静岡県菊川市で自転車のひき逃げ

静岡県菊川市で自転車のひき逃げ

静岡県菊川市在住の会社員Aさんは、毎日自転車で駅まで通学しているところ、ある日、朝寝坊して家を出る時間が遅れたため、猛スピードで自転車を走らせていたところ、減速も左右確認もせずに交差点に差し掛かった際に、交差点を歩行していた高齢女性Vさんにぶつかって転倒させました。
しかし、Aさんは通勤を急いでVさんに対する対応を何もせずに自転車で走りだし、Vさんは通行人によって救急車で病院に搬送され、足の骨を折る重傷と診断されました。
Vさんの家族は静岡県警菊川警察署ひき逃げの被害届を提出し、交差点の防犯カメラ等からAさんの身元を特定できたため、Aさんは道路交通法違反ひき逃げ)および過失傷害罪の疑いで事情聴取を受けることになりました。
(※フィクションです)

上記刑事事件例は、自転車で小学生をひき逃げしたとして、福岡県警西警察署が今年8月23日、福岡市早良区の高校1年の男子生徒を道路交通法違反ひき逃げ)および過失傷害罪の疑いで書類送検した事案をモデルにしています。
警察の発表によると、男子生徒は、7月6日午前11時半過ぎ、福岡市西区の市道で、見通しの悪い曲がり角を左折しようとした際、小学1年の男児と出合い頭で衝突したにも関わらず、そのまま立ち去った疑いが持たれており、「男の子が泣きじゃくるばかりで、何も答えなかったのでそのまま行きました」と事実を認めている模様です。
転倒した男児は左足の骨が折れる全治2カ月の重傷を負い、近所の女性が男児を抱えて自宅まで向かい、母親が110番通報して刑事事件化に至りました。

道路交通法上では、自転車は「軽車両」として扱われ、ブレーキや前照灯、後部反射器材または尾灯が装備されていることが義務づけられており、これら安全配慮義務に対して反則金などの罰則がある他、自転車の危険な運転による事故についても、通常の自動車等と同じく罰則が定められています。

道路交通法では、交通事故が発生した場合の運転者の義務が規定されており、第72条第1項では、車両等の交通事故があったときは、当該車両等の運転者等は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し(救護義務)、道路における危険を防止する等必要な措置(危険防止義務)を講じなければならず、当該車両等の運転者等は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない(事故報告義務)とされています。

これらの義務に違反した場合、1年以下の懲役または10万円以下の罰金が科されます(法第117条の5)。

また、危険な自転車の運転によって他人を負傷させた場合には、通常は人を故意に負傷させる目的で自転車を運転することはありませんので暴行罪や傷害罪が成立することはほとんどありませんが、過失傷害罪または重過失傷害罪が成立する可能性があります。

上記刑事事件例では、前方不注意とスピードの出しすぎで人と衝突した点に「過失」が認められ、過失傷害罪が適用されているところ、昨今では、スマートフォンを片手にイヤフォンで耳を塞いだまま自転車を運転して歩行者と衝突して死亡させてしまった事案につき、重過失傷害罪の罪状で刑事裁判となった事案も記憶に新しいところです。

過失傷害罪重過失傷害罪等の刑事事件では、被害者に対する誠意ある謝罪や被害弁償により示談が成立する可能性もあり、刑事弁護活動において非常に有効なアプローチと言えます。

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