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自治会館出入り口のガラスを割り、器物損壊の疑いで逮捕

2022-10-31

自治会館出入り口のガラスを割り、器物損壊の疑いで逮捕

今回は、静岡県磐田市で起きた器物損壊事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

磐田署は14日、器物損壊の疑いで、磐田市池田、無職の男(71)を逮捕した。
 逮捕容疑は同日午後5時半ごろ、同市池田の自治会館出入り口のガラス2枚を割った疑い。同署は目撃情報などを基に、容疑者を割り出した。容疑を認めているという。(https://www.at-s.com/news/article/shizuoka/1137010.html 10月15日 あなたの静岡新聞 「自治会館のガラス割った疑い」より引用)

~器物損壊事件について~

器物損壊罪とは、他人の物を損壊し、又は傷害する犯罪です(刑法第261条)。

「損壊」とは、その物の効用を害する行為をいいます。
ケースのように、自治会館出入り口のガラスを割る行為は、損壊行為の典型例といえます。
裁判によって有罪判決が確定すると、「三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料」に処せられます。

~器物損壊事件の弁護活動~

ケースの被疑者は逮捕されています。
このような場合は、早期の身柄解放を目指した弁護活動に、早い段階で着手することが重要です。
早い段階で着手すればするほど、実施可能な弁護活動が増えることになります。

~不起訴処分の獲得を目指す~

器物損壊罪は親告罪とされており、告訴がなければ起訴されることのない犯罪類型となっています。

※刑法
(親告罪)
第二百六十四条 第二百五十九条、第二百六十一条及び前条の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

したがって、被害者との示談交渉を通じ、告訴を取り下げてもらうことができれば(告訴されていない場合には、告訴しないことを約束してもらえれば)、器物損壊事件は必ず不起訴処分によって終了します。
もっとも、ケースの事件では公共性の高い施設である自治会館のガラスが損壊されているため、告訴の取下げに応じてもらうには、高いハードルを越える必要があるかもしれません。

器物損壊事件を起こしてしまった場合には、まず弁護士と相談し、今後の弁護活動についてアドバイスを受けましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
器物損壊事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

建造物侵入事件で逮捕

2022-10-16

建造物侵入事件で逮捕

建造物侵入事件で逮捕された場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【刑事事件例】

静岡県三島市に住むAさん(30歳、男性)は、女性用のかつらや化粧で女装し、静岡県三島市内にある入浴施設の女湯に立ち入りました。
Aさんの挙動を不審に思った施設の従業員は、静岡県三島警察署の警察官に通報しました。
その結果、Aさんは静岡県三島警察署の警察官により、建造物侵入罪の容疑で現行犯逮捕されました。
Aさんは静岡県三島市内にある会社を経営している会社役員であり、自分がいないと会社の経営ができないため、何とか速やかに釈放してほしいと考えています。
(2021年1月25日に読売新聞に掲載された記事を参考に作成したフィクションです。)

【建造物侵入罪とは】

刑法130条は建造物侵入罪を規定しています。

刑法130条
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

建造物侵入罪を犯した者には、1月以上3年以下の懲役(刑法12条1項)又は1万円以上10万円以下の罰金(刑法15条)が科されることになります。

ここで、建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、人の看守する建造物に侵入した者に成立します。

建造物侵入罪の人の看守する状態とは、施錠したり、監視人を置いたりしている状態をいいます。
建造物の管理のための人的・物理的設備がとられていれば、建造物侵入罪の人の看守する状態にあったといえることになります。

建造物侵入罪の建造物とは、住居と邸宅(空き家や別荘など)を除く建物を指します。
建造物侵入罪建造物に該当する例としては学校や工場などが挙げられます。

建造物侵入罪の侵入とは、建造物の管理権者の意思に反する立入りを指します。
建造物の管理権者の意思とは、「誰の立入りを許すか、誰を入れたくないのか」という意思をいいます。

以上をまとめれば、建造物侵入罪は、正当な理由がないのに、施錠されたり監視人が置かれたりしている学校や工場などの建物に、建造物の管理権者の意思に反して立ち入った場合に成立することになります。

刑事事件例を見てみると、Aさんは、正当な理由がないのに、管理人がいる入浴施設に、管理人の意思に反して立ち入ったといえると考えられます。
入浴施設の管理人は、「女湯に許可なく入ろうとする男性は入浴施設に入れたくない」という意思を持っていたと考えることができるでしょう。

以上より、Aさんには建造物侵入罪が成立すると考えられます。

【建造物侵入事件の刑事弁護活動】

刑事事件例では、Aさんは建造物侵入罪の容疑で現行犯逮捕されています。
建造物侵入罪で現行犯逮捕されたAさんは、この後、48時間以内に検察庁に送られることになります(刑事訴訟法203条1項)。

そして、建造物侵入事件の被疑者であるAさんを受け取った検察官は、24時間以内に建造物侵入罪の容疑での勾留の請求をするか否かを決定します(刑事訴訟法205条1項)。
建造物侵入罪の容疑での勾留は、逮捕に引き続く長期的な身体拘束と考えられます。

検察官による勾留の請求を受けた裁判官は、建造物侵入罪の容疑での勾留の決定をするか否かを決定します。

建造物侵入罪の容疑での勾留が決定された場合、勾留の延長を含めると最長で20日間、身体の拘束がなされることになります(刑事訴訟法208条1項、2項)。

ここで、刑事事件例では、Aさんは愛知県瀬戸市にある会社の役員であり、自分がいないと会社の経営ができないため、何とか速やかに釈放してほしいと考えています。
刑事弁護士としては、検察官に対して建造物侵入罪の容疑での勾留の請求をしないよう、また裁判官に対して建造物侵入罪の容疑での勾留の請求をしないよう、意見書等を通して訴えていくことができます。
また、一度出されてしまった勾留決定に対しては、不服申立て(刑事訴訟法429条1項の準抗告)をすることができます。
このような刑事弁護士による刑事弁護活動が上手くいけば、Aさんは建造物侵入罪の容疑での勾留請求・勾留決定がされずに済んだり、不服申立てが通って速やかに身体拘束が解かれたりする可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部は、刑事事件を専門に扱う法律事務所です。
建造物侵入事件で逮捕された場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部までご相談ください。

 

【解決事例】静岡県沼津市の詐欺未遂事件で接見禁止一部解除と不起訴処分を獲得

2022-10-09

【解決事例】静岡県沼津市の詐欺未遂事件で接見禁止一部解除と不起訴処分を獲得

~事件概要~

パート社員であるAさん(20代女性)は、静岡県沼津市で実家暮らしをしておりました。
Aさんは、知人からいい仕事があるということで、人から書類を受け取る仕事を紹介されました。
Aさんは、お金に困っていたためその仕事を請けることにしました。
次の日にAさんは、知人から伝えられた電話番号に電話して、電話先の人物から指定の日時場所で郵送物を受け取って欲しいと頼まれました。
指定された日時場所に行き郵送物を受け取ったところ郵便局員と静岡県沼津市を管轄する沼津警察署の警察官がおり、そのまま詐欺未遂罪で逮捕されることになりました。
郵送物の中身は現金であり、その現金はVさんが関係のない債権購入の際のトラブルの解決費用として騙され支払う必要ない現金を郵送したという物でした。
いきなり逮捕されたAさんは、知人から書類を受け取るだけの仕事で警察に捕まる心配のない仕事と聞いていたため、とても驚きました。
Aさんが逮捕されたことを知ったAさんの両親は、Aさんの今後を不安に思い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部に相談されました。

(実際に起こった事件を基に、一部変更を加えています。)

~受け子について~

受け子とは、特殊詐欺と呼ばれる犯罪の一種の役割に対して呼称されています。
特殊詐欺の中でも、基本的には現金等を受け取る役割を果たす人を受け子と呼んでいます。
受け子には複数問われる可能性のある罪がありますが、今回の事件では詐欺未遂罪として逮捕されることになりました。

~詐欺未遂罪について~

詐欺未遂罪とは、詐欺罪において財物を得られなかった場合に問われる罪になります。

詐欺罪は、刑法246条第1項に規定されています。

刑法246条第1項(詐欺罪)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

詐欺罪の未遂罪については、刑法250条に規定されています。

刑法第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。

上記の「この章」というのは、刑法上の第三十七章詐欺及び恐喝の罪を指しています。
詐欺未遂罪の罰則は、詐欺罪と同じく十年以下の懲役となります。
但し未遂罪の場合は、裁判官の裁量で減免される可能性もあります。
減刑された場合は、長期の2分の1が減刑されるため、最長で5年の懲役となります。

~刑事弁護活動について~

今回の事件では、接見禁止決定が出ており、一般の方々は接見ができない状態となっていました。
そのため、弁護士はAさんのご両親の面会を許可してもらうべく、一部解除の申請を行いました。
その結果ご両親は面会ができるようになりました。
また、取り調べ対応についてAさんと打ち合わせをして、Aさんが伝えたい内容をしっかり伝えられるようにサポートしました。
Aさんは、郵送物の中身が犯罪に関わるお金だと知らなかったという等の主張を最後まで続け、不起訴処分となりました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部では、詐欺事件での弁護活動の経験が豊富な弁護士が在籍しております。
逮捕されている方のもとに弁護士を派遣する初回接見サービスの提供や、無料の相談を行っております。
土日祝日も対応を行っておりますので、薬物事件でお困りの際はフリーダイヤル0120-631-881までご連絡ください。

 

(解決事例)湖西市の窃盗事件で不起訴処分を獲得

2022-09-30

(解決事例)湖西市の窃盗事件で不起訴処分を獲得

【事案の概要】

湖西市在住のAさんは、同市内にあるスーパーマーケットの食料品売り場にて、複数の食料品(計2万円相当)を万引きしました。
Aさんはスーパーマーケットを出ようとしたところを警備員に止められました。
その後、通報により駆けつけた静岡県警察湖西警察の警察官に現行犯逮捕され、湖西警察署内での取調べ後、Aさんは釈放されました。
Aさんの旦那様は、「妻はこれまで窃盗で罰金刑と執行猶予付き判決を受けています。その後再び窃盗で逮捕されたのですが、手術を控えていたため不起訴処分となりました。その際に検察官の方から『今度は刑務所に行くことになりますよ』と言われました。妻はどうなってしまうのでしょうか。」とご相談時お話しされました。
(守秘義務の関係から、一部異なる表記をしています。)

【具体的な弁護活動】

Aさんは数年前からうつ病を患っており、それが原因で窃盗を繰り返すのではないかと診断されていましたが、再度別の病院で診察を受けたところ、クレプトマニア(病的窃盗)であることがわかりました。
そのため、Aさんをクレプトマニアの自助団体に通わせ、Aさんの旦那様は仕事を辞めてAさんの再犯防止に努めるなど、治療に専念するような環境を整えました。
また、弁護士が被害に遭ったスーパーマーケットに被害弁償をするとともに、示談交渉を行い、宥恕条項(被疑者を許し、刑事処罰を求めないことを内容とするもの)付きの示談を締結することができました。
そして、弁護士が検察庁に対して、①今回の窃盗は病気による影響が大きいこと、②Aさんはうつ病やクレプトマニア以外にも複数の病気を抱えており、定期的な通院が必要であること、③Aさんの再犯防止のための環境が整えられていること、④被害店舗との宥恕条項付きの示談が締結されていることなどを挙げ、正式な裁判ではなく、略式請求による罰金処分などが相当であると、終局処分に関する意見書にて主張しました。
その結果、Aさんは、不起訴処分となりました。

【まとめ】

今回のAさんのように、クレプトマニアのような病気(依存症など)を原因として、何度も犯罪行為を繰り返してしまうような場合があります。
このような事案において、少しでも刑事処分を軽くしたいと考えている場合、被害弁償や示談締結も当然重要ですが、再犯しないための環境整備が非常に重要になります。
具体的には、専門の医療機関への通院や、自助団体への参加による病気の根本的治療を行うことや、犯罪のきっかけとなるようなことに近づかせないように家族による監督を強化することなどが挙げられます。
再犯しないための環境が整えられていれば、社会内での更生が期待できるとして、不起訴処分や執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まります。
今回の事案では、Aさん一人で買い物へ出かけたことで起きてしまったため、Aさんが一人で買い物へ行けないように、自動車を処分し、Aさんの旦那様が退職して、Aさんを常に監督できるような環境を整えました。
今回の事案は、Aさんに複数の前科・前歴があり、不起訴処分の獲得は難しいケースでした。
しかし、弁護士が、Aさんのご家族による再犯防止のための環境が整っていることなどを適切に主張したことが、不起訴処分に繋がりました。

もしお困りでしたら、刑事事件に強い弁護士にすぐご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回のような、病気などを原因に犯罪を繰り返してしまうような事件も数多く対応してきました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所 名古屋本部にご相談ください。

70代夫が60代妻にコップを投げ、傷害した疑いで逮捕

2022-09-16

70代夫が60代妻にコップを投げ、傷害した疑いで逮捕

今回は、70代男性が、妻の家事のやり方に腹を立ててコップを投げつけ、怪我を負わせた疑いで逮捕された報道をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

~ケース~

静岡県御殿場市の70代男性は、8月8日午後9時半ごろ、自宅で60代妻にコップを投げつけ、頭に軽いけがを負わせたとして、傷害の疑いで逮捕されました。
男性は被疑事実を認めており、「妻の家事のやり方に腹が立った」などと供述しています。
(8月9日 静岡朝日テレビ 「妻の家事のやり方に腹立ちコップを投げつけたか 77歳の夫を傷害の疑いで逮捕 静岡・御殿場市」より引用)

~家庭内暴力の弁護活動~

家庭内暴力事件では加害者が逮捕されてしまうケースが多いです。
法律上、犯罪捜査では任意捜査が原則とされており、被疑者を逮捕して捜査を行うのはあくまでも例外的な措置と位置付けられています。
実際、傷害事件であっても、加害者と被害者との間に面識がない場合(街頭でケンカになった場合など)には、在宅捜査とされるケースも少なくありません。

しかし、家庭内暴力の場合は、加害者と被害者が親密かつ生活圏が極めて近いため、逮捕に至るケースが多いようです。
一旦、加害者と被害者が離れられる状態で過ごせる環境が用意できなければ、釈放を実現することは難しいかもしれません。
このような場合は、信頼できる身元引受人を用意し、少なくとも事件が解決するまで、被害者と別居しての生活の監督をお願いし、捜査機関や裁判所と交渉することが考えられます。

また、家族関係のありかたについても見直さなければ、再び家庭内暴力事件が発生するのではないか、と厳しい目を向けられる可能性が高いです。
家族関係の見直し大変に難しい課題ですが、弁護士のアドバイスを聞きながら、根気よく取り組むことが重要と思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
家庭内暴力が刑事事件に発展しお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

自首と出頭の違い

2022-09-08

自首と出頭の違い

【具体例】

Xは街の駐輪場から、一台数十万円相当のロード自転車を盗んで、小遣い稼ぎをしようと考えた。
Xは東京都大田区蒲田の蒲田駅前の駐輪場を物色していると、狙いの高級ロード自転車を発見した。
Xは、ホームセンターで事前に購入しておいた工具を使って、ロード自転車に取り付けられている鍵を破壊して、ロード自転車を駐輪場から持ち去り帰宅した。
Xは、数時間後、駅前の駐輪場の脇を通った際に、駐輪場で自転車を探している様子の大学生を見かけた。
Xは、大学生は自身が盗んだロード自転車の持ち主だと察した。
Xは被害者の大学生が警察に被害届を出し、警察が盗難犯を探したら、近所に住んでいる自分はすぐに見つかってしまうと考えて、大ごとになる前に自ら蒲田警察署にロード自転車を盗んだ旨を話に行った。

罪を犯した犯人が自らの意思で警察に行くことを一般的に「自首」と理解している人は多いのではないでしょうか?
しかし、この様な理解は正確ではなく、「自首」と「出頭」の意味を混同している場合が少なくありません。
法律的に「自首」と「出頭」は似て非なるものです。
今回は、「自首」と「出頭」の違いについて解説していきます。

【自首とは?】

「自首」とは、罪を犯したものが捜査機関に発覚する前に、自発的に捜査機関に自己の犯罪事実を申告して処分を求める意思表示のことを意味します。
捜査機関の取り調べに応じて犯罪事実を述べることは、自白であって、自首ではありません。
刑法 第42条 自首等
1.罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
2.告訴がなければ公訴を提起することができない罪について、告訴をすることができる者に対して自己の犯罪事実を告げ、その措置にゆだねたときも、前項と同様とする。

【自首の要件】

刑法42条1項の条文から以下のような自首の要件が導き出せます。
① 「罪を犯したものが」
② 「捜査機関に発覚する前に」
③ 「自首」すること
②の「発覚する前に」とは、犯罪事実が全く発覚していない場合の他、犯罪事実は発覚しているが犯人が誰であるかが発覚していない場合も含みますが、単に所在が不明である場合には含まれません。
③の「自首」とは、犯人が自発的に自己の犯罪事実を捜査機関に申告することを要しますが、申告の方法は他人を介してする方法でも可能です。
また、申告するに際し、虚偽の事実を述べたときでも、「自首」として成立します。

【自首の効果】

「自首」することにより、刑が任意的に減刑されます。
「自首」が任意的刑の減刑事由とされている趣旨は、犯罪の捜査を容易にするという政策的意図と、犯人の改悛による非難の減少に基づくと理解されています。

【出頭とは?】

「出頭」とは、単純に警察署や裁判所などに行くことを意味します。

【出頭の効果】

「出頭」をしたとしても、法的な効果は発生しません。
よって、たとえ指名手配されている犯人が自発的に犯罪事実を申告して、処罰を求めたとしても、減刑は認められません。
しかし、反省や捜査協力の意図から自発的に捜査機関に、処罰を求める行為は酌量減軽の事由となり、処罰が軽減される可能性があります。

【結論】

結論、本件事例では「自首」、認められる可能性が高いと考えられます。
Xは自己の自転車窃盗の犯罪事実を、自ら捜査機関に申告しに行っているため、「自首」の要件である①「罪を犯したものが」、③「自首」の要件は充足しています。
しかし、「自首」か「出頭」かの分岐点は要件②「捜査機関に発覚する前に」の要件が充足しているの点になります。
本件事例の段階では、捜査機関はおそらくXの自転車窃盗の事実を認知していないため、「捜査機関に発覚する前に」の要件を充足しそうです。
他方で、警察が直接Xに連絡を取ってきたような段階では、警察はXの自転車窃盗の事実を把握しており、「捜査機関に発覚する前に」ではなくなっている可能性が高いです。

【まとめ】

どのような事件・事故においても「自首」又は「出頭」はいずれにしても早期に行うことが望ましいです。「自首」,「出頭」をしたいけれど対応が不安という方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の刑事事件専門弁護士まで一度ご相談ください。

79歳内縁の夫の遺体を放置した疑いで、56歳女性が逮捕

2022-09-02

79歳内縁の夫の遺体を放置した疑いで、56歳女性が逮捕

今回は、静岡市の住宅に内縁の夫の遺体を放置したとして56歳女性が逮捕されたケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説いたします。

~ケース~

今年4月頃、静岡市で同居していた内縁の78歳男性が死亡したのに遺体を放置したとして、56歳女性が死体遺棄の疑いで逮捕されました。
今月3日に自宅を訪問した市の職員が遺体を見つけて警察に通報し、警察は8日、前記女性を発見して逮捕しました。
警察は詳しい経緯を調べています。(8月9日 テレビ静岡 「内縁の79歳夫の遺体を放置か 56歳女を逮捕 静岡市職員が自宅訪問し発見」より引用)

~死体遺棄の罪について~

近親者の遺体を放置し、死体遺棄の疑いで検挙されるケースがときおりニュースとなります。
近親者の死を受け入れられなかった、何らかの理由で近親者の死亡を関係者に明かせない、など、動機は様々と思われますが、遺体を適切に埋葬等しなければ、死体遺棄の罪に問われることになってしまいます。

~死体遺棄の罪に問われた場合~

死体遺棄罪の法定刑は「三年以下の懲役」(刑法第190条)であり、軽いわけではありませんが、それほど重い罪でもありません(ただし、有罪判決を受け、執行猶予がつかなければ即、実刑判決となります)。
しかし、遺棄された遺体がどうして死亡するに至ったのかについて、詳細な取調べが行われることが予想されます。
状況によっては、死体遺棄で逮捕された方が、遺体を死に至らしめたのではないか、という疑いをかけられる可能性もあります。

もちろん、身に覚えの無いことであれば、きっぱりと否認するべきですが、捜査機関の態度は非常に厳しいものになるかもしれません。

また、死体遺棄罪は葬祭の義務を有する者が死体を放置したのでなければ成立しません。
そのため、死亡の経緯だけでなく死亡した人との関係も厳しく追及される可能性があります。

したがって、無実の罪を負わないためにも、早期に弁護士の接見を受け、今後のアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が死体遺棄の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所本部にご相談ください。

(解決事例)菊川市の傷害事件で不起訴処分を獲得

2022-08-26

(解決事例)菊川市の傷害事件で不起訴処分を獲得

【事案の概要】

菊川市在住のAさんは、学生時代の友人の主宰する懇親会に招待され、そこで知り合ったVさんと意気投合しました。
お互い大量に飲酒していたこともあり、二人とも泥酔状態だったところ、突然VさんがAさんの容姿などを馬鹿にするような発言をしました。
最初は受け流していましたが、あまりにもしつこかったため立腹し、Vさんの顔面を手拳で殴打し、軽いけがを負わせてしまいました。
その後、Aさんは駆けつけた静岡県警察菊川警察署の警察官に傷害の容疑で現行犯逮捕されてしまいました。
Aさんのお父様は「今後息子はどうなってしまうのでしょうか。とても不安です。」と相談時お話されました。
(守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)

【具体的な弁護活動】

Aさんは接見時に、「Vさんに大変申し訳ないことをした。治療費の賠償と謝罪をしたい。」と話していました。
そこで、弁護士がAさんに代わって、Vさんに謝罪しました。
その際に、Vさんは、治療費の支払いは勿論のこと、Aさんからの誠意ある謝罪と、AさんがVさんに二度と接触しないこと及び再犯を決してしないことを約束する書面を交付してほしいと申し出たため、後日治療費の支払いを行い、AさんがVさん宛てに作成した謝罪文と共にVさんに書面を交付しました。
その後、Vさんとの交渉の結果、示談が成立し、Vさんは被害届を取り下げてくれました。
Aさんが検察庁へ送致された後は、検察庁に対し、①事案が比較的軽微であること、②Vさんとの示談が成立し、被害届が取り下げられたこと、③Aさんの両親が身元引受人となってAさんを監督すること、④再犯可能性がないことを主張した結果、Aさんは不起訴処分となりました。

【まとめ】

被疑者を起訴するか否かの判断は検察官が行います。
その際の判断においては、被害者の方への謝罪や賠償、示談が成立しているか、被疑者を監督する身元引受人がいるか、再犯の可能性がないか、といったことが重要な要素となります。
今回の事案では、AさんがVさんに対して謝罪文を交付し、治療費を支払うことで示談が成立したこと、Aさんのご両親が身元引受人としてAさんの監督をすることを約束したことが不起訴処分に繋がったと考えられます。
また、今回の事案のように、被害者の方から被害届の取下げを頂くことができれば、より不起訴処分となる可能性が高くなります。

被害者の方との示談交渉は、刑事事件に強い弁護士に是非お任せください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
今回の事案のような傷害事件も数多く取り扱ってまいりました。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

交通違反と名義を偽ること

2022-08-19

交通違反と名義を偽ること

交通違反と名義を偽ることについて、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋支部が解説します。

【事案の概要(*フィクションです)】

藤枝市に住むAさんは数年前に免許取り消し処分となりましたが、以降免許を再取得することなく、無免許のまま自家用車を運転していました。
ある日、Aさんは速度超過をしたとして、パトロール中の静岡県警察藤枝警察署の警察官に呼び止められ、供述調書に記載を求められました。
無免許運転が発覚することを恐れたAさんは、供述調書に知人のBさんの名前を記載しました。
数日後、藤枝警察署が供述調書を確認したところ、Aさんと供述調書の名義人が違うことが判明したため、Aさんは道路交通法違反(無免許)と有印私文書偽造罪の疑いで逮捕されました。

【有印私文書偽造罪とは?】

有印私文書偽造罪とは、刑法第159条1項に規定される犯罪です。
行使の目的で他人の印章・署名を使用して権利義務若しくは事実証明に関する文章等を偽造する、又は偽造した他人の印章・署名を使用して文章を偽造することにより成立する犯罪で、「三月以上五年以下の懲役」が罰則規定として定められています。

第百五十九条 
行使の目的で、他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した他人の印章若しくは署名を使用して権利、義務若しくは事実証明に関する文書若しくは図画を偽造した者は、三月以上五年以下の懲役に処する。

同罪の「偽造」とは、文章の作成権限のない者が名義を偽って他人名義の文章を作成し、名義人と作成者の人格の同一性に齟齬(不一致)を生じさせることをいうとされます。

今回のケースでは、Aさんは当然Bさん名義の文章を作成する権限を有していません。
にもかかわらず、Bさん名義で供述調書を作成し、これによって名義人(Bさん)と作成者(Aさん)の人格の同一性に齟齬を生じさせているため、Aさんには有印私文書偽造罪が成立すると考えられます。

【事案の特殊性から示談は難しい】

有印私文書偽造罪は「三月以上五年以下の懲役」と規定され、罰金刑がないため、起訴された場合は必ず正式な裁判となります。
刑事処分の軽減のためには弁護士による示談交渉が一般的ですが、今回のケースでは示談の締結は難しいといえます。

これは、今回の被害者が警察(公的機関)であるためです。
被害者が警察等の公的機関の場合、「国」が被害者であると考えられるため、基本的には示談に応じてくれません。
したがって、示談による不起訴処分の獲得はほとんど見込めません。

【少しでも刑事処分を軽くするためには…】

示談が出来ない場合でも、執行猶予付き判決を求めるなど、実刑を回避するための弁護活動は可能です。
例えば、示談の申入れをしていた書面を残すことにより、誠意ある対応に努めたことや、贖罪寄附をすることが考えられます。
特に今回のケースであれば、無免許運転の発覚を恐れたことを理由に名義人を偽っていますから、自家用車を処分するなど、再び無免許運転をしないことを約束することも重要になるでしょう。
また、情状証人による嘆願などの情状弁護により減刑を求めたり、きちんと反省をしていることを示すことも重要です。

このように、刑事事件に強い弁護士が適切な弁護活動を行うことで、不起訴処分や執行猶予を獲得できる場合があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件専門の法律事務所です。
是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件が不起訴処分に

2022-08-10

児童買春・児童ポルノ禁止法違反被疑事件が不起訴処分に

今回は、不起訴処分がなされた淫行事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

今年3月、富士宮市内のホテルで、未成年と知りながら16歳の女子高校生に現金を支払う約束をしてみだらな行為をし、女子高校生の裸をスマートフォンで撮影したとして逮捕、検察に送致された男性が、7月25日付で不起訴処分となりました。
不起訴処分を行った静岡地検浜松支部は、処分の理由を明らかにしていません。(7月26日 静岡朝日テレビ 「16歳女子高生にみだらな行為をした疑いで逮捕の男性教師を不起訴に 理由明らかにせず 静岡地検浜松支部」より引用)

~不起訴処分とは~

事件を起こして警察に検挙されると、原則として検察に送致され、最終的に検察官が起訴・不起訴処分を行います(ごく軽微な事件であるなど、警察において「微罪処分」が行われた場合には検察に送致されることはありません)。
検察官は起訴・不起訴処分のいずれを選択するかにつき、裁量を有しています。

不起訴処分とする理由は20あります(法務省事件事務規程第75条2項各号)。
主なものとしては、
・「起訴猶予処分」(被疑事実が明白であるが訴追を必要としない場合)、
・「嫌疑不十分」(被疑事実につき、犯罪の成立を認定すべき証拠が不十分である場合)、
・「嫌疑なし」(被疑事実につき、被疑者がその行為者でないことが明白なとき、又は犯罪の成否を認定すべき証拠のないことが明白な場合)
・「心神喪失」(被疑者が犯罪時心神喪失であった場合)
などが挙げられます。

ケースの事件では不起訴処分の理由が明らかではありませんが、不起訴処分がなされた場合には裁判にかけられることがないので、前科がつく、刑罰に処せられるといった事態がなくなります。

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