(事例紹介)静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕
静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
タクシー運転手の顔を殴り料金を支払わずに逃走したとして警察は浜松市内の女を逮捕した。
警察によると女は、タクシー運転手の女性の運転の仕方について文句をつけ、運転手の顔を殴りタクシー料金を支払わず逃走した疑いがもたれている。
警察は車内のドライブレコーダーの映像などから逃げた女の行方を捜し、逮捕した。
(静岡第一テレビ「タクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走 強盗容疑で逮捕」(2024/1/2)を引用・参照の上、適宜修正。)
~利益に対する強盗〜
(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
窃盗罪に代表される財産罪には、(財産上の)利益を客体とするものとそうでないものがあります。
上記窃盗罪(刑法235条)は「他人の財物を窃取した」場合に犯罪が成立すると定めており、その対象を「財物」に限定しています。
これはいわゆる利益窃盗を不可罰とする趣旨であり、その背景には典型的には債務の不履行等、本来民事法によって解決すべきものにまで刑事上の責任を負わせるべきではないという考えがあります。
これに対し、本件のような強盗罪の場合は、暴行又は脅迫を手段とする点で(財産上の)利益まで保護すべきであることから、236条の2項によって利益罪も定められているのです。
本件では暴行を手段とした(2項)強盗罪の成否が問題となっていますが、強盗罪における「暴行」とは人の反抗を抑圧する程度のものである必要があると解されています。
上記の程度までの暴行であったか否かは、暴行の態様、犯行の時間や場所、体力や体格の差などから客観的に判断されます。
本件では暴行の態様などの詳細は明らかではありませんが、同性同士でそれほど力や体格の差はないと思われるものの、例えば女性の加害者が男性の被害者に対して暴行した場合などに比べると暴行による反抗の抑圧は認められやすいと考えることも可能なケースと言えそうです。
〜強盗事件における刑事弁護活動〜
強盗罪は、窃盗罪とは異なり被害者に対する有形力の行使(本件のように「暴行」による場合)伴う犯罪であり、法定刑も「5年以上」と重い犯罪類型であると言えます。
したがって、例えば本件のようなケースでは、強盗罪の成立を争う弁護活動なども一考に値するものと考えられます。
もっとも、強盗罪が成立するケースでも財産犯である以上は示談の成立によっては刑事裁判を回避することも可能であり、いずれにせよ積極的な不起訴獲得のための弁護活動が重要になってくることになります。
被害者対応を誤ってしまうと、その後の刑事処分も大きく変わってきうることから、弁護活動は被害者対応にも長けた刑事事件専門の弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件などの刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
強盗事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までまずお問い合わせください。