強制性交・準強制性交(強姦・準強姦)等

・強制性交等罪

13歳以上の者に対して暴行または脅迫を用いて性交等をした場合,強制性交等罪が成立します(刑法177条)。また,13歳未満の者と性交等をした場合は,暴行又は脅迫を用いない場合も同罪が成立します(刑法177条)。

法定刑は5年以上の有期懲役です。

 

・準強制性交等罪

人の心神喪失若しくは抗拒不能に乗じ,又は心身を喪失させ,若しくは抗拒不能にさせて,性交等をした場合に成立します(刑法178条2項)。

法定刑は5年以上の有期懲役です。

 

・監護者強制性交等罪

18歳未満の者に対して,その者の監護者が,監護者であることによる影響力があることに乗じて性交等をした場合に成立します(刑法179条1項)。

法定刑は5年以上の有期懲役です。

 

・強制性交等致死傷罪

強制性交等罪又は強制性交等未遂罪を犯し,よって人を死傷させた場合に成立します(刑法181条1項)。

法定刑は,無期又は6年以上の有期懲役です。

 

・平成29年改正について

平成29年6月23日に刑法が改正され,従来の強姦・準強姦は強制性交等・準強制性交等と改められ,新たに監護者性交等の罪が設けられ,平成29年7月13日より施行されました。

法定刑も従前より重くなっています。

旧法の強姦罪・準強姦罪では,被害者は「女子」と規定されていたため,女性に限定されていました。行為態様も「姦淫」と規定され,女性器に男性器を挿入する行為のみが強姦に当たりました。そのため,男性が被害者の場合は強姦とはなり得ず強制わいせつとなるのみでした。また,被害者が女性であっても,肛門や口に男性器を挿入した場合は強姦とはならず強制わいせつとなるのみでした。

平成29年改正により,強制性交等・準強制性交等では被害者は「女子」から「者」「人」と改められ,女性だけでなく男性も被害者となり得る犯罪に改められました。

また,「姦淫」から「性交,肛門性交,又は口腔性交」と改められたので,女性器に男性器を挿入する行為だけでなく,相手が男女問わず肛門や口に男性器を挿入すれば強制性交等に当たることになります。

新設された監護者性交等罪について説明します。旧法では,罪被害者が13歳以上の場合,暴行又は脅迫を用いられなければ強姦罪となりませんでしたが,暴行や脅迫がなくとも,親などの監護者が相手では拒むことができず性交等に応じざるを得ないことがありました。そこで,改正法では,監護者が被監護者を相手にその影響力に乗じて性交等をした場合は,暴行や脅迫がなくても監護者性交等罪が成立することになりました。

また,改正前は,強姦罪等は告訴がなければ検察官は公訴を提起(起訴)することができない親告罪とされていましたが,法改正により,告訴がなくても起訴ができる非親告罪になりました。なお,二人以上で強姦した集団強姦罪の場合は旧法でも非親告罪となっていましたが,同罪は改正法で削除されました。

 

・強制性交等と同時に強盗も行った場合について

強盗が強制性交等の罪を犯すか,強制性交等の罪を犯した者が強盗をした場合は無期または7年以上の懲役に処せられます(刑法241条1項)。これにより死亡させた場合は死刑又は無期懲役となります(同条3項)。

旧法では,強盗が強姦した場合は強盗強姦として無期又は7年以上20年以下の懲役でしたが,強姦した者が強盗をした場合は強姦と強盗の併合罪として5年以上30年以下の懲役であり,刑に不均衡がありました。改正法では,強盗と強制性交等の前後関係を問わず,強盗・強制性交等及び同致死という罪となります。

 

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