自殺ほう助事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案:心中を図ろうとした際に息子の自殺を手伝ったとして、自殺ほう助の罪に問われた男(岐阜県岡崎市)の判決公判で、裁判所は懲役2年執行猶予4年(求刑懲役2年)を言い渡した。
(静岡新聞「息子の自殺ほう助 父親に有罪判決」(2022/9/28)」を引用・参照)。
~自殺ほう助とは~
故意に人を死亡させることに関する犯罪として、刑法は殺人罪(199条)以外にも同意殺人罪(嘱託・承諾殺人罪)、自殺教唆・幇助罪が規定(202条)されています(なお、本稿で言及するのは26章に規定する罪に限り、他の犯罪に関連して人を死亡させる犯罪(強盗殺人罪等)については触れません)。
この中でも、自殺教唆・幇助罪は特殊な罪として位置付けられています。
というのも、教唆や幇助という(狭義の)共犯には正犯の存在が不可欠であると考えられているにも関わらず、刑法には自死・自殺を処罰する規定がないからです。
そして、争いはあるものの、自殺教唆・幇助罪は被殺者以外の第三者が自殺行為にかかることに独自の違法性を認めるものであると考えられています。
したがって、わが国では諸外国では不可罰とされる例も少なくない自殺教唆・幇助罪を処罰の対象としているのです。
近年、10代を中心とした若年層の自死・自殺が増加しており、本件のような幇助行為の増加も懸念されています。
~自殺ほう助事件における量刑等~
本事例では、懲役2年執行猶予4年と執行猶予は付いているものの、有罪判決が下されています。
同じく近年の事例でいえば、SNSで知り合った自殺志願者の自殺行為の幇助未遂が問われたケースにおいては、懲役1年6月、執行猶予3年の決して軽いとはいえない有罪判決が下されています。
未遂にとどまっている以上(203条)、刑の任意的減軽(43条本文)の対象になりますが、既遂である本件とそれほど大きな量刑差はなく、故意に人の死亡に関わった場合の罪の重さが伺われます。
もっとも、被害者遺族との示談等の重要性は決して低く見積もることはできないことから、弁護士による弁護活動が重要であることはいうまでもありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、自殺ほう助を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
自殺ほう助事件で逮捕・起訴された方のご家族等は、365日・24時間いつでも無料通話可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。