静岡県熱海市で死体遺棄罪で逮捕
静岡県熱海市の海岸から高齢者男性V(86歳)の死体が発見されました。
静岡県警熱海警察署がVの死体を司法解剖した結果、Vの死因は不明であるものの、死後3か月以上が経過して腐敗が進んでいるとのことです。
警察が調査を進めたところ、Vが行方不明になるタイミングで、静岡県在住の会社員AさんがVとともに自動車に乗って死体発見現場に向かっていたことが確認されたため、警察はAさんを死体遺棄罪の疑いで逮捕し、Vの死因の特定やAさんの関与等についてさらに調べを進めています。
警察の調べに対しAさんは黙秘をしています。
(フィクションです)
上記刑事事件例は、千葉県東金市の雑木林に千葉市在住の79歳男性の死体を埋めたとして、同市の無職男性2名が死体遺棄罪の疑いで逮捕された事件をモデルにしています。
千葉県警の司法解剖の結果、被害者の死因は不明で、遺体は死後1~4カ月経過しているとみられ、腐敗が進んでいるといいます。
警察の調べでは、死体遺棄現場に向かう車に被害者と被疑者2名が同乗しており、警察は他に同乗していた60代女性の行方を引き続き追うとともに、被害者が死亡した経緯について慎重に調べています。
多くの場合、死体遺棄罪で刑事事件化した際には、被害者が死体となった状況や遺棄した状況を慎重に取調べた結果、殺人罪や傷害致死罪、過失致死罪などの余罪へとつながることが考えられます。
刑法190条は死体損壊等罪を規定し、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。」としています。
上記条文を読む限り、死体を放置しただけでは「遺棄」、すなわち死体を捨てることには該当しないと考えてしまうかもしれません。
しかし、判例では、死体遺棄罪は、死体を他の場所に移して遺棄する場合の他、葬祭をする責務を有する者が、葬祭の意思なく死体を放置して立ち去ることも遺棄に該当する、と判示しています。
具体的には、母親が新生児を砂に埋めて死亡させ、死体をそのままにして立ち去った事件、および乳幼児の監護をその親から頼まれながら、必要な医療行為をすることなく祈祷等を行っていた者が、その死体を親に引き渡すことなく死体を確保し続けた事件について、死体遺棄罪の成立を認めています。
また、被疑者と被害者の関係が、高齢者や知的障碍者の法的な保護者である場合であった場合には、保護責任者遺棄致死罪の余罪が生じる可能性もあるでしょう。
このように、まず最初に死体遺棄罪で刑事事件化した場合、その後、捜査中の供述によって今後の余罪の進展に大きく影響する可能性が高く、場合によっては被疑者に不当に不利益な事実を認めるよう捜査機関から働きかけを受ける可能性もありますので、捜査の初期段階から刑事事件を専門とする弁護士にサポートを受け、適切な捜査対応を進めることが、今後の刑事手続に大きく影響する重要な問題となるでしょう。
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