静岡県熱海市で動画配信の逮捕事案
動画配信のために過剰な演出や虚偽の創作として行った行為が刑事事件化してしまうケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件例】
静岡県熱海市在住の自由業Aさんは、動画配信サイトへ動画を投稿し、その広告収入によって生活しています。
ある日、Aさんは友人2人と協力し、ひったくりに財布を盗まれた演技をし、通りがかりの警察官に応援を要請して一緒に追いかけるという企画を立て、実行に移しました。
撮影が終了し、後日、その動画がアップされ、ネット上で批判を集まることで社会の注目が高まったため、ある日、静岡県警熱海警察署の警察官がAさん宅を訪れ、任意の取調べを受けました。
その後、Aさんらは在宅のまま偽計業務妨害罪の疑いで書類送検されました。
(※フィクションです)
【動画配信と刑事事件】
閲覧数を稼ぐために過激な、時に反社会的な動画を投稿するユーチューバー等が世界的に話題となっています。
日本では、2017年8月26日、違法な薬物と見せかけた、実際には違法ではない白い粉を警察官の前で故意に落とし、警察官から逃走する動画が話題となりました。
この男性は、いたずらドッキリという趣旨で動画を投稿していますが、この行為によって、交番勤務の警察官28人が追跡する事態となり、社会の注目を集めた結果、偽計業務妨害罪という刑事事件にまで発展しました。
これに対して、同年9月28日、福井区検察庁は実行犯である被疑者に対して罰金40万円の略式命令を出しました。
略式命令とは、簡易裁判所の管轄事件で、100万円以下の罰金または科料の事件であり、かつ略式手続きについて被疑者の異議がない場合にのみ、公判を行わず簡易かつ迅速に事件を処理する命令を言います。(刑訴法461条以下)
なお、この事件では動画撮影をしていた妻も偽計業務妨害罪の疑いで逮捕されていましたが、不起訴処分となっています。
いたずらやドッキリ関係の動画では、撮影対象の同意を得ないで特定の行為を行い、その戸惑った様子を撮影することが予想されます。
このような企画動画の製作者には、信用毀損罪または偽計業務妨害罪(刑法233条)、威力業務妨害罪(刑法234条)、公務執行妨害罪(刑法95条)などに該当することがないよう配慮する倫理観が求められていると言えるでしょう。
静岡県熱海市の不適切な手段による動画配信によって偽計業務妨害罪などで刑事事件または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。