Archive for the ‘暴力犯罪’ Category

静岡県島田市で起きた殺人未遂事件

2023-08-02

静岡県島田市で起きた殺人未遂事件

今回は、島田市の自宅で兄を刃物で刺し、殺害しようとした疑いで33歳男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

27日午前島田市の自宅で兄を刃物で刺し、殺害しようとしたとして30代の男が逮捕されました。
殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されたのは島田市落合の無職の男(33)です。
男は27日午前9時半ごろ、自宅で同居する兄(39)の背中を刃物で刺し、殺害しようとした疑いが持たれています。
警察などによりますと、兄は病院に救急搬送されましたが、意識はあるということです。
男は自宅にあったナイフで兄を刺したとみられ、自分で消防に通報しました。
2人は両親と4人暮らしで、警察は兄弟の間で何らかのトラブルがあったとみて、詳しい経緯を調べています。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/3c79ce362a59bde8638cd1283fa8184a3e267c82 6月27日 「兄を刃物で刺し殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで無職の男を現行犯逮捕 静岡・島田市」より引用)

~逮捕された男性は自分で消防に通報しているが~

刑法では「自首」という制度があり、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」としています(刑法第42条1項)。
自首が認められれば、刑の減軽を受けられる可能性があります(裁量的な減軽であるため、されない場合もあります)。

~自首が成立する条件~

自首が成立するための条件は厳しく、

①自発的に自己の犯罪事実を申告すること、
②自己の訴追を含む処分を求めること、
③捜査機関に対する申告であること、
④捜査機関に発覚する前の申告であること

が必要です。
逮捕された男性は「消防」に通報していますが、「消防」は捜査機関ではないため、③の条件を満たさないことになります。
もっとも、現場には消防の連絡を受けて駆け付けた警察官がいることが推測されます。
駆け付けた警察官とのやりとり次第では、③の条件をはじめ、その他の条件を満たす場合もあるかもしれません。

冒頭の記事では、消防、警察とのやりとりが判然としないため、自首の成否については判断できませんが、弁護士の接見を受け、具体的な事実関係を伝えた上でアドバイスを受けることができるでしょう。

殺人未遂罪はとても重い犯罪です。
自首の成否を含め、アドバイスを受けるべき事柄は多岐にわたります。
殺人未遂の疑いで逮捕された場合には速やかに弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けることを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
殺人未遂事件で家族が逮捕され、自首の成否に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡県沼津市内の住宅街で起きた器物損壊事件

2023-07-26

静岡県沼津市内の住宅街で起きた器物損壊事件

今回は、駐車中の軽乗用車1台など、あわせて7台の車に傷をつけ損壊した疑いで29歳男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

静岡県沼津市内の住宅街で、駐車中の車7台を次々に傷つけた疑いで近くに住む29歳の男が逮捕されました。

器物損壊の疑いで逮捕されたのは、沼津市我入道稲荷町の自称・無職の男(29)です。

警察によりますと、男は6月23日の午前6時半から24日の午後5時までの間に沼津市我入道の駐車中の軽乗用車1台など、あわせて7台の車のボンネットや後部のガラスなどに傷をつけ損壊した疑いがもたれています。
車を傷つけられた人たちが被害を訴え、警察が、付近のパトロールを強化。

警察が男に職務質問を行った際、回答に不審な点があったことから追及したところ「自分がやりました」と関与を認め、逮捕に至ったということです。
ボンネットなどには鋭利なものでひっかいたような傷があり、警察は犯行の手段を調べると共に男の動機についても追及する方針です。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/d7a50a746ac51b34d320006b6d2eaa23d51027dd 6月26日 「ボンネットなどにひっかいた跡 駐車中の7台を次々に傷つけた疑い 29歳無職の男を逮捕=静岡県警」より引用)

~早期に弁護活動を依頼することが非常に重要~

複数台の車を損壊した疑いで逮捕された場合には、早期に弁護士を依頼し、示談交渉などの弁護活動にあたってもらうことが非常に重要となります。
複数台の車を損壊した場合には、当然ながら被害者の数も複数人となることが予想されます。
これらの被害者と充実した示談交渉を行うためには、事件の処分が決定される間際ではなく、「事件の初期段階」で弁護活動を依頼する必要があるからです。

~器物損壊事件で示談交渉が功を奏せば不起訴処分となる~

器物損壊罪は「親告罪」であるため(刑法第264条)、告訴がなければ起訴されることがありません。
示談交渉の結果、告訴をしない約束をしてもらえた場合や、すでに告訴をしている場合にはこれを取り消してもらうことができれば、器物損壊事件については必ず不起訴処分となります。
不起訴処分となれば、裁判にかけられることもないため、前科がつくこともありません。

もっとも、示談交渉が常に功を奏するとは限りません。
被害者の処罰感情が強く、示談交渉が難航する場合も存在します。
示談交渉を含め、実りのある弁護活動を行うためには、早期に弁護士を依頼することが肝心となります。
他人の車を傷つけ、器物損壊の疑いで逮捕されてしまった場合にはすぐに弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

娘に対する傷害の疑いで40歳母親が逮捕

2023-07-12

娘に対する傷害の疑いで40歳母親が逮捕

今回は、40歳の母親が娘をハンガーなどで殴る等の虐待をし、傷害を負わせた疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

自宅で中学生の娘をハンガーなどで殴り、けがをさせたとして、40歳の母親が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、静岡県西部に住む派遣社員の女(40)です。
女は6月中旬ごろ、自宅で中学生の娘の左肩や足をハンガーなどで複数回殴るなどし、皮下出血などのけがをさせた疑いが持たれています。
娘が中学校の教師に被害を相談し、学校が児童相談所に連絡しました。
警察によりますと、女は「娘が約束の時間に無断で帰宅しなかった」と話し、容疑を認めているということです。警察は日常的な暴行がなかったか調べています。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/2b238363c60eab2231513db24cbe56bbc5057320 6月23日 「「約束の時間に帰宅しなかった」…中学生の娘をハンガーで何回も殴ったか 40歳の母親を傷害容疑で逮捕 静岡県警」より引用)

~子どもへの虐待事件で身体解放活動~

ケースのような虐待事件が発覚するきっかけは、「被害者を診察した医師が虐待を疑い通報した」、「被害者が自ら警察に通報した」、「学校の先生が虐待を疑い通報した」など様々です。

ケースの事件では、40歳の母親が逮捕されていますが、虐待の疑いで逮捕された場合、酒場などで見知らぬ相手を殴打した等の場合に比べ身体拘束のリスクが高いといえます。
なぜなら、加害者と被害者との生活圏が近い(多くは同居している)場合が多く、身体拘束しなければ口止めするなどして証拠を隠す恐れが高く、捜査に支障を来すと評価されるからです。
同じ理由で、同居中のカップル間におけるDVなどの加害者についても、身体拘束がなされる可能性、長引く可能性が高くなります。

また、虐待を受けた児童は児童相談所などで一時保護されることも考えられます。

~子どもへの虐待事件で身体解放活動~

加害者と被害者の関係が近い場合には、早期の身柄解放を目指した弁護活動が重要となります。
しかしながら、釈放した後、元の場所(被害者の家など)に戻すということでは、早期の身柄解放の実現は困難となります。
このような場合には、少なくとも事件が解決するまでの間、被害者と距離をとって身元を預かることができる身元引受人を用意することが考えられます。

積極的に身柄解放活動を行うためには、身元引受人を用意するだけでなく、責任をもって被疑者を監督する旨を誓った上申書を作成することも重要となります。
そのためには、刑事事件に熟練した弁護士のサポートが役立つでしょう。

虐待の疑いで逮捕された場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後の事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
虐待事件、傷害事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

小学生の娘を蹴り怪我をさせた疑いで37歳父親が逮捕

2023-06-28

小学生の娘を蹴り怪我をさせた疑いで37歳父親が逮捕

今回は、37歳の父親が、同居している小学生の娘を複数回にわたって蹴り、怪我を負わせた疑いで逮捕されたという虐待事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

小学生の娘を蹴り軽いケガをさせたとして、同居する37歳の父親が傷害の疑いで逮捕されました。男は容疑を否認していますが、警察は日常的に虐待していた可能性も含め、調べを進めています。
逮捕されたのは静岡県東部に住む37歳の男で、警察によりますと、男は2023年4月4日 自宅で小学生の娘と口論になり、複数回にわたって娘を蹴り軽いケガをさせた疑いが持たれています。
女の子が通う、いわゆる「学童保育」から相談を受けた行政機関が警察に通報し、事件が発覚しました。

警察の調べに対し男は「蹴ったことはない」と容疑を否認しているということです。
女の子の下半身には複数のアザが確認されていて、警察は男が日常的に女の子を虐待していた可能性も含めて捜査を進めています。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/7e9bcab1922da5b2a06ca4f28e2e35d9b7268e30 6月12日 「口論の末から小学生の娘を蹴りケガをさせたか…父親逮捕 下半身に複数のアザ 静岡」より引用)

~虐待が疑われる事件では早期の身柄解放活動が困難~

比較的軽い怪我を負わせたにとどまる傷害事件では、逮捕された場合であっても、早期に釈放される可能性があります。
しかし、同居する娘を傷害した事件であって、日常的な虐待が疑われるケースについては別です。
早期に釈放すれば、再び娘への虐待に及ぶおそれがあるからです。
DVや虐待事件など、加害者と被害者との生活空間が近い場合には、身体拘束が長期化する可能性が高いといえます。

このような場合に早期の身柄解放を実現するためには、少なくとも事件が解決するまで、被害者のもとに戻らない、近付かないことを捜査機関、裁判所に納得してもらう必要があります。
その方法の一例として、身元引受人を用意し、責任をもって釈放された被疑者を監督する旨を誓う上申書を作成して、捜査機関や裁判所に働きかけることが考えられます。

適切な身元引受人の選択、説得的な上申書の作成、捜査機関や裁判所への働きかけには、刑事事件に熟練した弁護士のサポートが役に立ちます。

~事務所紹介~

ご家族への虐待の疑いで逮捕された場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後の弁護活動に関してアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が虐待の疑いで逮捕されお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

器物損壊事件の裁判例等を紹介

2023-06-21

器物損壊事件の裁判例等を紹介

器物損壊事件の裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

南伊豆町が設置した看板を塗料で汚損したとして、下田署は、器物損壊の疑いで自称デザイナーの男を逮捕した。
逮捕容疑は、町内に設置された看板1枚に塗料をスプレーで吹き付けて汚損した疑い。
町によると、この看板は高さ約5メートルの三角柱で町民憲章が記されていて、このうち一つの面が青色で塗りつぶされていた。

(静岡新聞「南伊豆町民憲章の看板を汚損の疑い 自称デザイナー逮捕」(2023.5.26)から引用・参照。 )

~器物損壊罪について~

(器物損壊等)
第261条 前条に規定するもののほか(注:公用文書、私用文書、建造物等)、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(親告罪)
第264条 (……)第261条(……)の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

器物損壊罪(刑法261条)とは、他人の物を損壊させるなど財物の効用を害する行為によって他人の所有権を侵害する行為を罪として罰する旨の規定です。
また、261条は他人の所有物の侵害態様として「傷害」を規定していますが、これは主として動物を客体とする行為を想定していると解されています。
なお、仮に対象物が「差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、又は配偶者居住権が設定されたもの」であった場合は、自己の所有物であったとしても器物損壊罪等として処罰されうる点に注意を要します(同法262条)。

毀棄罪が成立するか、その中でも「損壊」に当たるかについては重要な最高裁判例が存在します。
最決平成18年1月17日は、公園内に設置された公衆トイレの外壁に落書きした行為に建造物損壊罪(刑法260条前段)が成立するかが争いになったケースにおいて、「損壊」自体は物の効用を害する一切の行為という通説的見解を維持しつつ、美観や外観を考慮しつつその利用を困難にさせたことをもって同罪の成立を認めています。
本事案は、建造物ではなく看板という「他人の物」が対象となっており、一つの面が一色で塗りつぶされていたというのですから、看板の有する効用が害された(すなわち「損壊」に当たる)ことは比較的明らかな事案といえるでしょう。

~器物損壊事件における弁護活動等~

本事案が特殊なのは被疑者が既に同様の行為によって有罪判決を受けていることです。
被疑者は前年にも、南伊豆町が設置したモニュメントなどをスプレー式塗料で汚したとして器物損壊の罪に問われ、静岡地裁下田支部は「懲役1年、執行猶予3年」を言い渡しています。
そうすると、本事案で起訴されてしまうと実刑は免れないのでしょうか。
刑法25条2項によると、「前に禁錮以上の刑に処せられたことがあってもその刑の全部の執行を猶予された者」は「1年以下の懲役又は禁錮の言渡しを受け」「情状に特に酌量すべきものがあるとき」は「裁判が確定した日から1年以上5年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予」される可能性がある旨を規定しています。
すなわち、本事案でも再度の執行猶予が付く可能性があるため、弁護士としては仮に起訴に至ったとしても執行猶予が相当である事案として弁護活動を行っていくことが考えられるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、器物損壊事件を含む刑事事件のみを専門にしている法律事務所です。
器物損壊事件で逮捕・起訴された方やそのご家族等は、24時間いつでも対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

改正少年法と少年事件

2022-03-15

改正少年法と少年事件

改正少年法少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

静岡県裾野市に住んでいる高校生のAさん(18歳)は、市内の路上で他の高校に通うVさん(17歳)に対して暴力をふるい、けがを負わせてしまいました。
Aさんは静岡県裾野警察署に傷害罪の容疑で逮捕されたものの、Aさんの両親が警察署まで迎えに行き、身元を引き受けたことで帰宅を許されました。
Aさんと両親が帰宅後に今後について調べてみたところ、18歳のAさんの事件は少年事件として扱われることが分かりました。
少年法が令和4年4月1日で改正されたものになるというニュースを見たことがあったAさんらは、今後について心配になり、少年事件を取り扱っている弁護士に相談してみることにしました。
(※この事例はフィクションです。)

・改正少年法と少年事件

未成年者が犯罪をした場合、少年法が適用され、成人が犯罪をしてしまった場合とは別の手続となります。
Aさんらが調べていた通り、この少年法は改正され、令和4年4月1日から改正少年法が施行されます。

現行の少年法では、20歳未満の者が「少年」として扱われることとなっています。

少年法第2条第1項
この法律で「少年」とは、20歳に満たない者をいい、「成人」とは、満20歳以上の者をいう。

改正少年法でも、20歳未満の者が「少年」として少年法の適用を受けることに変わりはありません。
しかし、改正少年法では、18歳・19歳の少年について「特定少年」という区分を新たに設け、この「特定少年」については他の17歳以下の少年と扱いが変わる部分が出てくることになります。

改正少年法第62条
第1項 家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
第1号 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
第2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

改正少年法の「特定少年」は、主に少年事件の検察官送致(いわゆる「逆送」)の手続きに深くかかわる定義です。
現行の少年法では、原則として逆送される少年事件について、「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件」(少年法第20条第1項)と「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの」(少年法第20条第2項)と定めています。
対して、改正少年法の「特定少年」については、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの」(改正少年法第62条第2項第2号)を原則逆送することとされています。
つまり、改正少年法の「特定少年」については、現行の少年法よりも原則逆送事件の対象範囲が広がることとなるのです。
そのため、「特定少年」に当たる年齢で一定の重い犯罪をした場合には、成人同様に刑事裁判を受け、刑罰を受ける可能性が高まるといえるでしょう。

ちなみに、現行の少年法では、家庭裁判所の審判に付する少年について以下の区分を定めています。

少年法第3条第1項
次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
第1号 罪を犯した少年
第2号 14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
第3号 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

少年法第3条第1項のうち、第1号に当たる少年を「犯罪少年」、第2号に当たる少年を「触法少年」、第3号に当たる少年を「虞犯少年(ぐ犯少年)」と呼びます。
こちらは改正された少年法でも変更されることはありません。
改正少年法においては、第3条第1項第1号「犯罪少年」の中に18歳・19歳の「特定少年」が含まれ、一定の重さの犯罪をした場合に原則逆送されるというイメージでしょう。
なお、改正少年法では、18歳・19歳の「特定少年」については、少年法第3条第1項第3号の「虞犯少年(ぐ犯少年)」の適用はされない予定です。
改正される民法上でも成人となる18歳以上の少年については、こういった監護を前提とした虞犯少年(ぐ犯少年)の手続きは不適当だろうと考えられたためです。

他にも、「特定少年」であった場合には、資格取得の際の特例が適用されなかったり、報道の際に実名報道の可能性があったりという、現行の少年法と異なる部分が出てきます。
「特定少年」としての扱いになるのかどうかは、少年事件を起こした際の年齢や、少年事件の審判が終了した際の年齢など、それぞれの特例などによってタイミングで異なる場合もあります。
改正少年法が施行されるのは令和4年4月1日ですが、改正少年法が施行されてからしばらくの間は、「特定少年」として扱われることになるのかどうかなど、少年事件の取り扱いについて混乱される方も少なくないでしょう。
だからこそ、少年事件を多く取り扱う弁護士に相談して、きちんと正しい手続や見通しを把握し、対応していくことが大切です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、多くの少年事件を取り扱う弁護士が、少年事件の始まりから終了までフルサポートいたします。
少年法改正によって現在の少年事件の手続きと変わることも出てきますから、お悩みの際にはお気軽にご相談ください。

車に落書きをして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまった

2022-02-21

車に落書きをして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまった

車に落書きをして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、静岡県熱海市にある商業施設によく通っていましたが、商業施設の入り口付近にある駐車場に利用客の車が多く停めてあることについて、邪魔だと感じていました。
Aさんは、「駐車場に誰も車を停めなければいいのに」と考えるようになり、駐車場に停めてある車に嫌がらせをするようになりました。
具体的には、Aさんは駐車場に停めてある車に対して油性ペンで大きく落書きをするという行為を繰り返すようになりました。
商業施設の利用客から、相次いで相談を受けた静岡県熱海警察署は捜査を開始。
捜査の結果、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和4年1月20日FNNプライムオンライン配信記事を基にしたフィクションです。)

・落書き=「損壊」?

今回の事例のAさんは、商業施設の駐車場に停めてあった車の車体に油性ペンで落書きをしたことで、器物損壊罪の容疑をかけられ逮捕されています。
Aさんに容疑がかけられている犯罪である器物損壊罪は、刑法第261条に定められています。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この犯罪は、器物損壊罪という名前の通り、「他人の物を損壊」することで成立する犯罪です。
皆さんの中にも、「物を壊したら器物損壊罪になる」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
ですから、今回のAさんの事例に対して、「なぜ物を壊したわけではないのに器物損壊罪なのか」と不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここで注意しなければならないのは、器物損壊罪の「損壊」が、一般に考えられている「損壊」よりも広い意味で使われているということです。
器物損壊罪の「損壊」は、単に物が壊れるということだけではなく、物の効用を害する行為全般を指すと解されています。
この「物の効用を害する」という器物損壊罪の「損壊」行為で、よく例として出される行為としては、食器に放尿する行為が挙げられます。
放尿しただけでは、食器は壊れることはないでしょう。
しかし、放尿された食器を食器本来の役割=物を食べる際に使用することは、はばかられる方が多いでしょう。
つまり、その食器は本来の使い方で使えなくなってしまった=食器の効用が害されてしまったということになり、食器に放尿する行為は器物損壊罪にあたりうる行為となるのです。

この「損壊」の考え方に則って、今回の事例のAさんの行為を振り返ってみましょう。
今回の事例のAさんは、商業施設の駐車場に停車していた車の車体に油性ペンで大きく落書きをしています。
油性ペンで大きく落書きされてしまえば、その落書きが簡単には落とせないことが想像できます。
こうしたことから、大きく落書きされ簡単にはその落書きが落ちない=車の価値がAさんの落書き行為によって下げられたということになり、器物損壊罪の「損壊」に該当すると判断されたと考えられます。

・器物損壊事件で逮捕されてしまったら

器物損壊事件を起こして逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
逮捕されるということは、それまでの生活から切り離されて、1人で取調べ等に臨むということです。
逮捕後に勾留されてしまえば、さらに長期間身体拘束が続くことになります。
仕事や学校、生活がかかっていることですから、釈放を実現したいと望まれる方が多いでしょう。
釈放を求める活動には、刑事事件の知識や経験が必要となってきますから、弁護士に具体的な活動やポイントを聞いたり活動してもらったりすることが効果的です。

また、器物損壊罪は「親告罪」という犯罪です。
親告罪は、被害者などが告訴(=犯罪被害に遭ったことの申し出と加害者に対する処罰の要望)をしなければ起訴できない犯罪です。
ですから、すでに告訴されている場合には被害者から告訴を取り下げてもらったり、まだ告訴されていない場合には告訴をしない約束をしてもらったりすることができれば、器物損壊罪は不起訴となります。
こうした告訴の取下げや告訴をしない約束は、示談の中で取り決めることができます。
そのため、器物損壊事件逮捕されてしまった場合には、被害者への謝罪や弁償を含めた示談交渉を早期に開始してもらうことが、先ほど触れた釈放を求める活動においても、後々の処分を有利に進めるためにも重要と言えるでしょう。

しかし、当事者同士での話合いでは、お互いの意図しないトラブルが発生してしまったり、法律的な部分で不足のある示談となってしまったりするおそれもあります。
さらに、今回のAさんのような事例では、そもそも被害者の連絡先が分からず、謝罪や弁償の話をすることすら難しいということも考えられます。
だからこそ、法律の専門家である弁護士を間に入れることで、話し合いをスムーズに進めることや、謝罪・弁償の打診を捜査機関を通じて行うことなどが期待できるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、器物損壊事件についても多数のご相談・ご依頼を受け付けております。
落書きから器物損壊事件に発展してしまった、家族が逮捕されてしまったいう状況にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

自宅への放火で逮捕されてしまった!

2022-01-30

自宅への放火で逮捕されてしまった!

自宅への放火逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、自身の両親と一緒に、静岡県三島市の一軒家に住んでいました。
Aさんは、現在住んでいる家の間取りや交通の便について不満を持っており、常々現在の家を引き払いたいと思っていました。
そこでAさんは、両親が外出して不在にしている間に、自宅に放火しました。
Aさんの放火によって家は半焼し、Aさん自身は、通報によって駆け付けた静岡県三島警察署の警察官に、現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士から、今後の刑事手続きの流れや被疑者の権利、事件の見通しなどについて詳しく説明を受けることとなりました。
(※令和4年1月11日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・自宅に火をつけた放火事件

今回の事例のAさんは、自宅に放火し、家を半焼させたという現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されています。
現住建造物等放火罪という長い犯罪名に驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、放火行為に成立する犯罪は、単なる「放火罪」という犯罪ではなく、放火の対象が何であったか、どういった状態であったかなどによって細かく分かれています。
例えば、今回のAさんの逮捕容疑である、現住建造物等放火罪を確認してみましょう。

刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

条文によると、現住建造物等放火罪が成立するには、放火された対象が「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」であることが必要です。
普段の生活の中で関わる可能性の高いところでいうと、前半部分の「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物」という部分でしょう。
簡単に言えば、
・現在人が住居として使用している建造物
・現在人がいる建造物
のどちらかに当たれば、現住建造物等放火罪の対象となる建造物であるということです。

例えば、今回の事例のAさんは自宅に放火していますが、その家にはAさんとAさんの両親が住んでいますから、Aさんが放火した家は「現に人が住居に使用し」ている建造物であるということになります。
Aさんが放火をした当時は家に人はいなかったようですが、先ほど触れたように、現在人が住居として使用している建造物であるか、現在人が中にいる建造物であるか、どちらかに当てはまれば現住建造物等放火罪の対象となります。

また、現住建造物等放火罪の中で使われている「焼損」という言葉ですが、これは、火がその媒介物を離れて目的の者に燃え移り、独立して燃焼を継続し得る状態になったことを指すと言われています。
例えば、ライターから建造物の壁に火をつけたとして、その火がライターから離れて燃え続ける状態は「焼損」といえますが、ライターを離して火が消えてしまったというような場合には「焼損」とは言えません。
今回の事例のAさんの場合、放火した自宅は半焼していることから、「焼損」をしていることに間違いはないでしょう。
放火事件のイメージとしては、「火をつけたらイコール放火罪になる」というイメージかもしれませんが、実際に放火の罪が成立するにはこういった条件が必要になってくるのです。

なお、建造物が「焼損」していなかったとしても、器物損壊罪や建造物等以外放火罪、現住建造物等放火未遂罪など、他の犯罪が成立する可能性があることには注意が必要です。

ここまで見てきた現住建造物等放火罪という犯罪ですが、その刑罰は先ほどの条文にもある通り、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」という大変重い刑罰です。
執行猶予を獲得するためには、言い渡される刑罰が3年以下の懲役でなければいけないという条件がありますが、この現住建造物等放火罪の刑罰は、軽くても5年の懲役刑となっており、通常執行猶予をつけることはできません。
死刑・無期懲役が含まれることや、刑罰の下限が執行猶予を付けることのできない長さであることなどからも、重大な犯罪であることがお分かりいただけるでしょう。
だからこそ、早期に弁護活動を開始してもらい、少しでも被疑者・被告人の方やそのご家族の負担を軽減できるようサポートしてもらうことがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、放火事件などの重大事件についてのご相談・ご依頼についても承っています。
重大な犯罪だからこそ、刑事事件専門の弁護士のサポートをご利用ください。
0120-631-881でお問い合わせを受け付けていますので、お気軽にお電話ください。

子供に対する体罰による児童虐待で暴行罪

2022-01-19

子供に対する体罰による児童虐待で暴行罪

子供に対する体罰による児童虐待暴行罪に問われたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

会社員のAさんは、静岡県伊豆の国市に、Aさんの妻Bさんと、4歳になる子供Vさんと暮らしていました。
Aさんは、度々Vさんが自分の言うことを聞かないことに腹を立て、Vさんに対して体罰として殴る、蹴るといった暴行を加えるようになりました。
ある日、AさんがVさんに対してその背中を蹴るといった暴行を加えたところ、Bさんがその現場を目撃。
Bさんは、静岡県大仁警察署に「夫のAさんが子供のVさんに暴力をふるっている」と通報し、通報によって警察官が駆け付ける事態となりました。
Aさんは暴行罪の容疑で逮捕され、Aさんの逮捕を知ったAさんの両親は、ひとまず弁護士に今後について相談したいと、インターネットで刑事事件に対応している法律事務所を探すと、弁護士によるAさんへの接見を依頼しました。
(※令和4年1月9日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・子供に対する体罰~児童虐待

今回の事例のAさんは、子供であるVさんに体罰として暴力をふるって暴行罪の容疑で逮捕されています。
子供に対する暴力をふるうということは、いわゆる児童虐待といえるでしょう。
厚生労働省の統計(令和3年版厚生労働白書)によると、2019年度の全国の児童相談所への児童虐待相談対応件数は19万3,780件でした。
こうした児童虐待相談数の増加や、子供に対する暴力による悪質な事件の発生により、児童虐待を防ぐために、児童虐待防止法児童福祉法の改正が行われるなどしています。

例えば、児童虐待防止法(正式名称:児童虐待の防止等に関する法律)では、親から子供に対してしつけの名目で体罰として暴力をふるうことを防ぐため、改正によって体罰の禁止を明記するようになりました(令和2年4月施行)。

児童虐待防止法第14条第1項
児童の親権を行う者は、児童のしつけに際して、体罰を加えることその他民法(明治29年法律第89号)第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲を超える行為により当該児童を懲戒してはならず、当該児童の親権の適切な行使に配慮しなければならない。

この条文では、しつけのために子供に体罰をしてはいけないということ、そもそも体罰をしてはいけないということ、子供の監護と教育に必要な範囲を超える行為(※民法第820条の「懲戒権」)をしてはいけないということが明記されています。

また、児童福祉法でも、条文内に子供のしつけに際して体罰をすることはできないということが明記されました。

児童福祉法第33条の2第2項
児童相談所長は、一時保護が行われた児童で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童の福祉のため必要な措置を取ることができる。
ただし、体罰を加えることはできない。

児童福祉法第47条第3項
児童福祉施設の長、その住居において養育を行う第6条の3第8項に規定する厚生労働省令で定める者又は里親は、入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育、及び懲戒に関し、その児童等の福祉のための必要な措置をとることができる。
ただし、体罰を加えることはできない。

児童福祉法では、児童虐待防止法とは異なり、主体が親などの親権者ではなく、児童相談所長や児童福祉施設の長、里親など、親以外で子供の監護・教育に関わる人達が対象とされています。
こういった人たちについても、子供に対していわゆる「しつけ」をすることはできるものの、体罰は許されないということが児童福祉法の条文に明記されたのです。

しかし、これらの法律・条文に反した場合の刑罰は設定されていません。
では、子供に体罰と称して暴力をふるい、児童虐待をした場合にどういった犯罪になるのかと不思議に思われる方がいらっしゃるかもしれません。
実は、こうした場合でも、他人に暴力をふるった時と同様に、刑法の傷害罪や暴行罪が成立します。

刑法第204条(傷害罪)
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法第208条(暴行罪)
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

家庭内の問題なのに傷害罪や暴行罪になるのかと思われる方もいるかもしれませんが、傷害罪や暴行罪の成立に、加害者と被害者の関係が家族かどうかといったことは関係ありません。
先ほど挙げた児童虐待防止法でも、その旨は条文に明記されています。

児童虐待防止法第14条第2項
児童の親権を行う者は、児童虐待に係る暴行罪、傷害罪その他の犯罪について、当該児童の親権を行う者であることを理由として、その責めを免れることはない。

つまり、当然のことではありますが、親だからといって子供に暴力をふるうことはできませんし、暴力をふるったりそれによって怪我を負わせてしまったりすれば、暴行罪や傷害罪になるということなのです。
今回の事例のAさんも、自分の子供であるVさんに対して暴力をふるっていることから、暴行罪に当たることになるでしょう。
もちろん、Aさんの暴力によってVさんが怪我をしているということであれば、暴行罪から容疑が切り替わって傷害罪となることも考えられるでしょう。

児童虐待事件では、加害者である親と被害者である子供が同居していることも多く、加害者と被害者の接触を避けるためなどの事情から、逮捕・勾留による身体拘束を受けることが多いです。
刑事事件の知識がない状態で逮捕・勾留による身体拘束を受け続け、1人で取調べを受け続けることになれば、身体的・精神的負担も大きくなってしまうおそれがありますし、自分の意図しないところで不利な供述をしてしまうおそれもあります。
だからこそ、早い段階で弁護士に相談・依頼し、自分のかけられている容疑の内容や見通し、自分の持っている権利などを把握することが重要なのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件専門の弁護士が、逮捕された方に最短即日で会いに行く初回接見サービスをご用意しています。
子どもに対して体罰をして暴行罪となった、児童虐待で逮捕されたといったケースにも対応しています。
まずはお気軽にご相談ください。

傷害事件で勾留阻止と示談を目指す弁護活動

2022-01-08

傷害事件で勾留阻止と示談を目指す弁護活動

傷害事件勾留阻止示談を目指す弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

静岡県下田市にあるスナックで飲酒をしていたAさんは、酔って女性店員にちょっかいをだしました。
Aさんは、そのことを店主のVさんに注意されたことに憤慨し、その場にあったガラス製の灰皿をVさんの顔面に投げつけました。
Vさんは顔面が血だらけになり倒れたため、驚いた女性店員が110番通報をしました。
駆け付けた静岡県下田警察署の警察官がVさんに事情を聞いたところ、「Aさんに灰皿を投げられました。」と答え、Aさんも「ついカッとなって灰皿をVさんにぶつけました。」と答えました。
その結果、Aさんは静岡県下田警察署の警察官に傷害罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの家族は、Aさんが逮捕されたという知らせを聞き、どうにか釈放してもらえないか、被害者に謝罪して示談できないかと思っています。
(フィクションです)

【傷害罪】

人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役または50万円以下の罰金に処する。(刑法第204条)

①意義
傷害罪にいう傷害とは、人の身体の完全性を害すること、人の生理的機能(健康状態)を害することで、他人を人事不省(昏睡状態に陥り、意識不明になったり、知覚が全くなくなること)に陥らせるのも傷害にあたりますが、極めて軽微な損傷は、構成要件的に傷害にはあたりません。

また、傷害罪に未遂の処罰規定はありません。
相手に暴行をふるったものの怪我はなかったというような場合には、傷害罪と同じく刑法に定められている暴行罪(刑法第208条)が成立することとなります。

②手段
暴行による傷害は、傷害の故意の有無にかかわらず傷害の罪責を認めることになり、傷害の故意犯、暴行罪の結果的加重犯となります。
暴行によらない傷害は、傷害の故意を要し、例えば人を恐怖に陥れて精神障害を起こさせたりすることが挙げられます。

なお、今回Vさんは亡くなるまでには至りませんでしたが、もしVさんが亡くなった場合は傷害致死罪が成立します。

【傷害致死罪】

身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、3年以上の有期懲役に処する。(刑法第205条)

①意義
身体傷害の結果として人を死亡させる罪をいい、致死の結果についての認識を欠く点で殺人罪と、傷害の故意を有する点で過失致死罪とそれぞれ区別されます。

②故意
傷害致死罪の故意については、軽い基本的行為(暴行または傷害)と重い結果(致死)との因果関係の存在と軽い基本的事実の故意があれば足り、重い結果についての予見は必要ないとされることが多いです。

【刑事事件例について】

今回の事例で、AさんはVさんに対し、故意でガラス製の灰皿を投げつけました。
Vさんは顔面が血だらけになるほどの怪我を負い、健康状態を害することになったため、Aさんには傷害罪が成立すると思われます。

【逮捕後の弁護活動】 

Aさんは逮捕されたため、警察署の留置場に入ることになりますが、逮捕後に勾留されなければ釈放されることとなり、早く留置場から出ることができます。
弁護士は勾留されないために、Aさんの身元引受人になる人の協力をとりつけ、検察官や裁判官に対して勾留をしないように働きかけることができます。

また、傷害罪は被害者がいる罪ですので、被害者との示談がとても重要です。
弁護士を通じて被害者との示談が成立し、被害弁償を行い、被害者の処罰感情が和らぐことによって早期に釈放され社会復帰が出来たり、また不起訴になることによって前科がつかなくなる可能性が高まります。
こうしたことから、勾留を阻止して釈放を実現したい、被害者に謝罪して示談をしたいとお考えの場合には、早期に弁護士へご依頼いただくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の勾留阻止示談交渉を行ってきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご家族が傷害罪で逮捕されてお困りの方、勾留阻止示談交渉をご希望の方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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