静岡県裾野市で自動車運転ミスで死亡事故
自動車運転上の過失(ミス)により、死亡事故を起こしてしまった場合の、その刑事事件の展開とその刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件例】
静岡県裾野市在住の年金受給者Aさん(77歳)は、自動車で自宅近くのコンビニに行ったところ、自動車を駐車させる際に、運転を過って歩道を通りかかった会社員男性Vさん(35歳)を轢いてしまいました。
Aさんは、通報を受けて駆け付けた静岡県警裾野警察署の警察官によって事情聴取を求められ、自動車運転処罰法違反(過失運転致傷罪)の疑いで書類送検されました。
被害者男性は、事故後すぐに病院に搬送されたものの、重度の脳挫傷のため意識を失っており、その2週間後に息を引き取りました。
事件を受けた検察庁は、罪名を過失運転致死罪に切り替えて、引き続きAさんを呼び出し捜査を進めています。
(※フィクションです)
上記刑事事件例は、今年2月6日午前8時半ごろ、埼玉県草加市高砂2丁目の県道で、無職男性(81歳)がワゴン車にはねられ、搬送先の病院で死亡が確認されことを受け、埼玉県警草加警察署は自動車運転処罰法違反(過失運転致傷罪)の疑いで、運転していた同市の農業の女性(47歳)を現行犯逮捕した事案をモデルにしています。
※この刑事事件は弊所で受任となった事件ではありません。
警察によると、現場は信号機付きの十字路交差点で、横断歩道付近を渡っていた被害者を、右折しようとしたワゴン車がはね、死に至らしめてしまった模様です。
警察は容疑を過失運転致死罪に切り替えて、詳しい事故原因を調べています。
【過失運転致死傷罪と逮捕の有無】
昨今では、高齢者ドライバーによる運転事故により発生した死亡事故に関する報道が過熱し、特に幼い幼児が死亡した痛ましい事件においては、ネット上で被疑者の逮捕や厳罰を強く求める声が上がっています。
この点、刑事手続において、被疑者の身体を拘束して捜査を進めること(逮捕や勾留)の意義をまず理解する必要があります。
そもそも、ある犯罪に対して、被疑者・被告人が法律上の責任を負うか否かは、公開の裁判を経て有罪判決や無罪判決の言渡しを受けて確定するのが原則です(刑事訴訟法第335条、336条)。
このように刑事責任の有無が確定するまでは被疑者・被告人を有罪として扱うことは許されず、その裁判のプロセスにおいても、被疑者・被告人は、刑事訴訟法や刑事訴訟規則、その他関連法に従い、適正な手続きの下で有罪の有無が争われることになります(憲法第31条、刑事訴訟法第1条など)。
そして、被疑者の身体を拘束する刑事手続について、逮捕の場合は、現行犯人や緊急逮捕以外の場合では、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由を裁判所が認めた場合に限り逮捕することができるとしています。
また、捜査機関は、捜査はなるべく任意捜査の方法によらなければならず(犯罪捜査規範第99条)、逮捕にあたっては、犯罪構成要件の充足その他の逮捕の理由、逮捕の必要性、これらに関する疎明資料の有無、収集した証拠の証明力等を充分に検討して、慎重適正に運用しなければなりません(同第108条)。
また、逮捕に引き続いて被疑者の身体を拘束する「勾留」においても、被疑者が住所不定の場合や、被疑者を勾留しなければ被疑者が逃亡するおそれがある、または罪証(証拠)隠滅を図るおそれがある場合に勾留の必要性が認められるとされています(刑事訴訟法第60条第1項)。
よって、過失運転致死傷罪の交通犯罪の刑事事件においては、被疑者が被疑事実を否認して逃亡や罪証隠滅が疑われる事情等が無いかぎり、被疑者を逮捕・勾留せず、在宅のまま捜査が続くことが多く見受けられます。
実際、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に寄せられる交通犯罪の刑事事件においても、そもそも交通犯罪で逮捕や勾留されることは非常に少なく、仮に現行犯逮捕された場合であっても、刑事弁護人が勾留の必要性はないと効果的に主張し、被疑者の釈放に成功することがほとんどです。
このような過失による交通犯罪の刑事事件では、むしろ、在宅で捜査が進行している間に、被害者に対する謝罪や民事上の被害弁償を進め、真摯な反省を示し、結果として被害者の遺族から処罰感情を少しでも和らげていくことが重要となります。
自動車の運転は社会人にとってはごく自然な生活の一部であるゆえ、ふとした不注意で思わぬ刑事事件に発展することもあり得ますので、過失運転致死傷罪等の交通犯罪で刑事事件化した場合には、経験豊富な刑事事件弁護士に事件を依頼することをお勧め致します。
静岡県裾野市で、自動車運転ミスで死亡事故を起こし、過失運転致死傷罪で刑事事件化または逮捕されてお悩みの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回無料相談や初回接見サービスをご検討ください。