静岡県下田市で高齢者の万引き(窃盗)の再犯
静岡県下田市在住の年金受給者の男性Aさん(73歳)は、定年退職後、有り余った時間を持て余すようになり、市内のスーパーやコンビニ店などで万引き(窃盗)を繰り返し行うようになりました。
これまでに4回の万引きを店員に発見され、その内2回はAさんの妻が身元引受人となり、店に対して謝罪と損害賠償を申し出たため、店は万引きの事実を警察に通報しないで終わりましたが、逆に2件の万引きについては、店は警察に通報したため刑事事件化し、その内1件は検察官から厳重注意を受けて不起訴処分(起訴猶予)となったものの、2回目については罰金20万円の略式命令が下されました。
このたび、Aさんが散歩の途中で立ち寄ったスーパーで総菜を盗んだとして、店が被害届を提出したために刑事事件化し、Aさんは窃盗罪の疑いで静岡県警下田警察署で取調べを受けました。
Aさんの妻は、2年前に万引き(窃盗罪)で罰金刑を受けたAさんが再び窃盗罪を行ってしまったことで、今回の刑事事件でAさんがどのような刑事責任を負うことになるのか不安となり、刑事事件を専門とする弁護士に法律相談することにしました。
(※フィクションです)
警察庁の警察白書によれば、65歳以上の高齢者による万引き(窃盗罪)事件が増加しています。
一般刑法犯罪の検挙人員に占める高齢者の割合は、平成10年度あたりから右肩上がりに上昇し始め、平成20年ごろには検挙人員が3倍近く増加しています。
万引き(窃盗罪)を行った高齢者の犯行動機について主なもの3つまで調査した結果は、男性の場合、1.生活の困窮(66%)、2.対象物の所有(36.6%)、3.空腹(18.8%)となっています。
対して女性の場合、1.対象物の所有(63%)、2.節約(59%)、3.生活の困窮(22%)となっています。
そして、注目すべきは、万引き(窃盗罪)で検挙された高齢者のうち、77%が同種の前科あること(再犯)です。
つまり、上記の万引き(窃盗)の動機を見るに、生活の困窮や空腹など、容易には状況を改善することができない原因で逮捕された場合には、かなりの確率で再犯を行うことが多いということです。
また、高齢に伴う前頭葉や側頭葉の収縮により、認知症の一種であるピック症にかかり、性格が変わったり、万引き(窃盗罪)や暴行罪などの反社会的な行動をとるようになるケースがあると言います。
ピック症は発症が分かりにくく、自分が万引き(窃盗罪)で捕まったことをきっかけにピック病が見つかったというケースもあるようです。
なお、高齢者の万引き(窃盗罪)で刑事事件化した場合、初犯で、かつ被害弁償も済んでおり、被害額が小さい等の事情があれば、不起訴処分(起訴猶予)となることもありますが、そのような事情が無い場合や、万引き(窃盗罪)の再犯である場合には、罰金刑が科せられる可能性が高くなり、量刑としては概ね20万から30万の罰金が科されるケースが多いと思われます。
窃盗罪の法定刑は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金であるところ、同種前科が多くなればなるほど(そして直近の犯行が近ければ近いほど)被疑者の反省がなされていないと判断され、情状面は悪質とみなされ、より重い罪で処断される可能性が高まります。
また、窃盗罪で執行猶予つきの懲役刑を科された事案で、その執行猶予期間中に再び万引き(窃盗)を行ってしまったような場合では、実刑判決を回避することが非常に難しくなるでしょう。
このように、高齢者の万引き(窃盗罪)は、再犯の可能性が大きく、前科がついてしまう可能性や実刑判決が下されるようになってしまう可能性もあるため、このような刑事事件は、刑事事件に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
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