自宅への放火で逮捕されてしまった!

自宅への放火で逮捕されてしまった!

自宅への放火逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、自身の両親と一緒に、静岡県三島市の一軒家に住んでいました。
Aさんは、現在住んでいる家の間取りや交通の便について不満を持っており、常々現在の家を引き払いたいと思っていました。
そこでAさんは、両親が外出して不在にしている間に、自宅に放火しました。
Aさんの放火によって家は半焼し、Aさん自身は、通報によって駆け付けた静岡県三島警察署の警察官に、現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士から、今後の刑事手続きの流れや被疑者の権利、事件の見通しなどについて詳しく説明を受けることとなりました。
(※令和4年1月11日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・自宅に火をつけた放火事件

今回の事例のAさんは、自宅に放火し、家を半焼させたという現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されています。
現住建造物等放火罪という長い犯罪名に驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、放火行為に成立する犯罪は、単なる「放火罪」という犯罪ではなく、放火の対象が何であったか、どういった状態であったかなどによって細かく分かれています。
例えば、今回のAさんの逮捕容疑である、現住建造物等放火罪を確認してみましょう。

刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

条文によると、現住建造物等放火罪が成立するには、放火された対象が「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」であることが必要です。
普段の生活の中で関わる可能性の高いところでいうと、前半部分の「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物」という部分でしょう。
簡単に言えば、
・現在人が住居として使用している建造物
・現在人がいる建造物
のどちらかに当たれば、現住建造物等放火罪の対象となる建造物であるということです。

例えば、今回の事例のAさんは自宅に放火していますが、その家にはAさんとAさんの両親が住んでいますから、Aさんが放火した家は「現に人が住居に使用し」ている建造物であるということになります。
Aさんが放火をした当時は家に人はいなかったようですが、先ほど触れたように、現在人が住居として使用している建造物であるか、現在人が中にいる建造物であるか、どちらかに当てはまれば現住建造物等放火罪の対象となります。

また、現住建造物等放火罪の中で使われている「焼損」という言葉ですが、これは、火がその媒介物を離れて目的の者に燃え移り、独立して燃焼を継続し得る状態になったことを指すと言われています。
例えば、ライターから建造物の壁に火をつけたとして、その火がライターから離れて燃え続ける状態は「焼損」といえますが、ライターを離して火が消えてしまったというような場合には「焼損」とは言えません。
今回の事例のAさんの場合、放火した自宅は半焼していることから、「焼損」をしていることに間違いはないでしょう。
放火事件のイメージとしては、「火をつけたらイコール放火罪になる」というイメージかもしれませんが、実際に放火の罪が成立するにはこういった条件が必要になってくるのです。

なお、建造物が「焼損」していなかったとしても、器物損壊罪や建造物等以外放火罪、現住建造物等放火未遂罪など、他の犯罪が成立する可能性があることには注意が必要です。

ここまで見てきた現住建造物等放火罪という犯罪ですが、その刑罰は先ほどの条文にもある通り、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」という大変重い刑罰です。
執行猶予を獲得するためには、言い渡される刑罰が3年以下の懲役でなければいけないという条件がありますが、この現住建造物等放火罪の刑罰は、軽くても5年の懲役刑となっており、通常執行猶予をつけることはできません。
死刑・無期懲役が含まれることや、刑罰の下限が執行猶予を付けることのできない長さであることなどからも、重大な犯罪であることがお分かりいただけるでしょう。
だからこそ、早期に弁護活動を開始してもらい、少しでも被疑者・被告人の方やそのご家族の負担を軽減できるようサポートしてもらうことがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、放火事件などの重大事件についてのご相談・ご依頼についても承っています。
重大な犯罪だからこそ、刑事事件専門の弁護士のサポートをご利用ください。
0120-631-881でお問い合わせを受け付けていますので、お気軽にお電話ください。

 

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