静岡県南伊豆町で大麻の所持と栽培で逮捕
静岡県南伊豆町にて、大麻草を栽培し所持していたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討致します。
【事例】
下田署は18日までに、大麻取締法違反の疑いで南伊豆町伊浜、飲食店経営の女(50)を逮捕し、静岡地検沼津支部に追送致した。
逮捕容疑は6月20日、自宅で乾燥大麻約5グラムを所持した疑い。
追送致容疑は5月上旬から6月下旬までの間、自宅で大麻草17本を栽培した疑い。
同署によると、火災の通報で容疑者の自宅付近に駆け付けた警察官が、庭や自宅内で大麻草を見つけたという。
≪(静岡新聞HP2023年8月19日配信、同21日閲覧)大麻所持・栽培の疑い 南伊豆の女を逮捕、追送検 下田署≫
【大麻の栽培について】
大麻の栽培について、我が国では歴史的に、大麻草の繊維は、衣類や漁具、神社のしめ縄等に利用されてきました。(厚生労働省HP)
しかし、大麻の栽培をするためには、都道府県知事の免許を受ける必要があり、その目的も「繊維若しくは種子を採取する」というものに限られます。
この免許を受けずに大麻を栽培する行為は、大麻取締法に違反します。
条文は以下のとおりです。
(大麻の栽培等の禁止)
大麻取締法3条1項 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
(大麻の栽培等の罰条)
大麻取締法24条1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。
ちなみに、大麻草は稀に自然に生育する場合があり、意図せず自生しているという場合もあるようですが、大麻取締法のいう栽培は意図して大麻草を生育させることを指しますので、庭に自生していた場合に大麻取締法に当たる、というわけではありません。
大麻草が自生しているところを発見した場合、自分では抜かず、管轄する保健所等に連絡する必要があります。
【大麻の栽培での刑事罰】
大麻を自らの意思で栽培し有罪になった場合、
・懲役刑
・執行猶予付懲役刑
・上記に加え罰金刑
という刑事罰が考えられます。
ここで問題となるのが、栽培の目的です。
もし、栽培の目的が他人に有償で譲り渡す(販売する)目的であれば、営利目的栽培の罪に当たり、前出の大麻取締法24条2項の罰条(10年以下の懲役/10年以下の懲役と300万円以下の罰金の併科)の範囲で処されます。
営利目的栽培に当たるかどうかは、本人や事件関係者の供述に加え、栽培していた大麻草の量、他人とのやり取り(メール等の履歴)、入出金履歴などを総合的に勘案して判断されます。
今回の報道事例については、栽培した大麻は17本で所持していた乾燥大麻は5gと量がそこまで多くないことから、自己使用目的であると判断され大麻取締法24条1項で処理されると考えられますが、それ以外に大麻が見つかったり他人との売買のやり取りが見つかった場合には営利目的栽培として同2項で起訴される可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻栽培・所持などの薬物事件の弁護経験も豊富です。
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