夫を傷害した疑いで77歳妻が逮捕 夫は死亡
今回は、静岡県で起きた傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
静岡市清水区の自宅で78歳の夫の背中などを殴ってけがをさせたとして、77歳の妻が逮捕されました。夫は21日に死亡し、警察が暴行との因果関係を調べています。
傷害の疑いで逮捕されたのは、静岡市清水区草薙の77歳の女性です。清水警察署によりますと、女性は11月中旬、78歳の夫の背中などを殴ってけがをさせた疑いがもたれています。
21日朝、女性から「夫の意識がない」と119番通報があり、駆け付けた救急隊が布団の上で死んでいる夫を確認し、警察に連絡、事件が発覚しました。
警察は22日司法解剖をして、女性の暴行と夫の死亡に因果関係があるかどうか調べる予定です。警察は女性が容疑を認めているかどうか明らかにしていません。夫婦は2人暮らしだった、ということです。
(https://news.yahoo.co.jp/articles/feffc30a977022cf731b57af4d415426ec30a20c 11月21日 静岡朝日テレビ 「「夫の意識がない」と119番…救急隊が駆け付けると布団の上で夫が死んでいて 77歳の妻を傷害容疑で逮捕…暴行と死亡の因果関係を捜査 静岡市」より引用)
~傷害の疑いで逮捕されたのは?~
ケースの被疑者である77歳妻は、被害者である夫が死亡しているにも関わらず傷害の疑いで逮捕されています。
77歳妻が夫の背中などを殴りけがをさせたとみられているのは11月中旬ですが、夫が死亡したのは21日であり、前記暴行と死亡との間に時間的な隔たりが存在します。
現在、前記暴行と死亡結果との因果関係が明らかでないため(前記暴行と別の理由で亡くなった可能性もある)、傷害の疑いで77歳妻を逮捕したものと考えられます。
人を傷害し、よって死亡させた場合には、「傷害致死罪」に問われます(刑法第205条)。
しかし、傷害致死罪が成立するためには、傷害行為のせいで被害者が死亡した、という法律的な因果関係が認められる必要があります。
この因果関係が認められなければ、被害者が死亡した場合であっても、死亡結果について罪責は認められません。
このような場合には、傷害致死罪ではなく、暴行罪や傷害罪が成立するにとどまることになるでしょう。
ケースの記事にも記載されていますが、捜査機関は77歳妻による暴行と、夫の死亡との間における因果関係を詳しく調査するでしょう。
それに伴い、身体拘束の長期化も見込まれます。
また、捜査機関が暴行と死亡結果との間に因果関係がある、と判断すれば、被疑罪名が前記の傷害致死に変更される可能性もあります。
傷害致死罪の法定刑は3年以上20年以下の有期懲役となっており、かなり重い罪といえます。
このような場合は、刑事事件に熟練した弁護士にいち早く弁護活動を依頼し、サポートを受ける必要性が高いものと考えられます。
すぐに弁護士の接見を受け、事件解決に向けた弁護活動についてアドバイスを受けることを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が傷害、傷害致死の疑いで逮捕され、お悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。