・捜査とは何か
捜査とは,捜査機関において犯罪があると思料するときに,公訴の提起及び遂行のため,犯人及び証拠を発見,収集,保全する手続のことです。
捜査には様々なものがありますが,例えば,被疑者を逮捕したり,取り調べたりすることは,被疑者を起訴するかどうか決めたり,裁判を行うための証拠を集めるために行われるので,捜査に当たります。
・捜査の流れ
捜査機関は,職務質問や,告訴,告発等により捜査の手がかりを得ると,被害者や目撃者の事情聴取を行ったり,犯罪現場の実況見分をしたりして関連する証拠を集めます。
そして,被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,被疑者を逮捕する必要性が認められる場合,捜査機関は裁判官の発付する令状に基づいて被疑者を逮捕し,必要な場合には引き続いて勾留することになります。
・逮捕されやすい場合
重大な事件を起こした場合には,逮捕されやすくなります。重大な事件というのは,罪名でいうと,例えば窃盗よりは強盗,傷害よりは殺人の方が重大な事件といえます。
同じ罪名でも,生じた結果によってより重大な事件と判断される場合があります(窃盗 ならば被害金額,傷害ならば怪我の程度)。
また,定職がなかったり,家族がいなかったり,住居がない場合には,逃亡の恐れがあるとして,逮捕されやすくなります。
また,被疑者による証拠隠滅が疑われる場合などにも,逮捕されやすくなります。
・逮捕されないか不安
あなたが犯罪を犯した場合でも,警察が必ずあなたを逮捕するわけではありません。逮捕をすることなく,在宅事件という形で捜査を続ける場合もあります。
警察に事件の話をして,手錠を掛けられるなどして逮捕されなかったのであれば,在宅事件として処理されている可能性が高いです。その場合,警察の指示に応じて,必要な場合に捜査に協力していれば,逮捕されることはまずありません。
・逮捕されたら
逮捕されると,通常は警察署内にある留置場(あるいは拘置所)から出ることを禁止され,外部との連絡も自由にできなくなります。そして,48時間以内に事件が警察から検察官に送られ,検察が24時間以内に被疑者を釈放するか,引き続いて身体拘束をするかを決めます。
・勾留とは
勾留とは,逮捕に引き続く身体拘束のことをいいます。検察官が勾留を請求し,裁判官が勾留するかどうかを決定します。一度勾留されると,原則として10日間身体拘束が続きます。
さらに,検察官は一度だけ勾留の延長を請求することができ,これが認められた場合には,最大でさらに10日間勾留されることになります。最大20日間の勾留の間に,検察官が被疑者を起訴するか不起訴にするか決めます。不起訴の場合には事件はそこで終了し,身体拘束も解かれます。起訴された場合,釈放されることはまれで,保釈が認められない限り,多くの場合,裁判終了まで出ることはできません。
勾留を解くためには,裁判官の勾留決定に対し不服申し立てをする方法と,勾留されてから事情が変わったことを理由に,勾留の取り消しを請求する方法などがあります。
・勾留されやすい場合
重大事件の場合,重い刑から逃れるために逃亡や証拠隠滅を図るおそれが高いと判断され,勾留されやすくなります。
また,共犯者のいる事件や詐欺などの組織犯罪の場合,仲間と口裏合わせをしたり,逃亡の指示をしたりすることも考えられるので,勾留される可能性が高いといえます。
・在宅事件の流れ
前述のように,刑事事件の捜査が始まれば必ず被疑者の身体が拘束されるわけではありません。身体を拘束されなくても,刑事事件として捜査がされる場合を在宅事件といいます。
在宅事件の場合,被疑者は普段通りの生活を送りながら,必要に応じて捜査に協力することになります。
そして,検察官が起訴するかどうか,起訴するとして公判請求せずに罰金で終わらせるのか,公判請求をするのかといった処分を決定します。被疑者が身体拘束されている身柄事件の場合には,身体拘束の期間制限があるのに対し,在宅事件の場合にはそれがありません。そのため,身柄事件よりも処分在宅事件の方が,最終的な処分が決定するのが遅くなる傾向にあります。