静岡県掛川市で高齢者による特殊詐欺
静岡県掛川市在住の年金受給者Aさんは、年金を受給しつつ貯金を切り崩して生活をしていましたが、とうとう貯金が尽きてしまい、将来の生活に不安を感じるあまり、犯罪行為によってお金を稼ごうと決心しました。
Aさんは市内の公衆電話から、警察官を装って交通事故の被害届取下げにお金が必要だと電話をかけ、電話相手から現金を受け取ろうと待ち合わせ場所に向かったところ、待ち構えていた静岡県警掛川警察署の警察官によって詐欺未遂罪の疑いで現行犯逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは事実を認めています。
(フィクションです。)
上記刑事事件例は、80代の高齢者から特殊詐欺で現金をだまし取ろうとしたとして、今年7月24日、大阪府警が、大阪市の75歳の無職男性を詐欺未遂罪の疑いで現行犯逮捕した事案をモデルにしています。
警察によると、被疑者は7月23日、警察官を装って被害者宅に電話を掛け、「あなたの長男が歩行者をはねた」「示談金180万円で釈放できる」と偽り、同時に「事故被害者のおじ」役として現金180万円を受け取ろうとしたようです。
電話を受けた被害者男性の妻が、事故を起こしたと言われた長男の職場に確認したところ、長男が事実を否定したために詐欺が発覚し、警察に通報し、電話勧誘役「かけ子」と現金受け取り役「受け子」の2役を1人でこなしていた被疑者が、現金の受け渡し場所に現れた被疑者の身柄を確保して、詐欺の被害を未然に防ぐことができました。
警察の調べに対し、被疑者は事実を認め、「公衆電話からタウンページを使って電話した」「年金と生活保護では生活できなかった」と供述しているようです。
日本の平均年収については、厚生労働省の毎月勤労統計調査や国税庁の民間給与実態統計調査、厚生労働省の国民生活基礎調査などの複数の統計資料が参考になりますが、共通して言える点は、民間の平均年収について、1990年代は450万円以上を下回ったことがないものの、それ以降の20年において、平均年収は400~420万の範囲で低下しているという点です。
この傾向は、特に若い世代に顕著であり、その背景には、2000年度以降本格化した非正規労働者の増加による低賃金化の流れがあると原因の一つであるとも言われています。
このことから、特に暴力団等の反社会勢力が中心に活動している特殊詐欺グループにおいては、定職につけない若者や低所得に苦しむ若者を勧誘して、組織的な特殊詐欺の末端として活動させ、特殊詐欺の活動範囲を拡大して詐欺被害を拡大させているとの現状があります。
他方、年金受給だけでは生活できないため、老後資産は約2000万円必要といった見解が現在非常に話題になっているように、高齢化社会の進展により労働収入を得ることができなくなった高齢者の方々の経済的窮乏の拡大も問題視されつつあります。
頭書刑事事件例のような特殊詐欺事案の場合、同じ特殊詐欺事案といっても、若者が加担する組織的な詐欺グループの活動ではないため、相対的に逮捕や勾留される可能性が若干低くなる可能性はあると考えられますが、他方で厳罰化の傾向にある特殊詐欺事例では捜査段階から適切な捜査対応を行うことが大切ですので、自分の主張を正しく効果的に伝え、情状面で考慮してもらいたい主張があるのであれば、刑事事件を専門とする経験豊富な刑事事件弁護士に弁護を依頼することが安心です。
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