静岡県沼津市で生活保護の不正受給の詐欺罪で逮捕
静岡県沼津市在住の建設作業員Aさんは、建設作業員として収入があるにも関わらず、架空の勤務先を市役所に申告し、実際よりも極めて少ない収入しか得ていないと虚偽の申告を行っていました。
市役所がAさんの預金口座を調べた際、申告された収入以上の金銭が入金されているのが発覚し、市が静岡県警沼津警察署に刑事告訴を行い、Aさんは詐欺罪の疑いで逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは生活保護の不正受給の事実を認め、不正受給した金銭は遊行費に充てたと供述しています。
(※フィクションです)
上記刑事事件例は、収入があることを隠して生活保護費を不正受給したとして、大阪府藤井寺市が市内在住の60代男性が詐欺罪で刑事告訴し、大阪地検堺支部が同罪で起訴した事案をモデルにしています。
市によると、被疑者は建設作業員として働いていたが、架空の勤務先を市に申告し、実際よりも収入を少なく見せかけて、平成23年12月から30年4月までの間に60回、生活保護費計約570万円をだまし取っていた疑いがあり、被疑者は不正受給分について「大半をパチンコに使った」と供述しています。
市は、被疑者に年金収入がないかを確かめるため呼び出すなどしたが、応じないことから口座を調べたところ、実際の収入は多い月には約50万円あるなどの事実が発覚したため、市が昨年秋に刑事告訴に踏み切って刑事事件化に至りました。
社会保障審議会会生活困窮者自立支援及び生活保護部会の資料によれば、生活保護受給世帯数は、平成21年度の約127万世帯から、平成29年度の約164万世帯に右肩上がりで増加しており、生活保護受給世帯は約29%増加しています。
同資料によれば、長引く経済不況と国際的な企業間の競争が激化したことにより、日本国内の中小企業の倒産数は高止まりしており、大企業でも人員削減の動きが活発化していることから、今後とも生活保護受給世帯の数が減少することはないだろうと悲観的な予測がされています。
このような厳しい経済環境においては、上記刑事事件のような生活保護の不正受給による詐欺罪も増加することも考えられます。
一般に、財産犯罪の中でも詐欺罪は「人を欺いて(欺罔)財物を交付させ」るため、違法性が高く、窃盗罪とは異なり罰金刑の選択はなく、10年以下の懲役のみが定められています。
そして、特に生活保護や年金のように、国や地方公共団体が支給する金銭に対する詐欺罪の場合、国や地方公共団体が個別の刑事事件の刑事処罰を求めないということはあり得ず、不正受給の事実が発覚した場合には積極的に刑事告訴を行う例が多く、刑事事件化後は示談に応じることは無いでしょう。
このような詐欺罪の刑事事件の場合であっても、示談の締結は無理でも、出来得る限りの被害弁償を行い、謝罪や贖罪の意を表していくことで、少しでも予想し得る刑事処罰を軽くする可能性が残されており、刑事事件を専門とする弁護士の協力を得て最善の結果を目指すことをお勧め致します。
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