Archive for the ‘刑事事件’ Category

ストーカー規制法違反で逮捕された場合の弁護活動

2023-06-19

今回は、ストーカー規制法違反被疑事件において重要となる弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。


~ケース~
浜松東署と県警人身安全少年課は20日、ストーカー規制法違反の疑いで住所不定、自称派遣社員の男(40)を逮捕した。逮捕容疑は、同法に基づく禁止命令を受けていたにもかかわらず、浜松市内で19日、面識のある30代女性を待ち伏せするストーカー行為をした疑い。同署によると、容疑者は3月上旬、同女性に対して乱暴な言動などをしたとして同署が同14日、同禁止命令を出した。
(https://www.at-s.com/sp/news/article/shizuoka/1228337.html?lbl=549 4月21日 「面識ある30代女性を待ち伏せ、ストーカー疑い 男逮捕 浜松東署など」より引用。一部記載を変更しています。)

 


~ストーカー規制法違反事件で重要となる弁護活動~
逮捕・勾留されると、捜査段階において最長23日間、自由に外に出られなくなります
会社員であれば無断欠勤を、学生であれば無断欠席を続けることになりますが、当然ながら会社をクビになったり、留年するなどの大きな不利益を被る可能性が高まります。

逮捕されてしまった場合であっても、面識のない被害者との些細なトラブルなどであれば、逮捕後、勾留されずに釈放されることもあります。

しかしながら、ケースの事件における被害者は面識のある30代女性であり、しかも、ストーカー規制法違反という犯罪の性質を考慮すると、身体拘束が長引く可能性が高いと考えられます(被害者の住所や勤務先、連絡先を知っており、釈放すると、再び同様の行為に走ったり、被害者を脅す、罪証隠滅を図るなどのおそれが高いため)

このような場合は被害者の生活圏と全く異なる地域で生活する身元引受人を用意し、釈放後の被疑者を監督することを約束して、前記のおそれがないことを積極的に働きかけていくことが考えられます。
より説得的に働きかけるためには、刑事事件に熟練した弁護士のサポートが役に立ちます。
ストーカー規制法違反の疑いで逮捕されてしまった場合には、すぐに弁護士の接見を受け、身柄解放に向けたアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族がストーカー規制法違反の疑いで逮捕されてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡県で起きた不審火事件

2023-06-13

今回は、静岡県で起きた不審火事件に関与している疑いで男性が逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。


~ケース~
函南町で3月に発生した連続不審火を捜査していた三島署は21日、器物損壊の疑いで同町平井、庭師の男(22)=別の器物損壊容疑逮捕=を再逮捕した。
 再逮捕容疑は3月9日午後9時ごろ、同町上沢の園芸店の敷地にある植木などに火を付けて焼損させた疑い。同日は園芸店のほか、約1キロ圏内の竹林や民家の敷地で不審火が発生していて、同署が関連を調べている。
 容疑者は同日午後8時ごろに三島市に駐車中の乗用車のナンバープレートを壊した疑いで4月2日に逮捕されていた。同署によると、容疑者は容疑を認めているという。
(https://www.at-s.com/sp/news/article/shizuoka/1228897.html?lbl=549 4月22日 「植木焼損させた疑い 庭師の男を再逮捕 三島署」より引用)


~繰り返される逮捕~
逮捕され留置の必要が認められると逮捕時から48時間以内に、身柄が検察へ送致されます。
検察では、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、被疑者の勾留を請求するか、釈放するかを判断します。
検察官の勾留請求に対し、裁判所勾留決定を出すと10日間やむを得ない事由があると認められた場合にはさらに最長10日間勾留されることになります。
上記が、ある罪について逮捕、勾留された場合に、捜査段階においてなされる身体拘束期間の詳細です。

ケースの記事によれば、被害があった園芸店のほかにも、竹林や民家の敷地で不審火が発生しており、警察は22歳男性との関連を調べているとのことです。
すでに22歳男性は4月2日にナンバープレートを壊した疑いで逮捕され、今回は、園芸店の敷地にある植木などを損壊した疑いで逮捕されています。
男性と園芸店近辺における不審火との関連がある程度明らかになれば、さらに逮捕が続く可能性もあります。

別の事件の被疑者として改めて逮捕されると、冒頭の身体拘束期間が再スタートすることになり、非常に身体拘束が長引くことになります
余罪を追及されている場合には、逮捕が繰り返されることが多く、大きな身体的、精神的負担となります。
また、ケースの事件は不審火であり、警察や検察も放火罪の可能性を踏まえて、厳しい取調べをしてくる可能性があります。

このような場合はすぐに弁護士を依頼し、弁護活動などのサポートを受けることがとても重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族の逮捕が繰り返されお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

栽培されていた甘夏の枝を切った疑いで、83歳男性が逮捕

2023-06-06

今回は、近所の畑で栽培されていた甘夏を切ったとして、83歳男性が器物損壊の疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。


 ~ケース~ 
静岡県西伊豆町で22日、近所の畑で栽培されていた甘夏の枝を切ったとして、83歳の男が逮捕されました。

器物損壊の疑いで逮捕されたのは、西伊豆町の無職の男(83)です。男は22日午前11時ごろ、近所の住民が所有する畑に侵入し、甘夏の枝1本を刃渡り25センチの折り畳みのこぎりで切断した疑いが持たれています。

 警察によりますと、栽培されていた甘夏は出荷用ではなく、男が切った枝には実がなっていませんでした。近所の住民が犯行現場を目撃して、事件が発覚したということです。

 畑では過去にも同様の被害が確認されていて、畑の所有者は木にネットを張り、対策をしていましたが、男はネットを壊して犯行に及んだとみられています。

 男は容疑を認めていて、警察が詳しい動機や余罪について調べています。
(https://look.satv.co.jp/_ct/17630466 5月22日 「実はついていないのに、ナゼ? 甘夏の枝1本切断したとして83歳男を逮捕…被害防止用のネット壊し犯行か 静岡・西伊豆町」より引用)

 


 

 ~ケースの事件について~ 

逮捕された男性が甘夏の枝を切った動機は不明ですが、「他人の物を損壊」する行為に及び検挙されれば、もちろん器物損壊の被疑者となってしまいます。

 


 

 ~今後の弁護活動は?~ 

ケースの男性は逮捕されてしまっているので、早期の身柄解放、身体拘束の長期化の阻止が極めて重要となるでしょう。
警察は余罪についても調べるとされており、逮捕が繰り返され、長期間、外に出られなくなるおそれもあります。
なるべく早く弁護士を依頼し、弁護活動に着手してもらうのがよいでしょう。

また、逮捕された男性は甘夏の枝を切断するなどしていることから、被害者において損害が生じている可能性が極めて高く、真摯な謝罪と、損害の賠償も必要と考えられます。
もし、謝罪と損害賠償が受け入れられ、さらに、告訴をしないこと、すでに告訴をしている場合はこれを取り消してもらうことができれば、器物損壊事件については必ず不起訴処分となります(親告罪、刑法第264条)。

このように事件を解決できれば理想的ですが、畑の所有者は木にネットを張って対策をしていたとのことであり、かねてから迷惑を受けていたようです。
被害感情が強ければ、謝罪や賠償を受け入れてもらえない事態も十分考えられます。

いずれにしても逮捕された状態では、外で被害者と交渉することはできません。
弁護士を依頼して、留置場や拘置所の外で活動してもらうことが不可欠となります。
器物損壊の疑いで逮捕された場合には、すぐに刑事事件に熟練した弁護士の接見を受け、善後策を立てていく必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
ご家族が器物損壊の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

静岡市で発生した公務員による窃盗事件

2023-05-22

今回は、同僚の机から5000円を盗み、市役所職員が失職したケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

静岡市役所で同僚の机から現金を盗んだとして有罪判決を受けた市の職員が25日、失職しました。

失職したのは静岡市保健福祉長寿局の40代の男性職員です。静岡市によりますと、男性職員は2021年12月、静岡市役所の同僚の机の引き出しに保管されていた現金5000円を盗んだ窃盗の罪で起訴され、10日、静岡地裁で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を受けました。判決が25日に確定したため、地方公務員法の規定に基づき、男性は失職としました。

 静岡市総務局の高田和昌次長は「再発防止策を徹底し、市民のみなさまからの信頼を早期に回復できるように努めてまいります」とコメントしています。
(https://look.satv.co.jp/_ct/17625033 4月26日 「同僚の机から5000円盗み有罪判決が確定…市役所の40代男性職員が失職 静岡市」より引用)

~地方公務員が刑事事件を起こした場合に注意すべきポイント~

地方公務員法第28条4項によると、職員は、第十六条各号(第二号を除く。)のいずれかに該当するに至つたときは、条例に特別の定めがある場合を除くほか、その職を失うとされています。
同法第16条1号には、「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者」があげられています。
そのため、執行が猶予された場合であっても、上記に該当します
なお、刑事事件に関し起訴された場合、その意に反して休職させられることがあります(地方公務員法第28条2項2号)。

ケースの男性職員懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が確定したため、地方公務員の規定により失職することになりました。

~失職を防ぐためにはどうすればよいか~

被害者と示談をし、①不起訴処分の獲得②略式手続により罰金刑を受けて事件を解決できるよう活動することが考えられます。

不起訴処分となった場合には、そもそも裁判にかけられないので、有罪判決を言い渡されることはありませんし、罰金刑であれば、地方公務員法第28条4項に該当しませんし、略式手続であれば書面によりすぐに手続が終了するため休職も回避できます(事件が発覚したことにより職場などから不利益な処分を受ける可能性は依然として存在します)。

地方公務員法による失職を防ぐために弁護活動を希望している方は、すぐに刑事事件に詳しい弁護士の法律相談を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を数多く扱う法律事務所です。
地方公務員の失職に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

【事例紹介】居直り強盗と具体的な弁護活動

2023-01-22

居直り強盗と具体的な弁護活動について、あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部が解説します。

【事案の紹介】

静岡市葵区在住のAさんは、お金に困っていたところ、SNSにあった、いわゆる「闇バイト」に応募し、同様に応募した者と一緒に窃盗行為を行っていました。
あるとき、同区内のVさん宅に多額の現金があることを知ったAさん達は、Vさん宅に盗みに入ることを決めました。
Vさんが不在であると思いVさん宅に侵入したところ、Vさんは在宅していました。
予想に反してVさんがいたことに驚いたAさん達でしたが、抵抗するVさんに対して暴行を加え、全治1ヵ月の怪我を負わせ、現金を盗んで逃走しました。
その後、Aさんは静岡県静岡中央警察署の警察官に逮捕されました。
(※フィクションです)

【居直り強盗とは?】

居直り強盗とは、盗みに入った際に家人に発見されたにもかかわらず、逃げずにそのまま強盗をはたらくことをいいます。
今回のケースでも、Aさんは盗みに入り、Vさんに発見されたにもかかわらず、そのまま強盗行為に及んでいるので、居直り強盗にあたります。

居直り強盗は文字通り、強盗罪(刑法第236条)に該当する犯罪であり、罰則規定として「五年以上の有期懲役」が定められています。
さらに今回のケースのように、相手に怪我を負わせた場合は強盗致傷罪(刑法第240条)となり、「無期又は六年以上の懲役」という極めて重い罰則規定が定められています。

【捜査機関は強盗に対して厳しい態度で臨む】

前述のように、強盗罪は極めて重大な犯罪であり、近年は「闇バイト」など組織的に行われるようなケースも増えたことから、捜査機関はより厳しい対応をとっています。

例えば、逮捕後に勾留された場合に接見禁止が付されたりすることがあります。
接見禁止とは、原則誰でも行うことができる面会について、逃亡や、証拠隠滅のおそれがあると疑うに足りる相当な理由があるとして、裁判所、検察官の請求もしくは職権にて、弁護士以外(家族や友人など)による接見(面会)を禁止することです。
共犯者がいる事件や組織的な事件、薬物事件など、特に逃亡や証拠隠滅のおそれが高いとされる事件に接見禁止が付されることが多く、今回のケースのような、いわゆる「闇バイト」に関連する事件は、組織的犯罪ですので、接見禁止が付される可能性が高くなります。

また、今回のような組織的な強盗事件となると、仮に被害者の方との示談が成立したとしても、不起訴処分とはならず、検察官によって起訴されるケースもあります。

【裁判でも厳しい判決に】

前述したように、強盗罪には罰金刑がないため、起訴された場合は必ず正式裁判となります。
そして、執行猶予は、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡し」の場合に付きますが(刑法第25条参照)、強盗罪の法定刑の下限は5年、強盗致傷罪は6年ですので、情状酌量等の法定の減刑事由がない限り、執行猶予が付く条件を満たしません。
そのため、初犯であっても実刑判決を受ける可能性が高いです。

【具体的な弁護活動】

ご家族や知人の方が強盗罪・強盗致傷罪で逮捕・勾留されてしまった場合、速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談いただければ、迅速かつ適切な弁護活動を行うことができます。

接見禁止が付された場合は、弁護士を通じて、事件とは全く関係のないご両親との面会を認めても、罪証隠滅のおそれがないとして、接見禁止の一部解除の申立てを行います。

また、被害者の方と示談交渉を行って、宥恕条項付きの示談締結により不起訴処分の獲得を目指し、仮に起訴された場合でも、被害者の方からお許しをいただいていることを裁判にて情状酌量の余地があると主張して、執行猶予付き判決の獲得を目指します。

刑事処分の軽減のためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠ですので、お困りの場合は速やかに刑事事件に強い弁護士にご相談ください。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部は、年間多数の刑事事件への対応をしてきた刑事事件を中心に扱う法律事務所です。
ぜひ、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所名古屋本部にご相談ください。

建造物侵入事件の逮捕から釈放を目指したい

2022-03-26

建造物侵入事件の逮捕から釈放を目指したい

建造物侵入事件逮捕から釈放を目指したいという場合について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

静岡県御殿場市在住のAさんは、静岡県御殿場市内にある工場地に、窃盗目的で侵入しました。
しかし、工場で働いている従業員が勝手に工場の敷地内にいるAさんを見つけ、静岡県御殿場警察署に通報しました。
Aさんは、見つかったことに気づきその場から逃走しましたが、その後の捜査でAさんの身元が判明。
そして、建造物侵入罪の容疑で静岡県御殿場警察署の警察官に逮捕されました。
Aさんの両親は、Aさんの今後を不安に思い、Aさんの釈放を求める弁護活動を含めて弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)

~建造物侵入罪~

正当な理由なく建造物に侵入した者には、建造物侵入罪(刑法130条)が成立します。
建造物侵入罪で有罪となった場合には、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金刑が科せられます。

刑法130条(建造物侵入罪)
正当な理由がないのに、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し …た者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

条文の通り、建造物侵入罪は他人の所有する建造物に、正当な理由なく侵入することで成立します。
「侵入」は、一般的に、その建物の管理者の意思に反して立ち入ることを指すとされています。

今回のケースに当てはめてみましょう。
Aさんは、窃盗目的で静岡県御殿場市内にある工場地に侵入しています。
窃盗目的で侵入しているため、Aさんの立ち入りは正当な理由に基づいたものとはいえないでしょう。
当然、Aさんは工場を管理する人の許可を取って立ち入りをしたわけでもありませんし、窃盗目的の立ち入りであれば管理者から許されることもないでしょう。
Aさんのした行為は、こうした事情で人の居住していない建造物に侵入するという行為ですから、建造物侵入といえる行為と考えられます。
よって、Aさんには建造物侵入罪が成立すると考えられるのです。

~建造物侵入事件で釈放を目指す弁護活動~

建造物侵入事件では、証拠隠滅の可能性や逃亡の危険性を考え勾留が必要だと判断されてしまう可能性も十分存在します。
というのも、建造物侵入行為をしているということは、当然侵入した建造物の場所を知っているということであり、建造物侵入罪の被害者に当たる建造物の管理者や、建造物侵入行為を目撃した目撃者などの事件関係者と接触することができ得るということでもあるためです。
逃亡や証拠隠滅のおそれが認められた場合、逮捕からさらに勾留という身体拘束の措置が取られる可能性が高まります。

勾留されてしまった場合、延長期間を含めて最大で20日間身柄が拘束されてしまうことになります。
もし20日間勾留されてしまうことになった場合、例えば勤務先に刑事事件を起こしたことが知られてしまうなど、刑事事件を起こしたということを周囲に知られる可能性が高くなり、社会的地位を大きく損なうおそれが出てきます。
そういった事態を避けるためにも、逮捕・勾留されてしまったご本人やご家族としては、少しでも早く釈放してほしいと考えられることも自然でしょう。

勾留を回避し釈放を目指す弁護活動としては、弁護士から検察官や裁判官に向けて、勾留の必要がないことや釈放をする必要性のあることを主張し、釈放を求めていくことが考えられます。
例えば、法律的に勾留の必要性がなく釈放の必要性があるということを主張するだけではなく、ご家族やご親族に協力を得られる場合には、釈放された際にご家族・ご親族による監視監督をすることや今後の再犯防止策などを具体的に取り上げ、検察官や裁判官に訴えるということも考えられます。
刑事事件の性質上、釈放を求める弁護活動は速やかに行う必要があります。

・釈放=事件の終わりではない

釈放を求める弁護活動が功を奏し、釈放が実現されたとしても、事件がそこで終わるわけではありません。
釈放されたとしても、事件の捜査は継続されますし、最終的に有罪となり刑事罰が科せられることも当然考えられます。
ですから、刑事罰を科せられたくない、前科を付けたくないという場合には、取調べに適切に対応したり、被害者が存在するのであれば謝罪や弁償を含む示談交渉を行ったりといった、事件の終局処分に対する弁護活動が必要となってくるでしょう。

特に、被害者の存在する刑事事件では、示談交渉は重要な弁護活動の1つです。
示談締結によって、被害の回復や被害感情の緩和を主張することができるため、例えば検察官が起訴・不起訴を判断する際の大きな材料となるのです。
示談締結の事情は、終局処分だけでなく、釈放を求める際にも判断に大きな影響を与えることが考えられるため、被疑者本人が容疑を認めているのであれば、早期に示談交渉に取りかかることが求められます。

刑事事件を数多く取り扱っている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、建造物侵入事件などで逮捕・勾留されてしまった方の釈放を求める弁護活動についても、ご相談・ご依頼を承っています。
数多くの刑事事件に取り組んできたからこそ、逮捕直後からスピードをもって弁護活動に取り組むことができます。
まずはお気軽にお問い合わせください。

クロスボウ所持で銃刀法違反事件に

2022-03-04

クロスボウ所持で銃刀法違反事件に?

クロスボウ所持銃刀法違反事件に問われるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事案例】

静岡県沼津市に住んでいるAさんは、クロスボウの収集や鑑賞が趣味で、クロスボウを数台所持しています。
ある日Aさんがテレビを見ていると、ニュース番組で「令和4年3月15日からクロスボウが所持禁止となります!」と報道していました。
Aさんは「クロスボウを使った事件が多発したからといっていたけど、自分は眺めているだけなんだけどなあ。それでも手放さなければいけないのかな。手放すときは静岡県沼津警察署に持っていくのかな。」と思い、インターネットなどでクロスボウ所持銃刀法違反事件について調べ始めました。
(フィクションです)

【クロスボウとはどのようなものですか?】

クロスボウとはどのようなものでしょうか。
クロスボウとは、「引いた弦を固定し、これを解放することによって矢を発射する機構を有する弓のうち、内閣府令で定めるところによって測定した矢の運動エネルギーの値が、人の生命に危険を及ぼし得るものとして内閣府で定める値以上となるもの(一定の洋弓銃)をいう(銃刀法第3条)
とされています。

【銃刀法の改正について】

近年クロスボウが使用された凶悪事件が相次いで発生しました。
これにより令和3年6月16日に銃砲刀剣類所持等取締法の一部を改正する法律、すなわち、いわゆる銃刀法を改正する法律が公布されました。
改正銃刀法の施行日以降、クロスボウの所持が原則禁止され許可制となることとなりました。
つまり、改正法の施行後、クロスボウを不法に所持した者は、銃刀法違反により罪に問われることとなります(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)。
改正銃刀法は、令和4年3月15日に施行されます。

【いつからクロスボウを所持できなくなるのですか】

改正銃刀法の施行時(令和4年3月15日午前0時)に所持しているクロスボウについては、そのクロスボウに限り(新しく買うなどしてはいけません)、施行日から起算して6か月の間(令和4年9月14日まで)は、次に述べるいずれかの措置をとるため、所持し続けることができます。
1所持許可を申請する
2廃棄する
3適法に所持することができる方に譲り渡す
いずれの措置も執らずに令和4年9月15日以降も所持し続けた場合は、不法所持となり先に書いた通り、銃刀法違反で3年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。

続いて1~3それぞれについて見ていきましょう。

1所持許可を申請する
クロスボウの所持許可を受けるためには、第一に許可の欠格要件(18歳に満たない者、禁錮以上の刑の執行を終えてから5年を経過していない者であるなどの人的欠格事由や、クロスボウの構造若しくは機能が一定の基準に適合しないといった物的欠格事由など)に該当しないことが必要です。
また、クロスボウの所持許可は標的射撃や産業目的等の用途のための所持に限定されており、例えば、鑑賞や収蔵の目的で所持許可を受けることはできません。

2廃棄する
個人で処分をするほか、警察署でも回収をしています。
3適法に所持することができる方に譲り渡す
個人間で譲り渡す場合には、相手方のクロスボウの所持許可証の原本を確認し、相手方がそのクロスボウを適法に所持することができる方であることを確認する必要があります。

よってAさんの場合は所持許可を申請したとしても、クロスボウの所持目的が収集や鑑賞であるため、所持許可が下りる可能性は低いと思われます。

【Aさんがクロスボウを持ち続けた場合の弁護活動】

Aさんが令和4年9月15日以降も、所持許可を得ずにクロスボウを所持した場合は銃刀法違反となる可能性が高いです。
ではAさんが銃刀法違反静岡県沼津警察署に検挙された場合、どのように弁護活動をしていくのでしょうか。

銃刀法違反事件では、違反態様が軽微であれば罰金処分となることが多いのですが、罰金処分は前科となるため、社会的不利益(会社を解雇される、学校を退学になる等)を被る可能性はゼロではありません。
ですので、刑事事件に強い弁護士が本人の反省と今後の指導をしっかりと行うことで、再犯を犯すことがないことや事案の軽微性や非悪質性を検察官に訴え、不起訴処分とするように活動していきます。
 
ご自身やご家族が銃刀法違反事件で警察署で話を聞かれることになった時は、ぜひ刑事事件に強い弁護士にご相談ください。
 
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件を中心に取り扱っている法律事務所です。
銃刀法違反事件において不起訴処分を勝ち取った実績のある刑事弁護士も多数在籍しております。
静岡県沼津市の銃刀法違反事件でご自身やご家族が警察署で話を聞かれることになった時は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

車に落書きをして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまった

2022-02-21

車に落書きをして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまった

車に落書きをして器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまったという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、静岡県熱海市にある商業施設によく通っていましたが、商業施設の入り口付近にある駐車場に利用客の車が多く停めてあることについて、邪魔だと感じていました。
Aさんは、「駐車場に誰も車を停めなければいいのに」と考えるようになり、駐車場に停めてある車に嫌がらせをするようになりました。
具体的には、Aさんは駐車場に停めてある車に対して油性ペンで大きく落書きをするという行為を繰り返すようになりました。
商業施設の利用客から、相次いで相談を受けた静岡県熱海警察署は捜査を開始。
捜査の結果、Aさんは器物損壊罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(※令和4年1月20日FNNプライムオンライン配信記事を基にしたフィクションです。)

・落書き=「損壊」?

今回の事例のAさんは、商業施設の駐車場に停めてあった車の車体に油性ペンで落書きをしたことで、器物損壊罪の容疑をかけられ逮捕されています。
Aさんに容疑がかけられている犯罪である器物損壊罪は、刑法第261条に定められています。

刑法第261条(器物損壊罪)
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

この犯罪は、器物損壊罪という名前の通り、「他人の物を損壊」することで成立する犯罪です。
皆さんの中にも、「物を壊したら器物損壊罪になる」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
ですから、今回のAさんの事例に対して、「なぜ物を壊したわけではないのに器物損壊罪なのか」と不思議に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここで注意しなければならないのは、器物損壊罪の「損壊」が、一般に考えられている「損壊」よりも広い意味で使われているということです。
器物損壊罪の「損壊」は、単に物が壊れるということだけではなく、物の効用を害する行為全般を指すと解されています。
この「物の効用を害する」という器物損壊罪の「損壊」行為で、よく例として出される行為としては、食器に放尿する行為が挙げられます。
放尿しただけでは、食器は壊れることはないでしょう。
しかし、放尿された食器を食器本来の役割=物を食べる際に使用することは、はばかられる方が多いでしょう。
つまり、その食器は本来の使い方で使えなくなってしまった=食器の効用が害されてしまったということになり、食器に放尿する行為は器物損壊罪にあたりうる行為となるのです。

この「損壊」の考え方に則って、今回の事例のAさんの行為を振り返ってみましょう。
今回の事例のAさんは、商業施設の駐車場に停車していた車の車体に油性ペンで大きく落書きをしています。
油性ペンで大きく落書きされてしまえば、その落書きが簡単には落とせないことが想像できます。
こうしたことから、大きく落書きされ簡単にはその落書きが落ちない=車の価値がAさんの落書き行為によって下げられたということになり、器物損壊罪の「損壊」に該当すると判断されたと考えられます。

・器物損壊事件で逮捕されてしまったら

器物損壊事件を起こして逮捕されてしまったら、すぐに弁護士に相談することをおすすめします。
逮捕されるということは、それまでの生活から切り離されて、1人で取調べ等に臨むということです。
逮捕後に勾留されてしまえば、さらに長期間身体拘束が続くことになります。
仕事や学校、生活がかかっていることですから、釈放を実現したいと望まれる方が多いでしょう。
釈放を求める活動には、刑事事件の知識や経験が必要となってきますから、弁護士に具体的な活動やポイントを聞いたり活動してもらったりすることが効果的です。

また、器物損壊罪は「親告罪」という犯罪です。
親告罪は、被害者などが告訴(=犯罪被害に遭ったことの申し出と加害者に対する処罰の要望)をしなければ起訴できない犯罪です。
ですから、すでに告訴されている場合には被害者から告訴を取り下げてもらったり、まだ告訴されていない場合には告訴をしない約束をしてもらったりすることができれば、器物損壊罪は不起訴となります。
こうした告訴の取下げや告訴をしない約束は、示談の中で取り決めることができます。
そのため、器物損壊事件逮捕されてしまった場合には、被害者への謝罪や弁償を含めた示談交渉を早期に開始してもらうことが、先ほど触れた釈放を求める活動においても、後々の処分を有利に進めるためにも重要と言えるでしょう。

しかし、当事者同士での話合いでは、お互いの意図しないトラブルが発生してしまったり、法律的な部分で不足のある示談となってしまったりするおそれもあります。
さらに、今回のAさんのような事例では、そもそも被害者の連絡先が分からず、謝罪や弁償の話をすることすら難しいということも考えられます。
だからこそ、法律の専門家である弁護士を間に入れることで、話し合いをスムーズに進めることや、謝罪・弁償の打診を捜査機関を通じて行うことなどが期待できるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、器物損壊事件についても多数のご相談・ご依頼を受け付けております。
落書きから器物損壊事件に発展してしまった、家族が逮捕されてしまったいう状況にお困りの際は、お気軽にご相談ください。

スピード違反の道路交通法違反でも逮捕されることはある?

2022-02-10

スピード違反の道路交通法違反でも逮捕されることはある?

スピード違反道路交通法違反でも逮捕されることはあるのかということについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

静岡県伊東市に住んでいるAさんは、会社への通勤に自家用車を利用していました。
Aさんは毎朝急いで会社に向かっていたことから、制限速度が時速40キロに指定されている一般道路を時速98キロの速さで運転してしてしまうなど、スピード違反を繰り返していました。
Aさんの車が度々明らかにスピード違反の速度で走っていることに不安を覚えた現場近くの住民から静岡県伊東警察署に通報があったことで、静岡県伊東警察署が取り締まりを強化。
その結果、Aさんは道路交通法違反の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんは、「スピード違反のような交通違反でも逮捕されてしまうのか」と驚き、家族の依頼で接見に訪れた弁護士に事件について相談してみることにしました。
(※令和4年1月27日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・スピード違反で逮捕されることはある?

スピード違反は単なる交通違反の1つであり、切符を切られるだけで終了するというイメージが強いでしょう。
もしかすると、この記事をご覧になっている方の中にも、自動車を運転している際にスピードを超過してしまったというスピード違反の経験がある方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、今回のAさんはそのスピード違反によって逮捕までされてしまっています。
スピード違反から逮捕にまで至ることはあるのでしょうか。

そもそも、スピード違反=速度超過は、道路交通法という法律に違反する犯罪行為です。

道路交通法第22条
車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

道路交通法第118条第1項
次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
第1号 第22条(最高速度)の規定の違反となるような行為をした者

道路交通法第118条第1項第1号にある通り、速度超過による道路交通法違反となった場合、「6月以下の懲役又は10万円以下の罰金」という刑罰が科される可能性があります。
「6月以下の懲役」という部分からも明らかなように、スピード違反であっても、場合によっては刑務所に行くことになります。
こうした刑罰が設定されていることからも、スピード違反は立派な犯罪であることが分かります。
ですから、今回のAさんのように、スピード違反による道路交通法違反逮捕されてしまうということもありえるのです。

・スピード違反は絶対に刑事事件になる?

先ほどまで確認してきたように、スピード違反による道路交通法違反は立派な犯罪であり、逮捕されることもあれば、場合によっては刑務所に行くこともあります。
しかし、冒頭でも触れたように、スピード違反を単なる交通違反だと認識している方も多いですし、実際にスピード違反をしてしまったことがあるが刑事事件として扱われることはなかったという経験がある方もいらっしゃるでしょう。
これはなぜなのでしょうか。

こういった認識は、一定の道路交通法違反については、「交通反則通告制度」という制度によって処理されていることによってできているものと考えられます。
「交通反則通告制度」とは、軽微な交通違反を反則行為として、刑事事件とする代わりに反則金を納めて手続きを終了する制度のことを指します。
いわゆる「青キップ」を切られた経験のある方もいらっしゃるかもしれませんが、これはこの「交通反則通告制度」に則った処理だったということです。
ですから、スピード違反をしてしまったというケースであっても、そのスピード違反の程度が軽微であった場合には、反則金を支払うことで手続は終了=刑事事件として捜査されることも、刑罰を受けることもなく終了するということになるのです。
このために、「スピード違反は単なる交通違反であるので大事にはならない」というイメージが強いのではないかと考えられます。

しかし、この「交通反則通告制度」は、スピード違反全てに対して適応されるわけではありません。
前述したように、「交通反則通告制度」は、あくまで軽微な交通違反に対して適応される制度であり、適応される交通違反はどういったものか決められています。
今回のAさんの事例で問題となるスピード違反については、一般道では時速30キロ以上、高速自動車国道では時速40キロ以上の速度超過であれば、交通反則通告制度は適用されず、刑事罰の対象となることが決められています。
今回の事例のAさんは、時速40キロ制限の一般道を時速98キロで走行するという、時速58キロオーバーのスピード違反をしていますから、「交通反則通告制度」の対象外となり、すぐに刑事事件に発展したということなのでしょう。

なお、「交通反則通告制度」の対象外となる違反は、こうした大幅なスピード違反以外に、飲酒運転や無免許運転が挙げられます。

スピード違反という単語だけ聞くと、すぐに刑事事件に発展するという感覚は湧きづらいかもしれません。
しかし、スピード違反の回数や程度によっては、逮捕されてしまう可能性も十分考えられます。
逮捕されてしまえば当然今までの生活に支障が出てくることになりますから、早めに弁護士へ相談することがよいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、交通違反から刑事事件へ発展したケースについても、ご相談・ご依頼を承っています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
0120-631-881では、専門スタッフがご相談者様のニーズに合わせたサービスのご案内を行っています。

自宅への放火で逮捕されてしまった!

2022-01-30

自宅への放火で逮捕されてしまった!

自宅への放火逮捕されてしまったというケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

Aさんは、自身の両親と一緒に、静岡県三島市の一軒家に住んでいました。
Aさんは、現在住んでいる家の間取りや交通の便について不満を持っており、常々現在の家を引き払いたいと思っていました。
そこでAさんは、両親が外出して不在にしている間に、自宅に放火しました。
Aさんの放火によって家は半焼し、Aさん自身は、通報によって駆け付けた静岡県三島警察署の警察官に、現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されました。
Aさんは、家族の依頼によって接見に訪れた弁護士から、今後の刑事手続きの流れや被疑者の権利、事件の見通しなどについて詳しく説明を受けることとなりました。
(※令和4年1月11日YAHOO!JAPANニュース配信記事を基にしたフィクションです。)

・自宅に火をつけた放火事件

今回の事例のAさんは、自宅に放火し、家を半焼させたという現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されています。
現住建造物等放火罪という長い犯罪名に驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、放火行為に成立する犯罪は、単なる「放火罪」という犯罪ではなく、放火の対象が何であったか、どういった状態であったかなどによって細かく分かれています。
例えば、今回のAさんの逮捕容疑である、現住建造物等放火罪を確認してみましょう。

刑法第108条(現住建造物等放火罪)
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

条文によると、現住建造物等放火罪が成立するには、放火された対象が「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑」であることが必要です。
普段の生活の中で関わる可能性の高いところでいうと、前半部分の「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物」という部分でしょう。
簡単に言えば、
・現在人が住居として使用している建造物
・現在人がいる建造物
のどちらかに当たれば、現住建造物等放火罪の対象となる建造物であるということです。

例えば、今回の事例のAさんは自宅に放火していますが、その家にはAさんとAさんの両親が住んでいますから、Aさんが放火した家は「現に人が住居に使用し」ている建造物であるということになります。
Aさんが放火をした当時は家に人はいなかったようですが、先ほど触れたように、現在人が住居として使用している建造物であるか、現在人が中にいる建造物であるか、どちらかに当てはまれば現住建造物等放火罪の対象となります。

また、現住建造物等放火罪の中で使われている「焼損」という言葉ですが、これは、火がその媒介物を離れて目的の者に燃え移り、独立して燃焼を継続し得る状態になったことを指すと言われています。
例えば、ライターから建造物の壁に火をつけたとして、その火がライターから離れて燃え続ける状態は「焼損」といえますが、ライターを離して火が消えてしまったというような場合には「焼損」とは言えません。
今回の事例のAさんの場合、放火した自宅は半焼していることから、「焼損」をしていることに間違いはないでしょう。
放火事件のイメージとしては、「火をつけたらイコール放火罪になる」というイメージかもしれませんが、実際に放火の罪が成立するにはこういった条件が必要になってくるのです。

なお、建造物が「焼損」していなかったとしても、器物損壊罪や建造物等以外放火罪、現住建造物等放火未遂罪など、他の犯罪が成立する可能性があることには注意が必要です。

ここまで見てきた現住建造物等放火罪という犯罪ですが、その刑罰は先ほどの条文にもある通り、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」という大変重い刑罰です。
執行猶予を獲得するためには、言い渡される刑罰が3年以下の懲役でなければいけないという条件がありますが、この現住建造物等放火罪の刑罰は、軽くても5年の懲役刑となっており、通常執行猶予をつけることはできません。
死刑・無期懲役が含まれることや、刑罰の下限が執行猶予を付けることのできない長さであることなどからも、重大な犯罪であることがお分かりいただけるでしょう。
だからこそ、早期に弁護活動を開始してもらい、少しでも被疑者・被告人の方やそのご家族の負担を軽減できるようサポートしてもらうことがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、放火事件などの重大事件についてのご相談・ご依頼についても承っています。
重大な犯罪だからこそ、刑事事件専門の弁護士のサポートをご利用ください。
0120-631-881でお問い合わせを受け付けていますので、お気軽にお電話ください。

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