静岡県富士宮市のコンビニで器物損壊罪
トラック運転手をしているAさんは、ある夜、静岡県富士宮市の道路を走っていたところ、用を足すついでに飲食物を購入しようとコンビニ店に立ち寄りました。
ところが、Aさんが会計を済ませる際、コンビニ店の店員の手際が悪く、それに対して謝罪もなかったことからAさんは苛立ち、店を去り際にガラス戸を強く蹴りつけたため、ガラス戸に大きなヒビがはいりました。
ガラス戸が損壊していることに気付いた店員が静岡県警富士宮警察署に器物損壊罪の被害を訴え、警察は店の防犯カメラからAさんの身元を特定し、器物損壊罪の疑いで警察への出頭を求めました。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、今年9月18日、コンビニのガラス戸を足蹴りして壊したとして、兵庫県警灘警察署が49歳の会社員男性を器物損壊罪の疑いでを逮捕した事案をモデルにしています。
警察によると、逮捕容疑は、17日午後7時前、神戸市灘区のコンビニにおいて、出入り口のガラス扉を右足で蹴って割った疑いであり、被疑者は事実を認めている模様です。
被疑者男性がコンビニ店を出るときに音がし、直後に足を押さえて立ち止まっていたため、店員が被疑者に近づいて様子を伺ったところ、コンビニのガラス戸が損壊されていたため警察へ通報し刑事事件化したとのことで、被疑者男性は、購入品を袋にまとめる際の店員の対応が不満だったと動機を供述しています。
経済産業省の平成28年度の商業販売額の調査によれば、小売業におけるコンビニエンスストアの成長は著しく、小売業全体でおよそ140兆円に達する巨大な市場において、コンビニは約11.5兆円(約8%)を占めるに至っています。
コンビニ業界全体では、市場の飽和による成長の鈍化が見られるものの、他の小売業との競争の中で、今後も緩やかに成長を続けるだろうと強く予想されているようです。
コンビニ店は、特に人口の集中する都市において店舗数を競い合う傾向があると言われ(いわゆるドミナント戦略)、今では見直されつつある24時間営業の業態もあり、刑事事件との関係で言えば、深夜のコンビニ強盗などで報道されることがあります。
また、コンビニ店は人件費削減と店舗拡大の戦略的観点から、自動支払いレジや各種官公庁への振込対応など様々なシステムを導入しているところ、特に未成年者に対する酒やタバコの販売禁止のための年齢確認システムについては、客が店員から年齢確認を求められたことに激高し、レジの液晶パネルを壊したとして、器物損壊罪の疑いで逮捕された事案も多く報道されています。
このように、ちょっとしたサービスに対する不満が、積もっていたストレスと反応して周囲の物にあたってしまい、刑事事件化する例がしばしば見受けられ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所でも多くの相談を承っております。
器物損壊罪を定める刑法261条は、別の犯罪として規定されている、公用文書、私用文書、建造物等を除き、それ以外の他人の物を損壊または傷害した者に対して、3年以下の懲役または30万円以下の罰金を定めています。
器物損壊罪は、刑事告訴がなければ検察官が起訴することができない「親告罪」であり、その弁護活動にあたっては、被害者との示談締結によって告訴を出さない、または取り下げてもらうことが何よりも重要です。
ただし、被害者の目前で物を損壊して現行犯逮捕されたケースでは、被害者の処罰感情が強い傾向がありますので、その刑事弁護については、刑事事件の示談交渉の経験が豊富で、示談金や示談条件のノウハウに詳しい刑事事件専門の弁護士にお任せすることが良いでしょう。
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