(事例紹介)静岡市消防局の消防士が不同意性交等の疑い逮捕された事件について検討

(事例紹介)静岡市消防局の消防士が不同意性交等の疑い逮捕された事件について検討

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今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が静岡市で発生した不同意性交事件の被疑者男性の逮捕事例について解説致します。

【事例】

風俗店店員の女性と同意を得ずに性交したとして静岡市消防局に勤務する消防士の男が逮捕されました。
不同意性交などの疑いで逮捕されたのは、静岡市消防局●●署の消防士で●●市に住む34歳の男です。
警察によりますと、容疑者の男は10月25日 午後0時30分ごろ、静岡市葵区内の宿泊施設で県西部に住む37歳の風俗店店員の女性に対して同意を得ずに性交した疑いです。
静岡市消防局によりますと、逮捕された消防士の男は当日の勤務については非番だったということです。
所属消防士の逮捕を受け静岡市消防局の局長は「当局の職員が、不同意性交等で逮捕されたことについては、誠に遺憾であり、大変重く受け止めております。今後、詳細を確認したうえで、厳正に対処してまいります」とのコメントを発表しています。

引用:Yahooニュース「風俗店店員女性に対し同意得ず性交した疑い…静岡市消防局の消防士の男逮捕」10/26(木) 10:39配信
※記事の一部を変更して引用
https://news.yahoo.co.jp/articles/a0cabd39b89fb2a084dc634975a188cb0ea6e668

【解説】

1 不同意性交等罪とは?

不同意性交等罪とは、令和5年に施行された改正刑法で新設された罪です。
従来の強制性交等罪と準強制性交等罪が統合されていて、改正前の強制性交等罪では処罰できなかったケースにも対応できるように内容が変更されています。

2 不同意性交等罪の成立する行為とは?

改正された刑法177条の「不同意性交等罪」では、8つの行為・事由によって「同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあること」に乗じた性交等を処分しています。

具体的には以下のような行為を明文で規定しています。

① 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
② 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤ 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥ 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧ 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

上記のほかにも改正により不同意性交等罪では、その行為がわいせつなものではないと誤信させたり、行為をする者について人違いをさせたりして性交等をした者も処罰対象にしたり(第177条2項)、従来までの性交同意年齢は「13歳」とされていたところを、本改正によって不同意性交等罪における性交同意年齢を「16歳」に引き上げられました。
それにより、16歳未満の人に対して性交等を行った場合は、同意の有無に関わらず不同意性交等罪が成立するようになりました。

3 不同意性交等罪事件のポイント

今回の事例で、男性は不同意性交の嫌疑で逮捕されています。
不同意性交等罪の処罰内容は5年以上の有期拘禁刑のみで、罰金刑はありません。
不同意性交等罪は罰金刑が規定されていませんので、略式起訴されることはなく、検察官が起訴できるだけの証拠があると判断した場合には正式起訴(公判請求)され、刑事裁判になります。
不同意性交等罪のように重い処罰しかない犯罪は、初犯であっても執行猶予ではなく実刑(刑務所に行く)に処される可能性が高くなります。

しかし被害者と示談交渉を行い、被害者が被疑者を赦す「宥恕」の約定を盛り込んだ示談書の取交しができれば、不同意性交等罪であっても不起訴処分となる可能性が高くなります。
また、裁判でも、執行猶予判決が望めることとなります。

よって、不同意性交等罪事件では、弁護士を通して被害者と示談することができるかどうかがポイントになります。

【事務所紹介】

今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が静岡市で発生した不同意性交事件の被疑者男性の逮捕事例について解説しました。
上記の解説のように、不同意性交等事件のような被害者のいる犯罪では、被害者との示談や被害弁償をしたか否かが、検察官の起訴・不起訴の判断、裁判所の執行猶予や減刑の判断に大きな影響を及ぼすため、弁護士を通して被害者と示談できるかどうかがポイントの一つとなります。
この際に被害者と加害者が直接交渉を行うと、被害者の加害者に対する感情から状況が悪化する危険があるので、直接交渉は避けて弁護士に間に入ってもらうべきです。
また、不同意性交等罪の場合は供述が重要となることも多く、取調べの前後で弁護士から適切なアドバイスを受けること、刑事裁判になった場合に被告人質問で慌てないために事前に打合せをする、といった様々な弁護活動が考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
被害者との示談交渉の経験も豊富な弁護士が所属しております。
静岡県内で、ご家族が不同意性交等罪で警察官に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。

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