

 

・「被害者等による心情その他の意見の陳述」「刑事手続きに参加する制度」

仮に事件化され,加害者が起訴された場合,被害者は適正な処罰を求めるべく,被害に関する心情その他の被告事件に関する意見を述べることができます(刑事訴訟法292条の2)。

また,一定の重大犯罪(刑事訴訟法316条の33第1項各号)については,①情状に関する事項についての証人(情状証人)に対して尋問すること(刑事訴訟法316条の36第1項),②被告人に対する質問(刑事訴訟法316条の37第1項),③事実・法律の適用に関する意見の陳述が可能となります(刑事訴訟法316条の38第1項)。

前半の心情意見は,検察官や被害者に選任された弁護士に代読させる運用もなされていますし,後半の参加制度に関しては被害者等から委託を受けた弁護士も申出をすることができます。

 

・被害回復を図るための活動(被害弁償・示談)

被害回復を図るための方法として「示談」が挙げられます。

しかし,被害者の方だけで示談交渉することは危険が伴いますし,妥当な示談金額もなかなかわかりにくいと思います。また,その気はなくとも加害者より示談交渉に際し脅迫があったとして逆に告訴される可能性もあり得ます。

弁護士をいれていただくことにより,被害者の方が加害者の方と直接接触することなく,冷静で当事者が納得のいく妥当な金額での示談解決が可能となります。

 

・被害者の方の(特に「精神的」)負担を軽くするための制度

被害者の方の負担を軽くすべく,法律上,様々な措置が取られています。

 

①証人尋問の際の証人への付添い(刑事訴訟法157条の4第1項)

被害者の方が証人尋問の際に著しく不安又は緊張を覚えるおそれがある場合には,ご家族の方等が被害者の方の供述中,付添うことができる場合があります。

 

②証人尋問の際の証人の遮へい措置(刑事訴訟法157条の5第1項)

被害者の方が,加害者の面前で供述するのに圧迫を受け,精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる等の場合,被害者と被告人または傍聴人との間にスクリーンを置くなどの措置がとれる場合があります。

 

③ビデオリンク方式による証人尋問(刑事訴訟法157条の6第1項)

被害者の方を法定外の別室に在籍させ,その別室と法廷を回線で接続してテレビモニターを介して証人尋問を行うことができる場合があります。

 

④被告人の退廷制度(刑事訴訟法304条の2)

被告人の面前で圧迫などをうけ十分な供述ができない,等の場合には被告人を退廷させることができる場合があります。

 

⑤刑事手続きにおける被害者の氏名等の情報の保護(刑事訴訟法290条の2)

裁判所は,強制わいせつ及び強姦罪等に係る事件を取り扱う場合において,当該事件の被害者等若しくは当該被害者の法定代理人又はこれらの者から委託を受けた弁護士から申出があり,相当と認めるときは,被害者特定事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができるとされました。

 

⑥公判手続の優先的傍聴(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律2条)

被害者等は多数の傍聴希望者がある場合でも優先的に傍聴できるよう配慮しなければならないとされています。

 

⑦民事上の争いの刑事訴訟における和解(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律19条)

刑事手続きを利用して民事上の和解をすることができるようになりました。これにより,被告人が合意の内容を果たさない場合に強制執行が可能となります。

 

・裁判後の段階での被害者支援

犯人の受刑中の処遇状況,犯人が刑務所から釈放になる時期又は釈放になったことなどの通知を行う制度が設けられています(被害者等通知制度実施要領)。

この制度には,2つの種類があります。

第1は,「被害者等通知制度」に基づくものであり,被害者であれば,特段の理由を必要とせず通知を受けられるものです。満期出所の予定時期,受刑中の刑務所における処遇状況や,実際に釈放された後に釈放された年月日などを知ることができます。

第2は,被害者等が,再度被害にあわないよう転居等の措置をとる必要があるため,特に通知を希望する場合で,検察官が通知を行うのが相当と認めた場合に,加害者の釈放直前における釈放予定(仮釈放の場合を含む)の時期を通知する制度があります。この制度では,特に必要があるときは,釈放された後の加害者の帰住予定地を通知することもあります。

 

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