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静岡県静岡市で交際相手の家に放火で逮捕

2019-06-10

静岡県静岡市で交際相手の家に放火で逮捕

静岡県静岡市駿河区の大学に通う女性Aさんは、同じ大学に通う男子大学生Vさんと交際して1年が経過しますが、2人は普段から些細なことで言い争いになることが多く、そのことに嫌気がさしたVさんが他の女性と親しくするようになりました。
このことに激怒したAさんは、静岡市駿河区にあるVさん宅へ押しかけ、激しい口論の挙句、Vさんがトイレのために席を外した際、Vさん宅の台所のガスコンロでVさんの服を燃やしてVさん宅に放火しようとしました。
Vさんの服は激しく燃え上がったものの、火災を検知したスプリンクラーが作動したため、火は部屋に燃え広がることなく、ガスコンロの一部が燃えるに留まりました。
Vさんは警察に通報し、静岡県警静岡南警察署がVさん宅のボヤ騒ぎの原因を調査し、Vさんが放火の被害を訴えたこともあり、Aさんは現住建造物等放火未遂罪の疑いで逮捕されました。
警察の調べに対し、Aさんは黙秘しています。
(※フィクションです)

上記刑事事件例は、今年6月6日、交際相手の男子学生宅に放火しようとしたとして、警視庁代々木警察署によって東京大学の女子生徒が現住建造物等放火未遂罪の疑いで逮捕された事案をモデルにしています。
被疑者は、交際相手の男子大学生が住む渋谷のマンション室内で、ガスコンロの上に洋服を置いて火をつけた疑いがあり、警察の調べに対し、黙秘しているようです。
事件直前に被疑者と口論になった男子学生が近くの交番に駆け込み、警察官が一緒に部屋に行くと、スプリンクラーが作動し洋服から煙が出ていたため、警察が捜査を開始しました。

刑法第9章は、「放火及び失火の罪」を定めており、放火して、現に人が住居に使用しまたは現に人がいる建造物等を焼損した場合、死刑または無期もしくは5年以上の懲役が科されます(現住建造物等放火罪、刑法第108条)。

判例によれば、「放火」とは、故意をもって、自分が点じた火が燃焼の目的である建造物等に燃え移り、独立して燃焼し続けることを意味し、「現住建造物」とは、建造物が人の住居に使用し、または人の現在するものであることであれば足りると解されており、その建造物使用の主な目的は問わないとされています。

そして、人が一時的に不在であることを知っており、結果として人の不在であった建造物放火した場合であっても、その建造物に住んでいた者が戻ってくれば居住を継続するものと認識していた場合には、その建造物現住建造物に該当すると判断されています(最高裁判例)。

上記事案においては、防火設備であるスプリンクラーが作動したために、ガスコンロ等の什器が燃えたに留まり、建造物自体の焼損へ至らなかったために「未遂」となっていますが、それはあくまでスプリンクラーによる消火の結果に基づくものであり、被疑者が火をつける実行行為をした段階で、建造物の住む人を殺す意図だったのか、建造物だけを燃やす意図だったのか、捜査機関による厳しい追及が予想されます。

捜査機関に対して黙秘することは、弁護士から刑事手続や捜査対応に関する知識や助言を受ける前であれば、不適切な供述をしてしまうよりは良いという点でメリットがありますが、捜査機関による証拠の収集により着々と犯罪の証拠を揃えていく中で被疑者が一貫して黙秘を貫くことは、情状面での大きなデメリットとなることも覚悟しなければなりません。

放火に関する刑事事件で、現住建造物等放火罪が成立する可能性がある事案では、科される法定刑が非常に重く、自分が関わった行為について適切に捜査機関に主張していくことが極めて重要となりますので、自分が不当に重い刑事責任を負わないためにも、放火刑事事件に詳しい弁護士に相談することが大切です。

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静岡県藤枝市で犯人である友人を蔵匿隠避して逮捕

2019-06-08

静岡県藤枝市で犯人である友人を蔵匿隠避して逮捕

静岡県藤枝市在住の飲食店経営者Aさんは、深夜、友人Bから待ち合わせをしたいとの連絡を受けてBと待ち合わせをしました。
Bいわく、Bは飲酒運転をしているところを警察官に発見され、パトカーで追跡されたために逃走してしまったとのことで、今は持ち合わせがないために、数万円のお金を貸してほしいとのことでした。
Aは、Bの逃走を助けるような金を貸して良いのか不安に思ったものの、Bには様々な恩を受けていたために依頼を断ることが出来ず、持ち合わせていた約4万円をBに渡しました。
その後、Bは道路交通法違反(酒酔い運転)および自動車運転処罰法違反(過失運転致傷罪)の疑いで逮捕され、静岡県警藤枝警察署の捜査上でAがBに対して現金を手渡しBの逃走を助けたことが判明し、Aは犯人隠避罪の疑いで逮捕されました。
(※フィクションです)

上記刑事事件例は、今年5月26日、奈良県橿原市でパトカーに追跡されていた乗用車が信号待ちの車3台に衝突し、うち1台を運転していた男性にけがをさせて逃走した少年被疑者らに対して、その逃走中の少年らの宿泊費を支払った女子高校生(17歳)が犯人隠避罪の疑いで逮捕された事案をモデルにしています。

上記事件の背景として、まず、橿原市の無職少年(17歳)が、他の少年らを同乗させて橿原市新堂町の国道24号を自動車で無免許運転していたところ、他の乗用車に追突して運転手の男性に軽傷を負わせてしまい、無免許運転が発覚することを恐れて逃亡しました。
この少年は同乗していた少年らと協力し、また、知り合いの女子高校生(17歳)から現金を受け取り宿泊費等にあてて逃走を続けたものの、およそ1週間後に滋賀県大津市のパチンコ店にいたところを警察官に発見されました。
事故の際に自動車を運転していた少年は、自動車運転死傷行為処罰法違反(無免許過失運転致傷罪)と道路交通法違反(ひき逃げ)の疑いで逮捕され、車に同乗していたとして17歳の少年2人は、道路交通法違反(無免許運転同乗)の疑いで逮捕され、逃走中の少年らの宿泊費を支払った女子高校生は、犯人隠避罪の疑いで逮捕されました。
いずれの被疑者も被疑事実を認めている模様です。

罰金以上の刑にあたる罪を犯した者または拘禁中に逃走した者を、蔵匿または隠避させた場合、3年以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます(犯人蔵匿・隠避罪)。

蔵匿」とは、捜査機関による犯人の発見や逮捕を免れるべき隠匿場を提供することを言い、「隠避」とは「蔵匿」以外の方法で捜査機関の発見・逮捕を免れる手段を講じることを言います。

この法律は、刑事司法に関する国家権力の作用を妨害する者を処罰することで司法の運用の円滑化を図るものであり、「罪を犯した者」とは、広く、犯罪の嫌疑によって捜査中の者を含むと解されています(最高裁判例)。

犯人を蔵匿または隠避をする者は、犯人が、罰金以上の刑に当たる罪を犯した者として捜査中であることさえ知っていたことさえあれば足り、当該犯人の刑が確定的であることの事実や証拠について認識は必要ではありません(判例)。

犯人蔵匿・隠避罪は、捜査機関から犯人の捜索を妨げる行為を行ったという性質上、別の犯罪とはいえ、犯人との共犯的な立場に近いとみなされ、罪証(証拠)隠滅のおそれが比較的高いと疑われる傾向にあり、逮捕後に続いて勾留決定が下される可能性も低くはないでしょう。

このような場合、まずは刑事事件を専門とする弁護士に早期に身柄解放をしてもらえるよう働きかけをしてもらうと同時に、身柄拘束中に不適切な供述や不合理な弁解、今後の刑事手続で自分に不利になりかねない供述をしないよう捜査対応の指導や助言を受けることが大切です。

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