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(架空の事例で検討)静岡県浜松市にて事後強盗で逮捕されてしまったらその罰則は?
(架空の事例で検討)静岡県浜松市にて事後強盗で逮捕されてしまったらその罰則は?
静岡県浜松市の事後強盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
【刑事事件例】
静岡県浜松市に住むAさんは、アパートで独り暮らしをしています。
Aさんは生活が困窮しており、毎日の食事にも困っています。
ある日の深夜、Aさんは近所のコンビニエンスストアに入りおにぎり2個を持って来た手提げかばんの中に入れ、盗むつもりでそのままコンビニエンスストアを出ました。
Aさんの様子を見ていたコンビニエンスストア店員のVさんは、慌ててAさんを追いかけてAさんの肩に手をかけて「おにぎりをかばんの中にいれて、お金は払っていませんよね?事務所に一緒に来てお話しを聞かせてください。」と言いました。
Aさんは「事務所に一緒に行けば逮捕されてしまう。」と考え、Vさんに対し護身用で普段から携帯していた果物ナイフを突きつけ、Vさんが震えて座り込んだ隙をついて走って逃げました。
Aさんがコンビニエンスストアから逃走して数十秒後、パトロール中の浜松中央警察署の警察官が息をきらせて走るAさんを発見し不審に思ったためAさんに職務質問をしました。
Aさんは「ごめんなさい、つい先ほどすぐそこのコンビニエンスストアでおにぎりを万引きしました。」と警察官に話しました。
そこにVさんも走ってきて、「お巡りさん、私はその人が万引きをしたコンビニエンスストアの店員です。その人が万引きをした後逃げるときに私はナイフを突きつけられました。怪我はしていませんが、とても怖かったです。」と警察官に話しました。
Aさんは浜松中央警察署の警察官により事後強盗の容疑で逮捕されました。
(フィクションです。)
【事後強盗罪とは】
事後強盗といった犯罪は、どのような犯罪でしょうか。
事後強盗罪については、刑法238条が以下のように規定しています。
刑法238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。
事後強盗罪の「窃盗」とは
窃盗行為(ものを盗む行為)を行った者
を指します。
事後強盗罪は窃盗犯人しか犯すことができません。
つまり「窃盗の犯人が盗んだ物を取り返されないようにするためや、逮捕されないため、犯罪の証拠となる痕跡を隠すために、暴行や脅迫をする」ことで成立します。
事後強盗罪も強盗として処罰される以上、要求される暴行・脅迫の程度は、強盗罪と同様で、相手の反抗を抑圧する程度のものである必要があります。
ここで刑事事件例をみてみましょう。
Aさんはおにぎり2個を盗みました(万引きをしました)。窃盗行為を行った者ですので「窃盗」にあたります。
Aさんは逮捕されたくないと思い、Vさんに対しナイフを突きつけ恐怖で追いかけられないようにしたので「逮捕を免れ」るために「暴行をした」ことにあたります。
以上により、Aさんには事後強盗罪が成立すると思われますが、窃盗行為と暴行・脅迫の関係や程度により別の罪に抵触することもあります。
事件の詳細な事情を専門的に細かく検討することも必要になることがありますので、まずは刑事事件専門の弁護士に相談することをお勧めいたします。
刑事事件に特化した弁護士
ご家族が事後強盗罪で逮捕されてお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
無料法律相談や、初回接見サービスのご予約は、フリーダイヤル0120-631-881(24時間受付中)までお気軽にお電話ください。
(架空の事例で検討)静岡県焼津市にて器物損壊事件で書類送検されたら?手続と流れについて
(架空の事例で検討)静岡県焼津市にて器物損壊事件で書類送検されたら?手続と流れについて
静岡県焼津市にて、器物損壊事件を起こしてしまい逮捕・勾留されたという架空の事例を想定して、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が検討します。
【ケース】
静岡県焼津市在住のAさんは、焼津市内で自営業をしています。
事件当日、Aさんは焼津市内のコンビニエンスストアで買い物をして帰ろうとしたところ、若者ら5人ほどがドアの前でたむろしていました。
Aさんが道を開けるよう言いましたが若者らは意に介さなかったため、怒ったAさんは若者の1人であるVさんの脇にあったスポーツ用具1点を奪取し何度もアスファルトに叩きつけました。
その後通報を受けて臨場した焼津市内を管轄する焼津警察署の警察官は、Aさんを器物損壊罪で捜査したのち、書類送検すると言いました。
≪ケースはすべてフィクションです。≫
【器物損壊罪について】
器物損壊罪とは、「他人の物を損壊し、又は傷害した」場合に成立する犯罪です。
有罪となった場合、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処されることになります。
器物損壊罪は刑法の261条に次のように規定されています。
刑法261条 (器物損壊等)
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
※「前3条」とは、刑法258条(公用文書毀棄罪)、刑法259条(私用文書毀棄罪)、刑法260条(建造物損壊罪)。
【書類送検について】
ほとんどの刑事事件の場合、最初の捜査は警察官が行いますが、すぐに、あるいは最終的に、事件は検察官に送致されて検察官が追加の取調べ等を行ったうえで、起訴するかどうか判断するのが原則です。
この、警察官等が検察官に事件を送致することを、検察庁送致と呼びます。
検察庁送致には2種類あり、
⑴被疑者が逮捕している場合…逮捕から48時間以内に、書類及び証拠物と被疑者の身柄を検察官に送致(又は釈放)
⑵被疑者が逮捕されていない場合…取調べなどが一通り行われて証拠書類がまとまり次第、書類及び証拠物を検察官に送致
となっています。
【書類送検=罪が軽いとは限らない~すぐに相談を】
在宅事件というと、逮捕・勾留されていないことから切迫感に欠ける方が多く居られますが、在宅で捜査を受けていたからと言って決して罪が軽くなるとは限らず、起訴され裁判になる可能性もあります。
在宅事件だからと言って安心することなく、すぐに弁護士に相談して、書類送検前に刑事告訴の取消が臨めないか、起訴される可能性はないか、処分の見通しはどのようなものか、といった相談をすることをお勧めします。
静岡県焼津市にて、器物損壊事件で捜査を受けていて、書類送検される可能性がある方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で相談を受けることができます。
(事例紹介)脅迫文書によって義務のないこと行わせようとしたとして強要未遂の疑いで静岡県の男性が逮捕
(事例紹介)脅迫文書によって義務のないこと行わせようとしたとして強要未遂の疑いで静岡県の男性が逮捕
脅迫文書によって義務のないこと行わせようとしたとして強要未遂の疑いで静岡県の男性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
知人男性に「人を連れて来い」等と脅す文書を送り付けた男が逮捕されました。
警察の調べによりますと、男は面識のある男性の家に、共通の知人の名前を出して「連れて来い」などと書いた複数枚の脅迫文を投函し、義務のないことを行わせようとした疑いが持たれています。
警察によりますと、男性は脅迫内容に心当たりはないと話しているということです。
(静岡朝日テレビ「「人を連れてこい」…脅迫文書を送ったか 46歳の男を強要未遂容疑で逮捕 静岡・南伊豆町」(2024/2/21)を引用・参照の上、適宜修正。)
~強要罪とは〜
(強要)
第223条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。
強要罪(刑法223条)は、脅迫や暴行という手段を用いて、したいと思っていることをさせず又はしたくないことをさせる行為を処罰する旨を定めています。
例えば、上記の手段によって財物等を得るような場合には恐喝罪、わいせつな行為を行った場合には不同意わいせつ罪が成立し得ることになりますが、刑法223条はこれらの個別に規定された罪に該当しないが意思決定や行動の自由を侵害する行為を補足し処罰するための規定と位置付けることができます。
本件では、逮捕された男性は、脅迫行為によって特定の人を連れてこさせるという「義務のないことを行わせ」ようとしたとして、強要未遂の罪に問われていることになります。
なお、未遂罪は各別の規定がある場合にのみ処罰することが可能(刑法44条)ですが、223条は3項に未遂処罰規定があるため既遂に至っていないとしても未遂罪が成立し得ることに注意を要します。
〜強要事件における弁護活動〜
本事例では、逮捕された男性は被疑事実に心当たりはないと話しており、いわゆる否認事件に当たります。
否認事件においては、被疑者の取調べ対応に細心の注意を要することから、逮捕後の早期における弁護士による接見が重要性を帯びることになります。
取調官が作成する供述調書等は、被疑者の供述がそのまま記載されるとは限らず、取調べには被疑者に不利益な供述調書が作成される危険が常に存在することに留意すべきです。
したがって、否認事件においては黙秘権の行使も含め、取調べ対応に対する弁護士によるアドバイスが必要不可欠といえます。
そして、頻繁な接見対応等は国選弁護では困難であることも少なくないため、否認事件において私選弁護を受けるメリットは大きいものといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強要未遂事件などを含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
強要未遂事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応している通話料無料のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
(事例紹介)トラブル相手に消毒用アルコールを吹きかけた男性が暴行の疑いで逮捕された事例
(事例紹介)トラブル相手に消毒用アルコールを吹きかけた男性が暴行の疑いで逮捕された事例
トラブル相手に消毒用アルコールを吹きかけた男性が暴行の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
静岡県磐田市で、交通トラブルになった男性の顔に消毒用アルコールをかけた疑いで、70代の男が逮捕されました。
逮捕された男は、磐田市にある食料品店の入り口で、磐田市に住む男性の顔に消毒用アルコールを吹きかけた疑いが持たれています。
警察によりますと、食料品店の駐車場で歩いていた被害者の男性と、自転車に乗っていた男との間で何らかのトラブルが起き、その後、2人は店内に移動し、男が入り口に置いてあった消毒用アルコールを男性に吹きかけたとみられています。
男性が「アルコール液をかけられた」と警察に通報したことから事件が発覚しました。
男は容疑を否認しているということです。警察は事件が起きたいきさつなどについて調べています。
(静岡放送「「アルコール液をかけられた」50代の男性に消毒用アルコールを吹きかけたか 73歳男を逮捕=静岡県警」(2024/4/19)を引用・参照の上、適宜修正)。
~傷害に至らない暴行~
(傷害)
第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(暴行)
第208条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
上記の刑法208条が規定するように暴行罪は、「暴行を加えた者が人を傷害(注:刑法204条参照)するに至らなかったとき」に成立します。
すなわち、「暴行」を加えた結果として「傷害」が生じれば、暴行罪ではなくより重い傷害罪が成立することになるということです。
なお、法律論の詳述は避けますが、暴行を介して傷害が成立する場合は、暴行の故意さえあれば傷害の故意がなくとも傷害罪は成立すると解するのが通説であり実務です。
そして204条にいう「傷害」とは、人の生理的機能に障害を生じさせるこというものと解されています。
本件では、(上記報道に基づく推測にはなりますが)逮捕された被疑者が被害者に吹きかけたとされる消毒用アルコールは、コロナ禍以降に店頭等に置かれるようになった一般的な消毒用アルコールであると思われます。
これを顔に吹きかけるだけでは、生理的機能に障害が生じることは稀であり、本件では被疑者に対する有形力の行使たる「暴行」には当たりうるものの、「傷害」結果までは生じなかったがゆえに暴行罪が成立すると考えられたのでしょう。
~暴行事件における刑事弁護活動~
暴行罪といえば、上述のように傷害罪にまでは至っていないのであり、上記の条文(刑法208条)が規定する法定刑もそれほど重いものではありません。
したがって、被疑者本人やその関係者も一般に事態を楽観視しがちな傾向にあります。
しかし、逮捕されてしまえば検察官が勾留(逮捕からプラスして10日間の身体拘束処分)を請求した場合、高い確率で勾留が認められていることに注意が必要です。
よって、暴行罪により逮捕されてしまった場合は、弁護士が勾留を阻止するために早い段階から検察官(や裁判官)に働きかける弁護活動が極めて重要になってきます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、暴行事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
暴行事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までお問い合わせください。
お問い合わせ頂くことで経験豊富な弁護士による接見対応等、逮捕による不利益を最小限にとどめるための迅速な弁護活動を行うことが可能です。
(事例紹介)仕事場の同僚を刃物で刺したとして外国籍の男性が逮捕された事件【静岡県静岡市】
(事例紹介)仕事場の同僚を刃物で刺したとして外国籍の男性が逮捕された事件【静岡県静岡市】
仕事場の同僚を刃物で刺したとして外国籍の男性が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
静岡市清水区で、同僚の男性を刃物で刺して殺害しようとしたとして、31歳の男が逮捕されました。
殺人未遂の疑いで逮捕されたのは、外国籍の男です。
警察によりますと、男は清水区内の解体工事現場付近で、解体工の男性を刃物で刺すなどし、殺害しようとした疑いがもたれています。
被害者は、体に複数の傷を負い、病院に運ばれ、現在入院中だということですが命に別状はないということです。
2人は同じ解体工事現場で働いているということですが、警察は、犯行の動機や認否について、捜査中として明らかにしていません。
(静岡放送「同じ現場で働く男性を刺したか トルコ国籍の31歳男を殺人未遂容疑で逮捕=静岡県警」(2024/4/2)を引用・参照の上、適宜修正。)
~殺人罪と殺意〜
(殺人)
第199条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
(未遂罪)
第203条 第199条・・・・・・の罪の未遂は、罰する。
本件では、逮捕された外国籍の男性は殺人未遂の疑いで逮捕されています。
刑法の条文に即して言うなら、「人を殺」す行為という「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」(43条本文)として、殺人未遂罪(203条・199条)が成立すると考えられたことになります。
しかし実は、殺人未遂罪が成立するか傷害罪(204条)にとどまるかというのは事実関係によって難しい(そして慎重な)判断が求められる場合も少なくありません。。
本件では、報道段階の事実にすぎませんが、刃物という生命への危険を生じさせ得る凶器を使い、被害者の身体を複数回に渡って刺していることから殺意(殺人の故意:38条1項本文)及び殺人罪の実行行為性が認められると判断したものと考えられます。
なお、わざわざ未遂罪を処罰する規定(本件では203条)を定めているのは、44条により未遂罪は個別の規定が定められている場合にのみ処罰され得るからです(したがって、あらゆる犯罪に未遂罪が成立するわけではないことに注意を要します)。
〜外国人事件における弁護活動〜
どのような罪の疑いをかけられているにせよ、外国において刑事手続の対象(特に身体拘束を伴う場合)になることは大きな不安がつきまとうことになることは想像にかたくありません。
したがって、被疑者が外国人である場合、弁護士には日本人(や日本語を十分に解する者)以上に慎重な弁護活動が求められます。
また、在留資格に対する影響など外国籍の被疑者・被告人の弁護活動には、内国人とは異なる考慮が必要となります。
特に本件のような殺人未遂事件の場合、仮に殺人未遂罪の罪名で起訴された場合、裁判員裁判(裁判員法2条1項1号参照)となることからも、起訴前の弁護活動が極めて重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、殺人未遂事件などの重大事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
外国人事件の場合、通訳人を帯同させるなどして専門的な弁護活動を行うことが可能です。
殺人未遂事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐお電話ください。
(事例紹介)静岡県内で警察官に殴りかかった男性が公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された事件
(事例紹介)静岡県内で警察官に殴りかかった男性が公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された事件
静岡県内で警察官に殴りかかった男性が公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
静岡県袋井市で警察官を殴った男が現行犯逮捕されました。
男は掛川警察署の生活安全課の警察官の胸を殴り、職務を妨害した疑いが持たれています。
通行人から「けんかをしている男たちがいる」と袋井署に通報が入り、警察官が駆け付けたところ殴られた警察官が男を押さえつけていたということです。
警察官が男に事情聴取を行ったところ、男が殴りかかってきたということで、警察官にケガはありませんでした。
男も殴った事実を認めているということです。
(静岡朝日テレビ「警察官に殴りかかった男を公務執行妨害の疑いで現行犯逮捕 職務質問を受け胸を殴るなどしたか 静岡・袋井市」(2024/3/19)を引用・参照)。
~公務執行妨害罪について~
(公務執行妨害及び職務強要)
第95条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
2 (略)
本件は(後に現行犯逮捕された)被疑者を含む男性らが何らかの揉め事になっていたところ、警察官が職務質問(警察官職務質問法2条1項)を行っている最中に被疑者に暴行を受けたという事件です。
(本件は報道内容だとやや分かりにくいですが)そこに通報により別の警察官が駆け付けたという事件だと思われます。
本件では被疑者は公務執行妨害によって逮捕されていますが、公務執行妨害罪における「暴行」とは、公務員の身体に直接な有形力の行使までは必ずしも必要なく、間接的な影響を与えるもので足りると解されています。
逮捕された被疑者は公務員たる警察官に殴りかかっており、直接的な有形力の行使が認められますが、例えば警察官が証拠物を押収する際に当該証拠物を破壊する行為なども間接的に公務員に向けられた有形力の行使として「暴行」に当たると解されています(最決昭和34・8・27参照)。
このように、公務執行妨害はかなり成立しやすい犯罪といえ、職務質問などに対応するに当たっては同罪に当たるとして現行犯逮捕などされないように、十分に注意する必要があります。
~公務執行妨害事件における刑事弁護活動について~
公務執行妨害罪は、一個人である公務員に対して「暴行又は脅迫」を加える犯罪ですが、個人の身体等の個人的な法益を保護するものではありません。
公務執行妨害罪は、公務の円滑・公正な執行という国家的法益を保護するものであると考えられています。
したがって、犯罪の性質上、被害者との示談を成立させることは困難であるという特殊性があります。
もっとも、統計上は(逮捕後の)勾留(刑訴法207条1項本文・60条)されないことも多く、逮捕されてしまった場合も勾留を争う余地は大いに存在します。
よって、逮捕後の早期に弁護士と接見した上で身柄解放活動を行うことで、逮捕された方(やそのご家族等)に生じ得る不利益を最小化することが可能になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、公務執行妨害事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
公務執行妨害事件で逮捕された方やそのご家族は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
(事例紹介)傷害で逮捕された男性らの事件の証拠を隠滅した疑いで女性が逮捕【静岡県湖西署】
(事例紹介)傷害で逮捕された男性らの事件の証拠を隠滅した疑いで女性が逮捕【静岡県湖西署】
傷害で逮捕された男性らの事件の証拠を隠滅した疑いで女性が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
静岡県の浜名湖で男性の遺体が見つかった事件で、湖西署捜査本部は、同被害男性に対する傷害事件の証拠を隠したとして、証拠隠滅の疑いで無職の女を逮捕した。
逮捕容疑は、浜松市中央区で、知人と共謀し、事件の証拠を隠滅した疑い。
捜査本部は証拠の詳細や隠滅方法を明らかにしていない。
(共同通信「証拠隠滅疑い、19歳女逮捕 浜名湖の高校生遺体」(2024/3/17)を引用・参照の上、適宜修正。)
~証拠隠滅罪について〜
(証拠隠滅等)
第104条 他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
本件では、すでに傷害の疑いで逮捕されている被疑者らの事件に関する「証拠を隠滅」した疑いがあるとして、(知人と共謀し)証拠隠滅罪を犯した疑いで女性が逮捕されています。
「他人の刑事事件に関する」という文言が表す通り、自己の刑事事件に関する証拠隠滅行為に関しては同罪は成立しません。
すなわち本件で被害者に対して傷害行為をした当事者は、仮に証拠隠滅行為をしても(その証拠が他人の刑事事件に関する証拠にもなるというような事情がない限り)証拠隠滅罪によって処罰されることはありません。。
なぜなら、自己の犯罪に関する証拠を隠滅しないことは法が期待するところではない(要するに犯罪をした者自身がその犯罪の証拠を隠滅することは仕方がないことだと法は割り切ってるということです)と考えられているのです。
したがって、本件のように「他人」が起こした刑事事件の証拠を隠滅したと疑われた場合には証拠隠滅罪が成立しうるとして逮捕されることがあり得ることになります。
〜刑事事件を専門とする弁護士の弁護活動〜
裁判所(裁判官)は、(逮捕後)勾留された被疑者については、一定の要件の下で被疑者との接見を禁じることができます(刑訴法81条)。
もっとも、唯一弁護士だけが逮捕や勾留されている被疑者との秘密交通権が保障されており(憲法34条前段、刑訴法39条1項)、逮捕・勾留されている方と立会人なしでの面会が可能です。
刑事事件では早期対応が不可欠であり、あらゆる可能性を想定して今後の見通しを誤らないためにも、余罪の有無等の不利益な事実も含めて弁護士としっかり話し合いうことが重要です。
例えば、本事例などは被害者が死亡している殺人などの重大犯罪にも関連している事件であり、関与の程度がどこまでなのかどのような他に容疑をかけられている(かけられ得る)のかなどの予測を立てることが弁護士の役割の一つになります。
専門性及び刑事事件の経験を多数有する弁護士に依頼することで、信頼関係の構築やスムーズな交渉など受けられるメリットは少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、証拠隠滅事件などを含む刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
弊所には刑事事件を専門にしている弁護士が多数所属しており、個々の事件に応じたきめ細やかな弁護活動を行っております。
証拠隠滅事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
(事例紹介)知人女性を監禁し暴行を加えてけがをさせたとして逮捕監禁致傷の疑いで男性ら2人が逮捕【静岡県富士宮市】
(事例紹介)知人女性を監禁し暴行を加えてけがをさせたとして逮捕監禁致傷の疑いで男性ら2人が逮捕【静岡県富士宮市】
知人女性を監禁し暴行を加えてけがをさせたとして逮捕監禁致傷の疑いで男性ら2人が逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例
静岡県富士宮市で、知人女性を監禁し暴行を加えてけがをさせたとして、逮捕監禁致傷の疑いで男ら2人が逮捕されました。
警察の調べによりますと、男2人は静岡県東部地区に住む20代女性の勤務先に押しかけ、殴ったり蹴ったりといった暴行を加えた後、女性の腕をつかんで車に押し込み、さらに車内でも女性を殴ってけがをさせた上、車で数時間連れ回して監禁した疑いが持たれています。
女性は頭部や顔に軽傷を負いました。
警察は男2人が容疑を認めているかどうか明らかにしていませんが、男の内1人と女性が知人同士であることから、トラブルの有無も含めて調べを進めています。
(静岡朝日テレビ「勤務先に押しかけ…20代女性に暴行、車に押し込み数時間連れ回したか 20代の男2人を逮捕監禁致傷の疑いで逮捕 静岡県警」(2023/11/14)を引用・参照の上、適宜修正。)
~逮捕監禁致傷とは〜
(逮捕及び監禁)
第220条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。
(逮捕等致死傷)
第221条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
まず、刑法220条は逮捕罪と並んで監禁罪を移動の自由を侵害する罪として処罰する旨を規定しています。
「逮捕」とは、身体に対する直接的作用を伴う方法によって人の移動する自由を侵害することをいいます。
これに対し「監禁」とは、上記の逮捕以外の方法により移動の自由を侵害することをいうと解されています。
報道の事実をもとにすると、被害者女性の移動の自由は車で数時間連れ回されるという身体に対する直接的な作用以外の方法によって侵害されており、監禁罪が成立することになります。
そして、刑法221条は、逮捕・監禁行為から「傷」害結果が生じた場合には、逮捕監禁致傷罪として処罰する旨を定めています。
本件では、監禁の過程において怪我を負わせられており(事実関係に争いがない限り)監禁致傷罪が成立するものと考えられます。
なお、「傷害の罪と比較して、重い刑により処断する」とは、傷害罪(刑法204条)と220条との法定刑を比較し、上限下限につきより重い刑により処断するということであり、監禁致傷罪にこれを適用すると「3月以上15年以下の懲役」となります。
〜逮捕監禁致傷事件における刑事弁護士の弁護活動〜
被疑者が逮捕された場合において、弁護活動の第一歩となるのが接見対応です。
警察官により逮捕された場合、検察官がより長い身体拘束処分である勾留を請求するまでわずか48時間しか時間がありません(刑訴法204条1項本文)。
したがって、弁護士は被疑者の留置先を早急に確認し、接見(同法39条1項)を求めた上で、事情を聞き取りこの先の刑事手続の流れ等について適切なアドバイスを為すことがきわめて重要です。
逮捕という早い段階から迅速な弁護活動を受けることのメリットは決して少なくありません。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、監禁致傷事件を含む刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
監禁致傷事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)へまずはお問い合わせください。
(事例紹介)静岡県浜松市にて暴力行為処罰法違反で男性が逮捕されたという事件について
(事例紹介)静岡県浜松市にて暴力行為処罰法違反で男性が逮捕されたという事件について
当ブログは、静岡県浜松市にて発生した、男性が交際相手に対し刃物で脅したとされる暴力行為処罰法違反事件について、報道内容をもとに成立する罪や弁護活動などについて検討しているブログです。
【事例】
交際相手の女性を刃物で脅したとして、浜松市に住む30代の男が18日、逮捕されました。
暴力行為等処罰に関する法律違反の疑いで現行犯逮捕されたのは、浜松市中央区に住む自称・介護職員の36歳の男です。
警察の調べによりますと、男は18日午後6時ごろ、静岡県西部に住む交際相手の20代の女性の家で、女性とトラブルになり、「殺す」などと言いながら、刃物で脅したと疑いが持たれています。
女性が「彼氏ともめている」と通報、現場に駆けつけた警察官が男を現行犯逮捕しました。
(「「殺す」…交際女性を刃物で脅したか 36歳の男を逮捕 浜松中央警察署」2024年3月20日13:38配信 (株)静岡朝日テレビ 引用)
【暴力行為処罰法とは】
暴力行為処罰法は、正式名称を「暴力行為等処罰ニ関スル法律」と言います。
暴力に関する罪、例えば暴行罪や傷害罪、脅迫罪などの罪は刑法で定められていますが、集団で暴行したり、凶器を用いてそれらの罪を犯した場合、より重い刑事罰が科せられることになります。
今回の報道によると、男性は被害女性に対して刃物を用いて殺すと脅したとされています。
今回問題となる条文は以下のとおりです。(暴力行為処罰法は文語体カタカナのため、平仮名に置き換えています。)
刑法222条1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
暴力行為処罰法1条 団体若は多衆の威力を示し、団体若は多衆を仮装して威力を示し又は兇器を示し若は数人共同して刑法…第208条、第222条又は第261条の罪を犯したる者は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処す
今回の報道の事例の場合、まず「殺す」などと人の生命・身体に害を加えるように脅迫した場合、脅迫罪に問われる可能性があります。
罰条は2年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
そして、その際男性は刃物を示したとされています。
暴力行為処罰法は、凶器を示して刑法222条(脅迫)の罪を犯した場合、暴力行為処罰法に違反します。
罰条は3年以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
当然のことですが、凶器を示して脅迫する行為は、被害者にとって通常の暴力行為以上に不安を覚えることになります。
そのため、この罪を犯した場合には通常の脅迫罪以上に厳しい刑事処罰を科せられることになります。
【暴力行為処罰法違反での弁護活動】
今回の事例のような暴力行為処罰法違反事件の場合、加害者が被害者の住所や連絡先を知っていて証拠隠滅の恐れが高く、再犯の(場合によっては実際に死傷させてしまう)おそれもあると評価され、逮捕・勾留される可能性が高いと言えます。
そのため弁護士は、
・釈放を求める弁護活動
・終局処分(不起訴・略式起訴・正式起訴といった検察官の判断や刑事裁判での減刑)を求める弁護活動
を行うことが考えられます。
一般的に、暴力行為処罰法違反の事件では、特に被害者との示談交渉が重要になります。
被害者は、同じような被害に遭うことを不安に思っていると考えられます。
そのため、示談交渉に際しては弁護士が代理人として間に入り、加害者が被害者と接触を禁止する、接触した場合の違約金の約定を設けるといった対応が必要となると考えられます。
また、被害者と加害者が居を同じくしていた場合、被害者の転居先等を知らせないため、私物を一旦弁護士事務所に送って加害者宅に転送する等、細心の注意を払う必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、これまでに暴力行為処罰法違反を含め数多くの暴力事件に携わってきました。
静岡県内で暴力行為処罰法違反などの刑事事件を起こしてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。
家族が逮捕・勾留された場合は初回接見サービス(有料)をご利用ください。
(事例紹介)静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕
(事例紹介)静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕
静岡県浜松市内でタクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走した疑いで逮捕されたケースについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事案
タクシー運転手の顔を殴り料金を支払わずに逃走したとして警察は浜松市内の女を逮捕した。
警察によると女は、タクシー運転手の女性の運転の仕方について文句をつけ、運転手の顔を殴りタクシー料金を支払わず逃走した疑いがもたれている。
警察は車内のドライブレコーダーの映像などから逃げた女の行方を捜し、逮捕した。
(静岡第一テレビ「タクシー運転手の顔を殴り料金支払わず逃走 強盗容疑で逮捕」(2024/1/2)を引用・参照の上、適宜修正。)
~利益に対する強盗〜
(強盗)
第236条 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
窃盗罪に代表される財産罪には、(財産上の)利益を客体とするものとそうでないものがあります。
上記窃盗罪(刑法235条)は「他人の財物を窃取した」場合に犯罪が成立すると定めており、その対象を「財物」に限定しています。
これはいわゆる利益窃盗を不可罰とする趣旨であり、その背景には典型的には債務の不履行等、本来民事法によって解決すべきものにまで刑事上の責任を負わせるべきではないという考えがあります。
これに対し、本件のような強盗罪の場合は、暴行又は脅迫を手段とする点で(財産上の)利益まで保護すべきであることから、236条の2項によって利益罪も定められているのです。
本件では暴行を手段とした(2項)強盗罪の成否が問題となっていますが、強盗罪における「暴行」とは人の反抗を抑圧する程度のものである必要があると解されています。
上記の程度までの暴行であったか否かは、暴行の態様、犯行の時間や場所、体力や体格の差などから客観的に判断されます。
本件では暴行の態様などの詳細は明らかではありませんが、同性同士でそれほど力や体格の差はないと思われるものの、例えば女性の加害者が男性の被害者に対して暴行した場合などに比べると暴行による反抗の抑圧は認められやすいと考えることも可能なケースと言えそうです。
〜強盗事件における刑事弁護活動〜
強盗罪は、窃盗罪とは異なり被害者に対する有形力の行使(本件のように「暴行」による場合)伴う犯罪であり、法定刑も「5年以上」と重い犯罪類型であると言えます。
したがって、例えば本件のようなケースでは、強盗罪の成立を争う弁護活動なども一考に値するものと考えられます。
もっとも、強盗罪が成立するケースでも財産犯である以上は示談の成立によっては刑事裁判を回避することも可能であり、いずれにせよ積極的な不起訴獲得のための弁護活動が重要になってくることになります。
被害者対応を誤ってしまうと、その後の刑事処分も大きく変わってきうることから、弁護活動は被害者対応にも長けた刑事事件専門の弁護士に依頼するメリットは大きいと言えます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、強盗事件などの刑事事件を専門的に扱っている法律事務所です。
強盗事件で逮捕されてしまった方のご家族等は、24時間対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)までまずお問い合わせください。