静岡県浜松市で店に虚偽の予約をして偽計業務妨害罪
店に虚偽の予約をしてキャンセルするなどして店の営業を妨害した場合に生じる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件例】
静岡県浜松市の会社員Aさんは、ストレスが高じて嫌がらせをするために、市内の居酒屋の営業を妨害する目的で、20名程度の大口の予約客を装って宴会の予約を行っては無断キャンセルを行う等の営業妨害行為を繰り返しました。
静岡県警浜北警察署に同様の相談が相次いだことから、警察は意図的な業務妨害行為ではないかと捜査を進めたところ、被害のあった店舗には同一のIPアドレスから予約電話または予約メールが発信されていたと判明したため、警察は偽計業務妨害罪の疑いで事情聴取を求めることにしました。
(フィクションです)
上記刑事事件例は、虚偽の宴会を予約して居酒屋の業務を妨害したとして、警視庁が今年11月11日、東京都葛飾区の無職男性を偽計業務妨害罪の疑いで逮捕した事案をモデルにしています。
警視庁丸の内警察署によると、被疑者は今年6月26日、東京都千代田区内の居酒屋に、1人1万3千円の17人の宴会を同28日午後8時から予約する虚偽の電話を入れ、料理を準備させるなど業務を妨害した疑いが持たれています。
前日の予約確認の電話にも「変更はない」と答えていたものの、警察調べに対し、「電話はしたが予約はしていない」と事実を否認する供述をしている模様です。
同じ日にこの居酒屋の、他の4店でも計58人分、約30万円分の予約が無断でキャンセルされ、運営会社が警視庁に相談していました。
被疑者は予約時に「スズキ」と偽名を名乗っていたが、いずれも同じ自分の電話を使っていたことから虚偽の予約による偽計業務妨害罪の疑いが浮上したという。
【偽計業務妨害罪とは】
刑法第233条によれば、虚偽の風説を流布したり、偽計を用いて、人の信用を毀損したり、または人の業務を妨害した場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
この条文の「偽計を用いて人の業務を妨害」する行為を特に偽計業務妨害罪と呼び、妨害行為の結果、実際に業務が妨害されたことは必要ではなく、業務を妨害する可能性がある行為であれば足りると解されています(判例)。
上記刑事事件例に類似した偽計業務妨害罪が成立した実際の刑事事件例として、昨年9月8日、千葉県松戸市内にある大型商業施設の食品売り場で、賞味期限切れのチョコレート菓子計7個を陳列棚に置き、店の業務を妨害したとして、偽計業務妨害罪の疑いで松戸市在住の女性が逮捕、検察官送致されました事案があります。
上記被疑者は、不審な動きをする人物として防犯カメラの映像から割り出され、実際に店員が確認したところ、陳列が不自然で、賞味期限はいずれも1年以上過ぎていたことが判明しました。
前述のとおり、偽計業務妨害罪の成立にあたっては業務妨害の可能性があれば足り、上記事例において実際には賞味期限切れの食品を購入した客がおらず実損害が発生していなかった場合でも、賞味期限切れの食品が発覚した場合には食品店舗の業務運営に大きな妨害となりえた可能性があるため、店舗に対する業務妨害の抽象的危険は認定されると考えられます。
上記実際の事案においても、警察の調べに対し、被疑者は「賞味期限切れとは思わなかった」「口に合わなかったので戻した」等と話しており、店に対する嫌がらせや業務妨害目的は否認しているように、偽計業務妨害罪の被疑事実を否認する被疑者は比較的多いように見受けられ、捜査機関から厳しい事実認定の追求を受けることになると予想されます。
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