建造物侵入事件で逮捕

建造物侵入事件で逮捕

建造物侵入事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

静岡県三島市に住むAさん(30歳、男性)は、女性用のかつらや化粧で女装し、静岡県三島市内にある入浴施設の女湯に立ち入りました。
Aさんの挙動を不審に思った施設の従業員は、静岡県三島警察署の警察官に通報しました。
その結果、Aさんは静岡県三島警察署の警察官により、建造物侵入罪の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは静岡県三島市内にある会社を経営している会社役員であり、自分がいないと会社の経営ができないため、何とか速やかに釈放してほしいと考えています。
(2021年1月25日に読売新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【建造物侵入罪とは】

刑法130条は建造物侵入罪を規定しています。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪を犯した者には、1月以上3年以下の懲役(刑法12条1項)又は1万円以上10万円以下の罰金(刑法15条)が科されることになります。

ここで、建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入した者に成立します。

建造物侵入罪の人の看守する状態とは、施錠したり、監視人を置いたりしている状態をいいます。
建造物の管理のための人的・物理的設備がとられていれば、建造物侵入罪の人の看守する状態にあったといえることになります。

建造物侵入罪の建造物とは、住居と邸宅(空き家や別荘など)を除く建物を指します。
建造物侵入罪建造物に該当する例としては学校や工場などが挙げられます。

建造物侵入罪の侵入とは、建造物の管理権者の意思に反する立入りを指します。
建造物の管理権者の意思とは、「誰の立入りを許すか、誰を入れたくないのか」という意思をいいます。

以上をまとめれば、建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、施錠されたり監視人が置かれたりしている学校や工場などの建物に、建造物の管理権者の意思に反して立ち入った場合に成立することになります。

刑事事件例を見てみると、Aさんは、正当な理由がないのに、管理人がいる入浴施設に、管理人の意思に反して立ち入ったといえると考えられます。
入浴施設の管理人は、「女湯に許可なく入ろうとする男性は入浴施設に入れたくない」という意思を持っていたと考えることができるでしょう。

以上より、Aさんには建造物侵入罪が成立すると考えられます。

【建造物侵入事件の刑事弁護活動】

刑事事件例では、Aさんは建造物侵入罪の容疑で現行犯逮捕されています。
建造物侵入罪で現行犯逮捕されたAさんは、この後、48時間以内に検察庁に送られることになります(刑事訴訟法203条1項)。

そして、建造物侵入事件の被疑者であるAさんを受け取った検察官は、24時間以内に建造物侵入罪の容疑での勾留の請求をするか否かを決定します(刑事訴訟法205条1項)。
建造物侵入罪の容疑での勾留は、逮捕に引き続く長期的な身体拘束と考えられます。

検察官による勾留の請求を受けた裁判官は、建造物侵入罪の容疑での勾留の決定をするか否かを決定します。

建造物侵入罪の容疑での勾留が決定された場合、勾留の延長を含めると最長で20日間、身体の拘束がなされることになります(刑事訴訟法208条1項、2項)。

ここで、刑事事件例では、Aさんは愛知県瀬戸市にある会社の役員であり、自分がいないと会社の経営ができないため、何とか速やかに釈放してほしいと考えています。
刑事弁護士としては、検察官に対して建造物侵入罪の容疑での勾留の請求をしないよう、また裁判官に対して建造物侵入罪の容疑での勾留の請求をしないよう、意見書等を通して訴えていくことができます。
また、一度出されてしまった勾留決定に対しては、不服申立て(刑事訴訟法429条1項の準抗告)をすることができます。
このような刑事弁護士による刑事弁護活動が上手くいけば、Aさんは建造物侵入罪の容疑での勾留請求・勾留決定がされずに済んだり、不服申立てが通って速やかに身体拘束が解かれたりする可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物侵入事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

 

 

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