静岡県浜松市でネット上の脅迫投稿で逮捕
ネットのSNS等を通じて殺害予告や放火予告等の脅迫投稿を行うことによって生ずる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
無職Aさんは、就職活動が上手く行かないことのストレスから、静岡県浜松市に所在するエンターテイメント会社VのSNSアカウントに対して、「殺してやる」「次のイベントで火炎瓶を投げ込んでやる」とネット上で殺害予告や放火予告の投稿を行いました。
Aさんから頻繁に脅迫投稿が行われていることを受け、Vは静岡県警天竜警察署に脅迫の被害を受けていることを相談して被害届を提出し、Aさんが度重なる脅迫投稿を行っていること、およびVがイベントを行うにあたって警備の強化をせざるを得なかったこと等の被害を受けたことから、警察はAさんを脅迫罪および威力業務妨害罪の疑いで逮捕しました。
(※フィクションです。)
上記刑事事件例は、今年10月16日までに、人気アニメ「エヴァンゲリオン」シリーズを手掛けた庵野秀明氏が代表取締役を務める制作会社「カラー」(東京都杉並区所在)に対し、ツイッターで放火をほのめかす脅迫投稿をしたなどとして、警視庁高井戸警察署が脅迫罪と威力業務妨害罪の疑いで岡山市の無職男性を逮捕した事案をモデルにしています。
警察によると、被疑者はアニメの著作権が自身の家族にあると主張し、3年ほど前からツイッター上で上記会社の誹謗中傷を繰り返していたとされ、この度は、今年7月中旬ごろ、自宅のパソコンから「死ね」「京アニみたいなことにならないと良いな」などと殺害や放火を示唆する脅迫投稿を行って会社を脅迫し、同社の業務を妨害した疑いで逮捕されました。
生命・身体・自由・名誉・財産に対して危害を加える旨を告知して人を脅迫した場合、2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます(刑法第222条第1項。脅迫罪)。
脅迫罪は、人の意思決定の自由が侵害されたことに対して刑罰を与える趣旨であり、上記のとおり危害を加える旨が告知されたことが社会通念上客観的に理解できる程度の言葉・文章で脅迫された事実があれば脅迫罪は成立し、実際に脅迫された者が、恐怖や畏怖の感情を抱く必要はないとするのが判例の立場です。
上記刑事事件では、被害会社が警察に対して被害届を提出しており、事件を公にして被疑者の捜査を警察に求める強い意図が伺えるとともに、脅迫罪の刑事事件では、被疑者が在宅のままでは罪証(証拠)隠滅や被害者に対するさらなる加害行為を行うことも懸念されることから、類型的に高い確率で逮捕され、さらに10日間の勾留および勾留延長10日で最大20日間の身体拘束がされる可能性が見込まれます。
また、イベント会社のような広く社会で活動する人に対して脅迫を行った場合、例えば、「会場を燃やす」等との脅迫文章を送った場合などでは、ライブ自体が中止になったり、あるいは脅迫に対して主催者側が通常以上に厳重な警備体制を強いられてしまうことにもなりかねず、このように広く被害者側の社会的・経済的活動を妨害する場合には、別途、威力業務妨害罪が成立することもあるでしょう。
このような脅迫罪の刑事事件では、被疑者が被疑事実を認めているのであれば、被害者に対して心からの謝罪を行い、できうる限りの損害賠償と、再犯防止の誓約を申し出て、時には誓約事項を破った場合には違約金を払うことを示談書に盛り込むなどして、被害者からの問題解決に対する姿勢を引き出すことが重要であり、このような事案は刑事事件に長けた弁護士に依頼することが最も妥当と考えます。
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