静岡県静岡市で凶器で人を脅迫して逮捕
トラブルや喧嘩から激高して凶器を使用して相手を脅迫したり、あるいは強い恨み等のために凶器を用いて相手を脅迫等する場合において生じうる刑事責任について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【事件例】
トラック運転手Aさんは、静岡県静岡市清水区の道路を走行中、隣の車両を走っていた車から急な車線変更を迫られたためカッとなり、その車を追いかけて路肩に寄せて停止させ、運転していた自営業の男性Vに対して金属製のスパナを突きつけ、「ぶっ殺すぞ。謝れ」と暴力的に脅迫して無理に謝罪をさせました。
VはAから解放された後、110番通報をしたため、静岡県警清水警察署の警察官がパトカーでAさんのトラックを追跡し、警察の職務質問に対してAが反抗的な態度をとったため、Aさんを暴力行為処罰法違反の疑いで緊急逮捕しました。
(※フィクションです)
上記刑事事件例は、令和2年4月24日、大阪府寝屋川市のトラック運転手の男性が、兵庫県相生市竜泉町の国道2号で、信号待ちで止まったワゴン車の男性に対して金づちを振り上げ、「降りてこい。殺したろか」と脅迫した疑いで、兵庫県警相生警察署によって暴力行為処罰法違反の疑いで緊急逮捕されたれた事案をモデルにしています。
被害を受けた男性からの110番で追跡した相生警察署のパトカーが、約25キロ西に離れた岡山県備前市の国道2号で男の大型トラックを発見し、被疑者男性が降りてこなかったため、緊急逮捕に踏み切ったとのことで、警察の調べに対し、被疑者は「クラクションを鳴らされて腹が立った」と被疑事実を認めている模様です。
このように、刃物や鈍器などの凶器を用いて暴力行為を振るう、もしくは暴力的な脅迫を行うことで刑事事件化する事例は少なからず報道されており、その背景をみると、当事者同士のトラブルや喧嘩から激高して凶器を用いた暴力行為に発展するケースや、あるいは、もともと強い恨みを抱いていた相手に対して強烈な脅しをかけるために暴力的な脅迫に至るケースが多いように見受けられます。
例えば、令和元年6月14日、兵庫県川西市の市立中学校に刃物を持った男性(83歳)が侵入し、応対した教頭らに「登下校時の生徒がうるさい」などと話し、刃物を突きつけたとして、駆け付けた兵庫県警川西警察署の警察官によって、建造物侵入罪と暴力行為等処罰法違反の疑いで緊急逮捕した事案も話題になりました。
この事例では、学校の生活音に対して日頃から不満を募らせ、怒り心頭に達した被疑者が、そのストレスを激烈に表現すべく凶器を用いた脅迫行為という過激な手段に出てしまったと推測されます。
【暴力行為処罰法違反】
暴力行為処罰法は、非常に古い法律で、暴力団や暴力団に準ずる反社会的団体による、悪質な手段や態様の強要・脅迫行為を取り締まる為の法律と解されていますが、そのような背景にない民間人であっても、非常に悪質で過激な暴力的行為に踏み切った刑事事件で適用されることが往々にして見受けられます。
暴力行為処罰法の第1条によれば、多数の集団による威力を示したり、または凶器を使用したり、数人が共同して、刑法における暴行罪や脅迫罪、あるいは器物損壊罪等を行った場合には、刑法上の法定刑より重い刑罰を加える(3年以下の懲役又は30万円以下の罰金)としています。
基本的に、凶器を所持または使用した暴力的行為や脅迫的行為は、犯行態様として危険性が高く、すなわち悪質であり、違法性が高いと判断されています。
そのため、捜査機関は被害者に対するさらなる威迫の恐れが高いと判断し、逮捕に踏み切る場合が多く、さらに最大20日間の勾留が決定する可能性が高いと言えます。
この場合、勾留決定に対する不服申し立て(準抗告)では、勾留が取り消される可能性は極めて低いため、刑事事件の示談に経験豊富な刑事事件弁護士を通じて被害者にアプローチをとり、様々な条件を提示して示談締結を目指すことが最も効果的な方法と言えるでしょう。
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