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(事例紹介)静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕
(事例紹介)静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕
静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕された事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事案~
静岡市清水区の社会福祉法人から資金を横領した疑いで逮捕された前理事長ら男2人について、警察は2人がさらに約2900万円を横領した疑いで再逮捕しました。
再逮捕されたのは、団体職員の男(52)と静岡市清水区の社会福祉法人の前理事長の男(43)2人です。
警察によりますと、2人は2022年10月から11月にかけて社会福祉法人の口座から関連会社など複数の口座に少なくとも十数回以上送金するなどして、現金約2900万円を横領した疑いが持たれています。
警察は2人が容疑を認めているかどうか明らかにしていませんが、使途不明金は7000万円に上るとみられていて、警察は引き続き金銭の流れを慎重に捜査しています。
また静岡地検は、2人が共謀して同じ社会福祉法人から1500万円を横領したとして起訴しています。
(テレビ静岡「さらに2900万円を社会福祉法人の資金から横領か 前理事長と団体職員を再逮捕 静岡」(2023/12/11)を引用・参照)。
~業務上横領について~
(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
(業務上)横領罪とは、他人から預かった他人の所有物を着服し自らのものにしてしまう行為を罰する趣旨の規定です(刑法252条、253条)。
業務上横領において刑が加重されているのは、多数人との間の委託信任関係を破壊する点で単純横領のそれよりも法益に対する侵害が重大であるからとも言われています。
上記のように業務上横領(253条)の法定刑が「10年以下の懲役」であるのに対し、単純横領(252条)は「5年以下の懲役」と最高刑が半分であるわけですから、「業務」該当性の検討は非常に重要となります。
ここでいう「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行われる事務であって、他人の委託に基づいて他人の物を管理する事務をいうと解されています。
本件では、報道のみでは事実関係が必ずしも明らかではないものの、被疑者らは法人の金銭を保管する事務を行っていたと考えられ業務者に当たると思われます。
~再逮捕事案の弁護活動等~
本件事案では、被疑者らはすでに一部の容疑では起訴されており、余罪の業務上横領が発覚する度に逮捕が繰り返されています。
なお、マスコミ用語でいう「再逮捕」と法律上の「再逮捕」とは異なる概念であり、混同しないよう注意が必要です。
本件のように違う被疑事実で同じ被疑者を再度逮捕することは、法律上は単に異なる容疑で逮捕しただけであり、裁判例(東京地決S47.4.4等)においても厳格な要件が課せられている「再逮捕」(刑訴法199条3項等参照)には当たりません。
以下では、断わりのない限りマスコミ用語でいうところの「再逮捕」(つまり単なる再度の逮捕)の意味で「再逮捕」の語を使用します。
本事案のように余罪が多数見込まれ、再逮捕が繰り返されているような事案ではどうしても身体拘束期間が長引くことが避けがたくなります。
余罪の有無は、起訴後の保釈(刑訴法88条以下)が認められるかの判断にも関わるため、弁護士が接見を繰り返すことも被疑者・被告人の精神面を含めたケアにとって重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務上横領事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
業務上横領事件で逮捕・再逮捕された方のご家族等は、24時間/365日対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までいつでもお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
当事務所では、365日24時間体制で無料相談・初回接見サービスのご予約をお電話にて受け付けております。刑事事件や少年事件でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
(事例紹介)募金詐欺をしたなどと被害者の名誉を毀損する書き込みをした静岡県内の男性が逮捕
(事例紹介)募金詐欺をしたなどと被害者の名誉を毀損する書き込みをした静岡県内の男性が逮捕
募金詐欺をしたなどと被害者の名誉を毀損する書き込みをした静岡県内の男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
~事案~
行方不明になった当時小学生の母親の画像をブログに掲載し「募金詐欺」などと書き込んだとして、警察は、静岡県に住む容疑者を名誉毀損の疑いで逮捕した。
逮捕容疑は、ブログに母親の顔が写った画像を掲載し、「募金詐欺をした」などと被害者の名誉を毀損する書き込みをした疑い。
容疑者は「ブログは管理しているが、名誉を毀損したつもりはない」と否認している。
警察によると、被害者から相談を受け、ブログのアカウントなどを捜査した。
(日本経済新聞 「不明女児の母に「詐欺」 名誉毀損疑いで69歳男逮捕」(2020/10/15)を引用・参照)。
~名誉毀損罪について~
(名誉毀損)
第230条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処る。
2 死者の名誉を毀損した者は、虚偽の事実を摘示することによってした場合でなければ、罰しない。
(親告罪)
第232条 この章の罪(注:230条や231条の侮辱罪)は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
2 (略)
名誉毀損罪(刑法230条1項)とは、「その事実の有無にかかわらず」人の名誉を低下させるような「事実を摘示」すれば、成立しうる犯罪です。
この点は少なくない方が勘違いしていると思われますが、これは同条2項と対比すれば明白となります。
同項は、名誉毀損行為の相手が「死者」である場合は、「虚偽の事実を摘示」した場合でないと同罪は成立しないと定めています。
つまり、裏を返せば1項の名誉毀損罪の成立においては、摘示される「事実」は虚偽である必要はないということなのです。
例えば、本事案において募金詐欺をしたことが仮に事実だとしても、そのような事実は人の名誉を害するおそれがあることから、本罪の成立を妨げません。
そして、本行為はインターネットという世界中から誰でも閲覧できる場所においてなされていることから、「公然」性が否定されることはないでしょう。
~否認事件における刑事弁護活動~
本事案において、逮捕された被疑者は容疑を否認しています。
被疑者には黙秘権が保障(憲法38条1項、刑訴法198条2項等)されており、取調べに対して応答する義務はありません。
このことは否認事件では特に重要であり、都合の良い供述を得ようとする捜査機関に対し、黙秘権を行使することは権利であるということをしっかり認識する(させる)必要があります。
しかし、捜査機関は、黙秘している被疑者に対してもあの手この手を使い、口を開かせようとしてきます。
したがって、弁護士が頻繁に接見するなどして被疑者をサポートとし、取調べ状況を逐一チェックすることが極めて重要となります。
なお、名誉毀損罪に関しては230条の2が、例外的に罰されない場合について定めており、この点についても留意が必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、名誉毀損事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
名誉毀損事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

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(事例紹介)盗撮した嫌疑で性的姿態等撮影罪で逮捕されるものちに不起訴になった事例
(事例紹介)盗撮した嫌疑で性的姿態等撮影罪で逮捕されるものちに不起訴になった事例
性的姿態等撮影罪、いわゆる盗撮罪で逮捕後に不起訴になった事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
静岡地検富士支部は、性的姿態撮影処罰法違反の疑いで逮捕、送検された男性会社員を不起訴処分とした。
男性は富士市内の宿泊施設で被害者の性的な姿態を盗撮したとして、富士署に逮捕された。
7月に施行された同法を県警が適用し、逮捕した初めてのケースだった。
(静岡新聞「盗撮容疑の男性を不起訴 静岡地検富士支部」(2023/9/1を引用・参照)
~いわゆる盗撮罪の創設~
(性的姿態等撮影)
第2条 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。
一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為
イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分
ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法……第177条第1項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態
二 刑法第176条第1項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為
三 (略)
四 (略)
2 前項の罪の未遂は、罰する。
3 前2項の規定は、刑法第176条及び第179条第1項の規定の適用を妨げない。
本年(2023年)7月に刑法の性犯罪規定改正の施行と同時に、性的姿態撮影処罰法が創設・施行されました。
これまで本事案のような盗撮行為は、各都道府県が制定するいわゆる迷惑防止条例によって処罰されてきました。
しかし、各都道府県によって規制対象が異なるなど様々な問題点が指摘されており、今回の立法によって盗撮行為の処罰が統一化されることになったのです。
特に今回の立法によって大きく変わったのが、法定刑の厳罰化です。
これまで多くの条例が「1年」と規定していた刑罰が、最高刑が「3年」(上記本法2条の場合)まで引き上げられました。
スマートフォン等の普及などを背景に盗撮被害の増加が叫ばれており、これまで以上に世間(そして司法)から厳しい目を向けられることになることは間違いありません。
~起訴回避のための弁護活動~
一方で、本事案は弁護士による弁護活動が奏功した事案であると考えられます。
その弁護活動も否認事件と被疑者が犯罪事実を認めている自白事件で異なり得ます。
仮に本件が自白事件だとすれば、被害者との示談等による不起訴が依頼者にとって最も有利な処分の一つとして目指すべき弁護活動となるでしょう。
検察官との折衝など弁護士にしかできない活動が、逮捕や送検されてしまった依頼者にとってメリットを生む可能性があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、盗撮事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
盗撮事件で逮捕等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)にお電話ください。

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(事例紹介)静岡地方裁判所の差し戻し審で懲役5年の言渡しを受けていた男性に対して無罪判決
(事例紹介)静岡地方裁判所の差し戻し審で懲役5年の言渡しを受けていた男性に対して無罪判決
静岡地裁で無罪判決が下された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
2019年に、伊豆の国市にある福祉施設の工事現場で、同僚の作業員に暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死の罪で起訴された男性について、静岡地方裁判所は、「男性の同僚が被害者に対して死亡につながる暴行を加えた疑いが払拭できない」などとして、無罪を言い渡しました。
伊豆の国市にある福祉施設の工事現場で働いていた男性は、2019年9月に同僚だった作業員の男性に何らかの暴行を加えて死亡させたとして、傷害致死の罪で起訴されました。
1審の静岡地方裁判所沼津支部は懲役5年の判決を言い渡しましたが、2審の東京高等裁判所は「別の作業員から死亡につながる暴行を加えられた可能性が否定できない」として審理をやり直すよう命じました。
(NHK NEWS WEB「傷害致死罪で起訴の男性 静岡地裁が無罪判決」(2023/9/21)を引用・参照。)
~差戻し審で無罪判決が確定~
本事件は、1審で「懲役5年」の実刑判決が下されたのにも関わらず、最終的に無罪判決が確定しています。
その経緯を辿ると、まず上記の静岡地裁での1審は、裁判員裁判でした。
いわゆる裁判員法は、「裁判所法第26条第2項第2号に掲げる事件であって、 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に係るもの」(2条1項2号)を裁判員裁判の対象事件としています。
そして、裁判所法26条2項2号は「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪⋯⋯に係る事件」と定めていることから、傷害致死罪(刑法205条)は「3年以上の有期懲役」という「短期1年以上の懲役」を法定刑として定めており、「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」にも当たることから、対象事件となります。
この裁判員裁判で上記判決が下され、被告人は控訴しました(刑訴法372条)。
2審である東京高裁は、控訴理由があるとして原判決を破棄し、事件を原審たる静岡地裁に差し戻しました(刑訴法400条本文)。
その差戻し審において裁判所は「当時、被告人が『被害者を殴った』と発言していたと同僚が証言しているが、これは自身の刑事責任を免れるための虚偽の証言の疑いがあり、信用できない。この同僚が死亡につながる暴行を加えた疑いが払拭できない以上、被告の暴行を推認することは困難だ」などとして、無罪を言い渡したのです(検察官は控訴せず無罪が確定)。
~冤罪事件における弁護活動~
本事件が辿った経緯に鑑みると、当然ではありますが一般市民たる裁判員(そして職業裁判官)も判断を誤り得るということです。
本件では、同僚の証言が虚偽であった可能性があることが判決において指摘されています。
例えば心理学における実証研究においても、人が嘘を見抜く力はほとんど偶然の領域を出ない(50%をわずかに越える程度)でしかないと言われています。
これは一つの例でしかありませんが、冤罪事件はこういった要因が重なることによって誤判に至るという構造を有します。
弁護士としては、このような複雑に絡み合った要因を突き止め、被告人を冤罪から救うために正確な証拠等の分析が不可欠となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、無罪獲得実績のある刑事事件専門の法律事務所です。
身に覚えのない事件等で逮捕・起訴されてしまった方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお問い合わせください。

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(事例紹介)静岡市消防局の消防士が不同意性交等の疑い逮捕された事件について検討
(事例紹介)静岡市消防局の消防士が不同意性交等の疑い逮捕された事件について検討
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が静岡市で発生した不同意性交事件の被疑者男性の逮捕事例について解説致します。
【事例】
風俗店店員の女性と同意を得ずに性交したとして静岡市消防局に勤務する消防士の男が逮捕されました。
不同意性交などの疑いで逮捕されたのは、静岡市消防局●●署の消防士で●●市に住む34歳の男です。
警察によりますと、容疑者の男は10月25日 午後0時30分ごろ、静岡市葵区内の宿泊施設で県西部に住む37歳の風俗店店員の女性に対して同意を得ずに性交した疑いです。
静岡市消防局によりますと、逮捕された消防士の男は当日の勤務については非番だったということです。
所属消防士の逮捕を受け静岡市消防局の局長は「当局の職員が、不同意性交等で逮捕されたことについては、誠に遺憾であり、大変重く受け止めております。今後、詳細を確認したうえで、厳正に対処してまいります」とのコメントを発表しています。
引用:Yahooニュース「風俗店店員女性に対し同意得ず性交した疑い…静岡市消防局の消防士の男逮捕」10/26(木) 10:39配信
※記事の一部を変更して引用
https://news.yahoo.co.jp/articles/a0cabd39b89fb2a084dc634975a188cb0ea6e668
【解説】
1 不同意性交等罪とは?
不同意性交等罪とは、令和5年に施行された改正刑法で新設された罪です。
従来の強制性交等罪と準強制性交等罪が統合されていて、改正前の強制性交等罪では処罰できなかったケースにも対応できるように内容が変更されています。
2 不同意性交等罪の成立する行為とは?
改正された刑法177条の「不同意性交等罪」では、8つの行為・事由によって「同意しない意思を形成し、表明し、全うすることが困難な状態にさせ、またはその状態にあること」に乗じた性交等を処分しています。
具体的には以下のような行為を明文で規定しています。
① 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
② 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
③ アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
④ 睡眠その他の意識が明瞭でない状態にさせること又はその状態にあること。
⑤ 同意しない意思を形成し、表明し又は全うするいとまがないこと。
⑥ 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させること又はその事態に直面して恐怖し、若しくは驚愕していること。
⑦ 虐待に起因する心理的反応を生じさせること又はそれがあること。
⑧ 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。
上記のほかにも改正により不同意性交等罪では、その行為がわいせつなものではないと誤信させたり、行為をする者について人違いをさせたりして性交等をした者も処罰対象にしたり(第177条2項)、従来までの性交同意年齢は「13歳」とされていたところを、本改正によって不同意性交等罪における性交同意年齢を「16歳」に引き上げられました。
それにより、16歳未満の人に対して性交等を行った場合は、同意の有無に関わらず不同意性交等罪が成立するようになりました。
3 不同意性交等罪事件のポイント
今回の事例で、男性は不同意性交の嫌疑で逮捕されています。
不同意性交等罪の処罰内容は5年以上の有期拘禁刑のみで、罰金刑はありません。
不同意性交等罪は罰金刑が規定されていませんので、略式起訴されることはなく、検察官が起訴できるだけの証拠があると判断した場合には正式起訴(公判請求)され、刑事裁判になります。
不同意性交等罪のように重い処罰しかない犯罪は、初犯であっても執行猶予ではなく実刑(刑務所に行く)に処される可能性が高くなります。
しかし被害者と示談交渉を行い、被害者が被疑者を赦す「宥恕」の約定を盛り込んだ示談書の取交しができれば、不同意性交等罪であっても不起訴処分となる可能性が高くなります。
また、裁判でも、執行猶予判決が望めることとなります。
よって、不同意性交等罪事件では、弁護士を通して被害者と示談することができるかどうかがポイントになります。
【事務所紹介】
今回は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が静岡市で発生した不同意性交事件の被疑者男性の逮捕事例について解説しました。
上記の解説のように、不同意性交等事件のような被害者のいる犯罪では、被害者との示談や被害弁償をしたか否かが、検察官の起訴・不起訴の判断、裁判所の執行猶予や減刑の判断に大きな影響を及ぼすため、弁護士を通して被害者と示談できるかどうかがポイントの一つとなります。
この際に被害者と加害者が直接交渉を行うと、被害者の加害者に対する感情から状況が悪化する危険があるので、直接交渉は避けて弁護士に間に入ってもらうべきです。
また、不同意性交等罪の場合は供述が重要となることも多く、取調べの前後で弁護士から適切なアドバイスを受けること、刑事裁判になった場合に被告人質問で慌てないために事前に打合せをする、といった様々な弁護活動が考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
被害者との示談交渉の経験も豊富な弁護士が所属しております。
静岡県内で、ご家族が不同意性交等罪で警察官に逮捕されてしまった方や、刑事事件を起こしてしまった方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。
逮捕され身柄が拘束されている場合には、最短当日に、弁護士が直接本人のところへ接見に行く「初回接見サービス」(有料)をご提供しています。
24時間365日受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)

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静岡県浜松市で酒に酔った公務員男性が住居侵入と器物損壊の疑いで逮捕された事案について解説
静岡県浜松市で酒に酔った公務員男性が住居侵入と器物損壊の疑いで逮捕された事案について解説
浜松市で住居侵入と器物損壊の疑いで公務員が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
静岡県警は、酒に酔って浜松市の住宅の駐車場に侵入し、車の窓ガラスに傷を付けたとして、住居侵入と器物損壊の疑いで、沼津市西間門、沼津署巡査を逮捕した。
逮捕容疑は、浜松市南区の会社員男性宅の駐車場に侵入し、軽乗用車の窓ガラスなどをコンクリートブロック片で傷つけた疑い。
(日本経済新聞「酔って車損壊、警官を逮捕 静岡」(2023/2/10)を引用・参照。)
~住居侵入と器物損壊~
(住居侵入等)
第130条 正当な理由がないのに、人の住居⋯⋯に侵入し⋯⋯た者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(器物損壊等)
第261条 ⋯⋯他人の物を損壊し⋯⋯た者は、3年以下の懲役又は3万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(親告罪)
第264条 ⋯⋯第261条⋯⋯の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない
本件で逮捕された被疑者が、他人の乗用車を傷付けた行為が器物損壊罪に当たるのは明白でしょう。
では、被疑者は被害者宅の駐車場に「侵入」したとされていますが、駐車場は「住居」といえるのでしょうか。
この点については実務・判例上、囲にょう地(庭などの塀で囲まれた場所)も「住居」に当たると解されています。
もっとも、近年の裁判例(大阪高判R3.7.16)は、最判S51.3.4を引用した上で、「住居」の一部とされる囲にょう地を「その囲障の存在によって,その土地を建物の利用に供し,部外者の立入りを禁止するという居住者の意思が明示されていると認められるものであることが必要である」と限定する判断を示しています。
したがって、報道のみからは必ずしも明らかではない被害者宅の構造等によっては、駐車場への侵入が住居侵入罪を構成しない場合があることに注意が必要です。
~公務員が起こした刑事事件における弁護活動~
本事案で逮捕された被疑者は警察官ですが、警察官も地方公務員法3条2項にいう「一般職」の地方公務員に当たります。
地方公務員法28条4項は、「職員は、第16条各号(第3号を除く。)の一に該当するに至つたときは、条例に特別の定がある場合を除く外、その職を失う」と規定しています。
同法16条2号に目を移すと、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」とあり、地方公務員が実刑や執行猶予判決を受けてしまうと、上記法28条4項により職を失ってしまうのです。
したがって、不起訴や罰金刑に刑事処分をとどめるために、被害者との示談等を成立させることが重要になってきます。
この点、刑事事件専門の弁護士は、被害者との示談交渉の経験も豊富であり、公務員等の職にある被疑者が失職を防ぐための弁護活動を行うことができます。
また、公務員が刑事事件を起こした場合、逮捕されているか否かによっても、その弁護活動は大きく変わってくることからこの点も重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、住居侵入や器物損壊事件を含む刑事事件のみを専門的に取り扱っている弁護士の所属する法律事務所です。
公務員で刑事事件を起こしてしまった方やそのご家族は、24時間/365日受付のフリーダイヤル(通話料無料:0120-631-881)までまずはお電話ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
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(ニュース紹介)列車内で女子中学生の衣服の中に手を入れて胸を触ったか 30代男性が現行犯逮捕
(ニュース紹介)列車内で女子中学生の衣服の中に手を入れて胸を触ったか 30代男性が現行犯逮捕
走行中の鉄道車両にて女子生徒の衣服の中に手を入れる方法でわいせつな行為をしたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討致します。
【事例紹介】
列車内で、女子中学生の衣服の中に手を入れて胸を触ったとして、30代の男が現行犯逮捕されました。
不同意わいせつの疑いで現行犯逮捕されたのは、愛知県○○市在住の会社員の男です。
愛知県警察によりますと、男は、列車内で、となりの座席で寝ていた女子中学生の衣服の中に手を入れて胸を触った疑いがもたれています。
女子中学生から助けを求められた女性客が駅員に連絡し、駅員からの通報で駆けつけた警察官が豊橋駅で現行犯逮捕しました。
調べに対し、男は容疑を認めているということです。
(9月25日中京テレビ配信のニュースを参考に、一部内容を変更しております。)
【「不同意わいせつ罪」とは?】
今年の7月中旬に刑法が改正され、従来の強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪に代わって、不同意わいせつ罪(刑法176条)が制定されました。
法定刑は従来と同じですが、「同意しない意思を形成、表明又は全うすることが困難な状態にさせること、あるいは、相手がそのような状態であること」に乗じてわいせつな行為をした場合に、同罪に該当することとなり、176条1項1号~8号、同条2項にその具体例が列挙されています。
旧刑法における強制わいせつ罪においては、「暴行」又は「脅迫」を用いてわいせつ行為を行った場合に成立していましたが、今回の改正により、「暴行」や「脅迫」がなくとも、同意なくわいせつな行為をすることで成立することになりました。
これにより、電車痴漢のような、「暴行」や「脅迫」がないとしてこれまで各都道府県の迷惑行為防止条例で処罰がされていたような事案についても、その態様の如何によっては、不同意わいせつ罪により処罰される可能性が高まったといえます。
(*注:旧刑法の下であっても、今回のケースのように衣服の中に手を入れて胸を触った電車痴漢であれば、強制わいせつ罪が適用される可能性が高いです。)
また、性交同意年齢についてもこれまでの13歳から16歳に引き上げられ、16歳未満の者に対してわいせつな行為を行った場合は、原則としてその者の同意の有無にかかわらず不同意わいせつ罪が成立しますが、例外として、16歳未満の者にわいせつな行為を行った者との年齢差が5歳未満であるときは、わいせつな行為を行ったのみでは不同意わいせつ罪にはなりません(176条3項、例えば、被害者の年齢が15歳、わいせつな行為を行った者が18歳であった場合、176条3項は適用されないので、176条1項各号、同条2項に該当する場合に限って、不同意わいせつ罪が成立する可能性があります。)
今回の事案では、30代の男が、列車内で寝ていた女子中学生の衣服の中に手を入れて胸を触ったということですので、176条3項により、不同意わいせつ罪が成立することになります。
【具体的な弁護活動】
今回のケースのように、16歳未満の者への不同意わいせつ罪で逮捕された場合、未成年者へのわいせつ行為であることから、逮捕後の勾留など長期間にわたる身体拘束のおそれや、厳しい刑事処分が予想されます。
そのため、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えた場合、刑事事件に強い弁護士による迅速かつ適切な弁護活動が不可欠といえます。
今回のケースのように逮捕されてしまった場合は、長期間に渡る身柄拘束による、会社や学校を辞めなくてはならないというリスクを回避するために、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことなどを主張して、逮捕後の勾留阻止のため迅速に対応します。
そして、被害者の方、今回のような未成年者の方が被害者である場合は保護者の方に対して、謝罪や被害弁償を含めた示談交渉を行い、宥恕条項付きの示談締結により不起訴処分の獲得を目指します。
ご家族の方が不同意わいせつ罪で逮捕されてしまった・ご自身が不同意わいせつ罪で取り調べを受けている場合は、すぐに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
愛知県内、静岡県内で家族が不同意わいせつ事件の嫌疑で逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは弁護士が逮捕・勾留されているご家族のもとへ接見に伺う初回接見サービス(有料)をご案内します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
当事務所では、365日24時間体制で無料相談・初回接見サービスのご予約をお電話にて受け付けております。刑事事件や少年事件でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
静岡県焼津市で横領の疑いで男性を逮捕
静岡県焼津市で横領の疑いで男性を逮捕
静岡県焼津市で横領の疑いで男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
静岡県焼津警察署は、横領の疑いで会社員の男を逮捕した。
逮捕容疑は昨年10月下旬から11月上旬にかけて、ゴルフ用品などの製造販売を手がける焼津市の会社のインターネットレンタルサービスを利用して借りたゴルフクラブ2本(時価計12万円相当)を、ゴルフ用品買い取り店に売却した疑い。
(静岡新聞「レンタルのゴルフクラブを売却した疑い」(2023/10/19)を引用・参照。)
~単純横領罪とは~
(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 (略)
刑法は、自らが占有している他人の物の所有権(および所有者との間の委託関係)を保護し、これを侵害する行為を罰するための規定を設けています。
その最も典型的な規定が、上記刑法252条が規定する単純横領罪です。
本件の被疑者は、レンタルサービス会社の有する「他人の物」であるゴルフクラブを「占有」しています。
上記条文に明文はありませんが、かかる「占有」は委託関係に基づくものである必要があります(委託物横領罪とも呼ばれるのはそれ故です)。
本件クラブという「他人の物」は、被害者である会社とのレンタル契約に基づく委託関係によって「占有」されるに至っています。
したがって、被疑者による「横領」行為が認められれば、(委託物)横領罪が成立しうることになります。
ここにいう「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言い、判例は横領罪における不法領得の意思を「委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」と定義しています。
本件では、レンタル契約に基づいてクラブを利用しなければならない被疑者がこれを売却しており、不法領得の意思およびその発現行為があったといえ、(委託物)横領罪が成立するものと考えられます。
~逮捕を避けるための弁護活動等~
本件では、被疑事実となっている行為は、逮捕から約1年前に行われています。
逮捕されてしまえば、その身体拘束によって決して小さくない事実上の不利益(有職者であれば仕事への悪影響)を被ることになってしまいます。
では本件のように、犯罪行為を行ったとされる時期と逮捕との間にタイムラグがある場合、逮捕を避けることはできなかったのでしょうか。
このとき、まずもって思い付くのは、自首し自ら犯罪行為を申告することです。
そこで自首についての規定を見てみると、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」(刑法42条1項)とされています。
自首による法律上の効果は、任意的な「刑」の「減刑」であり、逮捕されない等とはどこにも書かれていないのです。
逮捕回避のために警察へ自首したら、そのまま逮捕されてしまったなどという事例も少なくありません。
つまり、自首(事件発覚前の出頭行為)にはリスクが伴うのであり、慎重を期すべきです。
したがって、自首等による逮捕回避を望む場合にも、まずは専門家である弁護士への相談が必要不可欠と言えます(弊所なら初回相談は無料)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領事件を含む刑事事件を専門としている法律事務所です。
横領事件で逮捕されてしまった方のご家族や逮捕を避けたいという方は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお電話ください。

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静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
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藤枝市で非現住建造物等放火で男性が逮捕
藤枝市で非現住建造物等放火で男性が逮捕
藤枝市で非現住建造物等放火で男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
静岡県藤枝市の自宅に放火したとして、県警は、消防士の男を非現住建造物等放火容疑で逮捕する方針を固めた。
男は自宅に火災保険を掛けており、県警は保険金目的の可能性もあるとみて動機などを調べる。
捜査関係者によると、藤枝市の自宅に放火し、木造2階住宅を全焼させた疑いが持たれている。
男は一人暮らしで、けが人はいなかった。
(読売新聞 「消防士の20代男、自宅に放火疑いで逮捕へ…保険金目的か」(2023/3/1)を引用・参照)。
~放火罪における自己物の特例~
(現住建造物等放火)
第108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物⋯⋯を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(非現住建造物等放火)
第109条 放火して、現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物⋯⋯を焼損した者は、2年以上の有期懲役に処する。
2 前項の物が自己の所有に係るときは、6月以上7年以下の懲役に処する。ただし、公共の危険を生じなかったときは、罰しない。
(差押え等に係る自己の物に関する特例)
第115条 第109条第1項⋯⋯に規定する物が自己の所有に係るものであっても、差押えを受け、物権を負担し、賃貸し、配偶者居住権が設定され、又は保険に付したものである場合において、これを焼損したときは、他人の物を焼損した者の例による。
本事案では、被疑者は非現住建造物等放火罪で逮捕されようとしています。
当該被疑者は自宅に放火していることから、「現に人が住居に使用」している「建造物」に対する放火罪であるとしてより重い現住建造物等放火罪(刑法108条)が成立するのではないかという疑問が生じるかもしれません。
この点、現住建造物等放火罪における「人」には犯人は含まれないと解されており、本件では被疑者は一人暮らしであることから同罪は成立しないことになります。
ここで注意を要するのが、この自宅が被疑者の所有する建造物であった場合です。
109条2項は「現に人が住居に使用せず、かつ、現に人がいない建造物」が「自己の所有」に係るときには、自己所有非建造物等放火罪という同条1項に比して法定刑の軽い罪が成立するに留まる旨を規定しています。
もっとも、115条には「第109条第1項⋯⋯に規定する物が自己の所有に係るものであっても」「保険に付したものである場合」には、他人所有非建造物等放火罪(109条1項)が成立するとの特例が存在します。
つまり本件の場合、放火の対象となった建造物が被疑者の所有物でなかったとしても重い1項の罪が成立しうることになります(なお、自己所有物であった場合には「公共の危険」(同条2項ただし書)の発生も必要となります)。
~放火事件における刑事弁護活動~
逮捕された場合、留置施設(ほとんどの場合が警察署)での身体拘束を受けた状態で連日の取り調べ対応を迫られることになります。
特に初犯である場合などは被疑者はプロである取調官に比して知識や経験において極めて非対称的な立場に置かれてしまいます。
このような立場を利用し被疑者にとって不利益な供述を獲得しようとすることも少なくないことから、接見サービスなどを利用するなどして早期に弁護士によるアドバイスを受けることがその後の刑事処分を見据える意味でも重要です。
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放火事件で逮捕・起訴等された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。

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【富士市】未成年者誘拐の疑いで男性を逮捕
【富士市】未成年者誘拐の疑いで男性を逮捕
未成年者誘拐の疑いで男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
富士署は、未成年者誘拐の疑いで、自称電気工事業の男性を逮捕した。
逮捕容疑は某日正午ごろから午後2時ごろまでの間、静岡県東部の女児が未成年者と知りながら、富士市内を連れ回した疑い。
同署によると、女児から話を聞いた親から110番があった。
防犯カメラの映像などから容疑者を特定した。
(静岡新聞「未成年者誘拐の疑いで男を逮捕 富士署」(2023/10/8)を引用・参照。)
~未成年者の誘拐(略取)~
(未成年者略取及び誘拐)
第224条 未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
(親告罪)
第229条 第224条の罪及び同条の罪を幇助する目的で犯した第227条第1項の罪並びにこれらの罪の未遂罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
刑法224条は、被拐取者(略取、誘拐される者)の自由を奪う行為を罪として罰する旨を規定しています。
「略取」とは暴行または脅迫を手段として、「誘拐」とは欺もうまたは誘惑を手段として、人を本来の生活環境から不法に離脱させ、自己の実力下に移すことを言います。
なお、令和4年4月1日より施行された民法改正により、18歳をもって成年となることが規定された(民法4条)ため、本罪における「未成年者」とは18歳未満の者を指すことになります。
本事案では、被疑者が女児が未成年者と知りながら、欺もうまたは誘惑的な手段を弄して本来の生活環境たる親権者の元から離脱させており、「未成年者を⋯⋯誘拐」したと認められるものと考えられます。
~未成年者誘拐事件における弁護活動~
まず留意すべきなのが、上記229条の存在により未成年者誘拐罪は親告罪となることです。
これは、裁判に伴う未成年者たる被害者のプライバシー等への配慮から告訴を訴訟条件とする趣旨の規定と解されています。
親告罪とは、告訴がなければ公訴を提起することができない(起訴することができない)罪ですから、被害者や親権者との示談を通じ告訴を取り下げてもらうことができれば同罪で刑事処分を受けることはありません。
したがって、未成年誘拐事件においては示談の成立および告訴取下書の作成などが極めて重要な弁護活動の一端を担うことになると考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、未成年者誘拐事件を含む刑事事件のみを専門的に取り扱っている弁護士の所属する法律事務所です。
近年の刑事法は重要な法改正が相次ぐなど弁護士の知識のアップデートが不可欠な分野と言っても過言ではありません。
未成年者誘拐事件で逮捕されてしまった方のご家族・ご知人は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

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