(事例紹介)窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例

(事例紹介)窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例

窃盗

窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事案~

静岡地検は、窃盗の疑いで逮捕、送検されていた静岡県静岡市内の男性を不起訴処分とした。
地検は、理由については明らかにしていない。
男性はJR静岡駅北口ロータリーで寝ていた男性会社員のかばんから財布とカードケースを盗んだとして、静岡中央警察署などに逮捕されていた。

(静岡新聞「窃盗疑い逮捕の特支教諭不起訴 静岡地検」(2023/11/7)」を引用・参照の上、適宜修正。)

~窃盗罪における占有について~

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法235条(窃盗罪)は、他人の意思に反して他人の物の占有を侵害することを処罰する趣旨の規定です。
詐欺罪等の交付罪とは、物の占有の移転が被害者の意思によるかそうでないかといった点で罪質が異なることになります。
窃取罪が成立するには上記の通り「窃取」という要件を満たす必要がありますが、「窃取」とは(他人の意思に反し)他人の占有を侵害することが前提となっていることから、対象となる財物に被害者の占有が及んでいるかが問題となります。
占有とは、財物に対する事実的支配をいい、これは占有の事実と意思から判断されるものと解されています。
本件では、上記事案の事実の存在を前提とするならば、被害者が寝ていることから占有の意思の減弱が認められうるところ、あくまで盗まれた財物等はカバンの中に入っていたわけですから被害者の占有の事実は強固であり、財物の事実的支配は優に認められるものと考えられます。
なお、詳述はしませんが、窃盗罪の成否においては故意の他に不法領得の意思という主観的要件も問題となることに注意が必要です。

~窃盗事件における刑事弁護活動〜

本事案では、被疑者は窃盗の疑いで逮捕されましたが、後に不起訴処分となっています。
我が国の刑事手続では、検察官の起訴裁量(刑事訴訟法248条参照)が広範に認められており、逮捕(・勾留)されたからと言って、必ずしも刑事裁判になるわけではありません。
不起訴処分にも、罪とならず・嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予など様々な理由に基づくものがありますが、本件ではその詳細は明らかではありません。
そこで、以下では(最も多いと考えられる)起訴猶予について、窃盗事件の特徴との関連を中心に記述することとします。
窃盗罪は、財産犯(財産を侵害する犯罪)の典型であり、国家や社会とは異なり個人の法益を保護している犯罪類型です。
したがって、被害者との示談の成立の有無が、不起訴処分を獲得するにあたって大きなウェイトを占めることになります。
仮に被疑者に前科・前歴等があったとしても、示談が成立していれば十分に不起訴を得る可能性があるため、起訴前の弁護活動が非常に重要と言えます。
このことは、統計上、窃盗罪で(略式手続を除く)正式裁判として起訴される件数が非常に少ないことからも裏付けられていると考えることもできるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件全般を専門として扱っている法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方やそのご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

 

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