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(事例紹介)藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署が他県に住む男女を逮捕
(事例紹介)藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署が他県に住む男女を逮捕
藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署が他県に住む男女を逮捕したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
静岡県藤枝市内の橋に設置された橋名板を盗んだ疑いで、藤枝署は愛知県に住む男女を逮捕しました
警察によりますと、2人は2023年9月下旬、藤枝市内の神楽田橋に設置された橋名板4枚、合わせて約21万円相当を盗んだ疑いがもたれています。
調べに対し2人は「間違いありません」と容疑を認めているということです。
2人は深夜に犯行を行ったとみられ、警察は市内で同様の被害があることから、関連性についても捜査していく方針です。
(静岡第一テレビ「静岡・藤枝市の「橋名板」窃盗容疑で愛知の元夫婦逮捕」(2024/1/17)を引用・参照の上、一部加筆。)
~公共物の盗難〜
(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
本件では、被疑者らは橋名板(橋の名前が書かれた金属製の板)を盗んだとして逮捕されています。
このような金属製の板も、国(又は地方公共団体)が管理する物として「他人の財物」であることに変わりはありません。
そして「他人の財物」を「窃取」したと認められるためには、その他人の財物の占有(事実上の支配)を侵害したといえる必要があると解されています。
本件では、盗まれたと考えられている財物には国又は地方公共団体が占有が及んでいるといえるため、「窃取」したことも明らかでしょう。
このような金属製の板を盗むのは、転売等によって利益を得ることが目的であると思料され、財産罪に特有の(条文上には明記されていない)不法領得の意思も認められると考えるのが通常だと思われます。
〜余罪を考慮した刑事弁護活動〜
報道によれば、本件では逮捕された被疑者には同様の被害に関する容疑もかけられているようです。
このようなケースにおいては、場合によっては再逮捕などによる身体拘束の長期化なども考えられるため、被疑者自身のためにも家族等のためにも今後の見込みを立てることが重要になってきます。
したがって、弁護士による弁護活動にあたっては、立会人なしの秘密交通権(刑訴法39条1項)を行使し、余罪の有無についても十分に聴取しておく必要があるでしょう。
本件のような事案では、被害者が民間人ではないため、被害弁償や示談を行うことは難しくこの点も考慮した弁護活動が不可欠になります。
また、捜査機関による余罪の追及に関しては法的な問題が生じる可能性もある一方で、自白事件の場合には柔軟に対応することが被疑者の利益に適うこともあるため、刑事弁護の経験の少ない弁護士に頼ることは被疑者にとってデメリットになりかねません。
さらに、本件は共犯事件であることから、この点にも十分に配慮した弁護活動が求められることになるものと考えられます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件などの刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
24時間いつでも繋がる弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお電話いただくことで迅速な対応が可能です。
窃盗事件で逮捕されてしまった方のご家族等で、刑事事件に長けた弁護士による弁護活動をご希望の方は弊所まで是非ご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
当事務所では、365日24時間体制で無料相談・初回接見サービスのご予約をお電話にて受け付けております。刑事事件や少年事件でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
(事例紹介)窃盗被害を受けたとうその通報をして警察の業務を妨害したとして静岡県内の男性を逮捕
(事例紹介)窃盗被害を受けたとうその通報をして警察の業務を妨害したとして静岡県内の男性を逮捕
窃盗被害を受けたとうその通報をして警察の業務を妨害したとして静岡県内の男性が逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
「荷物をひったくられた」などとうその通報をし、警察の業務を妨害したとして、静岡県磐田市の自称会社役員の男が逮捕されました。
男は、警察に対し「荷物をひったくられた」という趣旨のうその通報をし、警察官の業務を妨害した疑いが持たれています。
男から通報を受けた後、警察は窃盗事件として30~40人ほどの警察官を動員しました。
しかし、被害状況や犯人の特徴などの質問に対する男の回答が二転三転してたことから問い詰めると、虚偽通報を認めたということです。
(静岡朝日テレビ「「荷物をひったくられた」とうその通報をして警察の業務を妨害したとして自称会社役員の男を逮捕」(2024/1/22)を引用・参照。
~虚偽通報による業務妨害〜
(信用毀損及び業務妨害)
第233条 (虚偽の風説を流布し、又は)偽計を用いて、人の(信用を毀損し、又はその)業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
本件では、厳密な罪名は報道されていないものの、被疑者(逮捕された男性)が「荷物をひったくられた」などと虚偽の通報をした疑いを持たれていることから、偽計業務妨害罪(上記刑法233条)での逮捕に至ったものと考えられます。
偽計業務妨害罪を含む業務妨害罪は、刑法の「第2編」「第35章 信用及び業務に対する罪」に定めが置かれており、基本的には人の社会的自由等の個人的法益の保護を目的とする規定と考えられています。
そこで、上記の233条にいう「業務」に、本件のように警察という公的機関の職員が行う職務行為(公務)も含まれるか解釈上争いがあります。
この点に関し、判例・実務は、強制力を行使する権力的公務の除いて公務もまた「業務」に含まれると解しています。
本件では、被疑者の虚偽通報により30~40人ほどの警察官が動員されており、これによって警察官が本来行うはずだった公務(これには実力行使等を伴うわない権力的公務や非権力的公務が含まれると考えるのが通常でしょう)が妨害されているといえ、「偽計」による業務妨害が成立するものと考えられます。
〜業務妨害事件における刑事弁護活動〜
逮捕後には原則として被疑者は検察に送致され(検察官送致・刑事訴訟法203条1項)、検察官がより長期間の身体拘束である勾留請求をするかどうかを決めます(204条1項)。
早期に依頼を受けた弁護士であれば、(この勾留請求をしないように働きかけることも重要ですが)勾留決定をする裁判官に対し、勾留の要件を満たさないとして勾留却下を求める活動を行うことが可能です。
すなわち、刑訴法が定める住所不定、罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれ、勾留の必要性のそれぞれの要件(207条1項、60条・87条1項参照)を満たさないことを具体的に主張していくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務妨害事件も含めた刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
上記のように逮捕後の早い段階での弁護活動が身体拘束の有無に与える影響は小さくありません。
業務妨害事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間/365日対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
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(事例紹介)静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕
(事例紹介)静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕
静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
タクシー運転手の顔を殴り料金を支払わずに逃走したとして警察は浜松市内の女を逮捕した。
警察によると女は、タクシー運転手の女性の運転の仕方について文句をつけ、運転手の顔を殴りタクシー料金を支払わず逃走した疑いがもたれている。
警察は車内のドライブレコーダーの映像などから逃げた女の行方を捜し、逮捕した。
(静岡第一テレビ「タクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走 強盗容疑で逮捕」(2024/1/2)を引用・参照の上、適宜修正。)
~利益に対する強盗〜
(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
窃盗罪に代表される財産罪には、(財産上の)利益を客体とするものとそうでないものがあります。
上記窃盗罪(刑法235条)は「他人の財物を窃取した」場合に犯罪が成立すると定めており、その対象を「財物」に限定しています。
これはいわゆる利益窃盗を不可罰とする趣旨であり、その背景には典型的には債務の不履行等、本来民事法によって解決すべきものにまで刑事上の責任を負わせるべきではないという考えがあります。
これに対し、本件のような強盗罪の場合は、暴行又は脅迫を手段とする点で(財産上の)利益まで保護すべきであることから、236条の2項によって利益罪も定められているのです。
本件では暴行を手段とした(2項)強盗罪の成否が問題となっていますが、強盗罪における「暴行」とは人の反抗を抑圧する程度のものである必要があると解されています。
上記の程度までの暴行であったか否かは、暴行の態様、犯行の時間や場所、体力や体格の差などから客観的に判断されます。
本件では暴行の態様などの詳細は明らかではありませんが、同性同士でそれほど力や体格の差はないと思われるものの、例えば女性の加害者が男性の被害者に対して暴行した場合などに比べると暴行による反抗の抑圧は認められやすいと考えることも可能なケースと言えそうです。
〜強盗事件における刑事弁護活動〜
強盗罪は、窃盗罪とは異なり被害者に対する有形力の行使(本件のように「暴行」による場合)伴う犯罪であり、法定刑も「5年以上」と重い犯罪類型であると言えます。
したがって、例えば本件のようなケースでは、強盗罪の成立を争う弁護活動なども一考に値するものと考えられます。
もっとも、強盗罪が成立するケースでも財産犯である以上は示談の成立によっては刑事裁判を回避することも可能であり、いずれにせよ積極的な不起訴獲得のための弁護活動が重要になってくることになります。
被害者対応を誤ってしまうと、その後の刑事処分も大きく変わってきうることから、弁護活動は被害者対応にも長けた刑事事件専門の弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件などの刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
強盗事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までまずお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
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キャッシュカードを他人に渡す・売る行為で問題となる罪-静岡県御殿場市での架空の事例を想定、口座が作れなくない
キャッシュカードを他人に渡す・売る行為で問題となる罪-静岡県御殿場市での架空の事例を想定、口座が作れなくない
キャッシュカードを他人に渡す行為は、それ自体が犯罪となり、刑事罰が科される可能性があることはもとより銀行口座が凍結され新規で開設できなくなるというデメリットが生じます。
また、その先には新たな特殊詐欺の被害者を生んでしまうという現実も待ち受けています。
キャッシュカードを他人に渡す行為の問題点について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討します。
【ケース】
静岡県御殿場市在住のAさんは、御殿場市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは生活苦に陥り、SNS上で金を稼ぐ方法を探していたところ、キャッシュカードを1万円/枚で売るという投稿を見つけました。
Aさんは投稿主とやりとりをして、使っていないキャッシュカード2枚を指定された先に郵送し、対価として2万円を受け取りました。
後日、Aさんのもとに銀行から郵便物が届き、すぐに連絡するよう指示がありました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【キャッシュカードを売る・渡す行為】
銀行口座を他人に譲り渡す行為は、犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称、犯収法)に違反します。
条文は以下のとおりです。
犯収法28条1項 他人になりすまして…預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報…を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者は、1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。通常の商取引又は金融取引として行われるものであることその他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又はその提供を受けた者も、同様とする。
同2項 相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。(略)
キャッシュカードは、たとえ使用していない口座であっても、他人に渡したり売ったりといった行為は禁止されています。
【不正に入手されたキャッシュカードは何に使われている?】
Aさんのように、キャッシュカードを他人に渡してしまった場合、不正に取得したキャッシュカードは特殊詐欺に使用されている可能性があります。
特殊詐欺は、その手口によって異なりますが、AさんのキャッシュカードをX口座とすると
・アダルトサイトの利用料などと称してX口座に送金をさせる
・指示役が受け子と呼ばれる犯人に現金を受け取りに行かせ、それをX口座に振り込ませ、指示役が引き出す
・捜査をかく乱させるべく、複数の口座で入出金を繰り返し、その過程でX口座が使われる
など、様々なかたちで不正に利用されていることが考えられます。
仮に特殊詐欺に使用された場合、その先には被害者がいて、多額の被害を被っているおそれがあります。
【キャッシュカードを売る・渡す行為のあとに生じる問題】
キャッシュカードを不正に売る・渡す行為(実際にはそれを疑われる行為)に銀行が気付いた場合、その銀行口座は凍結されます。
のみならず、同じ人が作成した別の銀行口座も凍結されることになります。
その後、当分の間は銀行口座を新規に開設することができません。
恐らく多くの方は、日々給与の受け渡しやクレジットカードの引き落とし、取引などに銀行口座を使っておられると思います。
銀行口座が凍結され、新規の口座開設ができなくなってしまうと、仕事ができなくなる等の不利益が生じる可能性が極めて高くなります。
安易にキャッシュカードを売る・渡すといった行為は絶対にやめましょう。
【弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の紹介】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、これまでに数多くの犯罪収益移転防止法違反でのご相談が寄せられています。
捜査機関は、特殊詐欺グループとの関係性などを疑うこともあり、厳しい取調べが行われることも考えられます。
弁護士としては、違法・不適切な取調べが行われていないか、取調べ前後の打合せで確認し、必要に応じて捜査機関に対して意見・抗議する必要があります。
また、他人にキャッシュカードを売る・渡すことを目的として銀行口座を開設していた場合、詐欺罪に問われますので、余罪捜査の可能性などについても検討する必要があります。
静岡県御殿場市にて、キャッシュカードを売る・譲り渡すなどの行為で捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留されている場合、初回接見サービス(有料)をご利用ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
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(事例紹介)通園バスに園児を置き去りにし死亡させたとして業務上過失致死で起訴された事例
(事例紹介)通園バスに園児を置き去りにし死亡させたとして業務上過失致死で起訴された事例
通園バスに園児を置き去りにし死亡させたとして業務上過失致死で起訴された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
静岡県牧之原市の認定こども園(いわゆる幼稚園と保育園の機能を併有する施設)において、当時3歳の女の子が通園バスの車内に置き去りにされ、重度の熱中症で死亡した事件で、検察はバスを運転していた当時の園長とクラスの元担任の2人を、業務上過失致死の罪で在宅起訴しました。
起訴状などによりますと、2人は、こども園の駐車場に止めた通園バスの中に、被害者を約5時間にわたって置き去りにして、重度の熱中症で死亡させたとして、業務上過失致死の罪に問われています。
また、この事件では、ほかにもバスの元乗務員とクラスの元副担任も書類送検されていましたが、検察はこの2人を不起訴にしたということです。
(NHK NEWS WEB「通園バス置き去り死亡事件 当時の園長ら2人在宅起訴署」(2023/11/24)を引用・参照。)
~業務上過失致死について~
(業務上過失致死傷等)
第211条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。(後段略)。
刑法211条前段は、身体・生命という重要な利益については、故意行為以外に過失行為からも保護する趣旨で定められた規定です。
刑法は、故意犯の処罰を原則とし、故意のない過失による行為については特別の規定がある場合にのみ処罰しています(刑法38条1項ただし書)。
過失という概念に関しては、理論上は難解な議論が存在しますが、条文上「必要な注意を怠り」と規定されている通り(判例・実務において)これは注意義務違反のことを指すと考えられています。
つまり結果の予見可能性から、結果回避のための注意義務が導かれ、これに違反することが注意義務違反すなわち過失となります。
~刑事弁護士による弁護活動~
本件では事件に関与したと疑われる者に対する捜査は在宅のまま進められ、結果として2人起訴されています(別の2人は不起訴となっています)。
事件発生から起訴に値するかどうかの判断に至るまで1年以上の時間がかかっており、ここに交通事故のようなある程度類型的な判断が可能な事件とは異なる過失行為に関する刑事事件の難しさが表れています。
本件はいわゆる在宅事件であり、起訴された被告人は身体拘束されていませんが、起訴される事件には身体拘束を伴ういわゆる身柄事件も少なくありません。
起訴後において、このような身体拘束から被告人を解放する制度として保釈制度が設けられています(刑事訴訟法88条以下)。
起訴後の勾留は、(起訴前と異なり)原則として2か月(同60条2項)とされており、更新されれば身体拘束の期間はさらに続くことになります。
刑罰ではないのにも関わらず、このような長期にわたって身体の拘束を受けることは耐え難いものとなることは想像にかたくありません。
したがって身柄事件においては、接見を要せず裁判の準備が可能であるといった観点も含め、保釈のための弁護活動が極めて重要になってくるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務上過失致死を含む刑事事件を専門的に取り扱っている弁護士が所属する法律事務所です。
業務上過失致死事件で逮捕や起訴されてしまった方やそのご家族は、24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
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(事例紹介)静岡県内に住む少女と会った男がわいせつ目的面会要求罪等で逮捕された事例
(事例紹介)静岡県内に住む少女と会った男性がわいせつ目的面会要求罪等で逮捕された事例
静岡県内に住む少女と会いわいせつ目的面会要求罪等で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
静岡県富士宮署は、わいせつ目的面会要求とわいせつ誘拐の疑いでトラック運転手の男を逮捕した。
逮捕容疑は、わいせつな行為をする目的で静岡県内に住む10代少女と会い、約15分間、車で県内を連れ回した疑い。
2人はSNSを通じて知り合い、少女の親が同署に相談し発覚した。
(静岡新聞「わいせつ目的面会要求、誘拐の疑い 男を逮捕 富士宮署」(2023/9/6)を引用・参照。)
~わいせつ目的面会要求罪について~
(16歳未満の者に対する面会要求等)
第182条 わいせつの目的で、16歳未満の者に対し、次の各号に掲げるいずれかの行為をした者(当該16歳未満の者が13歳以上である場合については、その者が生まれた日より5年以上前の日に生まれた者に限る。)は、1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
一 威迫し、偽計を用い又は誘惑して面会を要求すること。
二 拒まれたにもかかわらず、反復して面会を要求すること。
三 金銭その他の利益を供与し、又はその申込み若しくは約束をして面会を要求すること。
2 前項の罪を犯し、よってわいせつの目的で当該16歳未満の者と面会をした者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。
3(略)
(未成年者略取及び誘拐)
第224条 未成年者を⋯⋯誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
(親告罪)
第229条 第224条の罪⋯⋯は、告訴がなければ公訴を提起することができない。
令和5年(2023年)の刑法改正によって、性犯罪処罰規定に大きな変化が生じました。
以下では、新設された「わいせつ目的面会要求罪」に主として焦点を当て、解説いたします。
改正刑法182条は(わいせつな行為に及ぶ等の目的を持って)SNS等を通じて徐々に信頼を得た上で会う約束をするなど、いわゆるグルーミング行為を処罰対象とした規定です。
グルーミング行為は、性被害に発展する危険性があること等から危険視されており、実際にわいせつな行為等に遭う前の段階から年少者を保護する必要が主張されていました。
本罪は、このような議論を背景に新設された規定であり、わいせつ目的を持って、16歳未満の者に対し、同条1項1号~3号の手段によって面会を要求した場合に成立する犯罪です(実際に面会した場合には同2項の罪が成立する余地があります)。
本件では詳細は明らかではありませんが、SNS上で「威迫」「偽計」「誘惑」等を手段として、16歳未満の被害者との面会を要求した疑いがあるものとして逮捕に至ったと考えられます。
~刑事弁護士による弁護活動~
本件では親告罪である未成年誘拐罪でも逮捕されていることから、示談を成立させるなどして被害者及び家族等から告訴を取り下げてもらうことが最も効果的な弁護活動の一つとなります。
上記で解説した面会要求罪は、親告罪ではないものの、告訴を取り下げてもらうことができれば、処分を行う検察官も被害者の意向を尊重した処分を行う可能性が高いでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、わいせつ目的面会要求罪を含む刑事事件全般を専門に扱っている法律事務所です。
わいせつ目的面会要求事件等の性犯罪で逮捕された方のご家族は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までいつでもお電話ください。

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(事例紹介)静岡県浜松市で殺人未遂容疑で現行犯逮捕された男性が不起訴処分になった事例
(事例紹介)静岡県浜松市で殺人未遂容疑で現行犯逮捕された男性が不起訴処分になった事例
静岡県浜松市で殺人未遂容疑で現行犯逮捕された男性が不起訴処分になった事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
浜松市の自宅で、親族の右胸を小刀で刺し、殺害しようとしたとして(現行犯)逮捕・送検された男性を、静岡地検浜松支部は不起訴処分としました。
地検浜松支部は男性の容疑を殺人未遂から傷害に切り替えて捜査してきましたが、不起訴処分としました。
検察は不起訴の理由を明らかにしていません。
(静岡朝日テレビ「小刀で兄を刺した容疑の47歳弟を不起訴処分 殺人未遂容疑で逮捕・送検 静岡地検浜松支部」(2023/12/22)を引用・参照の上、適宜修正。)
~殺意(殺人の故意)について~
(殺人)
第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(未遂罪)
第203条 第199条……の罪の未遂は、罰する。
(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
殺人未遂罪(刑法203条、199条)は、未遂罪とはいえ、法定刑の上では「死刑」や「無期懲役」といった極めて重い罰則が規定されています。
これに対し、傷害罪のそれは「15年以下の懲役」とされており、さらに「罰金」刑にとどまる可能性すら残されています。
このように本件のようなケースで、殺人未遂罪と傷害罪いずれの成否が問題となるかは、逮捕された被疑者にとって極めて重要な問題であるかがお分かりかと思います。
この問題にとって大きな分水嶺となるのが、殺意の有無です。
これに関しては、使われた凶器の種類や創傷の部位・程度、犯行前後の行動などからその有無を判断するのが実務の立場といわれています。
殺意は主観の問題であり、究極的にはその人の内心は他人には分からないがゆえに客観的事情を総合考慮してこれを認定することになります(なお、認定にあたって被疑者の自白のみに依拠することは実務上も避けられています)。
本件の事実を見てみると、創傷の部位は身体の枢要部とはいえ左胸ではなく右胸であること、創傷の程度としても軽傷にとどまっていること、また使われた凶器が小刀であり殺傷性が高いとはいい難いことなどから殺意があるとまでは認められなかったものと思われます。
~逮捕後の弁護活動の重要性~
本事案では、被疑者は殺人未遂の疑いで現行犯逮捕されましたが、最終的には不起訴に至っています。
起訴・不起訴という終局処分を決める権限を有する検察官も殺人(未遂)罪という重大犯罪における殺意の認定には極めて慎重であるといわれています。
実務上、起訴段階や捜査段階で「殺人→傷害致死」や「殺人未遂→傷害」などのいわゆる罪名落ちも珍しくありません。
したがって、親族間であっても示談等を成立させるなど逮捕後の弁護活動が奏功すれば、不起訴処分といった逮捕時から考えれば極めて穏当な処分を得ることも不可能ではないといえるでしょう。
とはいえ、当然のことながら罪名で全てが決まるわけではなく、特に法定刑の重い犯罪はケースバイケースであることも否定できませんから、専門家である弁護士にいち早く相談することが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、殺人未遂事件を含む刑事事件全般を専門として扱っている法律事務所です。
殺人未遂事件で逮捕された方のご家族等は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
当事務所では、365日24時間体制で無料相談・初回接見サービスのご予約をお電話にて受け付けております。刑事事件や少年事件でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
自分の家族が特殊詐欺事件で逮捕された―国選弁護人と私選弁護人の違いはどこにある?
自分の家族が特殊詐欺事件で逮捕された―国選弁護人と私選弁護人の違いはどこにある?
家族が特殊詐欺事件に加担した嫌疑で逮捕・勾留された事案を想定して、国選弁護人と私選弁護人の違いについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【ケース】
静岡県沼津市在住のAさんは、沼津市内の会社に勤める会社員です。
Aさんは生活苦からSNSで副業を探していたところ、荷物を受け取りに行くことで日当5万円との投稿を目撃し、募集しました。
Aさんは指示役から警察官を装って静岡県沼津市内の指定された高齢者宅に行きキャッシュカードを受け取るよう言われていたため、いわゆる特殊詐欺の受け子と呼ばれる立場であることを認識してい乍ら、行為に及びました。
後日、Aさんの自宅に沼津市内を管轄する静岡県沼津警察署の警察官が来て、Aさんを詐欺罪で通常逮捕しました。
逮捕の知らせを受けたAさんの家族は、国選弁護人がどのような制度なのか分からず、弁護士に質問しました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【特殊詐欺について】
オレオレ詐欺・母さん助けて詐欺・振り込め詐欺のほか、様々な通称があるいわゆる特殊詐欺は、今なお被害件数が多く、被害額も甚大です。
昨年(2023年)も、投資の名目で札幌市・佐賀市の被害者がそれぞれ1.5億円の詐欺被害に遭ったと報道されている反面、海外を拠点に活動している特殊詐欺グループの架け子や指示役らが逮捕されるなど、捜査機関も被疑者の検挙に向けて精力的に捜査しています。
ケースのように被害者宅を訪問して現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」と呼ばれる行為は詐欺罪に当たり、初犯でも被害金額や件数次第で実刑判決を受ける可能性があります。
【刑事手続きの流れ】
刑法をはじめとする各法に触れる行為をした場合、警察官や検察官などの捜査機関によって捜査をされ裁判に付される可能性がありますが、その立場は
・起訴される前:「被疑者」
・起訴された後:「被告人」
となります。
報道などで「容疑者」と呼ばれているのは「被疑者」を指す場合が一般的です。
この被疑者の段階で、捜査機関は捜査を行う上でやむを得ない場合には逮捕し、検察官に送致します。
検察官は、被疑者の捜査を行う、あるいは警察官に捜査指揮したうえで、起訴するべき事案であると判断した場合、裁判所に公判請求(起訴)します。
逆に、証拠が十分でない場合や起訴する必要がないと判断した場合等には、被疑者を不起訴とします。
【被疑者段階での国選弁護人と私選弁護人】
被疑者になった時点で、弁護士を弁護人として選任する権利があります。
この場合に国選弁護人と私選弁護人のいずれを選ぶべきなのか、ということになりますが、国選弁護人が選任される場合とは
・被疑者が勾留されている
・原則として資力(現金と預貯金)が50万円未満
とされています。
そのため、資力がある(弁護人を自ら選任するほどの余裕がある)場合や勾留されていない場合には、国選弁護人は選任されません。
国選弁護人のメリットは、原則として費用負担がかからない(国が負担する)ことになるという点です。
国選弁護人を選任する上で注意したい点としては、①国選弁護人を選ぶことができないため刑事弁護の経験が少ない弁護士が選任されることがある、②国選弁護人は被疑者(・被告人)の弁護人であり家族の依頼ではないため、家族に連絡・報告をしないこともある、③国選弁護人の報酬は極めて少ないため、モチベーションが高くない場合がある、といった指摘があります。
他方、私選弁護人は、資力などの要件がないため、捜査対象である被疑者となっていれば、逮捕・勾留の如何に関わらずいつでも選任することができます。
但し、弁護士費用は(保険による弁護士費用特約で減免できる場合もありますが)基本的に全額自己負担ですので、その点は留意する必要があります。
【被告人段階での国選弁護人と私選弁護人】
起訴された被告人については、被疑者段階で勾留されていて国選弁護人が就いている場合、引き続き同じ弁護士が国選弁護人として弁護をします。
在宅で捜査を受けた、あるいは釈放された状態で起訴され被告人の場合、「弁護人選任に関する回答書」という書類が届きます。
基本的に、資力がある方は私選弁護人に弁護を依頼する必要があります。
しかし、刑事事件は民事事件と異なり、
刑事訴訟法289条1項 死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁錮にあたる事件を審理する場合には、弁護人がなければ開廷することはできない。
と定められているため、ほとんどの事件で弁護人がいなければ刑事裁判を開廷することができないことになっています。
ケースの場合、特殊詐欺による詐欺事件で起訴されたという事例を想定しています。
詐欺罪は刑法246条1項で「10年以下の懲役に処する。」と定められていますので、「長期3年を超える懲役…にあたる事件を審理する場合」に該当し、必要的弁護事件となるため、必ず弁護士が弁護人に就いている必要があります。
そこで、資力がある場合でも、事情により私選弁護人に依頼することができない場合には、国選弁護人が選任されます。
【弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所について】
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所には、日々多くの相談・接見の依頼が寄せられます。
例えば、
・国選弁護人が就くタイミングを知りたい
・国選弁護人から連絡がない
・国選弁護人から「私はほとんど経験したことがない事件」と言われ不安に思っている
・別の私選弁護人に弁護を依頼しているが弁護士を代えたい
など、その内容は様々です。
当事務所では、国選弁護人が就いている場合でもそうでない場合でも、被疑者・被告人の方が逮捕・勾留されている際は先ずは「初回接見サービス(有料)」をご案内しています。
初回接見サービスは、当事務所の刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が、弁護人となろうとする者という立場で接見をするものです。
刑事訴訟法39条1項 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
通常、国選弁護人が就いている場合に私選弁護人を選任した場合、国選弁護人は自動的に解任されることになりますが、弁護人となろうとする者が接見する場合には国選弁護人は就いたままの状態が維持されます。
そのため、国選弁護人が就いている場合でも、当事務所の弁護士による初回接見サービスを利用して、その弁護士の説明を聞いた上で国選弁護人に引き続き弁護を依頼するか当事務所の弁護士を私選弁護人として選任するか、検討することができます。
静岡県沼津市にて、家族が特殊詐欺事件で逮捕・勾留されていて国選弁護人と私選弁護人のどちらにするか検討されている方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
当事務所では、365日24時間体制で無料相談・初回接見サービスのご予約をお電話にて受け付けております。刑事事件や少年事件でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
(事例紹介)窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例
(事例紹介)窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例
窃盗の疑いで逮捕・送検された静岡市内の男性を静岡地検が不起訴にした事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事案~
静岡地検は、窃盗の疑いで逮捕、送検されていた静岡県静岡市内の男性を不起訴処分とした。
地検は、理由については明らかにしていない。
男性はJR静岡駅北口ロータリーで寝ていた男性会社員のかばんから財布とカードケースを盗んだとして、静岡中央警察署などに逮捕されていた。
(静岡新聞「窃盗疑い逮捕の特支教諭不起訴 静岡地検」(2023/11/7)」を引用・参照の上、適宜修正。)
~窃盗罪における占有について~
(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法235条(窃盗罪)は、他人の意思に反して他人の物の占有を侵害することを処罰する趣旨の規定です。
詐欺罪等の交付罪とは、物の占有の移転が被害者の意思によるかそうでないかといった点で罪質が異なることになります。
窃取罪が成立するには上記の通り「窃取」という要件を満たす必要がありますが、「窃取」とは(他人の意思に反し)他人の占有を侵害することが前提となっていることから、対象となる財物に被害者の占有が及んでいるかが問題となります。
占有とは、財物に対する事実的支配をいい、これは占有の事実と意思から判断されるものと解されています。
本件では、上記事案の事実の存在を前提とするならば、被害者が寝ていることから占有の意思の減弱が認められうるところ、あくまで盗まれた財物等はカバンの中に入っていたわけですから被害者の占有の事実は強固であり、財物の事実的支配は優に認められるものと考えられます。
なお、詳述はしませんが、窃盗罪の成否においては故意の他に不法領得の意思という主観的要件も問題となることに注意が必要です。
~窃盗事件における刑事弁護活動〜
本事案では、被疑者は窃盗の疑いで逮捕されましたが、後に不起訴処分となっています。
我が国の刑事手続では、検察官の起訴裁量(刑事訴訟法248条参照)が広範に認められており、逮捕(・勾留)されたからと言って、必ずしも刑事裁判になるわけではありません。
不起訴処分にも、罪とならず・嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予など様々な理由に基づくものがありますが、本件ではその詳細は明らかではありません。
そこで、以下では(最も多いと考えられる)起訴猶予について、窃盗事件の特徴との関連を中心に記述することとします。
窃盗罪は、財産犯(財産を侵害する犯罪)の典型であり、国家や社会とは異なり個人の法益を保護している犯罪類型です。
したがって、被害者との示談の成立の有無が、不起訴処分を獲得するにあたって大きなウェイトを占めることになります。
仮に被疑者に前科・前歴等があったとしても、示談が成立していれば十分に不起訴を得る可能性があるため、起訴前の弁護活動が非常に重要と言えます。
このことは、統計上、窃盗罪で(略式手続を除く)正式裁判として起訴される件数が非常に少ないことからも裏付けられていると考えることもできるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗事件を含む刑事事件全般を専門として扱っている法律事務所です。
窃盗事件で逮捕された方やそのご家族等は、24時間対応可のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお問い合わせください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
静岡県内の刑事事件・少年事件について、豊富な経験と実績をもつ弁護士が、初回の相談や接見といった事件の始まりから事件解決まで一貫して丁寧に対応させていただきます。
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(事例紹介)静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕
(事例紹介)静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕
静岡市清水区の社会福祉法人における業務上横領事件で団体職員の男性らが再逮捕された事案について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事案~
静岡市清水区の社会福祉法人から資金を横領した疑いで逮捕された前理事長ら男2人について、警察は2人がさらに約2900万円を横領した疑いで再逮捕しました。
再逮捕されたのは、団体職員の男(52)と静岡市清水区の社会福祉法人の前理事長の男(43)2人です。
警察によりますと、2人は2022年10月から11月にかけて社会福祉法人の口座から関連会社など複数の口座に少なくとも十数回以上送金するなどして、現金約2900万円を横領した疑いが持たれています。
警察は2人が容疑を認めているかどうか明らかにしていませんが、使途不明金は7000万円に上るとみられていて、警察は引き続き金銭の流れを慎重に捜査しています。
また静岡地検は、2人が共謀して同じ社会福祉法人から1500万円を横領したとして起訴しています。
(テレビ静岡「さらに2900万円を社会福祉法人の資金から横領か 前理事長と団体職員を再逮捕 静岡」(2023/12/11)を引用・参照)。
~業務上横領について~
(業務上横領)
第253条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、10年以下の懲役に処する。
(業務上)横領罪とは、他人から預かった他人の所有物を着服し自らのものにしてしまう行為を罰する趣旨の規定です(刑法252条、253条)。
業務上横領において刑が加重されているのは、多数人との間の委託信任関係を破壊する点で単純横領のそれよりも法益に対する侵害が重大であるからとも言われています。
上記のように業務上横領(253条)の法定刑が「10年以下の懲役」であるのに対し、単純横領(252条)は「5年以下の懲役」と最高刑が半分であるわけですから、「業務」該当性の検討は非常に重要となります。
ここでいう「業務」とは、社会生活上の地位に基づいて反復・継続して行われる事務であって、他人の委託に基づいて他人の物を管理する事務をいうと解されています。
本件では、報道のみでは事実関係が必ずしも明らかではないものの、被疑者らは法人の金銭を保管する事務を行っていたと考えられ業務者に当たると思われます。
~再逮捕事案の弁護活動等~
本件事案では、被疑者らはすでに一部の容疑では起訴されており、余罪の業務上横領が発覚する度に逮捕が繰り返されています。
なお、マスコミ用語でいう「再逮捕」と法律上の「再逮捕」とは異なる概念であり、混同しないよう注意が必要です。
本件のように違う被疑事実で同じ被疑者を再度逮捕することは、法律上は単に異なる容疑で逮捕しただけであり、裁判例(東京地決S47.4.4等)においても厳格な要件が課せられている「再逮捕」(刑訴法199条3項等参照)には当たりません。
以下では、断わりのない限りマスコミ用語でいうところの「再逮捕」(つまり単なる再度の逮捕)の意味で「再逮捕」の語を使用します。
本事案のように余罪が多数見込まれ、再逮捕が繰り返されているような事案ではどうしても身体拘束期間が長引くことが避けがたくなります。
余罪の有無は、起訴後の保釈(刑訴法88条以下)が認められるかの判断にも関わるため、弁護士が接見を繰り返すことも被疑者・被告人の精神面を含めたケアにとって重要となってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、業務上横領事件を含む刑事事件を専門的に取り扱っている法律事務所です。
業務上横領事件で逮捕・再逮捕された方のご家族等は、24時間/365日対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までいつでもお電話ください。

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