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少年が特殊詐欺事件で逮捕

2023-09-06

少年が特殊詐欺事件で逮捕

静岡県清水市にて少年が特殊詐欺事件で逮捕されてしまったという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討いたします。

事案

清水警察署は、詐欺の疑いで御殿場市の無職少年A(17)を逮捕した。
逮捕容疑は、何者かと共謀して静岡市清水区の無職女性(73)宅に区役所職員や金融機関職員を名乗って「健康保険料の戻りがあるため振り込みたい」「キャッシュカードが古く作り替える必要がある」などと電話をかけた後、金融機関職員を装った少年が女性宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取った疑い。
同署によると、不審に思った女性が金融機関に確認し詐欺と発覚した。

(静岡新聞「カード詐取容疑 御殿場の17歳少年逮捕 清水署」(2023913)を引用・参照。)

~何者かとの共謀による特殊詐欺~

本事案では、被疑者である少年が共犯者と共謀し、健康保険料の返戻金が得られるなどと嘘をつき高齢の被害者からキャッシュカードをだまし取った行為が詐欺罪にあたるとして逮捕されるに至っています。
刑法は、246条1項において「人を欺いて財物を交付させた者」を、詐欺罪として処罰する旨の簡素な規定を置いています。
上記規定の文言のみからは必ずしも明らかではありませんが、詐欺罪が成立するためには「欺罔(ぎもう)行為→錯誤→交付行為→受領行為→財物の移転」という経過を辿る必要があると解されています。
いわゆる特殊詐欺では、架け子が「欺もう行為」を行い、これによって「錯誤」に陥った被害者から、受け子が「交付行為」を受けて目的の財物を「受領」するなど、1個の詐欺行為を共謀(刑法60条)して行うことに特徴があります。
本事案でも、氏名不詳者が区役所職員や金融機関職員を名乗って「健康保険料の戻りがあるため振り込みたい」「キャッシュカードが古く作り替える必要がある」などと電話をかけるという「欺もう行為」を行い、これによって被害者は上記事項につき「錯誤」に陥っています。
そして、その後(のちに逮捕された)少年Aさんが金融機関職員を装い被害者宅を訪れ、錯誤に陥った被害者からキャッシュカードの「交付」を受け、もって「受領行為」を行い「財物の移転」が完了しています。
このような行為を共謀(刑法60条)して行っている以上、直接には「欺もう行為」等を行っていない受け子である少年Aにも詐欺罪が成立しうることになります。

~弁護士による逮捕された方への接見~

逮捕されてしまった場合に、まず何よりも重要なのは早期の弁護士による接見です。
刑事訴訟法は、「身体の拘束を受けている……被疑者は」、「弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者」と「立会人なくして接見」することができる旨を定めています(39条1項)。
つまり、逮捕直後の捜査段階において被疑者と接見できるのは、原則として弁護士だけであり、一般の方は接見(面会)することはできません。
したがって、逮捕されてしまった場合には、その不利益(少年であれば学校生活に対する事実的な影響を含む)を最小限化するためにも、いち早く弁護士による接見を要請することが肝要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件を含む刑事事件のみを専門にしている法律事務所です。
詐欺事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

(ニュース紹介)静岡県熱海市で盗撮をしようとした疑いで逮捕

2023-08-30

(ニュース紹介)静岡県熱海市で盗撮をしようとした疑いで逮捕

静岡県熱海市で入浴施設を盗撮しようとしたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討致します。

【事案の概要】

静岡県熱海市の旅館従業員の男が、自身の勤める宿泊施設の露天風呂に入浴中の女性を密かに撮影しようとした疑いで逮捕されました。
性的姿態等撮影未遂の疑いで逮捕されたのは、熱海市の旅館従業員の男です。
静岡県警察によりますと、男は自身が勤務する熱海市内の宿泊施設で、スマートフォンを使って、露天風呂に入浴中の女性を撮影しようとした疑いが持たれています。
事件は、入浴中の女性が、「人影がある」と施設に通報したことで発覚しました。
静岡県警察は、男から押収したスマートフォンの解析を進めるとともに、余罪もあるとみて捜査を進める方針とのことです。
(8月23日静岡放送配信のニュースを参考に、一部内容を変更しています。)

【「性的姿態撮影等処罰法」が新しく施行】

今回は、今年7月13日に施行された、「性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律」(通称:性的姿態撮影等処罰法)が適用されたケースになります。
性的姿態撮影等処罰法によって、これまで各都道府県で罰則などが異なる迷惑防止条例によって検挙されていた盗撮行為のうち、「性的姿態等」、すなわち性器が映っているものや裸姿、下着姿を撮影したものについては、全国一律で処罰することができるようになりました。
性的姿態撮影等処罰法では、性的姿態等を対象とした盗撮行為の罰則につき「3年以下の拘禁刑(現在は懲役刑)又は300万円以下の罰金」と定めています。
静岡県迷惑行為等防止条例では、下着姿や衣服の全部又は一部を着けない人の映像を記録した場合は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」と定めていますので、従来よりも重い罰則が科せられることになります。
さらに、性的姿態撮影等処罰法は未遂(撮影を試みたが実際には撮影できなかったような場合)も処罰されることになります(同法2条2項)。

今回の事案では、入浴中の女性を撮影しようとしたとのことですので、性的姿態撮影等処罰法2条2項の性的姿態等撮影未遂罪に該当する疑いがあるとして、逮捕されたものと考えられます。

【具体的な弁護活動】

前述したように、性的姿態撮影等処罰法によって性的姿態等を対象とした盗撮行為の罰則が従来より重くなりました。
これによって、逮捕され、身体拘束の期間が長くなったり、これまでより厳しい刑事処分を受ける可能性が高まりました。
したがって、少しでも刑事処分を軽くしたいと考える場合、これまで以上に迅速かつ適切な弁護活動が重要になります。

今回のケースのように逮捕されてしまった場合は、長期間に渡る身柄拘束による、会社や学校を辞めなくてはならないというリスクを回避するために、証拠隠滅や逃亡のおそれがないことなどを主張して、逮捕後の勾留阻止のため迅速に対応します。
そして、被害者の方への被害弁償や示談交渉を行い、宥恕条項付きの示談締結により不起訴処分の獲得を目指します。

ご家族の方が盗撮事件で逮捕されてしまった・ご自身が盗撮事件で取り調べを受けている場合は、すぐに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡県南伊豆町で大麻の所持と栽培で逮捕

2023-08-23

静岡県南伊豆町で大麻の所持と栽培で逮捕

静岡県南伊豆町にて、大麻草を栽培し所持していたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討致します。

【事例】

下田署は18日までに、大麻取締法違反の疑いで南伊豆町伊浜、飲食店経営の女(50)を逮捕し、静岡地検沼津支部に追送致した。
逮捕容疑は6月20日、自宅で乾燥大麻約5グラムを所持した疑い。
追送致容疑は5月上旬から6月下旬までの間、自宅で大麻草17本を栽培した疑い。

同署によると、火災の通報で容疑者の自宅付近に駆け付けた警察官が、庭や自宅内で大麻草を見つけたという。

≪(静岡新聞HP2023年8月19日配信、同21日閲覧)大麻所持・栽培の疑い 南伊豆の女を逮捕、追送検 下田署≫

【大麻の栽培について】

大麻の栽培について、我が国では歴史的に、大麻草の繊維は、衣類や漁具、神社のしめ縄等に利用されてきました。(厚生労働省HP)
しかし、大麻の栽培をするためには、都道府県知事の免許を受ける必要があり、その目的も「繊維若しくは種子を採取する」というものに限られます。
この免許を受けずに大麻を栽培する行為は、大麻取締法に違反します。
条文は以下のとおりです。

(大麻の栽培等の禁止)
大麻取締法3条1項 大麻取扱者でなければ大麻を所持し、栽培し、譲り受け、譲り渡し、又は研究のため使用してはならない。
(大麻の栽培等の罰条)
大麻取締法24条1項 大麻を、みだりに、栽培し、本邦若しくは外国に輸入し、又は本邦若しくは外国から輸出した者は、7年以下の懲役に処する。
2項 営利の目的で前項の罪を犯した者は、10年以下の懲役に処し、又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金に処する。
3項 前二項の未遂罪は、罰する。

ちなみに、大麻草は稀に自然に生育する場合があり、意図せず自生しているという場合もあるようですが、大麻取締法のいう栽培は意図して大麻草を生育させることを指しますので、庭に自生していた場合に大麻取締法に当たる、というわけではありません。
大麻草が自生しているところを発見した場合、自分では抜かず、管轄する保健所等に連絡する必要があります。

【大麻の栽培での刑事罰】

大麻を自らの意思で栽培し有罪になった場合、
・懲役刑
・執行猶予付懲役刑
・上記に加え罰金刑
という刑事罰が考えられます。
ここで問題となるのが、栽培の目的です。
もし、栽培の目的が他人に有償で譲り渡す(販売する)目的であれば、営利目的栽培の罪に当たり、前出の大麻取締法24条2項の罰条(10年以下の懲役/10年以下の懲役と300万円以下の罰金の併科)の範囲で処されます。

営利目的栽培に当たるかどうかは、本人や事件関係者の供述に加え、栽培していた大麻草の量、他人とのやり取り(メール等の履歴)、入出金履歴などを総合的に勘案して判断されます。
今回の報道事例については、栽培した大麻は17本で所持していた乾燥大麻は5gと量がそこまで多くないことから、自己使用目的であると判断され大麻取締法24条1項で処理されると考えられますが、それ以外に大麻が見つかったり他人との売買のやり取りが見つかった場合には営利目的栽培として同2項で起訴される可能性もあります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻栽培・所持などの薬物事件の弁護経験も豊富です。
静岡県南伊豆町にて、大麻を栽培した嫌疑で捜査を受けている、あるいは家族が逮捕された場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士による初回接見サービス(有料)をご利用ください。

15歳男子高校生が商業施設の試着室に火をつけ、一部を焼損させた疑いで逮捕

2023-08-16

15歳男子高校生が商業施設の試着室に火をつけ、一部を焼損させた疑いで逮捕

今回は、15歳男子高校生が静岡県焼津市の商業施設の試着室にをつけ一部を焼損させたとして、器物損壊の疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

28日15歳の男子高校生が静岡県焼津市の商業施設の試着室にをつけたとして逮捕されました。
器物損壊の疑いで逮捕されたのは、静岡県中部地区に住む15歳の男子高校生です。
警察によりますと男子高校生は28日午後10時ごろ、静岡県焼津市の商業施設の試着室にライターでをつけ一部を焼損させた疑いが持たれています。

商業施設の関係者から「2階の催し場付近の試着室が燃えていた」と消防に通報がありました。
商業施設は当時営業中で、男子高校生は客として訪れていました。
警察は男子高校生が容疑を認めているかどうか明らかにしていません。

(https://look.satv.co.jp/_ct/17644941 7月29日 「商業施設の試着室に火をつけ部屋の一部を損壊した疑いで静岡県内に住む男子高校生を逮捕 焼津警察署」より引用)

~被疑罪名は変わりうる~

冒頭記載の15歳男子高校生は、器物損壊の疑いで逮捕されていますが、今後の捜査によっては、被疑罪名が「現住建造物等放火」に変更される可能性も否定できません。

現住建造物等放火罪とは、放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損する犯罪です(刑法第108条)。
「焼損」とは、放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼を継続する状態に達したことをいいます。
また、現住建造物等放火罪は未遂犯も処罰されるため(刑法第112条)、前述の「焼損」に至らなかったとしても、実行の着手が認められれば、現住建造物等放火未遂罪に問われることになります。

実行の着手の具体的状況として、客体である現住建造物等に直接点する行為や、マッチなどをすって現住建造物等に点する姿勢をとった場合などが挙げられます。

器物損壊の疑いで逮捕された理由を報道から知ることはできませんが、をつけられた試着室が建物とは独立した、簡易的な移動式の仕様であり、被害の程度も軽微で、およそ建物に延焼する可能性がなかったなどの事情があれば、もちろん、器物損壊に留まる可能性もあります。
その反面、前述の通り、捜査の結果、明らかとなった燃焼の状況によっては、被疑罪名が現住建造物等放火罪に変更される可能性も否定しきれません。
十分な注意が必要な事件ということができるでしょう。

~少年事件の弁護活動を依頼~

今回、逮捕された被疑者は15歳なので少年法の適用があります。
法律的な見地から器物損壊に留まる旨を捜査機関に働きかけることも大切ですが、少年事件の処分を決定するにあたっては、少年の家庭環境や少年自身の生活環境も考慮されます。
有利な処分を獲得するためには、これらの調整も必要となりますが、そのためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要となります。

まずは、少年事件に詳しい弁護士と相談し、事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が器物損壊事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡県富士市の立体駐車場で起きた暴行事件

2023-08-09

静岡県富士市の立体駐車場で起きた暴行事件

今回は、静岡県富士市の立体駐車場で、男性の顔面を数回殴ったとして、36歳男性が暴行の疑いで現行犯逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

1日夜、静岡県富士市の立体駐車場で、男性の顔面を数回殴ったとして36歳の男が逮捕されました。

暴行の疑いで現行犯逮捕された富士市今井に住む36歳の自称・建設業の男は、1日午後10時半ごろ、富士市の立体駐車場で、東京都の30代男性の顔面を数回殴った疑いが持たれています。警察によりますと、2人に面識はなく、男性から「トラブルになっている」と110番通報があったということです。

警察は男が容疑を認めているかどうか明らかにしていません。警察は経緯や動機を調べています。

(https://look.satv.co.jp/_ct/17639237 7月2日 「何らかのトラブルか…立体駐車場で面識ない男性を何回も殴ったか 36歳の男を暴行容疑で現行犯逮捕 静岡・富士市」より引用)

~暴行事件の刑事手続はどのように進行するか?~

暴行の疑いで現行犯逮捕された場合、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。
送致を受けた検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか、あるいは、被疑者を釈放して在宅捜査とするかを判断します。

勾留請求に対して勾留決定が出た場合は10日間勾留されることになります。
やむを得ない事由があると認められるときは、検察官の請求により、最長10日間、勾留が延長される場合もあります。
検察官が勾留請求をしなかった場合、または、勾留決定がなされなかった場合には、被疑者は釈放されることになります。

~暴行事件では早期の身柄解放を実現できるケースも~

加害者、被害者間において面識がなく、暴行に及んだ動機も些細なトラブルに起因するものであるときは、勾留されずに釈放される事例がよくみられます。
この場合は、日常生活へ早期に戻ることができるため、被疑者の心身に対する負担も軽く、また、職を失わずにすむ可能性を見込めるなど、円滑な社会復帰が期待できます。

もっとも、被害者に怪我を負わせてしまったため、被疑罪名が暴行から傷害などへ切り替えられた場合、加害者と被害者との間に根深いトラブルが存在する場合には、早期の身柄解放実現のハードルが高くなると考えられます。

勾留されてしまう可能性がゼロではない以上、単純な暴行事件であるからと楽観的に過ごす選択は危険です。
暴行の疑いで逮捕された場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後の弁護活動に関してアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が暴行の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡県島田市で起きた殺人未遂事件

2023-08-02

静岡県島田市で起きた殺人未遂事件

今回は、島田市の自宅で兄を刃物で刺し、殺害しようとした疑いで33歳男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

27日午前島田市の自宅で兄を刃物で刺し、殺害しようとしたとして30代の男が逮捕されました。
殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されたのは島田市落合の無職の男(33)です。
男は27日午前9時半ごろ、自宅で同居する兄(39)の背中を刃物で刺し、殺害しようとした疑いが持たれています。
警察などによりますと、兄は病院に救急搬送されましたが、意識はあるということです。
男は自宅にあったナイフで兄を刺したとみられ、自分で消防に通報しました。
2人は両親と4人暮らしで、警察は兄弟の間で何らかのトラブルがあったとみて、詳しい経緯を調べています。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/3c79ce362a59bde8638cd1283fa8184a3e267c82 6月27日 「兄を刃物で刺し殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで無職の男を現行犯逮捕 静岡・島田市」より引用)

~逮捕された男性は自分で消防に通報しているが~

刑法では「自首」という制度があり、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」としています(刑法第42条1項)。
自首が認められれば、刑の減軽を受けられる可能性があります(裁量的な減軽であるため、されない場合もあります)。

~自首が成立する条件~

自首が成立するための条件は厳しく、

①自発的に自己の犯罪事実を申告すること、
②自己の訴追を含む処分を求めること、
③捜査機関に対する申告であること、
④捜査機関に発覚する前の申告であること

が必要です。
逮捕された男性は「消防」に通報していますが、「消防」は捜査機関ではないため、③の条件を満たさないことになります。
もっとも、現場には消防の連絡を受けて駆け付けた警察官がいることが推測されます。
駆け付けた警察官とのやりとり次第では、③の条件をはじめ、その他の条件を満たす場合もあるかもしれません。

冒頭の記事では、消防、警察とのやりとりが判然としないため、自首の成否については判断できませんが、弁護士の接見を受け、具体的な事実関係を伝えた上でアドバイスを受けることができるでしょう。

殺人未遂罪はとても重い犯罪です。
自首の成否を含め、アドバイスを受けるべき事柄は多岐にわたります。
殺人未遂の疑いで逮捕された場合には速やかに弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けることを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
殺人未遂事件で家族が逮捕され、自首の成否に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡県沼津市内の住宅街で起きた器物損壊事件

2023-07-26

静岡県沼津市内の住宅街で起きた器物損壊事件

今回は、駐車中の軽乗用車1台など、あわせて7台の車に傷をつけ損壊した疑いで29歳男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

静岡県沼津市内の住宅街で、駐車中の車7台を次々に傷つけた疑いで近くに住む29歳の男が逮捕されました。

器物損壊の疑いで逮捕されたのは、沼津市我入道稲荷町の自称・無職の男(29)です。

警察によりますと、男は6月23日の午前6時半から24日の午後5時までの間に沼津市我入道の駐車中の軽乗用車1台など、あわせて7台の車のボンネットや後部のガラスなどに傷をつけ損壊した疑いがもたれています。
車を傷つけられた人たちが被害を訴え、警察が、付近のパトロールを強化。

警察が男に職務質問を行った際、回答に不審な点があったことから追及したところ「自分がやりました」と関与を認め、逮捕に至ったということです。
ボンネットなどには鋭利なものでひっかいたような傷があり、警察は犯行の手段を調べると共に男の動機についても追及する方針です。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/d7a50a746ac51b34d320006b6d2eaa23d51027dd 6月26日 「ボンネットなどにひっかいた跡 駐車中の7台を次々に傷つけた疑い 29歳無職の男を逮捕=静岡県警」より引用)

~早期に弁護活動を依頼することが非常に重要~

複数台の車を損壊した疑いで逮捕された場合には、早期に弁護士を依頼し、示談交渉などの弁護活動にあたってもらうことが非常に重要となります。
複数台の車を損壊した場合には、当然ながら被害者の数も複数人となることが予想されます。
これらの被害者と充実した示談交渉を行うためには、事件の処分が決定される間際ではなく、「事件の初期段階」で弁護活動を依頼する必要があるからです。

~器物損壊事件で示談交渉が功を奏せば不起訴処分となる~

器物損壊罪は「親告罪」であるため(刑法第264条)、告訴がなければ起訴されることがありません。
示談交渉の結果、告訴をしない約束をしてもらえた場合や、すでに告訴をしている場合にはこれを取り消してもらうことができれば、器物損壊事件については必ず不起訴処分となります。
不起訴処分となれば、裁判にかけられることもないため、前科がつくこともありません。

もっとも、示談交渉が常に功を奏するとは限りません。
被害者の処罰感情が強く、示談交渉が難航する場合も存在します。
示談交渉を含め、実りのある弁護活動を行うためには、早期に弁護士を依頼することが肝心となります。
他人の車を傷つけ、器物損壊の疑いで逮捕されてしまった場合にはすぐに弁護士の接見を受け、事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【年金不正受給】窃盗・詐欺事件の裁判例等を紹介

2023-07-19

【年金不正受給】窃盗・詐欺事件の裁判例等を紹介

年金の不正受給に関する窃盗・詐欺事件の裁判例等について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

死亡した親子の年金458万円を不正に引き出したとして、窃盗と詐欺の罪に問われた被告人に対し、静岡地裁浜松支部は「懲役3年6月」の判決を言い渡した。
判決によると親子が亡くなった後、共犯者と共謀し、親子の口座から現金を繰り返し引き出した。
また、掛川市と愛知県豊橋市の自動車販売会社3社から車3台(販売価格約325万円)をだまし取った。
被告人は同親子の死体遺棄容疑で逮捕されたが、嫌疑不十分で死体遺棄罪では起訴されていない。
(中日新聞「年金不正引き出し、懲役3年6月判決 地裁浜松支部」(2021/1/21)を引用・参照。)

~年金の不正引き出し等の罪責について~

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

本事案では、被告人と共犯者が共謀し、死亡した親子の口座から現金を繰り返し引き出した行為に関する罪責が問われています。
一見すると詐欺のような事案に思えますが、上記行為は窃盗罪に該当することになります。
窃盗罪とは、他人の意思に反して他人の財物の占有を移転させる犯罪です。
本事案では、何ら権限もないのに無断で死亡した親子の口座から現金を引き出しており、これはその財物の占有を占有者の意思に反して自己(又は第三者)に移転させていることから「窃取」行為に当たることになります。
ここで注意すべきなのはここで窃盗の客体となる現金という「財物」を占有しているのは、銀行(正確には銀行内の現金の占有権原を有する支店長等)であるということです。
したがって、本事案では銀行を被害者として上記行為に窃盗罪が成立することになります。
なお、本事案で詐欺に問われているのは、上記行為とは別に自動車販売会社から自動車を騙し取った行為であり、これが詐欺罪に該当することは比較的明白でしょう。

~年金不正受給事件における弁護活動等~

本事案では、被告人に対して「懲役3年6月」という実刑判決が下されています。
このような執行猶予なしの実刑判決が下されるケースと執行猶予判決となるケースには、どのような違いがあるのでしょうか。
以下では、年金の不正受給に関する他のケースを紹介します。
死亡した母親の死亡届を提出せず、年金約130万円を不正に受給したとして、死体遺棄および詐欺の罪に問われた被告人に対し、静岡地裁沼津支部は「懲役2年4月」「執行猶予3年」の判決を言い渡しています(静岡新聞「母の遺体を自宅に放置 年金不正受給に有罪」(2022/11/9)を引用・参照)。
本事案と執行猶予の付いた上記のケースでは、年金の不正受給に関し被害額が大きく異なるという点がまず挙げられるでしょう。
また、本事案では、別途詐欺行為がなされており、死体遺棄では不起訴になっているとはいえ、別の主体に財産上の法益侵害を生じさせている点もまた量刑を異にした相違点といえるでしょう。
このように一口に年金にまつわる不正受給事件といっても、事案により量刑は様々であり、専門知識と経験を有する弁護士によるアドバイスが必要不可欠といえます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗・詐欺事件を含む刑事事件のみを専門にしている法律事務所です。
窃盗詐欺事件で逮捕・起訴された方やそのご家族等は、24時間いつでも対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。

娘に対する傷害の疑いで40歳母親が逮捕

2023-07-12

娘に対する傷害の疑いで40歳母親が逮捕

今回は、40歳の母親が娘をハンガーなどで殴る等の虐待をし、傷害を負わせた疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

自宅で中学生の娘をハンガーなどで殴り、けがをさせたとして、40歳の母親が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、静岡県西部に住む派遣社員の女(40)です。
女は6月中旬ごろ、自宅で中学生の娘の左肩や足をハンガーなどで複数回殴るなどし、皮下出血などのけがをさせた疑いが持たれています。
娘が中学校の教師に被害を相談し、学校が児童相談所に連絡しました。
警察によりますと、女は「娘が約束の時間に無断で帰宅しなかった」と話し、容疑を認めているということです。警察は日常的な暴行がなかったか調べています。

(https://news.yahoo.co.jp/articles/2b238363c60eab2231513db24cbe56bbc5057320 6月23日 「「約束の時間に帰宅しなかった」…中学生の娘をハンガーで何回も殴ったか 40歳の母親を傷害容疑で逮捕 静岡県警」より引用)

~子どもへの虐待事件で身体解放活動~

ケースのような虐待事件が発覚するきっかけは、「被害者を診察した医師が虐待を疑い通報した」、「被害者が自ら警察に通報した」、「学校の先生が虐待を疑い通報した」など様々です。

ケースの事件では、40歳の母親が逮捕されていますが、虐待の疑いで逮捕された場合、酒場などで見知らぬ相手を殴打した等の場合に比べ身体拘束のリスクが高いといえます。
なぜなら、加害者と被害者との生活圏が近い(多くは同居している)場合が多く、身体拘束しなければ口止めするなどして証拠を隠す恐れが高く、捜査に支障を来すと評価されるからです。
同じ理由で、同居中のカップル間におけるDVなどの加害者についても、身体拘束がなされる可能性、長引く可能性が高くなります。

また、虐待を受けた児童は児童相談所などで一時保護されることも考えられます。

~子どもへの虐待事件で身体解放活動~

加害者と被害者の関係が近い場合には、早期の身柄解放を目指した弁護活動が重要となります。
しかしながら、釈放した後、元の場所(被害者の家など)に戻すということでは、早期の身柄解放の実現は困難となります。
このような場合には、少なくとも事件が解決するまでの間、被害者と距離をとって身元を預かることができる身元引受人を用意することが考えられます。

積極的に身柄解放活動を行うためには、身元引受人を用意するだけでなく、責任をもって被疑者を監督する旨を誓った上申書を作成することも重要となります。
そのためには、刑事事件に熟練した弁護士のサポートが役立つでしょう。

虐待の疑いで逮捕された場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後の事件解決に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
虐待事件、傷害事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡県で起きた大麻所持事件

2023-07-05

静岡県で起きた大麻所持事件

今回は、静岡県で起きた大麻所持事件の報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大麻取締法違反で逮捕されたのは袋井市山科のとび職の男(20)です。
男は15日午後1時半ごろ、袋井市山科の自宅で大麻たばこ1本を所持した疑いが持たれています。
警察によりますと、大麻の捜査線上に男が浮上し、自宅を捜査した署員が大麻たばこを発見したということです。
男は大麻たばこを使用していて容疑を認めています。

警察は入手方法や余罪などを調べています。
(https://look.satv.co.jp/_ct/17635859 6月15日 「自宅に大麻たばこを所持していた疑いでとび職の男を逮捕 静岡・袋井市」より引用)

~大麻所持の疑いで逮捕された場合はどうなる?~

大麻所持の疑いで逮捕され、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に、身柄が検察へ送致されます。

検察では、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを判断します。

勾留請求は裁判官に対して行います。
検察官の勾留請求に対し、裁判所が勾留決定を出すと10日間、やむを得ない事由があると認められた場合には、さらに最長10日間、勾留されることになります。

検察官は勾留中の被疑者については、その満期日までに、あるいは、処分を保留して被疑者を釈放し、起訴・不起訴の別を判断します。
大麻所持の罪により起訴される可能性は比較的高く、公判を見こした弁護活動を早期に開始することが重要となります。

~取調べではどのようなことを聞かれるか~

ケースにもある通り、薬物犯罪においては入手ルートの解明、余罪の有無を明らかにすることが非常に重要となります。
厳しい取調べが行われたり、余罪の嫌疑によって、改めて逮捕されてしまうケースも少なくなく、弁護士のサポートが重要となる局面が多数予想されます。

「この程度の事件であるから」と、弁護活動を受けることに消極的となることは得策ではありません。
大麻所持の疑いで逮捕された場合には、すぐに弁護士の接見を受け、今後の弁護活動に関してアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が大麻所持の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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