脅迫事件で逮捕されたときの刑事弁護活動
脅迫事件で逮捕されたときの刑事弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。
【刑事事件例】
Aさんは、知人女性であるVさんにお金を返しましたが、Vさんは返済をせず、とうとうVさんと連絡が取れなくなっていました。
そこで、Aさんは何とかしてVさんの連絡先を調べ、Vさんに電話をし、「お前をさらっちまうぞ」と言いました。
その後、Vさんは静岡県熱海警察署に通報し、脅迫事件が発覚しました。
Aさんは静岡県熱海警察署の警察官により脅迫罪の容疑で逮捕されました。
(2021年1月25日に北海道放送に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)
【脅迫罪とは】
刑法222条
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
脅迫罪の「脅迫」とは、一般人を畏怖させるに足りる害悪の告知をいいます。
告知した害悪の内容が一般人を畏怖させるに足りない程度のものであった場合、その告知は単なる嫌がらせであり、脅迫罪の「脅迫」には該当しないことになります。
この脅迫罪の「脅迫」に当たるかは、告知した内容、被害者の方の性別、年齢、周囲の情況など様々な事情を考慮して判断されます。
また、脅迫罪が成立するためには、害悪の告知が被害者の方の「生命、身体、自由、名誉又は財産」に対してなされる必要があります。
刑事事件例では、AさんはVさんに対して「お前をさらっちまうぞ」と脅迫しています。
このAさんの脅迫は、Vさんの生命や身体、移動の自由に害を与える旨の告知であると考えられます。
そして、男性であるAさんから女性であるVさんになされたこと、Aさんが債権者という優越的地位にあったことなどから、Aさんの脅迫は一般に人を畏怖させるに足りるものであったと考えられたのでしょう。
すなわち、Aさんの脅迫は脅迫罪における「脅迫」に該当すると考えられたのでしょう。
このような事情から、Aさんは脅迫罪の容疑で逮捕されたのだと考えられます。
【脅迫事件の刑事弁護活動】
脅迫罪の容疑で警察官により逮捕された場合、Aさんの身柄は検察官に送られることになります。
この手続きを刑事訴訟法では「送致」といいます。
警察官からAさんの身柄を受け取った検察官は、Aさんの弁解(言い分)を聞いたうえ、勾留の請求をするかどうかを判断します(刑事訴訟法205条1項、弁解録取手続)。
検察官から勾留の請求を受けた裁判官は、Aさんの弁解(言い分)を聞いたうえ、勾留の決定をするかどうかを判断します(刑事訴訟法207条、61条、勾留質問)。
もしAさんが勾留の請求・決定をされてしまった場合、Aさんは最長で20日間(勾留が延長された場合)、勾留として身体拘束を受けることになります。
このように勾留は長期間にわたり身体拘束を受けることになり、被疑者の方は仕事に通うことができなくなったり、学校に通うことができなくなったりします。
刑事弁護士としては、被疑者の方ができるだけ早く釈放されるよう、勾留の請求・決定をしないよう検察官・裁判官に働きかけることができます。
一度脅迫事件での勾留の決定がされてしまった後には、勾留の決定をもう一度争うことができます(刑事訴訟法429条1項、勾留決定に対する準抗告)。
その他、被害者の方と連絡を取り、示談交渉をすることができると考えられます。
示談が締結できれば、示談結果を検察官に報告し、速やかな釈放を求めることができると考えられます。
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