Archive for the ‘財産犯罪’ Category

(架空の事例で検討)静岡県熱海市のホテルで浴衣を不法領得してしまった。その後どうなる?

2024-10-14

(架空の事例で検討)静岡県熱海市のホテルで浴衣を不法領得してしまった。その後どうなる?

静岡で刑事事件・加害者弁護

窃盗罪と詐欺罪の境界について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】

Aさんは静岡県熱海市のホテルに宿泊した際、ホテルに備え付けてある浴衣が欲しくなり、従業員のVさんに「部屋に浴衣が無いので一つください。」と声を掛けました。
Vさんはホテルで働き始めてまだ3日目の、接客等の機械的な仕事に従事しているアルバイト従業員で、Aさんの言葉を信じて手に持っていた浴衣を渡しました。
AさんはVさんから受け取った浴衣をカバンに入れ持ち帰りました。
後日Aさんは静岡県熱海警察署の警察官に、窃盗罪の疑いで話を聞かれることになりました。
(フィクションです)

【窃盗罪か詐欺罪か】

AさんはVさんを欺いて(だまして)浴衣を領得しました。
欺く行為があるから詐欺罪では?と思われるかもしれませんので、窃盗罪と詐欺罪を比較してみましょう。
 
窃盗罪
他人が占有する財物を窃取する行為は、窃盗罪を構成します。
事実上の占有権が窃盗罪の保護法益です。
窃盗の手段として暴行・脅迫によることなく、占有者の意思に反してその占有を排除し、目的物を自己または第三者の占有に移すことです。

詐欺罪
詐欺罪の要件として、①欺く行為がある②錯誤に陥る③財産的処分行為がある④財物の交付があることが必要で、これには一連の因果関係が必要です。
財産的処分行為とは、財物を処分できる権限を有する者が、財物を交付することです。
 
窃盗の手段に欺く行為がある場合は、詐欺罪の要件を充足する場合には詐欺罪が成立し、詐欺罪が成立しない場合は窃盗罪が成立します。

【関係判例】

旅館の宿泊客に浴衣等を提供する行為は、その物を交付した従業員に処分意思がないことから、交付を受けた浴衣等を領得した場合は、窃盗罪が成立する(最高裁判所昭和31年1月19日判決)。
という判例があります。

【窃盗罪における弁護活動】

窃盗罪においては弁護士を通じて、被害者への被害弁償及び示談交渉を行うことがとても大切です。
被害届が提出される前に被害者に対して被害弁償をして示談を成立させることができれば、警察が入ることなく前科をつけずに事件を解決できる可能性があります。
窃盗事件としてすでに警察が取り扱っている場合であっても、被害者との間で被害弁償及び示談を成立させることで、逮捕や勾留により留置場へ入る可能性を下げることができます。
被害金額が大きくなく窃盗など同じような事件の前科がなければ、示談の成立により起訴猶予による不起訴処分になり、前科がつかないように目指すことも可能です。
起訴され裁判になった場合でも、被害弁償及び示談を成立させていれば執行猶予付き判決の可能性を高めることが出来ます。
窃盗罪に限らず、刑事事件において加害者本人が示談交渉を行うことはほぼ不可能ですが、弁護士が加害者に代わって示談交渉を行えば示談が円滑にまとめられる可能性が高くなります。
ぜひ早急に、刑事事件に強い弁護士への相談をおすすめいたします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の窃盗事件の弁護を行ってきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご自身やご家族が窃盗の罪に問われてお困りの方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(架空の事例で検討)静岡県浜松市にて事後強盗で逮捕されてしまったらその罰則は?

2024-09-18

(架空の事例で検討)静岡県浜松市にて事後強盗で逮捕されてしまったらその罰則は?

静岡県浜松市の事後強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【刑事事件例】
静岡県浜松市に住むAさんは、アパートで独り暮らしをしています。
Aさんは生活が困窮しており、毎日の食事にも困っています。
ある日の深夜、Aさんは近所のコンビニエンスストアに入りおにぎり2個を持って来た手提げかばんの中に入れ、盗むつもりでそのままコンビニエンスストアを出ました。
Aさんの様子を見ていたコンビニエンスストア店員のVさんは、慌ててAさんを追いかけてAさんの肩に手をかけて「おにぎりをかばんの中にいれて、お金は払っていませんよね?事務所に一緒に来てお話しを聞かせてください。」と言いました。
Aさんは「事務所に一緒に行けば逮捕されてしまう。」と考え、Vさんに対し護身用で普段から携帯していた果物ナイフを突きつけ、Vさんが震えて座り込んだ隙をついて走って逃げました。
Aさんがコンビニエンスストアから逃走して数十秒後、パトロール中の浜松中央警察署の警察官が息をきらせて走るAさんを発見し不審に思ったためAさんに職務質問をしました。
Aさんは「ごめんなさい、つい先ほどすぐそこのコンビニエンスストアでおにぎりを万引きしました。」と警察官に話しました。
そこにVさんも走ってきて、「お巡りさん、私はその人が万引きをしたコンビニエンスストアの店員です。その人が万引きをした後逃げるときに私はナイフを突きつけられました。怪我はしていませんが、とても怖かったです。」と警察官に話しました。
Aさんは浜松中央警察署の警察官により事後強盗の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)

【事後強盗罪とは】
事後強盗といった犯罪は、どのような犯罪でしょうか。

事後強盗罪については、刑法238条が以下のように規定しています。

刑法238条

窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

事後強盗罪の「窃盗」とは
窃盗行為(ものを盗む行為)を行った者

を指します。

事後強盗罪は窃盗犯人しか犯すことができません。

つまり窃盗の犯人が盗んだ物を取り返されないようにするためや、逮捕されないため、犯罪の証拠となる痕跡を隠すために、暴行や脅迫をすることで成立します。

事後強盗罪も強盗として処罰される以上、要求される暴行・脅迫の程度は、強盗罪と同様で、相手の反抗を抑圧する程度のものである必要があります。

ここで刑事事件例をみてみましょう。
Aさんはおにぎり2個を盗みました(万引きをしました)。窃盗行為を行った者ですので「窃盗」にあたります。
Aさんは逮捕されたくないと思い、Vさんに対しナイフを突きつけ恐怖で追いかけられないようにしたので「逮捕を免れ」るために「暴行をした」ことにあたります。

以上により、Aさんには事後強盗罪が成立すると思われますが、窃盗行為と暴行・脅迫の関係や程度により別の罪に抵触することもあります。
事件の詳細な事情を専門的に細かく検討することも必要になることがありますので、まずは刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めいたします。

刑事事件に特化した弁護士

ご家族が事後強盗罪で逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や、初回接見サービスのご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。

(事例紹介)飲食店の店長が売上金を着服か、静岡県藤枝署が男を業務上横領の疑いで逮捕

2024-03-13

(事例紹介)飲食店の店長が売上金を着服か、静岡県藤枝署が男を業務上横領の疑いで逮捕

着手金0円から 明確な報酬体系

静岡県藤枝署が男を業務上横領の疑いで逮捕したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例

静岡県警藤枝署は、飲食店従業員の男性を業務上横領の疑いで逮捕しました。
警察の調べによりますと、被疑者は当時店長として勤務していた静岡県藤枝市の飲食店で、売上金5万7000円を着服した疑いが持たれています。
警察によりますと、被疑者はその後、店に来なくなった、ということです。
警察は被疑者の認否を明らかにしていませんが、余罪も調べる方針だということです。
(静岡朝日テレビ「飲食店の当時の店長が売上金5万7000円を着服か…46歳男を業務上横領の疑いで逮捕 警察は余罪も捜査 静岡・藤枝市」(2024/2/11)を引用・参照の上、適宜修正。)

~業務上横領について〜

(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2(略)
(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

業務上横領罪(刑法253条)とは、横領をした者の占有が業務上のものであることから加重処罰される特別類型です(刑の上限が5年→10年)。
これは、単純横領罪(252条1項)に比べて所有権を保護する特別の必要から業務者に特別の義務を課したものです。
したがって、「業務」性が認められるかどうかが、刑の重さの点も含め重要な要件となります。
判例・通説上、「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務のうち、他人の物を占有・保管することを内容とする事務をいうと解されています。
本事例では、被疑者は事件当時飲食店の店長の地位にあり、このような店長という地位は当該飲食店に対して包括的な事務を行うことが想定されているのが通常と考えられます。
よって、被疑者は当該飲食店の売上金を占有・保管する事務を行うことも包含する地位にあったといえ、業務上横領罪によって逮捕されたものと考えられるでしょう。

〜業務上横領事件における刑事弁護士の弁護活動〜

本件では、業務上横領の疑いで逮捕されるに至っていますが、横領事件における身柄事件はどのような経緯をたどることになるのでしょうか。
司法統計上、横領事件は逮捕されてしまうと、窃盗事件などに比べ勾留(プラス10日間の身体拘束)される可能性が高いと言われています。
もっとも、必ずしも勾留延長(上記勾留からさらに最大10日間の身体拘束:刑訴法208条2項)されるとは限らないことから、事案に応じて身体拘束の見通しを把握することが重要と言えます。
また、起訴されるかどうかに当たっては、財産の被害を回復し示談を成立させているかがどうかが重視されることから、示談を成立させることが主要な弁護活動の一つになると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務上横領事件などの刑事事件を専門的に取り扱っている弁護士が所属する法律事務所です。
弊所には、業務上横領事件も含めた財産犯事件に関する弁護活動を経験を豊富に有する弁護士が多数所属しています。
業務上横領事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル(0120-631-881)へまずはお電話ください。

(事例紹介)静岡県伊豆の国市内において特殊詐欺(サポート詐欺)事件が発生し警察が捜査

2024-03-06

(事例紹介)静岡県伊豆の国市内において特殊詐欺(サポート詐欺)事件が発生し警察が捜査

着手金0円から 明確な報酬体系

静岡県伊豆の国市内において特殊詐欺(サポート詐欺)事件が発生し警察が捜査しているケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

静岡県伊豆の国市の70代男性がパソコンを使用中、画面に「セキュリティに問題あり、すぐに個々に電話してください」と表示された。
表示された電話番号に電話をかけると、パソコンのセキュリティソフトの名目で電子マネーを請求された。
その後、複数回にわたり電子マネーを購入し、電話の相手にコード番号を伝えて、利用権を騙し取られた。
(静岡県警察「特殊詐欺(サポート詐欺)事件の発生【伊豆中央署】」(2024/1/16)を引用・参照の上、適宜修正。)

~電子マネーの利用権の詐取〜

(詐欺)
第246条 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

本件における詐欺の手法は、パソコン等を使用中にモニターに突然「セキュリティに問題が生じた」「ウイルスに感染した」などという嘘の画面を表示させ、主としてパソコン等の電子機器に疎い高齢者の不安につけ込み、金銭等を騙し取るというものです。
今回のケースでは、被害者に電子マネーを購入させており、刑法246条2項の詐欺(利得)罪が成立するものと考えられます。
利得罪とは2項犯罪とも呼ばれ、いわゆる「財物」(有体物)を客体とするものではなく、財産上の利益を不法に取得する犯罪を指します。
本件では、被害者は「欺」かれてセキュリティソフトの料金を支払わなければならないと誤信させられ、電子マネーの購入するように仕向けられています。
そして、電子マネーのコード番号を知らせてしまっており、これにより詐欺を行った被疑者が電子マネーの利用権という「財産上の⋯⋯利益」を得ていることになります。

〜詐欺事件における刑事専門の弁護士の弁護活動〜

警察によれば、本件では70代の老齢の男性が被害者となり、電子マネーの利用権を詐取されたようです。
このようなケースはサポート詐欺などと呼ばれ、特殊詐欺の一類型とされています(特殊詐欺における全認知件数の1割近くがこのような手法を採っているとも言われています)。
本件において被疑者が逮捕・勾留されれば、特殊詐欺事案として重い刑事罰が科される危険性があることは十分に認識しておかなければなりません。
(身体拘束が続いたまま)起訴される可能性も高く、その場合の身体拘束からの解放手段として保釈の検討は欠かせないでしょう。
保釈(刑訴法88条以下)においては、逃亡のおそれは保釈保証金による担保によって(権利)保釈の要件とはなっていないことから、弁護士としては罪証隠滅のおそれがないことを中心として保釈が認められるような具体的な要件検討が重要になってきます。
保釈一つとっても弁護士(弁護人)の技術・経験・専門性によってその時期や許否が変わってくる可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺事件などの刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
特殊詐欺事件は高度な組織化・社会問題化を背景に厳罰化が著しい犯罪類型です。
詐欺事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間/365日通話可能の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)へまずはご連絡ください。

(事例紹介)藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署が他県に住む男女を逮捕

2024-02-28

(事例紹介)藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署が他県に住む男女を逮捕

静岡・浜松 刑事事件・少年事件に特化した弁護士が一から対応

藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署が他県に住む男女を逮捕したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

静岡県藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署は愛知県に住む男女を逮捕しました
警察によりますと、2人は2023年9月下旬、藤枝市内の神楽田橋に設置された橋名板4枚、合わせて約21万円相当を盗んだ疑いがもたれています。
調べに対し2人は「間違いありません」と容疑を認めているということです。
2人は深夜に犯行を行ったとみられ、警察は市内で同様の被害があることから、関連性についても捜査していく方針です。
(静岡第一テレビ「静岡・藤枝市の「橋名板」窃盗容疑で愛知の元夫婦逮捕」(2024/1/17)を引用・参照の上、一部加筆。)

~公共物の盗難〜

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

本件では、被疑者らは橋名板(橋の名前が書かれた金属製の板)を盗んだとして逮捕されています。
このような金属製の板も、国(又は地方公共団体)が管理する物として「他人の財物」であることに変わりはありません。
そして「他人の財物」を「窃取」したと認められるためには、その他人の財物の占有(事実上の支配)を侵害したといえる必要があると解されています。
本件では、盗まれたと考えられている財物には国又は地方公共団体が占有が及んでいるといえるため、「窃取」したことも明らかでしょう。
このような金属製の板を盗むのは、転売等によって利益を得ることが目的であると思料され、財産罪に特有の(条文上には明記されていない)不法領得の意思も認められると考えるのが通常だと思われます。

〜余罪を考慮した刑事弁護活動〜

報道によれば、本件では逮捕された被疑者には同様の被害に関する容疑もかけられているようです。
このようなケースにおいては、場合によっては再逮捕などによる身体拘束の長期化なども考えられるため、被疑者自身のためにも家族等のためにも今後の見込みを立てることが重要になってきます。
したがって、弁護士による弁護活動にあたっては、立会人なしの秘密交通権(刑訴法39条1項)を行使し、余罪の有無についても十分に聴取しておく必要があるでしょう。
本件のような事案では、被害者が民間人ではないため、被害弁償や示談を行うことは難しくこの点も考慮した弁護活動が不可欠になります。
また、捜査機関による余罪の追及に関しては法的な問題が生じる可能性もある一方で、自白事件の場合には柔軟に対応することが被疑者の利益に適うこともあるため、刑事弁護の経験の少ない弁護士に頼ることは被疑者にとってデメリットになりかねません。
さらに、本件は共犯事件であることから、この点にも十分に配慮した弁護活動が求められることになるものと考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件などの刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
24時間いつでも繋がる弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話いただくことで迅速な対応が可能です。
窃盗事件で逮捕されてしまった方のご家族等で、刑事事件に長けた弁護士による弁護活動をご希望の方は弊所まで是非ご連絡ください。

(事例紹介)静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕

2024-02-14

(事例紹介)静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕

静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

タクシー運転手の顔を殴り料金を支払わずに逃走したとして警察は浜松市内の女を逮捕した。
警察によると女は、タクシー運転手の女性の運転の仕方について文句をつけ、運転手の顔を殴りタクシー料金を支払わず逃走した疑いがもたれている。
警察は車内のドライブレコーダーの映像などから逃げた女の行方を捜し、逮捕した。
(静岡第一テレビ「タクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走 強盗容疑で逮捕」(2024/1/2)を引用・参照の上、適宜修正。)

~利益に対する強盗〜

(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

窃盗罪に代表される財産罪には、(財産上の)利益を客体とするものとそうでないものがあります。
上記窃盗罪(刑法235条)は「他人の財物を窃取した」場合に犯罪が成立すると定めており、その対象を「財物」に限定しています。
これはいわゆる利益窃盗を不可罰とする趣旨であり、その背景には典型的には債務の不履行等、本来民事法によって解決すべきものにまで刑事上の責任を負わせるべきではないという考えがあります。
これに対し、本件のような強盗罪の場合は、暴行又は脅迫を手段とする点で(財産上の)利益まで保護すべきであることから、236条の2項によって利益罪も定められているのです。
本件では暴行を手段とした(2項)強盗罪の成否が問題となっていますが、強盗罪における「暴行」とは人の反抗を抑圧する程度のものである必要があると解されています。
上記の程度までの暴行であったか否かは、暴行の態様、犯行の時間や場所、体力や体格の差などから客観的に判断されます。
本件では暴行の態様などの詳細は明らかではありませんが、同性同士でそれほど力や体格の差はないと思われるものの、例えば女性の加害者が男性の被害者に対して暴行した場合などに比べると暴行による反抗の抑圧は認められやすいと考えることも可能なケースと言えそうです。

〜強盗事件における刑事弁護活動〜

強盗罪は、窃盗罪とは異なり被害者に対する有形力の行使(本件のように「暴行」による場合)伴う犯罪であり、法定刑も「5年以上」と重い犯罪類型であると言えます。
したがって、例えば本件のようなケースでは、強盗罪の成立を争う弁護活動なども一考に値するものと考えられます。
もっとも、強盗罪が成立するケースでも財産犯である以上は示談の成立によっては刑事裁判を回避することも可能であり、いずれにせよ積極的な不起訴獲得のための弁護活動が重要になってくることになります。
被害者対応を誤ってしまうと、その後の刑事処分も大きく変わってきうることから、弁護活動は被害者対応にも長けた刑事事件専門の弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件などの刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
強盗事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までまずお問い合わせください。

自分の家族が特殊詐欺事件で逮捕された―国選弁護人と私選弁護人の違いはどこにある?

2024-01-03

自分の家族が特殊詐欺事件で逮捕された―国選弁護人と私選弁護人の違いはどこにある?

着手金0円から 明確な報酬体系

家族が特殊詐欺事件に加担した嫌疑で逮捕・勾留された事案を想定して、国選弁護人と私選弁護人の違いについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【ケース】

静岡県沼津市在住のAさんは、沼津市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは生活苦からSNSで副業を探していたところ、荷物を受け取りに行くことで日当5万円との投稿を目撃し、募集しました。
Aさんは指示役から警察官を装って静岡県沼津市内の指定された高齢者宅に行きキャッシュカードを受け取るよう言われていたため、いわゆる特殊詐欺の受け子と呼ばれる立場であることを認識してい乍ら、行為に及びました。
後日、Aさんの自宅に沼津市内を管轄する静岡県沼津警察署の警察官が来て、Aさんを詐欺罪で通常逮捕しました。

逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、国選弁護人がどのような制度なのか分からず、弁護士に質問しました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【特殊詐欺について】

オレオレ詐欺・母さん助けて詐欺・振り込め詐欺のほか、様々な通称があるいわゆる特殊詐欺は、今なお被害件数が多く、被害額も甚大です。
昨年(2023年)も、投資の名目で札幌市・佐賀市の被害者がそれぞれ1.5億円の詐欺被害に遭ったと報道されている反面、海外を拠点に活動している特殊詐欺グループの架け子や指示役らが逮捕されるなど、捜査機関も被疑者の検挙に向けて精力的に捜査しています。

ケースのように被害者宅を訪問して現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」と呼ばれる行為は詐欺罪に当たり、初犯でも被害金額や件数次第で実刑判決を受ける可能性があります。

【刑事手続きの流れ】

刑法をはじめとする各法に触れる行為をした場合、警察官や検察官などの捜査機関によって捜査をされ裁判に付される可能性がありますが、その立場は

・起訴される前:「被疑者」
・起訴された後:「被告人」

となります。
報道などで「容疑者」と呼ばれているのは「被疑者」を指す場合が一般的です。
この被疑者の段階で、捜査機関は捜査を行う上でやむを得ない場合には逮捕し、検察官に送致します。
検察官は、被疑者の捜査を行う、あるいは警察官に捜査指揮したうえで、起訴するべき事案であると判断した場合、裁判所に公判請求(起訴)します。
逆に、証拠が十分でない場合や起訴する必要がないと判断した場合等には、被疑者を不起訴とします。

【被疑者段階での国選弁護人と私選弁護人】

被疑者になった時点で、弁護士を弁護人として選任する権利があります。
この場合に国選弁護人と私選弁護人のいずれを選ぶべきなのか、ということになりますが、国選弁護人が選任される場合とは

・被疑者が勾留されている
・原則として資力(現金と預貯金)が50万円未満

とされています。
そのため、資力がある(弁護人を自ら選任するほどの余裕がある)場合や勾留されていない場合には、国選弁護人は選任されません。

国選弁護人のメリットは、原則として費用負担がかからない(国が負担する)ことになるという点です。
国選弁護人を選任する上で注意したい点としては、①国選弁護人を選ぶことができないため刑事弁護の経験が少ない弁護士が選任されることがある、②国選弁護人は被疑者(・被告人)の弁護人であり家族の依頼ではないため、家族に連絡・報告をしないこともある、③国選弁護人の報酬は極めて少ないため、モチベーションが高くない場合がある、といった指摘があります。

他方、私選弁護人は、資力などの要件がないため、捜査対象である被疑者となっていれば、逮捕・勾留の如何に関わらずいつでも選任することができます。
但し、弁護士費用は(保険による弁護士費用特約で減免できる場合もありますが)基本的に全額自己負担ですので、その点は留意する必要があります。

【被告人段階での国選弁護人と私選弁護人】

起訴された被告人については、被疑者段階で勾留されていて国選弁護人が就いている場合、引き続き同じ弁護士が国選弁護人として弁護をします。
在宅で捜査を受けた、あるいは釈放された状態で起訴され被告人の場合、「弁護人選任に関する回答書」という書類が届きます。

基本的に、資力がある方は私選弁護人に弁護を依頼する必要があります。
しかし、刑事事件は民事事件と異なり、

刑事訴訟法289条1項 死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。

と定められているため、ほとんどの事件で弁護人がいなければ刑事裁判を開廷することができないことになっています。
ケースの場合、特殊詐欺による詐欺事件で起訴されたという事例を想定しています。
詐欺罪は刑法246条1項で「10年以下の懲役に処する。」と定められていますので、「長期3年を超える懲役…にあたる事件を審理する場合」に該当し、必要的弁護事件となるため、必ず弁護士が弁護人に就いている必要があります。
そこで、資力がある場合でも、事情により私選弁護人に依頼することができない場合には、国選弁護人が選任されます。

【弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所について】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、日々多くの相談・接見の依頼が寄せられます。
例えば、
・国選弁護人が就くタイミングを知りたい
・国選弁護人から連絡がない
・国選弁護人から「私はほとんど経験したことがない事件」と言われ不安に思っている
・別の私選弁護人に弁護を依頼しているが弁護士を代えたい
など、その内容は様々です。
当事務所では、国選弁護人が就いている場合でもそうでない場合でも、被疑者・被告人の方が逮捕・勾留されている際は先ずは「初回接見サービス(有料)」をご案内しています。
初回接見サービスは、当事務所の刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、弁護人となろうとする者という立場で接見をするものです。

刑事訴訟法39条1項 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

通常、国選弁護人が就いている場合に私選弁護人を選任した場合、国選弁護人は自動的に解任されることになりますが、弁護人となろうとする者が接見する場合には国選弁護人は就いたままの状態が維持されます。
そのため、国選弁護人が就いている場合でも、当事務所の弁護士による初回接見サービスを利用して、その弁護士の説明を聞いた上で国選弁護人に引き続き弁護を依頼するか当事務所の弁護士を私選弁護人として選任するか、検討することができます。

静岡県沼津市にて、家族が特殊詐欺事件で逮捕・勾留されていて国選弁護人と私選弁護人のどちらにするか検討されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例

2023-12-27

(事例紹介)窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例

窃盗

窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事案~

静岡地検は、窃盗の疑いで逮捕、送検されていた静岡県静岡市内の男性を不起訴処分とした。
地検は、理由については明らかにしていない。
男性はJR静岡駅北口ロータリーで寝ていた男性会社員のかばんから財布とカードケースを盗んだとして、静岡中央警察署などに逮捕されていた。

(静岡新聞「窃盗疑い逮捕の特支教諭不起訴 静岡地検」(2023/11/7)」を引用・参照の上、適宜修正。)

~窃盗罪における占有について~

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法235条(窃盗罪)は、他人の意思に反して他人の物の占有を侵害することを処罰する趣旨の規定です。
詐欺罪等の交付罪とは、物の占有の移転が被害者の意思によるかそうでないかといった点で罪質が異なることになります。
窃取罪が成立するには上記の通り「窃取」という要件を満たす必要がありますが、「窃取」とは(他人の意思に反し)他人の占有を侵害することが前提となっていることから、対象となる財物に被害者の占有が及んでいるかが問題となります。
占有とは、財物に対する事実的支配をいい、これは占有の事実と意思から判断されるものと解されています。
本件では、上記事案の事実の存在を前提とするならば、被害者が寝ていることから占有の意思の減弱が認められうるところ、あくまで盗まれた財物等はカバンの中に入っていたわけですから被害者の占有の事実は強固であり、財物の事実的支配は優に認められるものと考えられます。
なお、詳述はしませんが、窃盗罪の成否においては故意の他に不法領得の意思という主観的要件も問題となることに注意が必要です。

~窃盗事件における刑事弁護活動〜

本事案では、被疑者は窃盗の疑いで逮捕されましたが、後に不起訴処分となっています。
我が国の刑事手続では、検察官の起訴裁量(刑事訴訟法248条参照)が広範に認められており、逮捕(・勾留)されたからと言って、必ずしも刑事裁判になるわけではありません。
不起訴処分にも、罪とならず・嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予など様々な理由に基づくものがありますが、本件ではその詳細は明らかではありません。
そこで、以下では(最も多いと考えられる)起訴猶予について、窃盗事件の特徴との関連を中心に記述することとします。
窃盗罪は、財産犯(財産を侵害する犯罪)の典型であり、国家や社会とは異なり個人の法益を保護している犯罪類型です。
したがって、被害者との示談の成立の有無が、不起訴処分を獲得するにあたって大きなウェイトを占めることになります。
仮に被疑者に前科・前歴等があったとしても、示談が成立していれば十分に不起訴を得る可能性があるため、起訴前の弁護活動が非常に重要と言えます。
このことは、統計上、窃盗罪で(略式手続を除く)正式裁判として起訴される件数が非常に少ないことからも裏付けられていると考えることもできるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件全般を専門として扱っている法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方やそのご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

(事例紹介)静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕

2023-12-20

(事例紹介)静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕

静岡県内の刑事・少年事件

静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕された事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事案~

静岡市清水区の社会福祉法人から資金を横領した疑いで逮捕された前理事長ら男2人について、警察は2人がさらに約2900万円を横領した疑いで再逮捕しました。
再逮捕されたのは、団体職員の男(52)と静岡市清水区の社会福祉法人の前理事長の男(43)2人です。
警察によりますと、2人は2022年10月から11月にかけて社会福祉法人の口座から関連会社など複数の口座に少なくとも十数回以上送金するなどして、現金約2900万円を横領した疑いが持たれています。
警察は2人が容疑を認めているかどうか明らかにしていませんが、使途不明金は7000万円に上るとみられていて、警察は引き続き金銭の流れを慎重に捜査しています。
また静岡地検は、2人が共謀して同じ社会福祉法人から1500万円を横領したとして起訴しています。
(テレビ静岡「さらに2900万円を社会福祉法人の資金から横領か 前理事長と団体職員を再逮捕 静岡」(2023/12/11)を引用・参照)。

~業務上横領について~

(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。

(業務上)横領罪とは、他人から預かった他人の所有物を着服し自らのものにしてしまう行為を罰する趣旨の規定です(刑法252条、253条)。
業務上横領において刑が加重されているのは、多数人との間の委託信任関係を破壊する点で単純横領のそれよりも法益に対する侵害が重大であるからとも言われています。
上記のように業務上横領(253条)の法定刑が「10年以下の懲役」であるのに対し、単純横領(252条)は「5年以下の懲役」と最高刑が半分であるわけですから、「業務」該当性の検討は非常に重要となります。
ここでいう「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行われる事務であって、他人の委託に基づいて他人の物を管理する事務をいうと解されています。
本件では、報道のみでは事実関係が必ずしも明らかではないものの、被疑者らは法人の金銭を保管する事務を行っていたと考えられ業務者に当たると思われます。

~再逮捕事案の弁護活動等~

本件事案では、被疑者らはすでに一部の容疑では起訴されており、余罪の業務上横領が発覚する度に逮捕が繰り返されています。
なお、マスコミ用語でいう「再逮捕」と法律上の「再逮捕」とは異なる概念であり、混同しないよう注意が必要です。
本件のように違う被疑事実で同じ被疑者を再度逮捕することは、法律上は単に異なる容疑で逮捕しただけであり、裁判例(東京地決S47.4.4等)においても厳格な要件が課せられている「再逮捕」(刑訴法199条3項等参照)には当たりません。
以下では、断わりのない限りマスコミ用語でいうところの「再逮捕」(つまり単なる再度の逮捕)の意味で「再逮捕」の語を使用します。

本事案のように余罪が多数見込まれ、再逮捕が繰り返されているような事案ではどうしても身体拘束期間が長引くことが避けがたくなります。
余罪の有無は、起訴後の保釈(刑訴法88条以下)が認められるかの判断にも関わるため、弁護士が接見を繰り返すことも被疑者・被告人の精神面を含めたケアにとって重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務上横領事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
業務上横領事件逮捕・再逮捕された方のご家族等は、24時間/365日対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までいつでもお電話ください。

静岡県焼津市で横領の疑いで男性を逮捕

2023-11-01

静岡県焼津市で横領の疑いで男性を逮捕

静岡県焼津市で横領の疑いで男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事案

静岡県焼津警察署は、横領の疑いで会社員の男を逮捕した。
逮捕容疑は昨年10月下旬から11月上旬にかけて、ゴルフ用品などの製造販売を手がける焼津市の会社のインターネットレンタルサービスを利用して借りたゴルフクラブ2本(時価計12万円相当)を、ゴルフ用品買い取り店に売却した疑い。
(静岡新聞「レンタルのゴルフクラブを売却した疑い」(2023/10/19)を引用・参照。)

~単純横領罪とは~

(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。
2 (略)

刑法は、自らが占有している他人の物の所有権(および所有者との間の委託関係)を保護し、これを侵害する行為を罰するための規定を設けています。
その最も典型的な規定が、上記刑法252条が規定する単純横領罪です。

本件の被疑者は、レンタルサービス会社の有する「他人の物」であるゴルフクラブを「占有」しています。
上記条文に明文はありませんが、かかる「占有」は委託関係に基づくものである必要があります(委託物横領罪とも呼ばれるのはそれ故です)。
本件クラブという「他人の物」は、被害者である会社とのレンタル契約に基づく委託関係によって「占有」されるに至っています。
したがって、被疑者による「横領」行為が認められれば、(委託物)横領罪が成立しうることになります。
ここにいう「横領」とは、不法領得の意思を発現する一切の行為を言い、判例は横領罪における不法領得の意思を「委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をする意思」と定義しています。
本件では、レンタル契約に基づいてクラブを利用しなければならない被疑者がこれを売却しており、不法領得の意思およびその発現行為があったといえ、(委託物)横領罪が成立するものと考えられます。 

~逮捕を避けるための弁護活動等~

本件では、被疑事実となっている行為は、逮捕から約1年前に行われています。
逮捕されてしまえば、その身体拘束によって決して小さくない事実上の不利益(有職者であれば仕事への悪影響)を被ることになってしまいます。
では本件のように、犯罪行為を行ったとされる時期と逮捕との間にタイムラグがある場合、逮捕を避けることはできなかったのでしょうか。
このとき、まずもって思い付くのは、自首し自ら犯罪行為を申告することです。
そこで自首についての規定を見てみると、「罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる」(刑法42条1項)とされています。
自首による法律上の効果は、任意的な「刑」の「減刑」であり、逮捕されない等とはどこにも書かれていないのです。
逮捕回避のために警察へ自首したら、そのまま逮捕されてしまったなどという事例も少なくありません。
つまり、自首(事件発覚前の出頭行為)にはリスクが伴うのであり、慎重を期すべきです。
したがって、自首等による逮捕回避を望む場合にも、まずは専門家である弁護士への相談が必要不可欠と言えます(弊所なら初回相談は無料)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、横領事件を含む刑事事件を専門としている法律事務所です。
横領事件で逮捕されてしまった方のご家族や逮捕を避けたいという方は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお電話ください。

« Older Entries

トップへ戻る

電話番号リンク 問い合わせバナー