公判前整理手続について

・公判前整理手続とは

公判前整理手続とは,第1回公判を行う前に,争点及び証拠の整理を行う手続きのことをいいます。また,審理の経過にかんがみて必要があると認められた場合には,公判期日の合間に争点及び証拠の整理を行います。これを,期日間整理手続といい,公判前整理手続の場合と同様に,争点や証拠が整理され,審理の予定が定められます。

 

・公判前整理手続を行う場合

公判前整理手続は,裁判所が,充実した公判の審理を継続的,計画的かつ迅速に行うため必要があると認めるときに行われます。また,裁判員裁判の場合には,必ず公判前整理手続が行われます。

 

・裁判員裁判対象事件で必ず公判前整理手続を行う理由

一言でいうと,裁判員の負担を軽減するためです。

これまでの刑事裁判(特に争点が複雑な事件)では,大量の書類(書証)を証拠として採用し,証人に対して長時間にわたり詳細な尋問を行った上,裁判官が大量の書証や証人尋問の記録(調書)を読み込んで判断をするという審理が少なくありませんでした。

しかし,職業裁判官ではない一般市民である裁判員が,大量の書証や調書を読み込むことはそれ自体大変な負担ですし,仕事を休むなどして裁判に参加されるのですから,裁判員の方を長期間拘束するわけにもいきません。

そうすると,裁判員裁判では,法廷での審理を見聞きするだけで裁判員が争点に対する判断ができるような審理をし,数日で裁判を終わらせなければなりません。そのためには,公判前整理手続を行って争点を必要なものに絞り込んだ上,証拠を最良のものに厳選することが必要です。また,公判前整理手続の中であらかじめ訴訟の準備を行うことで,公判を連日的に開廷することが可能になり,公判が始まってから数日で裁判を終わらせることができます。このような考えから,裁判員裁判ではすべての事件で公判前整理手続を行わなければならないとされています。

 

・公判前整理手続の特徴と流れについて

まずは検察官が,裁判所と弁護側に対して,検察官の主張や立証方針を明らかにし,検察官が請求する証拠を開示します(検察官請求証拠開示)。これは,公訴事実の挙証責任が検察官にあるためです。

弁護側は,検察側に対して,一定の類型の検察側手持ち証拠の開示を求めることができます(類型証拠開示)。

弁護側も,裁判所と検察側に対して,弁護側の主張や立証方針を明らかにする必要があり(主張明示義務),その立証に必要な証拠の取調べを請求するとともに,取り調べ請求証拠を検察官に開示します(弁護側請求証拠開示)。

弁護側は,さらに検察官請求証拠,類型証拠以外に弁護側の主張に関連する検察側手持ち証拠の開示を求めることができます(主張関連証拠開示)。

どの証拠を公判で取り調べるかが決定されます。公判前整理手続において請求しなかった証拠を後日請求することは原則としてできません。

また,公判前整理手続を行った場合,公判で弁護側も冒頭陳述を行います。

 

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